omusubi不動産の紹介をすると「いろいろなバックグラウンドの人が働いていて面白いですね」と言っていただくことがよくあります。きっかけはそれぞれ違うけれど、「omusubi不動産」という会社に集い、同じ方向を目指して日々精進しています。
omusubi不動産の一番の魅力は、一緒に働いているひとりひとり。どんな人が、どんなことをしているのか。どうやってomusubi不動産にたどりつき、一見、ちょっと変わった不動産屋で働いてみようと思ったのか。この連載では、omusubi不動産の日常の様子を覗きながら、なかで働くスタッフに話を聞いていきます。
プロフィール
1996年生。スタートアップのブランディングやイベント運営の経験を経て2020年にomusubi不動産に入社。BONUS TRACKのコワーキング・イベントスペースの企画運営を軸に、その場・時間にしか生まれ得ないグルーヴづくりに奮闘中。
仕事に欠かせないアイテムたち
――事前につかざきさんには、「自分を表すもの」を持ってきてくださいとお伝えしていましたが、こちらのアイテムは……?
つかざき:これらは仕事に欠かせないものたちです。右から時計回りにご紹介すると、日焼け止めクリーム、ヘアオイル、手鏡、リップです。
――手鏡が渋くてかわいいですね。
つかざき:これは古道具屋さんで購入しました。普段こういうものってすぐ失くしちゃうんですが、めずらしく4年くらい愛用しています。
――この中でも特に大事にしているものはありますか?
つかざき:リップですね。塗っているのと塗っていないのでは気持ちの持ちようが違うんです。リップを塗っていると、自信が湧いてきて。わたしの肌の色がくすみがちなので、リップがあると2割増しでかわいくなれている気持ちになります(笑)。
つかざき:お姉ちゃんが、塚崎家にもっとも合う色だって教えてくれてから、この色を気に入って使っています。
――仲良し!それは間違いないですね(笑)
デザイン会社から、未経験で場のプロデューサーに
――つかざきさんは、omusubi不動産(以下omusubi)に入る前はどんなお仕事をしていたんですか?
つかざき:今のお仕事をする前は、新卒で入ったデザイン会社でプロジェクトマネージャーとして働いていました。人数の少ない会社だったので、プロジェクトの管理を覚えつつ、新入社員として日々の掃除からちょっとした企画まで幅広く動いてました。
――デザインのお仕事にはいつごろから興味があったんですか?
つかざき:デザインというよりか、学生時代から社会で実現されてる面白いプロジェクトに興味があって。でも当時は憧れの人とか、ロールモデルにしている人はいなくて……。漠然と、クリエイティブの業界で働けたらそれが実現するかなあ、と思っていました。実際社会人として働いてみると、自分が興味を持っているのって、もっと「お茶の間」的な、ひらけた場所、「まち」を舞台に届けるべきメッセージを発信することなのかなと、そういったところにかかわることをやってみたいな、と次第に感じるようになりました。
――ふむふむ。
つかざき:前職を辞めたタイミングで、そういったひらけた場にかかわれる仕事を探していた折に、知り合いの方からBONUS TRACK MEMBER’Sのサブマネージャーの求人を教えていただいて。BONUS TRACKを運営する散歩社の代表である小野さん、内沼さんのnoteや、求人の記事を読んでいると、すごく肌に合っていそうな場所だな、と思いました。
――BONUS TRACK以外にも場づくりにかかわるお仕事はあると思うのですが、どんなところにより魅力を感じたんでしょう。
つかざき:そうですね。BONUS TRACKって、目指す方向は同じでも、小野さんや内沼さんをはじめ、色んなテナントで働く方がさまざまなバックグラウンドやスキルを持っている方がかかわっていて、すごく有機的な場なんだろうなと。
――たしかに、一般的な商業施設を運営している一般的な会社を想像すると、不動産屋さんだったり、施設運営に特化した会社が浮かびます。塚崎さんはBONUS TRACKでは具体的にどんなお仕事をしているんでしょうか。
つかざき:今3つの場の運営に携わっています。ひとつは最初に応募していたBONUS TRACK MEMBER’S、もうひとつはHOUSEやSTANDの運営ですね。さらに、ナワシロスタンドの運営にもかかわっています。
――実際働いてみて、どうですか?
つかざき:実は、もともと遠慮がちな性格だったんです。でも、イベントで場を使ってくださる利用者さんの「本気」に毎日触れるので、利用者さんと最高の場を作づくりに自分も同じ目線で施設側としてできることをしながら向き合おう、とするうち、だんだん自分自身が変わってきて。その熱意に応えられるよう、力になりたい、と少し前のめりで利用者さんのサポートをするようになったり、自分から積極的にコミュニケーションをとりにいけるようになったことで、人とのつながりがぐんと広がった気がします。
――BONUS TRACKやナワシロスタンド、複数の場の運営を担当しているんですよね。
つかざき:BONUS TRACKの運営にある程度慣れてきた頃、気づいたらナワシロスタンドも。6月には「NO BIG DEAL!」というイベントの企画ディレクションも担当したりと、最近まではちょっとめまぐるしかったかもですね!(笑)
――もともとは自分の担当じゃない仕事が増えるのって、結構負担も大きいですよね。でも急に新しいことをやることになっても、ふてくされずに、すっとやれちゃうところがすごいと思います。
つかざき:それは前職の影響があるかもしれないですね。新卒で入社して、社内で一番若手だったので、スタッフのみんなに愛ある強めのダメ出しを受けながら(笑)、とにかくいろんな雑務をこなしていたんです。掃除だったり、Wi-Fiの契約だったり……。だからomusubiに入ったときに待遇があまりにも違ってびっくりしました(笑)。
――あれ? 優しいな? って(笑)。
つかざき:そうです、そうです(笑)。そういう前職の経験もあって、分からなくてもとりあえずやってみる、っていう姿勢が身に染み付いているのかもしれません。BONUS TRACKを中心に、そこで生まれる企画やひとに関わることで、まちの今の実態を立体的に捉えることができて、純粋に面白さを感じてます。
場の運営に必要なのは、自分の軸を持ち、おせっかいであること
――場づくりのプロデューサーとして未経験だったところから、今ではBONUS TRACK MEMBER’S、ナワシロスタンド運営のマネージャーとして場を引っ張ってくれていますが、アシスタントの募集も行っているんですよね。
つかざき:そうなんです。ちょうど先日からアルバイトスタッフとしてかわさきさんが入ってくれたのですが、業務委託のアシスタントは引き続き募集しています。
――未経験でマネージャーになった塚崎さんから見て、どんな方だとアシスタントの業務に向いてそうだなと思いますか?
つかざき:そうですね、スキル的なところではない話だと、人との関わり方において「気持ちいい」「気持ち悪い」の軸があることが大事なんじゃないかなと思っています。
――「軸」、ですか。それはどんなところで仕事に影響があるんでしょう……?
つかざき:omusubiの中には、不動産やまちづくり、場の運営などさまざまな視点を持ったスタッフがいます。どれが正解というわけではないからこそ、自分に軸がないと、どうして自分がそうしたいと思っているのか、それがいいと思っているのか、伝わりづらくなってしまう。社内外問わず、自分の軸があった方がコミュニケーションがとりやすい気がしますね。
――なるほど。BONUS TRACKやナワシロスタンドのような場所自体、いろんな人・物が集まりやすいからこそ、「なんでもいい」ではなく「自分はこう思うからこうしたい」という軸があることはすごく大事ですね。
つかざき:そうですね。あとは、「静」か「動」で言ったら「動」の人かなあ。
――「動」の人。
つかざき:利用者さんやかかわる人を、おせっかいなくらい気にかけられたり、いろいろなところに興味を持って、アンテナを張っていられる人だと、きっとこのお仕事を楽しくやれるはずです。おせっかいになるところは、わたしもまだまだなんですけど……(笑)。
――友だちならともかく、相手が関係を構築していっている利用者さんなら、少しくらいおせっかいにならないと困っていることに気づけなさそうですもんね。
下北沢は、文脈があるお店が集うまち
――今は毎日のように下北沢や代田エリアで過ごされていると思うのですが、もともと下北沢はよく来るまちでしたか?
つかざき:学生のときはときどき足を運ぶこともありましたが、働くようになってから、初めてこの辺りのエリアについて知りました。小田急線の跡地が開発されていたことも、BONUS TRACKの求人を見つけるまでは知らなくて。
つかざき:日々働いているなかでも発見があって、すごく面白い場所だなと思います。多い日だとBONUS TRACKとナワシロスタンドを一日に3回くらいは自転車で行き来するんですが、そういった日常の移動でここ(ナワシロスタンド)の近くにある小道具屋さんを見つけたり。それぞれの文脈があってお店が存在していると思うので、そういったお店に行くのが楽しいですね。
――仕事場であるBONUS TRACKにも個性的なお店が揃っていますよね。
つかざき:そうですね。「pianola records」というレコード屋さんがあるんですが、pianolaさんがなければレコードプレーヤーを買って、レコードを聴くなんてこともなかっただろうなあ、とか。omusubiメンバーだけでなく、入居しているテナントさんから刺激をいただくことも多いです。
――お気に入りの場所はできましたか? 下北沢でここがおすすめだよ、という場所があったらぜひ教えてほしいです。
つかざき:実はわたしもまだ行ったことがないんですが、北沢タウンホールに屋上庭園があるらしくて。どこもかしこも賑わっている下北沢のイメージとは打って変わって、その屋上庭園は開放的な空間で、あまり知られていない穴場スポットのようです。
――お散歩で歩き疲れたり、買い物に行ったあとにふらっと休憩するのにちょうどよさそうですね。その他に気に入っている場所はありますか?
つかざき:あとはコワーキングスペースのLOUNGEのこの景色ですね。窓の外から下北沢のまちが一望できるんです。下北沢駅からBONUS TRACKまでの道が開通するまでの工事の様子を見ながら仕事をしていました。このまちの変化を眺めながら、わたし自身もその変化の一部として、かかわっているBONUS TRACKやナワシロスタンドを、誰にとっても心地の良い場所にしていきたいです。
取材・撮影=ひらいめぐみ