株式会社TCDは、「経営に、デザインの力を。」をコンセプトに、企業様のブランディング支援・デザイン支援をトータルで手がける会社です。
キャリア入社し、チーフデザイナーとして日々パッケージデザイン業務をメインに携わっている私の、リアルな奮闘記をご紹介します。
日頃愛用している商品のパッケージをデザイン
前職では主に通販で売られる商品パッケージのデザインを担当していた私。自分の生み出したデザインをもっと身近に感じたい!とステップアップを決意しTCDへ中途入社しました。上記写真は、小林製薬株式会社が桐灰ブランドとして販売している「足の冷えない不思議なくつ下」という商品で、保熱繊維で冷気をカットし足の熱を包み込む「足冷え用保温くつ下」です。ちょうど私が昔から愛用しているソックスなのですが、このたびリニューアルデザインを担当させていただいた記念すべき商品でもあります。もちろん、嬉しさのあまり発売するや否やお店へ買いに走りました。
今まで使っていた商品やサービスのデザインを店頭で見かけたり、各種メディアで出会える喜びは、メジャーな案件を手掛けるTCDならではだと思います。TCDでは全国のドラッグストアや量販店、百貨店、施設、教育機関、官公庁・行政機関etc…と100種を超える多種多様な業種のお手伝いをしていますので、きっとこれを読んでくださっているあなたも、日常でTCDのデザインを目にしているかもしれませんね。
共につくり上げる喜び
冒頭でご紹介した商品ブランド群は、約15年程デザインをほぼ変えずに売られていましたが、競合商品の台頭も著しく、パッケージリニューアルが行われることとなりました。今までは無骨なデザインで機能をストレートに訴求するようなパッケージでしたが、近年製品開発する上で重視されている情緒を感じるトーンへ生まれ変わらせることが課題であり、クライアントからは商品の開発背景や市場での状況、商品コンセプトやターゲット、商品USP(Unique Selling Proposition)等の情報やリクエストを含めたオリエンテーションを受けました。とはいえ、言われたままにデザインするのではオペレーターと変わりありません。温かさの機能性を伝えながら情緒感を持たせるにはどのような打ち出し方があるのか?ここからが私たちTCDの腕の見せどころです。
温かさを何かほっこりとしたモチーフに例える方向性(毛糸?ノルディック柄?)。商品名の「不思議」にフューチャーした世界観の方向性。熱を逃がしにくく温かさが持続するという原料の糸の特性を「魔法瓶」になぞらえ、表現した方向性。カイロを長年販売してきた「温熱用品に強い老舗の会社が作るソックス」を表現することで、商品への信頼感を打ち出す方向性(レトロなテイストで老舗感を表現)。温まった着用イメージの脚を浮遊させることで心地よさを表現する方向性。これらの方向性を出した上で、さらにここから具体的なトーンやどのような表現に落とし込んでいけるかを検討していきました。
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完成するパッケージはひとつでも、デザインにはこんなにも多くの可能性があるなんてワクワクしませんか?私たちは、受けたオリエンテーションから発想を膨らませ、クライアントと擦り合わせながらより良いデザインを目指していきます。とはいえ、今まで築き上げてきたブランドイメージを大きく壊しては、ロイヤルユーザーの方たちを売り場で迷子にさせてしまいます。このブランド資産と、今までのデザインイメージを覆す新しさとのバランスを、クライアントと試行錯誤を重ねながら忌憚のない意見を出し合い、お互いに納得のいく着地点を探っていきました。開発の際には、ちょうど私がこの商品の愛用者ということもあり、冷え性の人ならこう感じるのではないか?というリアルな声を汲み取っていただき、私の考えたコピー案で検討を進めたアイテムもあります。
このように、クライアントとデザイナーとが共創することで、目指すゴールが近く、明確なものになっていきます。資材や仕様、表現のハードルがある中でなんとかつくり上げたデザイン案を、クライアントが社内会議で提示し無事通過した際には、感激のお電話をいただいたこともありました。私としても、今までの苦労が一気に報われ、達成感に包まれた瞬間でした。
寄り添い、並走する
デザイナーはアーティストではなく、クライアントの課題を解決することを求められます。私たちTCDは、クライアントに寄り添い、共にブランド「らしさ」を育むパートナーとして並走していきます。発売され、いろんな場所でその商品に出会えることは私にとっても非常に嬉しいことですが、それよりも共につくり上げていく過程に喜びを感じることを、このTCDで知りました。大変なことも時にはありますが、とてもやりがいのある毎日を過ごしています。