はじめに
「気づけば、また同じクライアントと仕事をしている」
コンサルタントとして10年以上働いてきた中で、何度もそう感じてきました。一つのプロジェクトが終わっても、また次の案件で声がかかる。気づけば、その企業に何年も伴走している。
2026年2月、私はKC株式会社を設立しました。まだ社員は数名の小さな会社です。今日は、その創業の理由についてお話しさせてください。
9業種以上を渡り歩いて見えてきたもの
私のキャリアは、Web制作会社のディレクターから始まりました。その後、日立コンサルティングで約7年、自動車メーカーや自治体、製造業など幅広い業界の経営・業務・IT課題に向き合い、日立製作所では台湾の洋上風力発電所建設プロジェクトでO&Mサービス体制の立ち上げを担当。KPMG、EYでも、電力・建設・製造・ガスなど様々な業界のプロジェクトに携わってきました。
振り返ると、10年以上のキャリアの中で関わった業種は9業種ほど。同じ年数のコンサルタントとしては、決して多い数ではありません。それは、一つひとつの案件がクライアントとの関係性が強く、単発では終わらず、何年にもわたって継続していくものだったからです。
中でも特に深く関わってきたのが、洋上風力発電のO&Mと、大手ゼネコンのグローバルライセンス戦略です。台湾での洋上風力プロジェクトでは、O&M体制の立ち上げに数年単位で伴走し、現地ベンダー選定のRFP作成から評価まで一貫して担当しました。大手ゼネコンのグローバルライセンス契約案件でも、巨大ITベンダーの言い値をそのまま受け入れるのではなく、クライアントが対等な立場で交渉できる体制をつくることに、面白さとやりがいを感じてきました。
キャリアを積むほど、現場から離れていく違和感
一方で、ずっと引っかかっていたことがあります。
コンサルティングファームでは、マネージャー、シニアマネージャーとポジションが上がるにつれて、個人に課される売上KPIも大きくなっていきます。そのKPIを達成しようとすると、複数の案件を同時に掛け持ちするか、大規模な案件を獲得するかのどちらかしかありません。結果として、クライアントの現場と向き合う時間はどんどん減り、気づけば提案書と契約書の間を行き来する仕事になっていく。
私自身も、そのキャリアパスの延長線上にいました。でも、自分が一番面白いと感じるのは、やっぱり現場でクライアントの課題に深く入り込み、一緒に手を動かして解決策を形にしていく瞬間です。ポジションが上がるほどクライアントから離れていく構造そのものを、自分なりに変えられないかと思うようになりました。
KCという名前の由来 ― "Keep Close"
KCという社名は、"Keep Close"の頭文字から取っています。クライアントのすぐそばに居続けること。それが、この会社の核にある思想です。
これまでのキャリアを振り返ると、一つの案件が終わっても、また声がかかり、気づけば同じクライアントに何年も伴走している。そのパターンこそが、自分が一番力を発揮できるスタイルなんだと気づきました。深く知っているからこそ提案の精度が上がり、信頼関係があるからこそ、本音の議論ができる。距離が近いことは、コンサルタントにとって足かせではなく、むしろ最大の武器になる。そう思うようになりました。
だから、たまたまそうなっていたスタイルを、偶然のままにしておくのではなく、KCという会社の存在そのものに埋め込むことにしました。クライアントから離れていくことを前提にしたキャリアではなく、クライアントのそばにい続けることを前提にしたキャリアを、コンサルタントとして歩めるようにする。それが、KCという社名に込めた意味です。
具体的にどんな制度や仕組みでそれを実現しているかは、また次のストーリーでお伝えしようと思います。
最後に
正直なところ、まだ何もかもが手探りです。でも、だからこそ、これから会社の文化やスタイルを一緒につくっていける面白さがあります。
「Keep Close」の思想に共感していただけたら、まずはカジュアルにお話しさせてください。