2025年10月、モノグサ株式会社はシリーズCラウンドで総額約18.5億円の資金調達を実施しました。塾や学校領域から始まり、今は従業員教育やジュニア教育へと、その価値提供の範囲を拡大しています。モノグサは、「記憶を日常に。」というミッションの実現に向けて、新たな局面に入ろうとしています。
今後、モノグサはどのような成長を目指しているのか。“記憶”というテーマに取り組むとはどういうことなのか。二人の代表取締役が、モノグサのこれまでとこれからを語ります。
目次
- “記憶”というテーマはどう変わったか。
- 極めて仲は良いがベタベタしない二人の関係性
- 「私と人類」ではなく「あなたも人類」
- “記憶のプラットフォーム”として、広く長く。
【Profile】
竹内 孝太朗(代表取締役 CEO)
名古屋大学経済学部卒。2010年にリクルートに入社。中古車領域での広告営業に従事し、2011年に中古車領域初及び最年少で営業部門の全社表彰を受賞。2013年からは「スタディサプリ」にて高校向け営業組織の立ち上げ、学習到達度測定テストの開発、オンラインコーチングサービスの開発を行う。高校の同級生である畔柳と2016年にモノグサ株式会社を共同創業。
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畔柳 圭佑(代表取締役 CTO)
東京大学大学院情報理工学系研究科卒。コンピュータ科学を専攻、分岐予測・メモリスケジューリングを研究。2013年にGoogleに入社し、Text Frameworkの高速化およびLaptop対応、ソフトウエアキーボードの履歴・Email情報を用いた入力の高精度化、およびそれを実現する高速省メモリ動的トライの開発、ジェスチャー入力の開発を行う。高校の同級生である竹内とMonoxerを共同創業。
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“記憶”というテーマはどう変わったか。
――モノグサにとって最も大切な“記憶”というテーマは、創業前から現在まで、どのような変化を遂げてきたのでしょうか。
竹内:「いつか教育市場で起業したい。世界中の単語帳を集めて学習できるサービスを作りたいのだけど、どうしたらいい?」と、畔柳さんに初めて相談したのが2013年。そこから、足かけ4年半、毎週欠かさず土曜日にミーティングを繰り返したわけですが、僕にとっては3つの大きなアップデートがあったと思っています。
まず一つ目が、ドリルから“記憶”へのアップデートです。前職のスタディサプリ時代にドリルで演習量を増やすアプローチに難しさを感じていたことから、単語帳アプリのアイディアを考えていたのですが、それを相談したところ、畔柳(くろやなぎ)さんが「“記憶”にフォーカスを当てた方がいいのではないか」というフィードバックをくれた。ここが全ての始まりでしたね。
畔柳:そうですね。竹内さんのアイディアをきっかけに「単語帳を求める人が本当に達成したいことは掲載されている単語を身につけて使えることにあって、既存の単語帳はその価値を提供できていないのではないか」という考えに行き着きました。
そこから「人の“記憶”をきちんと扱えるようなものにすることが真に提供すべき価値なのではないか」という転換に至り、苦しまずに物事を記憶でき、記憶状況を可視化できるMonoxerというツールの原型ができた。
この“記憶”への転換によって、モノグサという事業は英単語の暗記のような特定の教育領域のニーズに留まらず、人類に対して大きなインパクトを生み出すことができるものになると感じられるようになった。私自身がこの事業に取り組みたいと思えるかどうかという点においても、ここは大きな転換点でした。
竹内:二つ目は“Memory Graph”ですね。正直、この話を畔柳さんから聞いたときは、何を言っているのか全く理解できず、咀嚼するまで時間を要しました(笑)。
畔柳:目で見ることができない“記憶”というものをコンピュータで扱うために、どのような方法で表現するのか、という課題に対する回答でしたね。
竹内:このMemory Graphのおかげで、“記憶”が何を指すのか、その姿がハッキリと見えるようになりました。
最後の大きな転換点は、創業の少し後、昼食を食べながら話していた「アプリではなく“プラットフォーム”なのではないか」という会話でした。
それまでは、アプリによって苦しむことなく憶えたいことを記憶定着できるようにするということに主眼があったわけですが、私の中には「いつかMonoxerを、記憶をするとお金を稼げる場所にしたい」という願いがありました。
「プラットフォームは、何か特定の活動をする起点となる場だ」という畔柳さんの言葉から、“プラットフォーム”があれば、憶えることそのものの価値以外に、「記憶したことを誰かに評価してもらえて、その結果、お金が稼げたり求人が来る」といったような新たな価値を創り出すことができるのではないかという考えに到達できました。
畔柳:プラットフォームによって、記憶する価値をより早く実感できる仕組みができるのではないかということでしたね。私は2017年に前職のGoogleを辞め、正式にモノグサに参画しましたが、これには“記憶”というテーマが、記憶型広告のような仕組みを考えられるだけの可能性あるテーマなのだと確信できたことが大きかったです。
竹内:翌2018年、畔柳さんがモノグサの10カ年ロードマップ『2028年、記憶を日常にするための道程』を書いてくれた以降は、ほとんど“記憶”という大きなテーマに変更はなく歩んでこれたのではないかと思っていますが、畔柳さんはどうですか?
畔柳:もちろん細かな部分の変更は都度ありましたが、根幹はほとんど変わることなく7年間歩んで来られたのではないかと思います。
極めて仲は良いがベタベタしない二人の関係性
――4年半、毎週のように昼食を共にしながらサービスの構想を練り上げてきたお二人は、単なるビジネスパートナーを超えた関係にも見えます。お互いをどのように見ているのでしょうか?
竹内:“記憶”というテーマについて思考を巡らせているときもそうでしたが、畔柳さんは特定の観点について深く考えながらも、その観点を網羅的に増やすことができる人です。しかも、単純に処理能力が高いだけでなく、限られた時間の中で答えを出すための、ある種の「粗さ」も許容するバランス感覚を持ち合わせている。
にも関わらず、その優秀さを自分の幸福追求にだけ向けるのではなく「人類に対して奉仕しよう」という姿勢を一貫して持ち続けていて、良い意味で人類に甘い。私はすごく尊敬しています。
畔柳:私から見た竹内さんも「人類への奉仕」の度合いはかなり強い人です。そこに疑いの余地が全くないからこそ、信頼できているのだと思います。人類に与えるインパクトへの意欲も非常に高く、気にすべきこととそうでないことを判断する感覚にも優れていると私は見ています。私が見てそうだったからといって、本質的にそうなのかはわからないですが(笑)。
竹内:関係については……どうでしょうね。私達は高校時代からの友人で、お互いが“人生で一番お昼ご飯を一緒に食べてきた存在”でもあって非常に仲も良いわけですけど、かといってプライベートで一緒にカラオケに行くような関係ではないです。
私は「みんなと仲良くしたい!」という完全究極体の八方美人タイプですし、畔柳さんは人類愛が強く「人類の一員である竹内にも時間を割こう」という感覚でおそらく私を見ている(笑)。だから、ベタベタした関係にはならないのかもしれないですね。
ーー話していて、意見の食い違いを感じることって普段ありますか?
畔柳:全く違う人間なので、具体のレベルでは意見が異なることは当然ありますが、根本的に食い違ったことはあまりないのかなと思っています。
竹内:そうですよね。ボードメンバーとしての立場で、私が「あれ、畔柳さんはこれ嫌だったんだ」と驚いたことは1回だけだったと思います。私は自分の行きたい方向と相手の意見が食い違ったときに、相手が本当に嫌じゃないかどうかすごく気にしているので、憶えてます(笑)。その時は、一旦時間を置いて「畔柳さんは何が一番やりたくないのだろう」と考えてから、もう一度話しましたね。
「私と人類」ではなく「あなたも人類」
ーーお二人から見て、現在のモノグサの組織課題や難しさはどこにあると思いますか?
畔柳:モノグサは「記憶を日常にする。」という大きなミッションを掲げて、長期的な視点で事業に取り組む会社です。このような本質的なミッションの実現には、当然長い時間がかかるわけですが、そこに難しさがあります。
“記憶”の領域は広く、いろんな種類の課題が、いろんな場所に存在しています。しかし、それら個別の課題にフォーカスして解決しようとすると、長期的なミッションの本筋からは外れてしまうということも起こりうる。大きなものを見つめながら、個別の課題に対してどう向き合うべきか。そこが最も肝要で、難しくもある点です。
竹内:その辺りのハンドリングは本当に悩ましいですね。社外のステークホルダー、例えばそれぞれの塾、学校、企業、社外株主の方々は、モノグサのミッションを目指しているのではなく、それぞれの別の実現したいこと、解決したいことがあるわけですから。
各ステークホルダーの求めるものに応えながらも、いかにモノグサのミッションも見失わずに進んでいけるか。調整と工夫が必要な、腕の見せ所といったところですね。
畔柳:今は事業が大規模な成長を迎えるフェーズではありますが、その最中にあっても「本当に組織拡張が必要なのか?」ということを、常に問い続ける必要があると思っています。組織構造というものは、ミッションの実現に必要かどうかとは無関係に、常に膨張していこうとする性質を持っていますから。
竹内:営業組織で考えても、大抵の場合は人数が多い方が売上は上がっていきますから、特に考えなければ拡大していってしまいますよね。ですが、「そのメンバーがどんなことをモノグサで成し遂げたいか」といったことを横に置いて「100回商談したら5件は成約できるから、とにかく営業して」と命じるようなケースは、弊社においては最小化したい。「一緒にモノグサのミッションを実現したい」と考えてくれた方には、その方にしかできない仕事をしてもらいたいのです。
畔柳:自分の生み出している価値がどのようなもので、それがどのようにモノグサのミッションと繋がっているのか、一人ひとり感じられることが大切ですよね。
竹内:その意味で、我々は、長く、適切な速度で事業成長を続けていく意識を保ち続けなければならないわけです。畔柳さんの目から見て、そこで必要なものは何だと思います?
畔柳:やはり「ものぐさで行こう」というバリューではないでしょうか。
会社の中に適切な余裕を生む文化や意識が不可欠なのだということは、改めてこのタイミングで確認しておきたいところです。
竹内さんは、今だからこそ全社員に「これだけは忘れないでほしい」と伝えたいことはありますか?
竹内:私からは「あなたも人類の一員なんだよ」と、伝えておきたいです。弊社の全員が「人類のために何ができるか」を考えていると思いますが、無意識に「人類」の中から「私」を抜いてしまっている人もいるのではないでしょうか。
人類の中には自分も入っています。自分を幸福にするために活動して良いのだということを、忘れないで欲しいです。
“記憶のプラットフォーム”として、広く長く。
ーー今後さらに事業成長を続け、IPOを目指していくうえで、新たな候補者の方と既存社員に向けて、メッセージをお願いします。
竹内:私達は長らく“記憶のプラットフォーム”を目指して歩んできましたが、ようやく体力や事業環境が整い、今まさにこれまでとは異なるプラットフォームとしての収益モデルにトライできるフェーズになろうとしています。これまで以上に“記憶”を広く捉えた施策を実行できるチャンスがあることを、まずは伝えたいですね。
畔柳:そうですね。“記憶”というテーマは変わりませんが、時期によって取り組み方は変わってきます。これからは従来“記憶”としては取り扱ってこなかったものを扱う新しい切り口、ニュービジネスの機会が増えていく時期に入る。そこに意欲がある方にとっては、おすすめのタイミングなのではないかと、私も思います。
竹内:しかし、注意してほしい面もあります。
これまで以上に多様な切り口が増えていくので、自分の関心ある分野は見つけやすくなります。けれど、例えば従業員教育や幼児教育などに展開が広がっても、Monoxerが“記憶のプラットフォーム”を目指しているという根幹は変わっていません。
つまり、常にその取り組みを評価する尺度は「“記憶のプラットフォーム”としてどうなのか」「記憶を日常にすることにつながっているのか」にあるのです。
ですから、特定の分野に興味があるだけでなく、ご自身が“記憶”に興味や関心があるのかどうか、ぜひ問いかけてみてください。
どちらもあるのであれば、モノグサとの相性は非常に良いと思います。
畔柳:それは既存メンバーの方々も同様ですね。ぜひ、そのような方と、人類にとって手つかずの領域に踏み込み、一緒に考えていきたいですね。
竹内:本当に“記憶”というテーマは、7年かけてもまだまだなんですよね。
それだけ長く関わることのできる広さも深さもあるテーマであるという実感が、最近益々強くなってきています。
一つの組織に長くいることを「リスク」だと感じる気持ちは、私自身も生き急ぐように20代を過ごした人間なので、よく理解できます。時間は最大のコストですから、モノグサに時間をくださっていることは、命をいただいていることと同義です。
そこには感謝しかありませんし、「リスクを許容してほしい」などということもおこがましくて言えません。
しかし、もしもミッションに共感してくださる方と、このインパクトの大きな“記憶”というテーマをじっくりと味わい尽くす喜びを分かち合えたなら、こんなに嬉しいことはないと思います。
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