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リリースから1年半、マーケ→営業→カスタマーサクセスを一人でやってわかった7つのコト

こんにちは。any株式会社の代表吉田(@kazufumi0110)です。
Qastをリリースしたのが2018年7月なので、早いもので1年半が経ちました。

ここまで来るのに本当にいろんなことがあったわけですが、無事にサービスを継続できているどころか、今では900社以上のお客さんに利用していただいていてありがたい限りです。

最初の1年はなかなか数字が伸びず諦めそうになったり、新規事業をやりたくなったりすることもありました。

でも、そんな時にお客さんから直接御礼の言葉をいただいたり、日本を代表する超大手企業の受注が決まったりして、なんとかやってこれました。本当に、本当にありがとうございます。
厳しい時に支えてくださった皆さんには、正直感謝しかないです。

今回は、今のQastがどのように運営されているのか、今後どうしていきたいのかを書いていきたいと思います。

- 自己紹介

まずは簡単に自己紹介から。
これまでの経歴は、株式会社アイモバイル(アドネットワーク)⇒グッディア株式会社(アプリ開発)⇒起業という流れで、営業やマーケティングの経験はあるもののSaaSビジネスに携わったことはありませんでした。というかQastやるまでは恥ずかしながら「SaaS」を知りませんでした。

ラーメン屋に5分並ぶことすら考えられない僕は、2年ほど前に「わからないことはググればすぐに解決できるのに、なぜ社内のわからないことは検索できないの?」という疑問からQastという情報共有サービスを始めました。
いつでも簡単に質問ができて、社内の人の役に立つように回答を投稿する「社内Q&Aサービス」を通して情報を蓄積し、検索できる世の中を作りたいと思っています。


- 昨年の振返り

総じて言うと、昨年はサービスの「土台作り」ができた一年です。
ようやくスタートラインに立ったというか、アクセルを踏めるようになったというか、スタートアップと言えるようになってきたというか・・・(全部一緒です)

うまくいきそう⇔うなくいかなそう、というメンタルの無限ループを繰り返し、10月頃からようやく「うまくいく」が確信になってきたところです。
事業を軌道に乗せるってこんなに大変なことなんだな、とつくづく思う一年でした。

スタートアップとしてのハードシングスはnoteに赤裸々に書いてますので、ご興味ある方は参考までに。

https://note.com/kazufumi0110/n/nf812d9195b84

さて、Qastの現在のサービス運営体制は、エンジニア2名、アルバイト1名、そして僕という合計4名でこれまでSaaSを運営してきたわけですが、ビジネスサイドは僕一人という状況です。
どういうことかと言うと、マーケティング⇒インサイドセールス⇒フィールドセールス⇒カスタマーサクセスを一人でやる、ということです。簡単にタスクを挙げると、

▼マーケティング
- LPの制作、文言修正
- SEO戦略、オウンドメディアの運営、編集
- イベント出展の検討、運営

▼インサイドセールス
- リード発生から10分以内に架電
- アポ獲得
- メールで状況確認
- 遠隔地とのweb商談

▼フィールドセールス
- 商談
- 商談後のフォロー
- 契約管理
- 休眠リードへの再訪

▼カスタマーサクセス
- 受注後のオンボーディング(キックオフミーティング)
- 問い合わせサポート
- チャーン要因分析
- アップセル提案
- 導入事例インタビュー

▼その他
- 資金調達
- 採用活動
- 法務チェック
- 給与支払い
- 住民税支払い(お願いだからネットでできるようにしてください)
- オフィスの掃除(ルンバと共に)

だいたいやることはこんな感じです。
決して忙しいアピールをしたいわけではなく、最初から資金が使えてリソースがあって、ネームバリューがある状態から始められる大手の新規事業部とか超羨ましい!!って思ってるだけです。

さて、2019年を振り返るとSaaS界隈ではセールスフォースさんが提唱している「THE MODEL」の本がバカ売れしてるように、各セクションを横断してお客さんをパスし、それぞれがKPIを達成することで全体最適を測るという考え方が一般化した一年ではありますが、any社にとっては「THE MODEL」型組織は無縁というか、やりたくてもできなかったというのが現実です。(あー、羨ましい。ベニオフさん...)
※今年は少なくともマーケティング⇒セールス⇒カスタマーサクセスへとパスできる組織作りをしていきます。

そもそも人を何人も雇える資金がなかったし、事業が伸びるかどうか全くわからない状態で無理して人を雇うのは、路頭に迷ってしまうリスクが高すぎて正直無責任だと思っていたので、軌道に乗るまでは「自分でできることは自分でやろう」という思いでこれまでやってきました。

そんな僕がマーケティング⇒セールス⇒カスタマーサクセスを1年半の間、一人でやってよかったこと、悪かったことを整理していくことにします。

※結論:SaaS立ち上げ初期(半年ぐらい)のビジネスサイドは創業者一人でできるし、やるべきだと思う

▼よかったこと
1. 社内調整一切不要⇒とにかくスピードが早い

まず何がよかったかと言うと、どんな会社でも発生する社内調整が一切不要なので、絶対的にスピードが早いという点です。
いくら代表という立場があれど、人に動いてもらうにはそれなりの論理とコミュニケーションが必要です。

マーケティングでリードを獲得したその日から、どこの誰かがわかり、どれぐらいの温度感で、どれぐらいのLTVが見込めるかがわかるわけです。

資金が尽きる前にPMF(プロダクトマーケットフィット)することが鉄則と言われるスタートアップ業界において、このスピード感で意思決定ができるのは大きなアドバンテージになります。

そしてリードが必要数取れなくても、リードからの受注率が低くても、それは誰のせいでもなく自分のせいなんです。(このマインドは今後も重要)
うまくいっていない時はどこに原因があるのかを考え、うまくいくようにするためにすぐに行動に移せることは一人ビジネスサイドだからこそなし得る業だと思います。

2. 誰よりも顧客の声を聞けるため、顧客ニーズがどこにあるかわかる

リリースしてから1年半、誰よりも顧客の声を聞いてきたという自負があります。(当たり前)
営業とカスタマーサクセスを兼任していると、なんと創業者自ら顧客と直接話すことができます!(昨年の商談数は約200件、問い合わせの数は約300件でした)

200社の担当者と話すと、どんな課題があってQastを使おうとしてくれてるのか、どんな機能があればそれが解決できるのか、というのが明確にわかってきます。(そもそもニーズがない場合、それもわかるはず)

このリアルな現場の声を、人伝いではなく直接聞けるのは、サービスの土台を作る上で非常に重要です。もう一度言います、非常に重要です。

3. 誰よりも顧客の声を聞けるため、プロダクトにすぐに反映できる

開発側のプロダクトマネージャーも兼ねているため、自分で開発タスクの優先順位決めを行うわけですが、誰よりも顧客の声を聞いているため、どの機能を今すぐ着手すべきかがわかります。(PMとしては半人前なのに付いてきてくれたエンジニアの2人、本当にありがとう)
あとは大型案件を受注するために必要な機能を間に差し込むこともできるため、顧客が求めているものを最短で反映させることで受注につながることもありました。

手前味噌ですが社内のエンジニアが優秀すぎて新機能の開発が1日で終わることもあり、「え!もうできたんですか!!」とお客様から驚かれることもありました。

SaaS利用者側の立場として考えた時に、まず要望を直接伝えるのにハードルがある中で、それを言ってくださったからには可能な限り反映させたいと思っていましたし、今後もそうしていきたいです。

4. 今後採用する時に、各ポジションに必要なスキルや適正がわかる

Wantedlyさんは採用媒体だということは認識しておりますので、このあたりで採用についても少し触れたいと思います。

私自身、前職でマーケティング、法人営業を経験していましたが、SaaSの営業は他業界とは特性が異なります。
サブスクリプション(月額課金)なので売って終わりではなく、いかに継続的に利用してもらえるよう価値を提案できるか、どうすれば社内で定着するのかというのを担当者と一緒に考えていきます。
無理やり受注しても、すぐにチャーンされたら意味がないわけなんですね。

なので「とにかく売って売って売りまくれー!!」という営業スタイルよりも、長期的にお客様と関係値を築くことが得意で、且つ本当の意味でお客様の立場になって提案できる方がQastのセールスには向いています。ということで、Qastのセールスには数より質、動かすべきは足より頭、というマインドが必要です。

一連の流れを自分でやってみた結果、採用するにあたってマーケティングにはこんな人が向いてる、フィールドセールスはこんな人、カスタマーサクセスはこんな人、というのが見えてきました。これはスキル面だけではなく、性格やキャリアプランも含めた考え方の面からも、各セクションで最適な人物像が明確になりました。
※この辺は実際にお会いしないとわからない可能性が高いので、「笹塚ってどこや!?」と思わずぜひ一度オフィスに遊びに来てください。

▼悪かったこと
5. そもそも接触できるリード数に限界がある

ありがたいことに、昨年9月〜は一人ではアプローチしきれないほど多くのリードが発生していました。

時間的制約から、一定の人数規模を満たすリードにのみアプローチする方向にシフトしましたが、最初の利用人数は少なくても活用が進めばアップセルを狙えたリードもあったかもしれません。
また、商談最中に発生したリードには、もっと早くアプローチすることでアポが取れたかもしれません。

これが「THE MODEL」型の体制にする目的の一つだと実感しました。
今後はある程度業務範囲を明確にして、それぞれのセクションでやるべきことに集中できる環境を作っていきたいです。(※ただし、あくまで達成すべき目標はチームでの目標、という価値観があります)

6. 結局、受注を取るための営業にリソースを割きがち

物理的に同時進行することが難しくなると、どうしても新規受注のために時間を割いてしまいます。

SaaS成功の鉄則が「解約率を下げること」だとすると、もっとカスタマーサクセスに時間を割いた方がよかったのかもしれません。

とは言え、来月のキャッシュがどうなるかわからない状態になると、受注を優先させてしまいます。
タスクの優先順位付けは常に葛藤があり、後手に回らないように意識することが重要です。


7. 新しい施策を始めにくい

SaaSの特性上、よほど解約率が高くない限りは右肩上がりで顧客数が伸びていくものですが、顧客数が伸びれば伸びるほどタスクの数は当然増えていきます。

すると、各セクションでの新しい取組みを始められなくなっていきます。
本来であれば、もっとサービスをよくするためにできることがあるはずなので、時間的な制約によってそれができないのにはもどかしさを感じていました。

今後ジョインしてくださる方、どんどん新しい施策を始めてください!はじめ放題です!

まとめ

そんなこんなでサービスリリースから1年半、マーケティング⇒営業⇒カスタマーサクセスを一人でやってきたわけですが、結論はやってよかったと思います。(※1年半という期間は長すぎたかもしれませんが)

事業を始めるということは、どんなものでも必ず始めに思いついた言い出しっぺがいるはずで、その人が実現したい世界があるはずです。
その言い出しっぺが一番汗をかいて、顧客の声を聞いて、受注して、サービス改善に役立てないことには、実現したい世界を実現できるはずがないと思うのです。

これからも笹塚のサウナで汗をかいていきたいと思いますが、三十路に突入したこのタイミングで、20代の未来ある若者にサービスを生み出すことの尊さ、事業を軌道に乗せるための泥臭さ、そしてスタートアップの楽しさを伝えていきたいと思う今日この頃です。

もしこの記事を見て、少しでも興味をもっていただいた方、ご応募いただけると大変喜びます。
それではオフィスでお会いしましょう!

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