EIR(客員起業家制度)ってなに?
みなさん、こんにちは。GOB Incubation Partnersの滝本です。
今回はおそらくあまり耳馴染みがない人が多いであろうEIR(客員起業家制度)についてご案内させていただきます。
「Entrepreneur In Residence」(=EIR)とは、その名の通り起業家が自分で会社を立ち上げるのではなく、一旦既存の会社に入って新規事業を立ち上げる仕組みのことをいいます。
海外ではベンチャーキャピタルや、パソコンなどを提供をしているDell.Inc、ハーバードビジネススクールなどの有名大学がこの制度を取り入れています。
近年スタートアップが盛んなイスラエルでは、ICT領域に投資しているベンチャーキャピタルのなんと31%!が導入しているというデータもあったりします。
EIRの起業家になると何が良いの?
EIRの起業家になると一般的には、例えば特定の知識や技術、オフィスなどの施設や設備、業界関係者のネットワーク、事業開発のための資金など所属する企業の色々なリソースを使えるようになります。
これは多くの起業家にとって、起業リスクを下げ、事業の成功確率を飛躍的にあげることになりますね。特に個人的に大きいと考えているのは、特定の業界の関係者や専門家のネットワークが、個人で起業するよりも圧倒的に豊富に活用できる点です。
これは社会関係資本と呼ばれ、近年の研究によると起業家の成功に大きく関わっている要素です。
GOBの場合でいくと、多くの起業家と関係性を築いているので、事業立ち上げのノウハウを豊富に持っているほか、大企業をクライアントとしたコンサルティングを行っているので、国内大企業とのネットワークを強みにしていますね。
また所属している企業から給与や報酬を受け取れるという点も大きいと思います。報酬は決して潤沢ではない場合が多いですが、単独で起業することに比べて生活不安を軽減できるという点は非常に大きな意味があります。
EIRを実施している企業は何を期待しているの?
EIRを導入している企業が起業家に期待していることは、その組織によってかなりバラツキがあります。
良質な投資先となる起業家をいち早く確保しておきたいと考えている会社もいれば、特定の領域の起業家を集めることによって、その領域に詳しくなろうとしている会社もあるように思います。またポテンシャルのある技術や事業資産は社内にあるのにも関わらず、それを活用してベンチャービジネスをはじめられる人材がいない、といったケースも考えられるかと思います。
その点と関連してEIRの出口も会社によって様々です。分類としては、EIR起業家が事業を立ち上げた後、
①起業家が会社を立ち上げてその事業を継続し、EIR起業家を受け入れていた会社は一部出資する。
②起業家は独立せず、EIR起業家を受け入れた会社の傘の元で事業を継続する。
③EIR起業家を受け入れた会社が主として事業を継続し、起業家は別の役割に就く
といったパターンがありますが、基本的には①のケースが多いように感じます。
起業家からすると、所属する会社から一定の役割を与えられたり、出資を受け入れたりしますが、それを「自由がなくなる」と捉えるか、「手厚いサポートの元で事業に挑戦できる」と捉えるかはその起業家のスタンス次第ですね。
日本で導入している会社はあるの?
実は類似の取り組みも含めると結構あります。制度として知られていないだけで、取り組みとして整理されれば、これから増えてくるとも考えています。以下に主なEIRまたはそれらに類似する取り組みの事例を整理してみました。(*過去の取り組みも含めています。現在募集していない場合もあります。)
GOBでもお待ちしております!
私たちGOB Incubation Partnersは社会性と経済性の両立を追求し、ビジネスによって社会が優しくなっていく事業が一つでもより多く生まれてきてほしいと心から願っています。
またそのような起業家の方々に我々が日々蓄積しているノウハウやネットワークを、遠慮なくフル活用いただきたいと考えています。
私たちがEIRという制度を選んだ理由は、そうした社会性を追求するあまり、通常のスタートアップマーケットでは初期には評価されづらい事業をサポートするためには、株式による投資とは違うルールで取り組むことが重要と考えているからです。
ご興味お持ちいただけましたら、お気軽にエントリーいただければと思います。
それでは!!