4月は新入社員が入ってくる時期だからか、
上司部下間の面談が多いシーズンなのではないでしょうか。
最近は1on1と呼ばれる日常的な面談を導入する企業も増えており、
面談はコミュニケーションの一環として日々行われるようになりました。
その面談でよく出る話題が「課題は何か?」です。
この課題という言葉、言うまでもなく上司・部下間の面談用語ではありません。
企業の経営課題、今年度の取り組み課題、社内風土的な解決課題等、
いろいろなシーン、いろいろな文脈で使われる言葉です。
さて、ここで質問です。
「課題」と聞いて、この言葉の語感やイメージは
あなたにとって良いもの、言い換えるとポジティブなものですか?
それともどちらかといえばネガティブなものを含んでいますか?
なぜ、この質問を立てたかというと、
少なくても仕事における「課題」という言葉に対しては、
イメージがポジティブ派とネガティブ派に分かれているのではないか、
と思ったからです。
では、「課題」という言葉への受け止めは
ポジティブ派とネガティブ派でどのように違うのでしょうか?
独断と偏見に基づいて言うことをお許しいただくのであれば、、、
ポジティブ派:
課題とは理想に向かうための道筋であり、伸び代だと思っている。
なので、課題が見つかると自分が何をすればいいかがわかり、うれしくなる。
ネガティブ派:
課題とは現在不足しているものを見える化したものであり、
「足りないポイント」を並べたものだと思っている。
なので、課題と向き合うことは苦痛以外の何者でもない。
日本語の同一単語「課題」に対して、
人によって、もしこれだけ言葉の受け止め方が違っていたなら、
当然、面談はうまくいきません。
上司と部下がともにポジティブ派なら、
課題という言葉で会話をして共通のスタート地点に立てますが、
仮に部下はネガティブ派で上司がポジティブ派という組み合わせだったなら、
共通言語がないだけに、部下はただ「できないよね」と言われているだけ、と、
そんな気持ちになることでしょう。
実は、お客様との会議でも同じようなことがしばしば起こります。
私たちは課題解決型でコンテンツの企画に携わるのが基本スタンスなので、
「貴社の課題はここではないか」とか、
「その課題の原因はここではないか」など、お客様と率直に議論します。
しかし、それに対して消極的あるいは否定的な反応しか
返ってっこない場合があります。なぜでしょうか?
大抵の場合、理由には次の2つのどちらかが当てはまります。
1つ目は、当社にはそんなに大きな問題はないと認識しているから。
2つ目は、課題への自覚や認識はあるが、課題というと
自社を否定しているような気持ちになり、使いたくないから。
2つ目は、個人ベースの「課題」と同様に、
「課題」という語句への認識がネガティブだからこそ生じる反応です。
しかし、「課題とは?」の定義合わせをして、
ポジティブ派の解釈のように理想へ向かう道筋だと捉えたなら、
前向きな対話ができるのではないでしょうか?
もう1点、こんな視点も大切かもしれません。
たとえば、「課題」という語句は理想に向かうための道筋を示したもの、
と理解していたとしても、その内容に納得できていなかったら?
誰かから指摘はされたが、自分としてはそれが課題だと思えなかったとしたら?
あるいは、課題だとわかっていても真剣に取り組む気持ちが湧かないとしたら?
つまり、そもそも「課題」とは理想に向かうための道筋であるとして、
それがわかっていても、そう簡単に理想に向かってまっしぐら…とはならない。
多分その本質は、その「課題」の根っこにある問題を
今すぐにでも解決したいと思っているかどうかなのだと思います。
ということは、解決せずに放っておいたらどうなるか、
課題を解決できた後にどれほど良いことが待っているのか、
これがイメージできないと、
掲げた「課題」はただのお題目で終わってしまう、ということになります。
結局自分の理想をくっきりはっきり描くこと、
そこに向かうためにどうするかと考えること、
それが課題意識の本質ということかもしれません。
株式会社グラスルーツ
■ファシリテーション型コンサルティングとクリエイティブで「モヤモヤをクリア」にする 私たちグラスルーツは、「モヤモヤをクリアに」を大切に、企業のインナーコミュニケーションを支援しています。 支援の方法は、大きく分けると①コンサルティングサービス と②クリエイティブサービス の2種類あります。 ①のコンサルティングサービスでは、ブランディング支援やメディアのコンセプト設計支援などを行っています。お客様との会議セッションをファシリテーションしながら、「言葉の力」でコンセプトを整理し、合意を形成していきます。 ②のクリエイティブサービスは、社内報、ブランドブック、社内イントラサイト、ウェブサイトなどの制作です。制作の場合も、言葉の力を大切にし、コーナーや記事の目的をしっかり設定し、すじみちを大切に企画を立て、デザインワークとコピーワークを合わせて目的が達成できるようなクリエイティブに取り組んでいます。