キャリアの変遷:「お金」→「物」→そして「人」のドラマへ
ーー まずは、マーサがこれまでにどんなキャリアを歩んできて、なぜこの社団に参画することになったのか、その経緯を教えてください。
振り返ってみると、私のキャリアって「お金」→「物」→「人」という順番で関心が深まってきた変遷があるんです。
新卒では地元・長崎の地方銀行に入行しました。窓口でお金の両替や入出金、相続や投資信託などに携わり、「お金がどう回って、人にどう影響を与えるか」を5年間みっちり学びました。
でも、だんだんと「お金そのもの」よりも、「そのお金を使った先にある人々の暮らしや地域」に深く関わりたいと思うようになったんです。
そこで27歳の時、日本のものづくりブランドの魅力を発信するスタートアップへ転職しました。クラウドファンディングのページ制作部署や自社ECを運営する部署で、職人さんたちのプロダクトに対する熱い想いを取材し、魅力を言語化して世の中に届ける仕事です。
「物」を通じて職人さんと触れ合っていくうちに、今度は「この素晴らしい技術や暮らしを届けている『人』そのものは、どんな想いでここまで歩んできたんだろう?」という人間ドラマに対する強烈な興味(知的好奇心)が湧いてきました。
そんな中、福岡県のアトツギ支援プログラムでマーティ(ベンチャー型事業承継の事務局長)と出会い、初めて「アトツギ(後継者)」という存在の深さを知ったんです。
未経験からのスタート。「私にできることってありますか?」から始まったPMへの挑戦
ーー マーティから誘われた時は、すぐに働くイメージが湧きましたか?
正直、最初は「誘ってもらえるのはすごく嬉しいけど、私にできることってありますか……?」という状態でした(笑)。
最初から「PM(プロジェクトマネジメント)をやります!」と入ったわけではなく、当時は「アトツギ甲子園」の裏方事務やHPの更新、エントリー者の記事作成インタビューなど、できることから一つずつ任せてもらっていたんです。
そんな折、「地元である長崎の案件が立ち上がりそうだから、手伝ってみない?」と声をかけてもらったのが、私のPMとしての原点でした。
右も左も分からない未経験からのスタートだったので、「これって本当に合ってるのかな?」と正解が見えず、手探りで動く毎日。でも、周りの先輩たちが「大変だけど、なぜこの業務をやらないといけないのか」という本質や背景を、すごく丁寧に根気強く教えてくれたんです。
チームのメンバーが本当に魅力的で、ステークホルダーが多い中で「自分はどういう立場にいるべきか」を一緒に考えながら、どんな時も「楽しく行こうぜ!」というポジティブな空気感で伴走してくれました。
大変だったはずなのに、振り返ると「楽しかった!」という記憶しか残っていないんですよね。
目の前の一人が変わる。地域に「新たな循環」が生まれる瞬間の興奮
ーー 実際に現場でPMとしてプログラムを回していく中で、「この仕事をやれて本当に良かった」と実感した瞬間はどんな時ですか?
一番は、やっぱりプログラム内の集合研修などを終えたあとの、アトツギのみなさんの変化や表情を見た時です。
アトツギって、一人ひとりバックグラウンドも違えば、抱えている悩みや人間関係も全員違います。だから、私たちが企画したプログラムが全員に100%完璧にハマるなんてことはありません。
でも、研修が終わった後に「この時間、めちゃくちゃ良かったです」「次は自社でこれにチャレンジしてみようと思います」と、今までになかった新しい選択肢を選ぼうとするネクストアクションの声を直接もらった時は、本当に「やって良かった!」と心から震えます。
私たちのプログラムって、自治体さんや地域の予算、ひいては住民の方々の税金を使って運営されている側面もあります。
だからこそ、その機会を通じて一人のアトツギの意識が変わり、新しい挑戦が生まれ、最終的に地域に新しい豊かさや循環が創出されていく。その大きなエコシステムの「一歩目」に自分が貢献できていると気づいた瞬間、私は猛烈に興奮するんです。
(後編へ続く)
【後編では・・】
マーサが現場で実践している「前年踏襲をしないPMの思考法」や、チームの先輩から学んだ「電球のコードを繋ぐイマジネーション」、そして「自分の人生を圧倒的に豊かにする知的好奇心」について掘り下げます!