トランスコスモス株式会社 CX事業統括 デジタルインタラクティブ事業本部
コミュニケーションプランニング統括部 統括部長 柳田なつ美さん
2011年に転職して中途採用で入社した柳田さん。2015年に部署異動し、2017年に課長、2019年に部長へと昇格。現在150名を超えるメンバーの統括部長として活躍する彼女のこれまでについてインタビューしました。
【目次】
- 学生時代の夢が崩れた瞬間
- 営業職を離れ、トランスコスモスで媒体担当としてリスタート
- 企業のSNS活用で、LINE公式アカウントが注目され始めた時代
- 常に現場第一主義「キャリアパスは考えたことがない」
- 統括部長の私と5人の女性部課長
- 自分の働くスタイルに影響を与えた存在とは
- 「リミッターを外せ」働く上で大切にしていることとは
学生時代の夢が崩れた瞬間
ー学生時代から初就職までの話を聞かせてください。
学生時代は福祉の専門学校に通い、福祉職に就くことを目指していました。でも初めての現場研修の初日に衝撃的な事件が起きて… 仕事としてやっていく自信を失ってしまったんです。卒業したものの、自分にどんな仕事が向いているのか分からないまま居酒屋でバイト三昧の日々を送り、そこで仲良くなった方に誘われて面接を受けて、アウトソーシング企業に就職しました。
担当業務は主に営業で、次第に成績が伸びて営業でNo.1になり、担当事業も拡大を続けてやりがいを感じていました。成績を評価されてのことでしたが、駆け出しの事業へ異動を言い渡されたことを機に転職を検討。改めて本気で営業を学ぼうと、次は人材会社に転職します。転職先はかなりハードワークで、朝4時起きで家を出て、出勤後はフロア掃除、日中はお客さん先を回り帰社して終電で帰宅。足と電話で稼ぐ営業をガッツリやって、学ぶことも多かったんですが、睡眠時間が全然取れず。将来のことも考え、少し落ち着いた働き方をしたくなって入ったのがトランスコスモスです。専門時代の友人が働いていて、誘われたのがきっかけでした。
営業職を離れ、トランスコスモスで媒体担当としてリスタート
ートランスコスモス入社直後はどんな業務からスタートされましたか?
初めはインターネットプロモーションの部署で、媒体への入稿作業を担当しました。実務経験は無く、マーケティングに関する基礎知識もゼロでスタート。9時スタートで入稿や請求処理をして定時ダッシュをキメる・・・自分の中ではどこか物足りなさを感じていました。でも半年くらい経って知識がついてきた頃に「メディア開発でプランナーやらないか」と声をかけてもらって、ある媒体の専属プランナーに。実は入社時にプランナーを希望していて、ちゃんとチャンスを与えてくれるんだなと感じました。
そこから社内の営業部門に向けて、媒体のメニュー紹介やプランニングを担当。営業で培ってきたものを活かしながらインサイドセールスし、新しい分野を学べて仕事が楽しくなりました。いくつかの媒体を経てLINE担当になり、今の部署に関する案件がスタートします。
企業のSNS活用で、LINE公式アカウントが注目され始めた時代
ー現DI事業本部に関する案件とは、どんな案件だったのでしょうか。
当時は企業のSNS活用が当たり前になり、FacebookやX (旧Twitter) の次の媒体としてLINEが注目され始めた頃でした。徐々に公式アカウントを活用する企業は増えていたものの、TCIで本格的に運用している企業はまだ少なく、費用対効果の検証も難しい中で「公式アカウントを始めたいけど、決裁を通すのが難しい」というお客様がいらっしゃいました。
単なる汎用資料では意味がなく、お客様の業界における関連実績や数値の収集、アカウントのコンセプト立案や目指すべきゴール設定、マイルストーンに合わせた配信計画、キャンペーン計画など、お客様と現DI事業本部の運用チームと本気でプランニングを頑張りました。
毎日お客様と電話やメールをして、メンバーと企画を詰めて資料を作り、二人三脚三人四脚で全員が一生懸命走った結果、無事に上申が通ったと連絡を受けた時は本当に嬉しかったです。広告媒体ではないLINEの在り方、LINEを軸としたコミュニケーションの在り方を学ぶことが出来て、一気に視野が広がりました。お客様と苦労を共にできたことは、一生心に残ると思います。私にとって転機となった大切な案件です。
それからLINE公式アカウントの引き合いも増え、媒体担当として最新情報を網羅していたつもりでしたが、上司から質問された時に、案件個別の数値を即答できなかったことがあったんです。そしたら「それでLINE担当とか言うなよ。営業力も拡販力もあるんだから、現場の数値ちゃんと見た方がいいぞ」と本気で喝を入れられて。すっっっごく悔しかったんです。媒体担当としてのインサイドセールスは順調だったものの、現場での経験値が足りないと感じ「運用側に行きたい」と希望を出し、今の部署に異動しました。
常に現場第一主義「キャリアパスは考えたことがない」
ー2度目の異動で今の部署に入ったんですね。部署を異動するにあたって、今後のキャリアパスは考えていましたか?
キャリアパスは全然考えてなかったです。異動後は前述の案件を始めとするLINE案件をメインに担当し、案件数の増加と共に知見も増え自信もついてきましたが、LINE以外のメディアに対しては関りが薄く、知識の偏りを認識していました。そんな中、昇格を打診された時は正直不安な気持ちがあり、特に部長への昇格に関しては、本当に私でいいのかなって回答期限ギリギリまで悩みました。
元々役職に就きたいとか上に行きたいとか言う考えがなくって、営業時代から現場第一主義で、現場の1メンバーでいたいと思ってるんです。それでも、私のポジションが上がらないことで誰かの可能性を摘むことは避けたいし、チャンスを与えてくれる方の期待に応えたかった。この組織をもっと大きくしたいと思うし、今のメンバーと一緒なら大丈夫と思って覚悟を決めました。
マネジメントする立場からすれば、ポジションが人を育てることも理解しているので、今メンバーには「次は課長を目指そう」とか、キャリアパスについても話をしています。
あと、担当案件によって知識の偏りが出ることについて、今はSlackを活用して部署のみんなで情報を出し合って支え合っています。LINEやInstagram、X (旧Twitter) など、それぞれのメディアのプロが何人もいて、トレンドや最新情報をいち早くSlackにポストしてくれるんですよね。新しい機能で〇〇やってみました!とか、本当に早い。この業界は変化が早いので、情報のインプットや共有は常に意識して大切にしています。
統括部長の私と5人の女性部課長
ー現在柳田さんを始め部課長も多くが女性ですが、女性の活躍推進など意識されていますか?
特に意識していないです。彼女たちはキャラクターも勤続歴もそれぞれ違いますが、全員肝が据わっていて、度胸と覚悟が凄い。それに“やってみよう精神”が強くて、部下に前向きな良い影響を与えてくれるんです。部署全体でもチャレンジングな姿勢を大事にしています。扱うメディアの特性もあって、毎年採用のエントリー時点で女性比率が高く、部署全体的に女性が多いです。女性の活躍推進を特別意識しているわけではなく、性別年齢経験値関係なくチャンスがあり活躍できる組織です。
自分の働くスタイルに影響を与えた存在とは
ーここまで様々な会社、職種で働いてこられた柳田さんにとって、仕事におけるメンターはいますか?
はい、最初の就職先のマネジャーの方です。その方から受けた影響が今の自分の一部になっていると思います。お客様と対等に正当に議論ができて、何があっても非難とか批判とかではなくロジカルに冷静に対応する方で。部下のことを常に考えて、必ず守ってくれる。嬉しいことは一緒に心から喜んでくれて、その思いがちゃんと伝わってきて、この人のために頑張りたいと思えるような人でした。上長としても、人としても大好きで尊敬していて、今でもその方の背中が見えます。かっこよくてあったかい女性なんです。
影響を受けた存在と言えば、母もそうかもしれません。母は元キャリアウーマンで、出張で数日家を空けることも多く、幼少期は寂しい思いをした記憶もあるのですが、定年を迎えた日に職場まで車で迎えに行ったんです。そしたら車に入りきらないほどの大量の花束を抱えてて。名前を呼びながら惜しむように見送ってくださった社員さんたちの姿を見て、グッとくるものがありました。かっこいいな、40年続けてきてよかったねって。色んな思いがあったけど心の底から働く母を認められた瞬間でした。そんな母の姿に、私も仕事を辞める時はこういう風に辞めたいな、と思ったりして。今は良き相談相手で、部長になることを悩んでいた時も背中を押してくれました。
「リミッターを外せ」働く上で大切にしていることとは
―仕事をする上で大切にしていること、心がけていることはありますか?
メンバーによく言うのは「リミッターを外せ」ってことです。自分の仕事の範囲に制限をつけずに、やりたいこと、やってみたいこと、気になることに手を出して欲しい。私自身、自分の「出来る・出来ない」に制限をつけずに、2度の転職と2度の異動を経験しました。前述の転機となったLINE案件では担当媒体のリミッターを取っ払って、プラットフォームに捉われない店舗でのリアル連動企画や情報収集を行いました。その結果、新たな知見を得て、広い視野を持って新しい世界を知ること、その世界を掘り下げて深く知るこの楽しさを知りました。
あと大切にしているのは、現場第一主義。机上の空論とかは嫌なので、現場の状況や意見を尊重します。自分の考えが全て正解ではないと思っているので、現場の意思を尊重して、一人ひとりに裁量権を持たせて成長できる余白を潰さないように。上が出過ぎたり手を出し過ぎないように、バランスに気を付けています。相談はいつでも気軽にして欲しいので、声をかけられれば手を止めて話を聞くって決めています。自分が若手の頃は、質問で先輩の時間を奪うのは悪という教えもあったのですが、全然そんなことはないんで、いつでも相談でも質問でも、声をかけて欲しいです。
とにかくメンバーのみんなにももっと楽しく働いてもらいたいし、自分の可能性を広げてほしい。みんなのしたいことが出来るように、統括部長としてより良い組織・環境作りをしたいと思っています。
どんな環境や立場でも、現場第一主義で真摯に人と仕事に向き合い、自らチャレンジし続ける柳田さん。先陣を切って物事を突き詰め、思考停止せずにさらに突き進む姿が本当に素敵です!!