1
/
5

本業。サービスを考えてみる。

Photo by Luke Thornton on Unsplash

サービス人を始めたばかりの思春期みたいなときに
影響をしっかり受けたマキハラさんのお店に行ってから
う〜っすら考えてた事がある。

リッツカールトンの本、世界一のサービス人の本、
ソムリエのあり方などなど
サービスに関する本は、ほとんど読んだ。

挨拶、言葉遣い、立ち振る舞い。

その当時

革靴は磨き、ペンはモンブランを持ち、外でお客様に会うかもしれないからと休みの日もジェルで髪をちゃんとセットしてスーツでフェリージのバッグを持ち移動していた。
HERMESのネクタイをして、Tiffanyのネクタイピンをつけてたりもした。

ソムリエとして、香りがつくのは嫌なのでシャンプーやボディソープもなるだけ匂いがないやつにしていた。

自分の名前を売るために、名刺を常に持ち歩き名刺入れも1年ぐらいで買い替えていた。

休みの日には銀座や丸の内を歩き、ブランドの最新をチェックしてウィンドウショッピングを続けていた。

お客様が持っている物がわかることで、サービスの傾向が立てられる。
ヴィンテージという概念を越えた、角もすり減ったCHANELのチェーンなバッグを持っていてロングソバージュな平野ノラみたいな人には、自然はワインより、ボトルでボルドーワインを勧めたりする。

お客様を接客するわけだ。好感をもたれ、信頼してもらうように身なりを整えるのは当たり前のことだ。

サービス人だった、20代の自分は、いまのボクを見たらなんの憧れも持たないはず。
1ミリも、なんの感情も湧かないほどに。

今のボクは、ちゃんとお辞儀ができない「おす!あざす!」みたいな人間だ。

20代の自分が無理してるのか?
全然そうじゃなくて、そうする事が心から正しいと思っていた。

そして、事実。ただしい。

パーソナリティやスタイルは、接客にいらないと思っていた。
10000円以上のコースを提供する、サービス人としての責任だと思っていた。

金髪、ビーサンで香水の香りをまとい歩いている今のせいで、逃している仕事はあると思う。
知らない人には、ろくなサービスの仕事をしない人間と思われるはず。

サービスって仕事での常識。
見た目や香りや、立ち振る舞いへの反逆心を出してるのは自分だけのもので
どこにも所属してないフリーの人間としては致命的だ。

↑と、書いて思った。

あらためようかなぁww

ただ、サービスってのは「スキル」が確実に存在している。
経験でしか育たない部分が絶対にある。
飲み会ひとつ心地よく回せない奴には、こなせない難しい仕事だ。

今回、サービスってどんなんかな〜って考えるきっかけになったのは
先輩が金沢で始めた「MAKIHARA cave à manger」に行ったから。

もともとソムリエで、ダイニングで超かっこよかった先輩は料理の修行に3年間出て、自分のお店を作った。

パリに初めて行った時に、地下鉄に乗ると街が見れないからって街中を歩いて案内してくれた人。

ボクは、金沢に行くとテチュバリってイベントのおかげで地元の若い子たちに先輩づらしている。
そんなみんなの前で、がっつり頭を叩かれても「すいません!」って言える、尊敬する先輩。

そんな人が、昔から集め続けてきた馬鹿みたいなワインリストと、しっかりとクラシックな料理。

そこのカウンターで先輩の料理を食べる時にセットしてあったのを見て「カトラリー磨けてますね〜」って言った。

そしたら「2日に1回磨いてるんだよ〜」って言われた銀のカトラリー。
本当に、その話聞いた瞬間から、サービスってことをう〜っすら考えていた。

見た目、立ち振る舞い、知識。これがサービス人だと思っていた20代。
銀器を磨く。そんな頃の下働きでしかない。

そんな頃の先輩が、いま銀器を磨くことは、ただの「こだわり」でしかない。

そんなこだわりに乗っかりたい。

最近、パーソナリティを感じるお店ばかりに興味が湧く。

最近行ったお店で「サービスが良い」とされる店はもう思いつかない。

ある時から、ボクは「いらっしゃいませ」という言葉を使わない。
この言葉には、返事がないから、コミュニケーションにならない。

そんな自分が行くのは「こんにちは〜」ってお互いに言い合える。
そんな店ばかりになってきた。

サービスにはスキルがいるんだけど、人間性っていうサービスのスキル・経験なんかより
すごい心に響くことがあるって学んだのかもしれない。

すんごいサービススキルを持っていた先輩が、人間性バッチバチに店を始めたことは本当にカッコいいなぁ〜って思ったわけで、サービスってなんだろうなぁ〜と考えなおせた良いきっかけになった。

たぶん、ここまで読んでも20代の自分は、こんなの興味ないと思う。
読み終える前に革靴でも磨くと思う。

それが、そん時の自分の「こだわり」だったんだなと思うと、視野は狭いけど
ブランド品とかに頼って自分を守っていたはず。

タイムマシンで戻って自分と飲みに行って「俺、サービス人続けてるけど、フランスでソムリエやった後にレストランもやって、明日からはコロンビアにカカオ農園見に行ってくるよ。」って金髪香水ビーサンのボクが言っても、「なんだこいつ?頭おかしいんか?」ってなるはず。

自分のサービス人としての成長・進化は止まったのか?
こんな事を考える時の、着地点はいつも同じ。

「知識武装して新品のパリッパリの服着て来たデビューしたてのお坊さん」と
「お経のクセがついちゃってるスタイル持った70歳くらいのお坊さん」
どっちがありがたいか。

自分の親が死んだ時(元気なう)に
知識武装したデビュー坊さんが来たら「ん?」ってなるかもしれない。

知識武装してパリッパリの服着た100%のヤング坊さんが、死ぬまで全力で生きていく過程。
サービス人として、そんな自分でいられればいいと思う結末になる。

あともう一個。
マキハラさんの銀器見て「あ、自分の店やりたいなぁ」とちょっと考えたこと。

いまの自分なら、どんな店 「こだわり」をもった店をやるんだろう。
とか考えると、思考がそればっかになるのであと5年ぐらい封印しましょ。

株式会社ポンテム's job postings
1 Likes
1 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like nao okiyama's Story
Let nao okiyama's company know you're interested in their content