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茅場町でスタートアップを営む社長の日常#8 苦悩

茅場町のコンクリートビル群に夏の日差しが降り注ぐ。
兜町が近く、証券マンたちの足音をかき分けて僕は地下鉄から地上に上がる。人は階段を上る時だけ、上を見る。意気揚々と歩きたいが僕の足取りは重い。いつも悩んでいる僕の横顔を鏡越しに見ると、僕が始めてしまったストーリーの途方もなさに絶望しかける。

社長になってみて分かることがたくさんある。

しんどいことも悩むことも多い。帰り道にため息が出たりするし涙が出てくる時もある。大好きなパスタを食べているのに味がしない夜もある。友達に会った時に無理に元気よく振る舞っていたら「から元気だな」と笑われた。昔、先輩から「最初は、から元気でもいい」と言われたことがある。僕は昔から明るい方ではないが、僕の雰囲気は会社に伝播してしまうのでできる限り明るく振る舞いたいと思う。

問題は山積みでタスクも膨大にある。その一つ一つは得意なことも苦手なこともあって、僕の能力値の限界を毎日感じる。僕は売上を作れる。ビジネスセンスやアイデアに絶対の自信がある。ニーズを掴めるし、そこに向けてコツコツと仕事することが好きだ。しかしその反面、計画を立てたり数字を管理することが苦手でこれは経営者としては致命的になっている。

それで今日僕がインターンしていた時の社長にその旨をメッセージしてみたら「わかるよ笑笑」と返ってきたので僕だけじゃないんだと思って少しだけ安心した。その社長もどちらかというと僕タイプ。社長にも得意不得意がある。営業が得意な人、マーケが得意な人、バックオフィスが得意な人、プロダクトが得意な人などなど。うまく自分の苦手な部分を補える人にジョインしてもらって会社を強くしてもらうしかない。

会社として大きなことを掲げてしまったし、新卒市場は大きなプレーヤーが山のようにいる。そこを一つ一つ倒していくワンピースとかキングダムみたいなことしていく必要があって途方もない。しかし根拠のない自信だけが僕を支配していて、ただそれだけが僕と会社に夢を見させる。





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