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【アニメ制作会社の中の人#01】石川社長インタビュー/ここには、ものをつくる醍醐味、面白さ、大変さのすべてが凝縮されています。

石川 光久(いしかわ みつひさ)。株式会社プロダクション・アイジー代表取締役社長。


バイトの求人広告からアニメ業界に迷い込み、次第にアニメ制作の面白さの虜になり、アニメーションスタジオを起業。その後、日本のアニメーション映画として初のカンヌ国際映画祭オフィシャル・コンペティション部門出品となった作品(『イノセンス』)の制作や、ハリウッド映画のアニメーションパートの制作(『キル・ビル Vol.1』)など、世界を股にかけた仕事を続々と請け負い、2003年には「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン(EOY JAPAN 2003)」日本代表に選出された。

日本のみならず、世界のアニメーションシーンに影響を与えたスタジオを創った石川光久社長に、話を聞いた。


社長、宜しくお願いいたします。早速ですが、社長はいまどのようなお仕事をされていますか?

どうしたらみんながお金の心配をしないでいいかを考えています。笑
そのうえで、社員全員が夢を持てる場、その夢を叶える場に、会社がなれることを目指しています。


就活をしている学生さんにとって、アニメ制作会社もたくさんある中で、自分が共感できる会社を見つけるのは大変だと思います。そういった学生さんに理解してもらえるように、I.Gのミッションや魅力を教えてもらえますか?

良い作品を作るということが、I.Gの最大のミッションです。そのためには、社員だけが優秀でも困るし、クリエイターだけが優秀でも困ります。

アニメ制作が舞台だとしたら、良い舞台のためには、良いホールがあって、良い音響設備があって、その上で良い役者がいるわけです。社員はその環境をつくって、アニメーターは役者として活躍する。そうして一緒に作品を作っていくという環境が、会社の中心になっています。それなくしてI.Gは語れません。社員だけでマーチャン(注:マーチャンダイジング)やって、ビジネススキームがよくて……ということではなくて、やっぱり、クリエイターとの融合なんです。

クリエイターとは、フラットな関係でいられることが大事です。お金による縦の上下関係では、信頼関係は生まれません。信頼関係は、一緒に苦労を乗り越えたり喧嘩をしたりしながら育まれる、横の関係から生まれます。これはものすごく大事なことだと思っています。そんな尊敬できる人たちが周りにたくさんいるというのが、I.Gの魅力なんじゃないかと思っています。


I.Gが、クリエイティブとビジネスの両方のバランスを大切にしていることがわかりました。他にも、I.Gの仕組みや構造的な特徴はありますか?

作品を作る現場と、ビジネスを動かせる部署が共存していることに特徴があると思います。

I.Gは、作品を作る「制作」も、企画出資をする「製作」もどちらも行うスタジオです。発展途上ではありますが、タテ型動画配信アプリの『アニメビーンズ』といったプラットフォームの自社開発や、実写作品の製作など多様なアプローチを行い、かつこれらをちゃんと運用できる部隊があるということは、他にはなかなかありません。また、グループに出版社を抱えているということも大きな特徴です。これはIPを総合的に運用していくうえで、かなり大きいことだと思います。

バレンタインにもらったチョコをもぐもぐしながら、インタビューで話題にできそうなネタを探す社長


なるほど。それでは、コンテンツに仕事で関わろうと考えたとき、パブリッシャーやプラットフォーマーとは異なる「制作会社」というアプローチには、どんな魅力があると思いますか?

とにかく、制作会社がものづくりの原点であるということです。

制作は原点なんです。アニメーションである以上、アニメーターが書かないと始まりません。ここには、ものをつくる醍醐味、面白さ、大変さのすべてが凝縮されています。ここで仕事をするということは、最大の楽しさであり、大変さでもあります。でも怖がってたり、同じ釜の飯を食うのは嫌だと俯瞰で見ていたりするだけなら、入らないほうがいいと思います。自分で、その状況を面白いと思える、好みというか、資質や考え方を持っている人には、最高の環境だと思います。

自分としては、作ってる現場の近くにいないで、ただ単にマネジメントしてるのは、面白くないんじゃないかなと思うわけです。マネジメントだけしていたり、経営だけしていても、現場のノウハウは何も残りません。お金しか残りません。でも、実際に手を動かして、進行している側では、人が育ちます。アニメーションをやった人は、その経験が、その人の財産になると思います。

そして、自分たちが現場を持ってる強さがあります。国内で制作というと、下請け、現場、というネガティブなニュアンスも持ち合わせてしまいますが、逆に海外に行こうと思ったとき、現場なくして海外にいくことはできません。結局海外も欲しいのは現場なのです。それを会社として持ってるというのは、最大の強みです。

I.Gにはたくさんのプロジェクトと現場が存在しており、ある種会社にいながら起業気分を味わうことができます。I.Gは起業家的な人材を採用してるし、積極的に育てたいなと思っています。


新しいものの見方を教えてくださったような気がします。石川社長は、そんな活躍したい若手に対してアドバイスをするとすれば、どのような言葉をかけますか?

夢も目標も大事ですが、一つでいいので、欲を持ってほしいです。それは異性にモテたいという欲でもいいし、お金を儲けたいでもいいし、名前を売りたいでもいいです。二つ持つと浮気者になってしまいますが。笑

そして、会社に入社することをゴールにしないことです。入ったらもういいやとなってしまう人が時々いますが、入社はスタートラインです。俗に言う1万時間の法則のように、だいたい1万時間熱中して仕事をやりきると、綺麗な景色が見えてきます。そうすると次の目標が見えてきて、またその目標を目指して走り出すわけです。自分自身もそんな生き方をしていますが、ずっと冒険してるような気分です。

社長席は、部屋や壁で区切られておらず、他の社員と同じ空間にある。


石川社長もずっと走りっぱなしの人生のようですが、振り返ってみていかがですか。

会社を32年ぐらいやってきたわけですが、すごい恵まれているなと、改めて思います。スタッフに対しても、いろんなことに対しても、一言でいうと感謝です。つらいという気持ちよりも、自分の想像を超えるぐらいチャンスをもらいっぱなしで、感謝の気持ちでいっぱいです。

思うのは、一人でやれることって、ちっちゃいことしかできないということです。でもチームでは、みんなの力を一つに合わせながら、自分が持ってないもの含めて周りも成長していくことができる。この流れは、自分自身振り返ってみて、自然体でやってこれたなと思います。

選んだというより迷い込んだようないまの仕事ですが、今でもやればやるほど好きになります。この仕事は、いい意味でも悪い意味でもお客さんの反応がダイレクトに戻ってくる。賃金だけではない付加価値を得ることができます。


これからのI.Gのビジョンを教えて下さい。

I.Gはいままで、たくさんの色を持った花びらが積み重なって一つの花を形成している、あじさいのような姿を目指してきました。ただこれからは、一つ一つの花を、3つか4つ明確にして、みんなで育てていきたいと思っています。会社の中にある個性を、分業ではなくチーム制という形で見出し、会社としても環境を用意したいと思っています。

ありがとうございました!


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