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納品したのに支払ってもらえない!?報酬を回収できない時フリーランスはどうすればいいの?

100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスの山崎レモンサワーです。

複業メディア「ウィズパラ」で取り扱ったテーマ「納品したのに支払ってもらえない!?報酬を回収できない時フリーランスはどうすればいいの?」について紹介していきます(元記事:https://wizpara.com/2113/)。

フリーランスとして長く活動していると、順調で充実したことだけでなく、どうしてもトラブルや逆境に見舞われる事があります。

フリーランスが見舞われるトラブルの中でもよくあるのが、実際に成果物を納品しても報酬を支払ってもらえないというケースです。
今日はこの報酬不払いの問題について未然に防ぐ方法や、いざ不払いが起きてしまったときの対応などを解説していきたいと思います。

報酬を支払ってもらえない事って現実に結構あるの?

フリーランスで報酬未払いの経験のある人は約7割におよぶというアンケート調査があります。
出典:フリーランスの実態と課題(厚生労働省「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」資料4)

厚生労働省が「第二東京弁護士会」に委託し開設した、企業に雇用されない「フリーランス」として働く人を対象にした相談窓口「フリーランス・トラブル110番」、1年間でおよそ4000件の相談が寄せられ、その相談全体のうちの20%が「報酬の不払い」でした。

そして、ここからは自分の経験談ですが、報酬を支払ってもらえなかったケース・・・ぶっちゃけ結構あります。
報酬を減らされたり、振り込んでもらうまでに苦労を強いられたケースなどを含めるとさらに多くなります。

いったい、どういったケースで報酬を支払ってもらえないのか、支払ってもらえない時はどうすればいいのか、未然に防ぐ方法は?などを、お話ししていきます。

報酬を支払ってもらえない際に多い理由


CASE.1:納品OKにしてくれない

納品要件があいまいなまま案件をスタートすると、制作者側が制作完了したつもりでいても、発注者側が、この状態で納品は困るという具合に、認識のずれから納品にたどり着かないケースがあります。

よほど制作者側の理解力が足りないか、不具合のオンパレードというのであれば、単に制作者側の落ち度という事になりますが、ケースによっては、発注者側が要望や要件を製作途中にコロコロ変えてみたり、デザインなど主観の要素が強い部分についても、満足するまで修正を繰り返させるなど、発注者側のリテラシー不足のケースもあります。

いくら制作者側が言われたものを作ったので、支払ってほしいと言っても、発注者側が、この状態でお金を払うなどできないと突っぱねている状況では、その状態のまま報酬を支払ってもらうのは難しいでしょう。

とはいえ、お客さんの満足のいくデザインになるまで延々と修正を繰り返させられたり、当初になかった要件の機能追加や仕様変更などに応じてしまったら人件費の赤字を膨らませている状況に陥ります。

契約書に納品要件を具体的に明記しておいたり、打ち合わせの際に説明を徹底させ、納品要件についてお互いの認識のずれを潰しておくことが必要不可欠です。

発注者側にモノづくりに対するリテラシーがなかったり、作り手に対してリスペクトが著しく欠如していると判断できる場合、この手の状況に見舞われることがあるので、その場合は、仕事をひき受けるべきではないでしょう。

CASE.2:担当者が急遽変わり、変わった担当者が支払いを拒否する

これは過去に自分でも遭遇したケースです。

先方の担当者がある日、急に違う部署に飛ばされたらしく、その際、引継ぎらしい引継ぎも行われず、納品間近であった自分は、新しい担当者にコンタクトを取るも、そのWebサイトは必要なくなったと打ち切りを伝えられました。

すでに9割がた完成していたので、全額でなくとも支払いには応じて欲しいと伝えましたが、結局は1円もお支払いいただく事はできませんでした。

旧担当者に連絡しても、埒が明かない状況で、この時は結局泣き寝入りすることになりました。

担当者の急な変更による、案件のとん挫などは、制作者側では予期も出来ず、対策を練るのがなかなか難しいケースです。

CASE.3:クライアントの経済事情的に支払いができなくなる

会社の経営がある日とうとつに資金繰りが厳しくなり、取引先に支払いができなくなったという話はWeb系の業界問わずよく聞く話です。

取引額の大きい取り引き、たとえば多額のお金を融資する銀行であったり、不動産の取引であれば、与信調査、ようは先方が経済的にどのくらい余裕があったり社会的な信用をおける会社に所属しているなど色々調査するのは当然ですが・・。

取引金額が大きくない、Web制作案件でクライアントの資金繰りは大丈夫なのかを事前に調査するまでは、さすがに現実的ではないでしょう。

とはいえ、経済的だけでなく、相手が信用に足る相手なのかは、つねに見極めるべく注意を払う意識が重要です。

CASE.4:急に連絡がとれなくなる

急に連絡が取れなくなり、支払いを催促することすら困難になる状態・・・

いわゆる飛んだというやつです。

借金している人が、急に姿を消し、連絡がつかないときなども、この飛んだという表現を使いますね。

Web制作案件に関しては、掛け売り(後払いの支払いシステム)を採用しているフリーランスや制作会社が多数派です。
これは納品後に請求書を出し、その後、1ヶ月程度のタイムラグを経て、入金されるという後払いの支払いシステムの流れです。

つまり納品して請求書を送り、入金されるまではお金を貸している状況とも言えます。

この間に意図的であったとしてもなかったとしても、消息がつかなくなったら、報酬を回収するのはほぼ不可能になってしまうのです。

CASE.5:案件の中で人間関係が悪化し支払いを拒否される

気分を害したからといって、お金を払うのを拒否されるって、あんまりだ・・・
とはいえ、このケース、じつによく遭遇します。

というより、人間関係が仕事の途中で悪化するという事は、基本的に仕事を完遂できない状況が多いです。

仕事が完遂しないのだから、お金を満額もらえなくても仕方ないかもしれませんが、成果物を途中まで制作した工程の作業費用だけでも支払ってもらえないと大きな損失が生じます・・

人間関係が致命的に悪化した時点で、もう関係の修復自体は不可能でしょう。

誠実に仕事を遂行していても、このケースに陥ることは稀にあります。

普段の人間関係でも、自分にまったく落ち度がなかったとしても、一方的に嫌われたり、避けられたり、攻撃されたりすることがあるのと一緒です。

報酬不払いを未然に防ぐ方法


自分の労力が水の泡になったり、場合によっては外注費や素材購入のための経費まで無駄になっては大ダメージです。
この不払いに遭遇しないために、できうる限りの対策を講じておきたいところです。

それでは、いままで経験した中で、どのような対策が有効だと感じたかあげていきたいと思います。

はじめて取り引きする相手とは大きな取引をしない

自分がもっとも意識している対策はこの「はじめて取り引きする相手とは大きな取引をしない」というものです。

というのは、報酬の不払いトラブルに見舞われるケースの大半が、はじめて取り引きをするお客さんとの間で発生します。

過去に、何回も制作や保守を依頼され、これまできちんと報酬を振り込んでくれているお得意様との間にはほぼこの手のトラブルは発生しません。

そこで、取り引きがはじめてのお客さんとの仕事は、報酬不払いトラブルに発展する事を想定し、まずは小さな金額(工数)の仕事に制限し、お互いの仕事の進め方や成果物のクォリティ、そして信頼関係がきちんと構築できるかなどを確認してから、大きな案件に発展させるのが重要です。

信頼関係を構築する前の、新規のお客さんから、いきなり大きな案件の依頼をされたときは、断るまでいかないまでも、小さな工程に分割し、段階段階で支払いをお願いするなどの工夫も必要になります。

制作費用の一部ないし全てを先払いにしてもらう

このWeb制作業界では、掛け売り商売が多く、報酬の支払いに関しては後払いになることが大半です。

ただ、この常識も無条件で従う必要はないと思います。

全額先払いを徹底すると、逆に先方に不安を感じさせ、失注につながるリスクもあるので、

自分としては新規の取り引きのお客さんに限り、案件の見積り金額の一部ないし全額を前払いしてもらうというルールを設けることは、リスクヘッジとしてちょうどいいルールの設定であると考えます。

全額でなくても、せめて見積り金額の20%を先払いにしてもらう手付金のようなものを設定することで、報酬不払いトラブルのリスクや制作者側の不安感を多少軽減できます。

双方の認識のズレが生じないよう契約書を念入りに交わす

契約書を交わすことで、双方の認識のずれを解消し、報酬不払いのリスクを軽減できるのは間違いありません。

とくに納品要件や、瑕疵担保責任、支払いタイミング、賠償責任の上限など、はっきり明記させておいた方がいい重要な事項があります。

はじめて取引する相手とは極力、業務委託契約を結ぶことを心がけましょう。

ただ、契約書は大事・・・それは、間違いはないのですが、契約書を交わせば、不払いの可能性を完全に無くすことができるというわけではありません。

仕事上で起こりうる、すべての事態を契約書にまとめきることは難しいですし、そもそも明文化していても双方の解釈がズレることで、もめるケースなどをよくみかけます。

取り引きする相手の素性を調査したり、仕事内容が怪しくないか精査する

フリーランスとなって自分が矢面にたって、新規のお客さんと打ち合わせし、仕事に発展したりしなかったりを、繰り返すうちに、世の中には残念ながら信頼するに値しない招かれざるお客さんがある一定数存在する事わかってきました。

仕事関係なく、学校や趣味や地域のコミュニティなどプライベートな人間関係でも、ある一定数、絶対に付き合えない特長を持った人というのは存在します。

ただ、この信頼関係を構築できるか、相手は誠実な人かを見極めるのは、簡単ではなく、一度の打ち合わせで小一時間話しただけでは、なかなか見抜く事はできません。

対象の相手がインターネット上で悪い評判が上がっていないか調査したり、担当者のSNSを調べて人となりを推察したり、場合によってはより踏み込んだ素性調査を実施しても良いと思います。

じぶんは契約書を交わすよりも、きちんと信頼関係を構築できる相手か見極める方がよほど大切だと思っています。

どれだけ注意しても起こる時は起こると覚悟して立ち回る

この章では、報酬不払いトラブルを未然に防ぐための対策というテーマで話してきましたが、できうる対策を講じていても、完璧に防ぎきるのは難しいかなというのが、これまでの経験上の正直なところです。

絶対的に防ごうと、疑心暗鬼になりすぎると商売に支障が生じかねません。

最低限の対策を講じたらあとは、商売に集中する方が得策でしょう。

その中で、長い期間、フリーランスとして活動していく中で、いつかこの手のトラブルに見舞われる事は想定しておきましょう。

予め起きうる自称だと覚悟して対策しておけば、いざ起きた時に精神的ショックも最低限の抑え、経済的ダメージも最小限にとどめ、本業に支障をきたすこともないでしょう。

不払いが起きてしまったときの対応


支払ってもらえない原因を明らかにする

この手のトラブルが応じたら不安から心配になり、ついつい感情的に下手な対応をしてしまうものです。

まずは冷静になって、何が原因で支払いに応じてくれないか原因をあきらかにしましょう。

先方とは連絡がつくのかつかないのか、経済的な要因なのか、先方の気を害すようなことをしたか、成果物に不満を持たれたのか、先方の担当に新しい上司が現れ、鶴の一声で案件がとん挫したのか・・・まずは原因をあきらかにして、それからできる限り回収のための手を打っていく事にしましょう。

ある程度譲歩して交渉する

もしこちらが譲歩することで、一銭も回収できないところから、半分だけでも回収できるのであれば、譲歩の交渉をするという手も考えられます。

このあと挙げる、内容証明の送付や支払い督促、法的措置などの強硬手段はあくまで最終手段というスタンスです。

もちろん、制作者側に落ち度が無いのであれば、譲歩するなどとんでもない、満額をすぐに支払うべきだという気持ちはわかりますが・・・

強硬手段に訴えても、確実に回収できる保障がないばかりか、さらなる時間とお金を費やすことなり、さらに多くの精神的なストレスも生じます。

個人的には交渉で落としどころを見つけ、早々に処理してしまうのが一番かなと感じています。

内容証明を送る

それでもやはり納得がいかない、全額支払ってほしいというケースでは、まずはこの「内容証明」の送付という手段をとることになります。

内容証明を送ることで支払いを督促したことの法的な証拠になります。
内容証明には支払期限が過ぎていることと、支払わなければ法的手段に訴えることなどを記載します。

相手に心理的な圧力をかけることができますが、逆に言うと、完全に先方と決別し、全面的に争いをすることにもなりますので、まだ交渉の余地がある時点での送付は避けた方がよいでしょう。

裁判所から支払督促を送ってもらう

内容証明を送っても進展が無い場合の次のステップとして、もう一段強硬な手段がこの支払督促を送ってもらうという選択肢です。
支払督促とは簡易裁判所で行なう手続きで、申立てをすると簡易判所の書記官が相手方に金銭の支払いを命じる書類を送付してくれます。

支払い督促は申立人の言い分のみに基づいて書かれるので、受け取った側が内容に納得できなければ当然、異議を申立てることができます。

異議の申し立てをせずに督促を無視すると強制執行に発展します。

相手が自分に勝ち目がないと自覚していれば、支払督促に従って素直に払ってくれる可能性がありますが、相手に言い分がある場合は裁判になることを覚悟する必要があります。
注意しなければならないのは、相手方が異議を申し立てると「自動的に裁判に移行する」ということです。

法的措置を講じる

請求額が60万円以下の場合は、簡易裁判所に訴えを提起する「少額訴訟」の制度を利用できます。
「少額訴訟」は弁護士に依頼せずに手続することが可能で、原則1回の期日で審理が終了し即日判決が言い渡されます。
少額訴訟以外は弁護士に依頼することになります。

ぶっちゃけ一番いい方法は・・・諦める!?

正直、強硬手段をとったとしても、100%回収できる保障はなく、回収できたとしても多くの手間やお金とストレスがかかります。

絶対的に相手が悪いのであれば、徹底的にやるという考えもアリだとは思いますが、自分としては回収できる可能性と金額の大きさ、あとは新たに生じる時間やお金などの損失などを勘案して割に合わないなと思ったら、早々に見切りをつけて諦めるのも一つの手かなと考えています。

泣き寝入りと言うと印象が悪いですが、報酬不払いトラブルを授業料を払って勉強させてもらったと前向きにとらえ、煩わしい事に割く時間とストレスを手放し、新しい楽しくてやりがいのある仕事にすぐに着手して集中した方が有意義であるとも感じるのです。

さて、みなさんのフリーランス人生において、これらのトラブルに見舞われずに本業に集中される時間が続く事を願っております。

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