こんにちは。広報担当の大須賀です。
早速ですが、シード企業を加速させるための支援を行っているシードアクセラレーター、Open NetWork Lab(オンラボ)著作による「Pitch」が発売されました!
今回発売された「Pitch」には オンラボ第19期であるプレカルのことも取り上げて頂きました。
この本のターゲットは、新しくビジネスを興そうと考えている人だけに留まりません。小さなことでも新しく何かを始めようとしている人、今ある課題をもう一度見つめ直したい人等、ビジネスの枠を超え「人を動かす」瞬間に大切になることが、これまで様々なスタートアップを成功に導いてきたオンラボの視点で綴られています。
今回は、プレカルに入社して初めてスタートアップという企業を知った私が、今回発売された「Pitch」を読み、感じたことを書いていきたいと思います。
はじめに、ピッチとは?
ピッチとは発表のことを指します。
この本を読んで一番感じたことは、本のタイトルにもなっているピッチが、いかに人の気持ちを動かすのに強力な武器であるかということでした。ビジネスにとって人を動かすってとても大切なことですよね。プレカルはオンラボの協力を得ながらピッチを磨き、応援して頂ける方が少しずつ増えてきています。本の中ではプレカルのピッチ作りについて分かりやすくまとめられているので是非チェックしてみて下さい!
スタートアップにとってのピッチの重要性とは?
不確実性の高いプロダクトを打ち出すスタートアップは、自分たちを売り込む際、著名な投資家にはそもそも話を聞いてもらえずに投資を受けられません。資金を投資するに値するかしないかを判断するのに不確定な要素が多いスタートアップは非常に不利で、プロダクトの価値も「仮説」に過ぎないからです。
ですが、そんなスタートアップに投資、出資や支援を行うオンラボでは、3ヶ月間プロダクトやピッチの調整をした後、最終日にデモデイという投資家に向けてピッチを行う場が設けられます。でもそれはたったの5分間。その限られた時間の中でこれから投資を受けるために、よほど相手に強烈な印象を与えなければ成功には至らないのです。そのスタートアップが不確実性というリスクを背負いながらも、投資家達に、どれだけ自分たちの「経済価値」で見た「成長性」を確信させられるか、まずはそのデモデイで運命が決まると言っても過言ではない、という感じですよね。
緊張しやすい私は考えただけでガクブルものです。笑
ピッチを成功させるためには7つの要素を結晶化する
ピボット(方向転換)
オンラボでは、それぞれのスタートアップが各々で考えたプロダクトをメンター(各スタートアップと一緒にプロダクトの課題や方向性等を考えていくオンラボの人)と話し合い、修正を重ねていきます。
ですが、最初に打ち出したプロダクトからそのまま進んでいくチームは少なく、プレカルもその1つ。当初のプロダクトはメンターからの意見を受けて課題に気づくことができ、方向転換をしています。
ここで本には、※1「仮説の誤りと向き合うことに躊躇しているスタートアップに対しても、直接、指摘したり、否定することはありません。彼らが自分の意志でそれに目を向けてくれるまで、質問などの形で語りかけ続けます。」と綴られていました。その理由とは、ここから長い年月、自分たちで課題を解決していく力を身につけてほしいという思いを込めてのもの。オンラボは卒業後も支援を続けて下さいますが、その未来を見据えた支援は、それぞれのスタートアップの成長を心から願ってのことなのだろうと感じた部分です。
※プレカルのピボットについての記事はこちら
ピッチの組み立て
プロダクトが定まれば、ピッチの組み立てが必要になります。ここで私が感じたのはピッチを組み立てるためには、オンラボのメソッドのうちの7つの要素を結晶化することが何よりも大切だということ。
ここで言う「結晶化」とは、新しい課題にぶつかる度に仮説を立て直し、アップデートを繰り返すことで事業の本当の価値とそれを伝えるのに最適な言葉を見極めていくことを指します。7つの要素とは、「誰の、課題を、解決する、なぜ今、既存代替品、市場規模、なぜあなた」これらはプロダクトを打ち出すに当たって成功率を上げるためには、必ず全て完璧に完成させる必要があります。どんな人のために、他に代用できるものはあるのか、今はその課題に対してどう対応しているのか、今の対応に勝る優位性はあるか等、不完全なものは一から見直しをしたり、プロダクトをまた方向転換したりと、この7項目の想定を結晶化することができれば、投資家がスタートアップの成長性を見極めるのに必要な「市場規模と今後の展開、プロダクトの独自性や優位性、チームの強みや実効性」にほとんどそのまま回答できるようになります。
課題を結晶化させることの大切さは本の中で何度も語られていますが、驚くべきは7つの項目を結晶化させるための徹底ぶりです。可能な限り不安要素をなくすために、ありとあらゆる観点から考えを巡らせ、想定に全く漏れを感じさせません。スタートアップにとってそれは、絶対に手を抜いてはならない本当に大切なことと言えます。
人の心を動かすピッチとは
人を飽きさせない話し方でよく耳にするのが、「抑揚や身振り手振りを付けること」興味を持ってもらうためには「話の中で相手にインパクトを与えること」といった話がありますよね。
例えば研究成果の発表だったり、子どもに絵本を読む時だったり、無意識のうちでも誰しも一度は意識したことがあるのではないでしょうか。しかし、オンラボが考える人の心を動かすピッチとは、話し方だけに留まらず、耳からも、視覚からも人の心を動かし、決断をさせるため徹底的に考え抜かれていました。
資料はあくまで道具
まずはピッチ資料。見る人が分かりやすく、興味を持てるように、文字の配置や大きさ等のデザイン、話の構成等はやはり重要なこと。先程私は相手の興味を引くために、話にインパクトを与えると言いましたが、本の中では「サプライズ」という言葉で記されています。ただインパクトがあればいいわけではなく、相手にとって嬉しい驚きが、相手の心を動かすためには必要であり、だからこその「サプライズ」なのでしょう。
確かに、良い発表とは、「写真が多い」「内容が分かりやすい」等、ただ飽きずに見られたものだけでなく、最後まで興味を惹きつけられたものだと思います。資料の分かりやすさやレイアウト、そして嬉しいサプライズ、それらが合わさって初めて人を惹きつけ、決断に導く資料が完成するのです。
でも、あくまでそれらは道具にすぎないとこの本には綴られています。一番人の心を動かすために大切なことは、話し手が誠実さと自信を持って話すことなのだと。
話し手の誠実さと自信
「この人本当にそれができるのかな?」「自信なさそうだな・・」と思ってしまったらそれ以上話を聞こうとは思わず、ましてや投資しようなんて思いませんよね。
相手に誠実に、というのは当たり前にできる人もいるかと思いますが、これまでの話でもあったように、予想される質問に対して解決策を事前に準備しておかなければ、誠実にいたいと思っていても実際は苦しいものになってしまうかもしれません。
だからこそ、聞き手に誠実にいるためには、何を聞かれても全て答えられるくらい想定を重ね、解決策を考える必要があるということが、ここへきてまた信憑性を持たせるのですね。
また、練習を繰り返すことで自信も生まれます。無理に良く見せようとしなくても、その解決策が考え抜かれていれば誠実に自信を持って話すことができます。
↑薬剤師兼プレカルCEOである大須賀が実際にピッチを行った様子
おわりに
プレカルが今もピッチを大切にしているわけ
プレカルは、オンラボで学んだピッチのスキルを今も投資家とのやり取りで使用しています。
オンラボでの3ヶ月間考え抜かれたものは、自分たちのプロダクトに相手にとっての価値を発見し、それを相手に確実に伝える手段として最も有効だからです。
このピッチを使った投資家とのやり取りで、プレカルは着実に資金調達に成功しています。これまでお話したようにピッチを極限まで結晶化し、そのためのスキルを自分のものにできれば、本にも綴られているように、投資家との資金調達だけでなく何か新しいことに取り組み、組織や自分の周りの世界を動かそうとするとき、あらゆる場面で人の心を動かすのに必ず役立つはずです。
長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました!
※Onlab特設サイトにプレカルのピッチ音声&資料があります。
※1「Pirch」p.150,7行目に記載