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メンバーに聞いてみた | エリアリノベーション ひびの

カレンダーに、その日気づいたメモを書くのが習慣

――ひびのさんが自分を表すものとして持ってきてくださったのは……壁掛けカレンダーですか?

ひびの:そう、百均で買ったカレンダー。日記みたいに、その日あったことや、気づきなんかを書いてました。忙しいときは全然書いてなかったりするんだけど(笑)。

――ほんとだ、ぽっかり空白の月もありますね(笑)。昔から日記をつける習慣があったんですか?

ひびの:日記はなかったですね。もともとやってたのは、気になったことをノートにメモしていたくらい。20代前半とかはお気に入りの美容院について、「なぜ俺はそこへ行くのか」っていうのを書いていました(笑)。なぜ何度も通っているのか、とか。感情の揺れ動きに興味があるんです。

――メモはともかく、日記やその日感じたことをここまで細かく記録できるのは、なんというか才能な気がします……。

ひびの:そういえば、これは日記をつけ始めた後に知ったことなんですけど、実は父親が以前入院した際にA3用紙を張り合わせて巻物みたいにした日記をつけていたことを実家へ帰ったときに知って。その日の出来事や体重などが書かれていました。もしかしたら遺伝なのかもしれないですね(笑)。

新卒後、リーマンショックに。大変な時期を経験しても、営業職を選んだ理由

――ひびのさんは、ずっと不動産業界で働いていたんですか?

ひびの:いえ、新卒は人材紹介の会社に営業として就職しました。でもちょうどリーマンショックがきてしまって、どの会社もまったく人を採用したがらない。そんななかで、飛び込み営業をしなければいけなかったため、だんだん心身に不調をきたしてしまい、退職しました。

――いちばん大変な時期ですね……。そのあとはどんな仕事をしていたのでしょうか。

ひびの:人材紹介の会社に紹介してもらった不動産の会社で、また営業職をやっていました。不動産という業界を選んだ、というよりは、どちらかと言うと会社の人数や規模感で決めましたね。一社目が比較的大きい会社だったので、もう少し少人数のチームで働ける会社がいいな、と。

ひびの:収益用の不動産の販売と管理をしている会社だったんですが、僕はその中で、自社で仕入れてリニューアルした部屋を、駅前の不動産へ「こういうきれいな部屋があるので、興味を持ってくれそうなお客さんがいれば紹介してください」とお願いしに行く仕事をしていました。物件の仕入れもしていたので、仕入れたいときも駅前の不動産屋さんに行って「自分では手に負えない物件があればうちが買いますよ」と営業したり。

――ふむふむ。不動産屋さんがほかの不動産屋さんに営業に行くことがあるんですね。

ひびの:そうなんです。埼玉にある会社だったので、その時期はずっと埼玉県内を自転車で駆け回ってた(笑)。そんな感じで、これまで新規開拓の営業だけをやっていたんですが、次第に「ルートセールスをやってみるのもいいかもな」と思い、今度は機械メーカーに転職しました。ただ、自分で希望して、2〜3割は新規開拓するようにしていましたね。

――「営業職は自分にとって天職」と感じる方もいると思いますが、ひびのさんはもう少し離れた距離で営業職を捉えている気がします。そこまで営業職にこだわりを持っていたのはどうしてだったのでしょうか。

ひびの:今だから思うことなんですが、「すべての仕事に通じる職」というか。仕事って、必ず誰かとかかわりますよね。だから、いちばん最初にお客さんの窓口となる職種を経験しないと、他の仕事をしても活きてこないだろうな、という気持ちが前提にあったのかもしれません。

人がいきいきする場をつくるためには、その後の運営が大事だと気づいた

――営業職を経て、omusubiにはどのような経緯で入社したのでしょうか。

ひびの:メーカーの営業の後に、オフィスの仲介や内装のプロデュース、シェアオフィスやコワーキングをつくる会社に転職したんです。メーカーでは成績も残せたし、30歳になる前だったこともあって、もう一度ベンチャー企業に転職したいなと。そこでは、「会社の理念や組織の課題を、場で解決しよう」というコンセプトを掲げていて、会社の課題にもとづいて場づくりをしていました。

ひびの:ただ、omusubiで「物件ができてもそのあとの運営が大事だよね」と言われるのと同じように、場所だけができて終わりではなくて、作った後のケアが重要なんですよね。会社で言えば組織開発のコーチングや、評価基準を定めることなど、どうやったらその組織が活きるのか施策を打つことが、それにあたります。つまり、組織の働き方に合わせて、場も変化させていく必要がある、ということ。仕事をしていくと、徐々にそういった「場の活用方法」に興味を持つようになっていきました。

――たしかに場所をつくることと同じくらい、どのように運営していくかケアをすることは大事ですよね。

ひびの:そうなんです。そういった気持ちを抱いていたなかで、会社の中の「社員」のように、まちの中の「まちに住んでる人」にも同じことが言えるな、と感じるようになりました。そして、まちでどんなことが起こると、そこに住む人がいきいきとしたり、まち自体が豊かになるのか、それを考える仕事も面白そうだな、と。

――たしかに。フィールドが違えど、場所があって、そこにいる人たちがどうやったらいきいきできるか、と考えるところには共通点がありそうですね。

ひびの:さっきも少しお話しましたが、場をつくって終わりではなく、「つくったあとどうするか」を実践しているのが、まさにomusubi不動産だったんですよね。omusubiに応募する前にせんぱく工舎のイベントを見に行ったんですが、こういったイベントの実施の積み重ねによって、「この場所に住みたい」「物件を買いたい」という不動産の需要につながっているんだなというのを目の当たりにしたんですよね。いわゆる不動産業が、自転車の「前輪」だとしたら、場の使い方を示すイベントは「後輪」というか。両輪があることで、まちが豊かになることを前に推し進めていっていることを肌で感じました。

まちが豊かになるための場づくりを、地元の人たちと一緒に考えていく仕事

――omusubiのなかで、ひびのさんはどんなことをしていますか?

ひびの:最近では、学芸大学の高架下リニューアルのプロジェクトに入っていて、そのなかで主にリーシング、お店を誘致するところの役割を担っています。また、別の案件だと、三軒茶屋にある社宅を持っている設計会社さんがいるんですが、リニューアルするにあたって、どうやってリーシングをするのがよいか、企画の提案からしています。少し前まではリーシングだけにかかわっていましたが、最近は場所をつくる企画から入って、活用の仕方を一緒に考えたり、入居者の方を見つけたり、条件を決めていったりしています。

――最近は松戸だけでなく、千葉県外でもまちづくりのプロジェクトがはじまろうとしているんですよね。

ひびの:そうですね。最近、千葉県外のとある地域が空き家の活用を進めようとしているそうで、僕らもかかわり持てたらなと。実際に行ってみたらすごく面白いまちで、その地域発の何かをつくる気概がある人たちが集まってているんですよ。僕たちが松戸でやってきたことを、別の地域でも不動産として間に入ってできたらいいなと思っています。

ひびの:このまちでできたことが他のまちでも応用できれば、omusubiの仕事の幅も広がるし、不動産の活用の幅も広がっていく。そうなれば、使いたい人の供給に対して、使える物件を増やすことができ、空き家の数も減らせるし、ちょっとだけど社会課題も解決できるよなと。エリアを跨いだサービスの展開も始めようとしているっていう感じですかね。

――空き家の増加は、全国各地で抱えている問題ですもんね。

ひびの:これまでの経験を他のまちでも応用できれば、omusubiの仕事の幅も広がるし、事例が増えれば不動産の活用方法の幅も広がっていくと思うんです。そしたら、結果的に空き家の減少につながって、社会課題の解決にも貢献できる。だから、新しいチャレンジではあるけれど、他のまちでも空き家の活用に取り組めることに、すごくわくわくしています。

omusubi不動産だからできる「まちづくり」を

――もうすでに新しい取り組みを始めるところだと思うのですが、これからやってみたいことはありますか?

ひびの:omusubiの強みは「お客さんの顔が見えること」なので、お客さんの課題解決のための企画をしたいなと思っています。

――「お客さんの課題解決のための企画」というと……?

ひびの:アトリエや店舗を借りたい人たち(=お客さん)が使いたいものを作り、かつ不動産としてしっかりオーナーさんにも数字が合うようにする、ということですね。ただ、そういうことをやっている人は他にもいらっしゃいます。過去にそのまちでどういうことが起きていて、将来的に何が起きるといいのか、というところの間にあるのが建物だと思うので、そこにまちづくりの視点も持って企画をしたいですね。

――カミヤミスジクラマエなんかがその例ですよね。

ひびの:そうですね。初めて倉庫を店舗として活用する経験をしました。間取りも特殊でお客さんによって管理オペレーションも変わりそうな物件です。入居者さまや近隣住民の方との距離感含め勉強させていただいたことが多いのですが、根幹としては蔵前の三筋という下町でも文化的な香りがする場所でどういうビルになると良いか想像を巡らせました。
また、これからは管理の黒栁さん、売買の中川さんと、部署をまたいで連携できたらいいなと思っていて。賃貸にしろ売買にしろ、管理が別の会社の場合もあるんです。でも、一社でサービスを提供できた方が、お客さんにとっても安心なはずなので。

――そうですね。困ったときに、何かと相談しやすくなりそうです。

ひびの:あと、これは前から意識していることですが、新しい仕事を作り出せるよう、常に「ちょっと難易度が高いこと」、「やったことがないこと」にチャレンジしていきたいですね。仕事は、スポーツと近い部分もあるんじゃないかなと思っていて。基本をちゃんとやりつつも、それ以外にいろんな人の技術を盗んだり、真似したり、考え方を聞いたりすることって、実践に役立ったりするじゃないですか。今の仕事がものすごく得意なことをやっているかというと、そうとは言い切れないけれど(笑)、omusubiの仕事の幅を広げるために、これからもどんどん新しいことをやっていきたいです。


取材・撮影=ひらいめぐみ

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