みなさん、こんにちは。
グリーンエース 代表の中村 慎之祐(なかむら しんのすけ)です。
前編では、私たちが未利用野菜の活用を目指す理由や、「グリーンエース」という名前に込めた思いをお話ししました。まだ読んでいない方は、ぜひ <前編> も覗いてみてくださいね。
さて、後編の今回は「私たちが具体的にどんな事業を展開しているのか」「ビジネスとしてどう成長させていくのか」というリアリティにフォーカスしてお話しします。
「野菜を粉にする」という技術から始まったアイデアが、どのように巨大な社会課題を解決し、事業としてビジネスを動かしているのか。私たちが描く未来と、その面白さを知っていただけたら嬉しいです。
目次
私たちが展開する"upvege(アップベジ)"とは
「未利用野菜を“廃棄物”ではなく“素材”として再定義する」
それが、私たちが立ち上げたアップサイクルフードブランド『upvege(アップベジ)』の挑戦です。
前編でお話しした通り、畑で捨てられてしまう規格外の野菜や、工場での加工工程で出てしまう未利用部位。これらはこれまで「もったいないけれど、仕方がないもの」として扱われてきました。一昔前は焼却処分や埋め立てられていたものが、現在は家畜の餌や畑の肥料としてリサイクルされることも一般的になっています。
それでも、私たちは「まだ美味しく食べられるものまでリサイクルされてしまっている」と感じています。人が食べられるものは、最後まで食べものとして活用したい。そんな想いから着目したのが「Upcycle(アップサイクル)」です。
しかし、「もったいないものを新しく価値ある食品に生まれ変わらせる」という魅力的な概念でありながら、日本国内ではなかなか普及が進んでいません。そこには3つの大きな障壁がありました。
- 原料の1次加工:生の野菜は傷みやすく、品質や供給がバラバラで扱いづらい
- 商品開発:もともと未利用だった素材のため、どう活用していいかわからない
- 流通管理:未利用素材は発生量が不安定で、既存の流通に乗せにくい
この課題を構造から解決し、社会課題の解決とビジネスの成長を両立させる「おいしいアップサイクル」を実現するために立ち上げたのが、upvegeです。未利用野菜を粉末化し、手軽で栄養価の高い商品へ生まれ変わらせて日常の食卓へ届けています。
upvegeを実現する「技術」と「エコシステム」
とはいえ、「野菜を粉にする」と言っても、ただ乾燥させて砕けばいいというわけではありません。私たちのビジネスの根幹には、大きく2つの強みがあります。
1. 色・香り・栄養を保持する「高速乾燥粉末化技術」
一つ目は、東京農工大学での研究から生まれた独自の技術です。
一般的な粉末化技術では、熱をかけすぎると野菜本来の色や香りが飛んでしまったり、栄養素が壊れてしまったりすることがあります。しかし、私たちは熱と風の力を組み合わせた技術を用いることで、農産物を高速で乾燥・粉砕することができます。
これにより、野菜本来の鮮やかな色や豊かな風味、そして何よりビタミンなどの栄養成分を保持したまま粉末化することが可能になりました。実はこれ、私たちの大きな競争優位性なんです。低コストでありながら、高品質な粉末を安定して製造する技術こそが、グリーンエースの根幹です。
2. 調達から商品化までを一貫して担う「共創モデル」
そして二つ目は、ビジネスモデルそのものにあります。私たちは単に「粉を作るメーカー」ではありません。サプライチェーンに関わる多様なプレイヤーと連携しながら、アップサイクルを推進するリーダーです。
- 原料の調達:スーパーの惣菜工場や生産者などから、未利用の素材を確実に収集します。
- 独自の粉末化:自社工場で、独自の技術を使って高品質な粉末へ加工します。
- 多様な商品開発と流通:立案したコンセプトをもとに提携する食品メーカーと連携し、野菜パウダー、調味料、ドレッシング、パン、麺など、彩りや風味、栄養を活かした多様な商品へと加工し、顧客である小売店や飲食店へ納品します。
この連携によって、未利用の野菜を仕入れるところから商品にして届けるまでの全体を把握して、調達から加工、商品化・流通までを一貫して担う共創型のエコシステムを構築している点が、私たちの大きな強みです。
3.泥臭い試行錯誤と、プロフェッショナルへのリスペクト
もちろん、この仕組みを動かすのは決して簡単ではありません。原料調達から粉末化、商品開発までを理解し、社外のパートナー企業を巻き込んで推進していく必要があります。
ときにはパンやドレッシング、ふりかけを自ら作ってみる日もありますが、うまくいかない日の方が圧倒的に多いのがリアルです。
私たちは、未利用野菜の現場をすべて完璧に把握できるわけではありませんし、あらゆる食品の専門レシピを持っているわけでもありません。自社だけで直接すべてのお客様に商品を届けることも不可能です。
だからこそ、私たちは関わるすべてのプロフェッショナルの方々に深いリスペクトを持ち、「アップサイクルを実現する」という強い志で周囲を巻き込みます。未利用素材を集めるところから新たな食品として流通させるまで、サプライチェーン全体で泥臭く取り組みを推進しています。
ビジネスとしての広がりと、私たちが目指す未来
現在、食品ロス削減や持続可能な食に対する社会的ニーズは急速に高まっています。
私たちは単一の商品を売るだけでなく、農林水産省の「SBIR事業(中小企業イノベーション創出推進基金事業)」への採択や、アップサイクルフードに関わる50社以上が参加する「フードテック官民協議会 アップサイクルフードワーキングチーム」の立ち上げを主導するなど、業界全体の環境整備にも積極的に取り組んでいます。
私たちが目指しているのは、2030年までに「アップサイクル食品を一般食品市場の主要カテゴリー」として確立することです。
未利用野菜が当たり前にアップサイクルされ、生産者様も、食品事業者様も、そして私たち生活者で新しい食のサプライチェーンをつくる。その社会をリードすることが、グリーンエースの描く成長戦略です。
最後に
「野菜を粉にする」という技術から始まった私たちの挑戦は、いま、食のサプライチェーン全体を巻き込んだ大きなビジネスへと広がっています。
この「おいしいアップサイクル」を社会の当たり前(文化)として根付かせるためには、まだまだやりたいこと、やるべきことが山積みです。商品企画、生産技術の設計、法人営業など、あらゆるポジションで一緒に未来をつくっていく仲間が必要です。
「社会課題をビジネスの力で解決したい」
「スタートアップのスピード感の中で、新しい食の当たり前をつくりたい」
そう感じた方は、ぜひ一度、カジュアルにお話ししてみませんか? みなさんと「食の未来」について語り合えることを、心から楽しみにしています!