プラント建設の現場では、設計や施工だけでなく、設計図に描かれた構想を現実の形にするため、あらゆる機器や資材を調達する人たちがいます。
価格や納期だけでなく、品質・安全・信頼——あらゆる条件を見極め、最適な一手を選ぶ。その判断が、プロジェクトの成否を左右することもあります。
その要となるのが、テックプロジェクトサービス(TPS)の調達担当・Iさん。
もともとは設計職としてキャリアをスタートし、現在は“モノづくりを支える調達の最前線”で活躍しています。
▼調達部:Iさん
信州大学大学院を修了後、2012年にプラントエンジニアリング会社へ入社。 配管設計としてキャリアをスタートし、火力発電・地熱発電などエネルギー分野のプラント設計を手掛ける。 現場での設計調整や施工支援などにも関わりながら、約10年にわたり実務経験を積む中で、発注・予算管理といった調達寄りの業務にも携わり、“モノづくりを支える側”への関心を深めていった。 2022年、テックプロジェクトサービス株式会社(TPS)へ転職。 現在は、プラント建設における資材・機器の購買や協力会社との交渉を担い、社内外をつなぐ“ハブ”として活躍。
配管設計から調達へ──“モノづくりを支える側”に挑戦
前職でも『配管設計』といいながら、実際は設計だけでなく、予算管理や工数・部材コストの算出、工事現場での調整・管理、さらには発注・調達に近い部分まで幅広く関わっていたIさん。
設計が図面を描くだけでなく、“お金の流れ”まで見ていた会社だったんです。契約や法律的な部分だけ専門部署に任せて、それ以外は設計側で完結する。だから自然と、調達やコストの感覚が身についていきました
現場に足を運び、立ち上げ確認まで見届けるプロジェクトも多く、「設計から納入・立ち上げまで、一通り自分の目で見る」スタイルが身に付いたといいます。
そんな中で次第に、Iさんの関心は“お金を動かす側”――調達の領域へと傾いていきました。
調達って、成果が数字で見えるんですよ。予算をどう抑えられたか、どんな交渉でコストを改善できたか、結果がはっきり出る。
良くも悪くも自分の仕事が“見える化”されるのが面白くて。設計では見えづらかった“自分の成果”を実感できる点に惹かれましたね
その“見える化”のやりがいを求めて、TPSへの転職を決意したといいます。
プロジェクトの最前線に立つ、“裏方”の司令塔
プラント建設の調達は、単に物を買う仕事ではありません。Iさんがまず関わるのは、営業・設計が案件を提案するプロポーザル段階から。(*プロポーザル=お客様に提出する提案書・見積の段階で、設計・コスト・工程を具体化していく活動)
お客様からの要求をもとに、設計が“必要な機器や資材”を洗い出します。その情報がプロジェクトチームを介して調達に回ってくるんです。
そこから私たちが見積依頼を出して、複数の会社さんから見積をもらい、設計・プロジェクトと一緒に“予算作成に協力する”ところから調達の仕事は始まります。
見積を取って終わりではありません。
設計から「この会社は仕様が合っている」「ここは要件が満たせていない」と評価をもらい、最終的に価格・品質・納期のバランスが取れた最適な1社を選ぶ。その過程には細やかな確認と調整が欠かせません。
正解のない“交渉の世界”
『去年この金額でできたから、今年も同じ価格でお願いします!』が通じない時代なんです。新型コロナや、物価高の影響によって人件費も原材料費も上がっていて、“その価格じゃできません”からスタートすることが多いですね
Iさんが日々向き合うのは、変動する市況と、それぞれの企業が抱える事情。
複数社に見積を取り、仕様をそろえたうえで“ベストプライス”を提示してもらい、そこから価格・納期・支払条件などを一つひとつ詰めていく地道なやり取りが続きます。
最終的には“うちとしてはこれ以上は難しいです!”という相手と、“そこをなんとかこの条件で頑張って頂きたい!”というこちらの想いを、どう着地させるか。
それぞれの立場で強い想いをぶつけあい、お互いが納得できるラインを見つけるのが一番難しいですね。
ー日々の関係作りが”交渉力”を育てる
調達の仕事は、交渉の瞬間だけで成り立つものではありません。
日常的なやり取りや信頼の積み重ねこそが、いざという時の“力”になります。
取引先の方から「最近こういう動きがありますよ」と情報をもらうことも多いです。
こちらから営業のように動くというよりは、普段のコミュニケーションの中で関係性を育てる感じですね。
ちょっとした雑談や、勉強会で顔を合わせることも大事にしています。
価格や納期だけでなく、最後に決め手になるのは信頼関係。
だからこそIさんは、日常の一つひとつのやり取りを丁寧に積み上げています。
ー簡単じゃない。でも面白い。
毎回、一生懸命事前に準備してから交渉に臨みますが、同じ回答が返ってくるとは限らない、正解がないんですよ。このあたりがとても難しいところです。
設計・プロジェクト・現場、全部の意見を聞きながら最適解を探していく。同じものでも、PJにより準備も交渉も変わる。簡単にいかない、でもだからこそうまく決まると、やっぱり嬉しいですね
コスト・品質・納期——そのすべてを両立させるのは容易ではありません。
それでもIさんは、調達という仕事に誇りを持って臨んでいます。
“この金額で、これを納められた”という結果が目に見える。そこに達成感があります。地味に見えて、実はプロジェクトを動かす大きな歯車なんです
フランクな空気の中で、“納得して動ける”チームに
TPSへ入社して3年。多くのプロジェクトを経験し、社内外のメンバーと関わる中で、Iさんが感じているTPSの魅力とは——。
やっぱり会社全体的に、フランクですよね。壁があんまりない感じがします。上の人にも普通に話しかけられるし、何でも聞ける雰囲気があります
調達というポジションは、設計・プロジェクト・営業など、社内のあらゆる部署と関わる仕事。
だからこそ、コミュニケーションのしやすさが仕事のしやすさにも直結します。
仕様は設計が握っていて、コストはプロジェクトが握っている。だから、いろんな部署に話を聞きに行くことが多いんです。発注希望先を設計からもらっても、“ここはどう?”“ここは難しいかも”と意見を出し合う。そういう社内のやり取りも、ある意味“交渉”なんですよね。
とはいえ、TPSには硬い上下関係や閉じた空気はありません。困ったときは、誰にでも気軽に相談できる。
そのオープンさが、仕事の精度を高め、チーム全体の連携を支えています。
フランクな人が多いので、聞くことをためらわなくていい。上の人もちゃんと答えてくれるし、まずは自分が納得できるまで確認するようにしています。 自分が納得していないことは相手に話しても伝わらない。“まずは聞いて納得して動く”というスタンスが大事だと思います。
一人で完結しない仕事だからこそ、人と人とのつながりが何よりの力になる。
Iさんの言葉には、TPSのあたたかい社風と、ものづくりに向き合う誇りが伝わってきます。