「次は設計に進みたい」「クラウドに挑戦したい」「もっと顧客に近い仕事がしたい」—。経験を積んだエンジニアほど、自分の市場価値をどう高めていくかを真剣に考えているはず。ランスタッドは、そんなエンジニアが自らキャリアを選び、挑戦を続けられる環境作りを目指しています。
エンジニア1人ひとりがキャリアの主導権を握り、主体的に未来を描ける環境を目指しているのが、ランスタッドのデジタルタレントソリューション事業本部です。現在はITインフラ領域の経験者採用を強化。高い専門性を持つエンジニアが集まる組織として、さらなる拡大を進めています。
しかし、同事業本部が目指しているのは、単に組織規模を拡大することだけではありません。事業の成長とともに新たな役割や挑戦の機会を生み出し、1人ひとりが自らの意思でキャリアを切り拓ける環境をつくること。そして、その挑戦に寄り添い続けることを重視しています。
ランスタッドが追いかける新しいエンジニア組織の形とは?
常務執行役員の北上由香さんに、未来に向けた事業戦略や、エンジニアが成長し続けられる組織づくりへの思いを聞きました。
インタビュイー
ランスタッド株式会社 デジタルタレントソリューション事業本部 常務執行役員 本部長
北上 由香
大手都市銀行のシステムエンジニアを経て、外資系金融機関でマーケティングと商品開発を手がける。インド系ITサービス企業のカントリー・マネージャーを11年務めた後、ヨーロッパ系IT・コンサル企業、ソフトウェア企業を経て2020年2月にランスタッド入社。2022年7月に常務執行役員就任。2020年2月より現職。津田塾大学数学科、慶応大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。
経験者エンジニア「250名採用」に踏み切った理由
—現在、デジタルタレントソリューション事業本部では経験者エンジニアの採用を大幅に強化しています。その背景にある事業戦略を教えてください。
私たちはクラウド領域やネットワーク・サーバー基盤に加え、コンテナ/Kubernetes等のクラウドネイティブ環境やAIインフラ構築といった先進領域、さらにはゼロトラスト等のセキュリティ領域まで幅広く担う経験者エンジニアを2026年中に250名採用し、現在の約100名体制から年末には約350名規模の体制を目指しています。 これは単に組織規模を3.5倍にするということではなく、ITインフラ特化のエンジニア組織を大きく成長させるための戦略です。
250名採用を掲げている理由は、人を増やすことそのものではありません。組織が成長すれば、新しいチーム、新しいリーダー、新しい技術領域への挑戦機会が生まれます。エンジニア一人ひとりにとって、キャリアの選択肢を増やすための投資でもあるのです。
その背景には、日本市場への大きな期待があります。ランスタッドは世界39か国で事業を展開しており、中でも日本は重要な成長エンジンだと位置付けられているのです。私たちが特に注力しているのがITインフラ領域です。企業におけるDX推進やAI活用が進むほど、それらを支えるクラウドやネットワーク、セキュリティといったITインフラの重要性はますます高まっています。
私は、ITインフラエンジニアは「システム基盤を支える人」ではなく、企業の変革を支える基盤をつくる存在だと考えています。生成AIが注目される時代だからこそ、その価値はさらに高まっていくでしょう。だから私たちは、この領域への投資を加速しています。
—なぜ「経験者」の採用に注力しているのでしょうか?
ITインフラ領域は、技術者として長く価値を発揮できるキャリアを築きやすいからです。アプリケーション領域では、金融や製造、流通など業界の業務知識も求められます。一方、ITインフラ領域には、これまでに培った技術そのものを軸に、業界を越えて専門性を磨けるという特徴があります。だからこそ、さらなるキャリアアップを目指すエンジニアの選択肢になりたいと考えているのです。
—事業の成長と、エンジニア1人ひとりのキャリア形成。その両方を見据えた戦略なのですね。
はい。事業を成長させることが大きな目的ではありますが、それはエンジニアの皆さんが活躍できる場を広げることでもあります。市場の成長とともに、1人ひとりのキャリアの可能性も広げていきたい。その両方を実現していくことが、私たちの目指す姿です。
安心して働ける環境は「役割の明確さ」から生まれる
—北上さんは、エンジニアが長く活躍できる環境をつくるうえで、どんなことが重要だと考えていますか?
エンジニアが長く活躍するためには、安心して力を発揮できる環境を整えることが欠かせません。そのために私たちが重視しているのが、「誰が、何を、どこまで担うのか」を明確にすることです。
当社ではお客様のニーズに応じて派遣契約でエンジニアがお客様の現場に入るケースもあれば、自社チームで受託し、サービスとして提供するケースもあります。
エンジニアに関して言うと、世の中では、さまざまな契約形態や働き方が一括りに語られがちです。しかし本来は、働く際の契約内容や役割、責任範囲は明確に区別されるべきものです。
エンジニアが本来の力を発揮できない理由の1つは、期待されている役割が曖昧なことだと私は考えています。
たとえば、「設計を期待されて入ったと思ったのに、運用業務が中心だった」「どこまで自分が責任を持つべきなのかわからない」といった状況では、安心して技術に集中することはできません。
だからこそ私たちは、案件を受ける段階から役割や責任範囲をできる限り明確にし、エンジニアが安心して力を発揮できる環境づくりを大切にしています。
—そうした考え方は、案件の選び方にも表れているのでしょうか。
はい。日本のIT業界は、今なお多重構造の中でプロジェクトが進むケースも少なくありません。そうした環境では、エンジニアがエンドユーザーから遠い立場になり、自分の仕事がどのような価値につながっているのか見えにくくなりがちです。そのため私たちは、できる限りお客様に近い立場で価値を提供できる案件を重視しています。
日本のIT業界全体の構造をすぐに変えることは難しいかもしれません。それでも私は、エンジニアが「自分の仕事が誰の役にたっているのか」を実感できる環境を少しでも増やしたいと思っています。だからこそ私たちは、よりお客様に近い立場で価値を発揮できる案件を大切にしています。
キャリアを決めるのは会社ではなく、エンジニア自身
—事業の拡大に伴い、新たな役割やポジションも増えていくと思います。今のランスタッドだからこそ得られるキャリアのチャンスについて教えてください。
新しく入社するエンジニアも、責任ある立場に就いていただくチャンスは確実に増えるはずです。私たちが提供しているサービスは、エンジニアの皆さんの技術力そのもの。事業が成長すればそれだけ多くのエンジニアが必要になり、新しいチームや役割も生まれていきます。
2026年は250名の経験者エンジニアを採用する計画を進めていますが、それで終わりではありません。すでに来年以降の採用計画も動き出していて、事業が拡大する限りは組織も成長し続けていく前提です。それに伴い新しい役割も自然と増えていくので、「ポストが埋まってしまう」といった状況は、当面は発生しないでしょう。
—この成長フェーズの中で、エンジニアの皆さんにはどのようにキャリアを描いてほしいと考えていますか?
技術を突き詰めてテクニカルリードやアーキテクトとして活躍する道もありますし、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーとしてチームを率いる道もあります。ランスタッドで働くエンジニアには、自分がどんなキャリアを目指すのか、自分自身で考え抜いてほしいと思っています。
私自身もエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後は事業責任者として多くのエンジニアを見てきました。その中で強く感じるようになったのは、会社がキャリアを決めるものではないということです。会社ができることは、エンジニアが挑戦できる環境を用意すること。その環境をどう生かすかは、エンジニア自身だと思っています。
「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますよね。これはまさにエンジニアに当てはまるのではないでしょうか。人生の中で長い時間を占める仕事だからこそ、自分が本当に興味を持てること、挑戦したいと思えることに取り組んだほうが、結果的に成長できるはずです。
そのテーマは会社が与えてくれるものではありません。エンジニア自身が将来を真剣に考え、ランスタッドがその挑戦を支えていく。そんな関係でありたいと考えています。
本物のエンジニアだからこそ、1人ひとりのキャリアに伴走できる
—その「挑戦を支える」という考え方は、実際にはどのような形で実践されているのでしょうか?
デジタルタレントソリューション事業本部の大きな特徴として、エンジニアの採用や育成に携わるメンバーにも、現場経験を持つエンジニアが多く在籍していることが挙げられます。なぜこうした体制にしているかというと、「エンジニア同士だからこそインスパイアされる瞬間がある」と考えているからです。
もちろん、営業担当や人事担当がエンジニアのキャリアを一緒に考えることも大切です。一方、実際に現場で経験を積んできたエンジニアだからこそ伝えられることがあるのも事実。だから当社では、テクニカル面接もキャリア相談も、現場経験を持つエンジニアが中心となって対応しています。
—現場経験を持つエンジニアとのキャリア相談では、具体的にどんな対話が生まれていますか?
たとえば「クラウドエンジニアになりたい」という希望を持つ人がいたとしても、すぐにその仕事へ就けるとは限りません。大切なのは、「今できること」と「目指したい姿」の間にあるギャップを整理し、一歩ずつ経験を積み重ねていくことです。
まずは資格取得から始めるべきなのかもしれませんし、保守・運用の経験を積み重ねていくべきかもしれません。もちろん資格取得はゴールではありません。現場を知るエンジニアが、1人ひとりに合わせたキャリアの道筋を一緒に考えていきます。
こうした体制をさらに強化するため、直近では「AWS認定インストラクター」の資格を持つシニアメンバーにも加わってもらいました。プロジェクトの合間に社内で学び直しができる環境を整えたり、より高度なクラウド技術を身につけられる機会を増やしたりと、エンジニアが継続的に成長できる環境づくりを進めています。
エンジニア同士が刺激し合い、成長が連鎖する組織へ
—エンジニア一人ひとりの成長を支え続けるために、今後はどのような取り組みを進めたいと考えていますか?
組織が大きくなるということは、それだけ多様な経験や専門性を持つエンジニアが集まり、お互いに刺激を受けながら成長できる環境が広がっていくことでもあります。実際、当社にはCisco認定資格「CCIE」の保有者をはじめ、高い専門性を持つエンジニアも数多く在籍しています。この環境を生かして、エンジニア同士が自然につながり、「この技術を勉強してみよう」「一緒に挑戦してみよう」と自発的にコミュニティが生まれる組織を目指したいですね。
会社として勉強会や交流の場を用意することもできますが、誰かに与えられた場よりも、自分たちで生み出した場のほうが、学びの意欲や意義をより感じられるでしょう。エンジニア同士が刺激し合い、学びが連鎖する組織になっていくことが理想です。
—最後に、ランスタッドで働くことに興味を持っているエンジニアの皆さんへメッセージをお願いします。
現在、デジタルタレントソリューション事業本部では、300社を超えるお客様との取引があり、エンジニア1人ひとりのキャリアステージに応じた多様なプロジェクトがあります。技術を極めたい人も、マネジメントに挑戦したい人も、自分に合った経験を積める環境が見つかるはずです。
また、今の私たちは組織としても面白いフェーズにあると思っています。世界最大級の人材サービス企業としての基盤がありながら、デジタルタレントソリューション事業本部は、まだ1人ひとりの顔が見える規模です。「豊富なキャリアの選択肢」と「相談できる距離の近さ」が両立していることは、今だからこその魅力ではないでしょうか。
エンジニアとしての市場価値は、会社が決めるものではありません。自分が何を学び、何に挑戦してきたかで決まります。だから私は、エンジニア自身がキャリアを主体的に選ぶことを大切にしています。「partner for talent.」を戦略に掲げるランスタッドは、その挑戦を支えるエンジニアのパートナーでありたいと思っています。