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約9年間 技術部長を務めた大手医療機器メーカーを辞めて、医師と医療機器ベンチャーを共同創業した理由

「医療機器メーカー」と聞くと、いわゆる大企業で、営業部門・技術部門・生産管理部門それぞれが、数十名・数百名規模の組織で構成されているようなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

私たちK.O.techは現在、エンジニア3名・営業2名という極めて少数精鋭のチームです。

しかしながら、代表的な製品のサーマジェン(たるみ治療器)、ヴィーナス・ワン(脱毛器)を中心に、製品を購入してくださった先生方による口コミ、また代表/医師の高先生のInstagramでの発信から、「広告費ゼロ」で、年間数百件にのぼる購入検討のお問い合わせをいただけるほどに成長しました。

そして嬉しいことに、機器をご購入いただいたクリニック様で人気の施術メニューとなり予約枠が埋まり、2台目の追加購入をしていただけるようなケースも出てきています。

会社としては創業期を超え、ようやく第2フェーズを迎えた今。

K.O.techの前身となる浪速(なにわ)エイジェントの共同創業者でありチーフエンジニアの種本さんに、創業に至った経緯と想いを取材しました。

*会社の概要については、前回の記事をぜひご覧ください。

医療用レーザー機器の革命児、「レーザーキング👑」が率いるK.O.tech(ケーオーテック)の あれこれ | 株式会社K.O.tech
K.O.tech(ケーオーテック)として、記念すべき記事1本目!今回は、K.O.techがどんなことをしている会社なのか?まずは簡単に全体像を知っていただけるよう、会社のことや、中にいる人のこと...
https://www.wantedly.com/companies/company_4397764/post_articles/871900

業界歴30年。業界知見者で知らない人はいない、種本さんの存在

ーー本日はよろしくお願いします!高先生(代表/医師)から、国内の業界知見者で種本さんを知らない人はいないと聞いています。これまでの経歴を、少し詳しく教えてください。

そうなんですかね、、、?(笑)自分ではあまり分かりませんが、経歴をお話しします。

まず新卒で補聴器をはじめとする聴覚関連機器メーカーに入社しメンテナンスを担当後、ドイツの手術用顕微鏡・光学機器メーカーのカールツァイスに転職しました。手術用顕微鏡、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡、眼科の機械、眼科レーザーに至るまで、幅広い機器のメンテナンスを約9年間担当して、ここで基本的な電気や光学の知識を習得しました。この時に学んだことが今でも非常に活きています。

その後、美容医療の領域では数少ない国産のレーザーメーカー、ジェイメックに入社。当時、日本で初めて導入されていたLPIR(サイノシュア社の脱毛レーザー)のメンテナンス担当として、開発者である米国サイノシュア社の当時の社長フォーレス古本氏から直々に教育を受けたり、その他にも欧米の複数社のレーザー機器とRF・IPLなどの品質管理を担当したりと、約12年間で美容医療機器についての知見を深めました。

そして2011年に、前職であるJeisys(現在のジェイシスメディカルジャパン)に技術部長として入社し、退職するまでの約9年間、機器の開発からアフターサービスに至るまでの責任者を務めました。

Qスイッチヤグレーザーを日本にリリースするため1年間は韓国本社で勤務し、その後はハイフをはじめとする機器の品質改善を担当。国内のリリース前の機器の品質チェック・品質管理を続けていました。最近流行っているポテンツァもJeisys社のものですが、機械自体は当時からありましたよ。

代表/医師 高(こう)との出会い

ーーカールツァイス・ジェイメック・ジェイシスメディカルジャパンと、いずれも各国の業界トップティア企業ですね。順風満帆にキャリアを積み上げられてきた印象ですが、K.O.tech(旧:浪速エイジェント)を創業したきっかけはなんだったのでしょうか。

高先生とは、お客さんとして出会ったのがはじまりでした。当時の元上司を介して高先生の機械の修理依頼を受け、のちには修理以外も副業としてお手伝いをすることになり、ベンダー訪問なども一緒に行くようになりました。

そういった中で、当時の前職での働き方は年齢も考えると精神的にハードに感じることが続いていて…。(技術部長という立場上、)顧客に届ける製品をチェックする最終責任者が自分であるにも関わらず、会社の方針で出来ないこと・優先度を上げられないことがあったんです。

必ずしもそれが悪いことではないかもしれませんが、「自分にとっての正義」とは異なる部分があったのは事実です。そういった経緯もあり、技術部長を務めて10年目を迎えるタイミングで、結果的には退職することを決めました。

正直に言うと、少しゆったりした働き方ができればと思っていたのが本音です。

▼創業の地、大塚の小さな事務所。(今は池袋に移転しました)

業界歴30年の集大成 本当に納得できる機械を届けたい

ーー特に最近は多忙な様子を見ているので、当時想定していた「ゆったりした働き方」とは少し違うような気もしますが(笑)、K.O.tech(旧:浪速エイジェント)創業にあたって不安だったことはありませんでしたか?

そうですね、ゆったりはできていませんが、、、(笑)

不安は特になかったですね。大きな組織の仕組みの中でやるよりは、自分の理想を叶えられる(正しいことをやる、自分にとっての正義を貫ける)環境だと確信して、安心してスタートラインに立ったことを覚えています。

例えば、まず初めに開発に着手したヴィーナス・ワン(脱毛器)の開発も、納得するまでじっくりと時間を使わせてもらえたのは非常に有り難かったですね。かなり気楽に時間を使いながら、開発・改善に集中できました。2022年5月、無事に厚労省の承認を取得できたことは大きな成果の一つですね。

▼初めて学会出展した時の一枚(左:高先生、右:種本さん)。右奥にあるのは、承認前のヴィーナス・ワン(脱毛器)。 ・・・ふたりとも脚が長い…!

ただ今も、これといった大きな不安はありませんが、いかんせんエンジニアが足りない。

エンジニア3名体制から、ようやくしっかりとしたチーム・組織に進化していく発展途上なので、医療機器のメンテナンスは未経験の方でも、第一歩としてチャレンジするにはいい環境だと思います。

誰かいませんかね。とにかく人が足りないことだけが課題です。笑

開発チームの役割

ーー社内のスタッフでも、エンジニア業務の全貌は把握し切れていないほど幅広いイメージです。実際の業務内容を教えてください。

エンジニア業務は、「製品リリース前」と「製品リリース後」の大きくふたつに分けられます。

まず製品リリース前の開発ですが、高先生からの「これを作りたい!」という機器の提案を受けて、設計・検証を行います。まずは基本のアウトライン(コーポーネント・機能)を定義し、動作の検証をするプロトタイプ版を作成、コマーシャルサンプルの作成、臨床というステップです。

本当に1から作り上げるものなので、失敗はつきものです。サーマジェン(たるみ治療器)でテスト照射していた時には、針の長さが表記されているシールを貼り間違えていて、通常1mmのところ3mm出ていて深く刺さってしまったり、レーザーをテスト照射した際にはパワーが強すぎて火傷をしたり。

ただそういった失敗から、針の長さを間違えないようシールからダイヤル表記に変更したり、照射のモード選択をできるようにして照射ミスを最小限にできるようにしたりと、ユーザー目線での改善に生かしています。

▼レーザーのパワーを設定しながらテスト照射していたところ・・・

ぷっくりと火傷したり

シマシマになったりもしました

※上記はいずれも高先生の内側腕

また製品リリース後には、市場に出た後に発生した不具合への対応をする「バグフィックス」と、いわゆるメンテンスにあたる「アフターサービス」をおこなっています。

バグフィックスでは、不良基盤や基盤内の不良素子の発見といった原因追求を行い、製造元へ報告、原因除去を行います。海外メーカーとの品質改善を目的とした報告・要請は英語でやりとりしていますが、双方の母国語ではないことから、意思疎通には苦労することもしばしばあります。

またアフターサービスでは、入荷品や出荷品の動作チェック、電圧や出力(エネルギー)、電圧、周波数、等の測定、スイッチの交換やハンドピースの修理、ソフトウェアの転送といったことを行います。

アフターサービスは医療機器のメンテナンスが未経験の方でもとっつきやすいと思うので、キャリアチェンジを考えてる方にもぜひチャレンジしてほしいですね。

顧客満足度は故障率の低さ 限りなく故障ゼロを目指し続ける

ーー仕事をする上でのポリシーや大切にしていること、また今後挑戦したいことはありますか?

とにかく故障率を下げること、それに尽きます。

過去の経験から競合他社と比べると、肌感覚では(K.O.techの機器の)故障発生率は3分の1くらいですね。機器の販売台数から逆算すると、現状のエンジニア3名で回せているのはそういうことです。

挑戦したい・実現したいこともその延長線上で、「壊れない機械を作ること」です。理想が高いとはわかっていますが、肅々とそれを目指し続けたいと思っています。

製造業における品質管理を支える要素として、5M+1E *という考え方がありますが、その中でも「人(Man)」の管理が最も難しいんですよね。

*5M+1Eとは、人(Man)・方法(Method)・測定(Measurement)・材料(Material)・機械(Machine)及び環境(Environment)

開発者の私たちがどれだけ丁寧に指示書を書いても、最終的に工場で製造作業をするのは人なので、指示書通りに完璧に仕上げてもらえることばかりではありません。

医療機器自体かなり繊細で、ネジ1つのちょっとした緩みでも大事故に繋がりかねない。バタフライ効果*も懸念されます。

*バタフライ効果とは、「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながる」こと

だからこそ、そもそも複雑性はできるだけ排除し、壊れにくい機械を作ることにこだわり続けています。

さいごに

ーー最後に、種本さんが今後一緒に働きたい人はどんな人ですか?

そうですね、経験値は問いません。ただ、その人なりに思考ができること、知らないことがあっても自分の中のベストプラクティスを出せることを重要視しますね。

好奇心があり、知りたがり・知識欲の強い方にとっては、学びがいのある楽しい環境だと思いますよ。

目の前の事象ややるべきことに誠実に向き合い、文句ではなく意見を言える方に、ぜひ力を貸してほしいです。

▼自費研フェスティバル2023の出展ブースにて

↑左端:高先生の等身大パネルにご注目!想像以上に好評で、パネルと写真撮影をしていく高先生ファンの方もいらっしゃいました。笑

▼機器の開発やリニューアルは、高先生、エンジニアチーム、営業チームで。美容ナース歴10年以上の営業スタッフの意見も欠かせません

▼爽やかなエンジニアチーム!本社近くの池袋公園にて


少しでも気になった方は、ぜひ気軽に「話を聞きに行きたい」ボタンを押してくださいね。お待ちしています!

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