個々人の価値観も大切にしながら制度を見直していく
IT企業、ディスプレイ制作会社、社会保険労務士事務所…さまざまな業界でキャリアを積んだ後、今村不動産に入社したYさん。成長拡大する会社を労務管理の面で支えるべく、キャリア&評価制度の刷新プロジェクトを先導しています。そんなYさんの仕事観や今後の目標についてうかがいました。
目次
出産をきっかけに働くことについて考えを改めた。
子育てと仕事、どちらか諦めないと本当に駄目なのか。
個々人のキャリアパスと評価制度を連動して、誰もが思い通りに働ける環境を目指す。
強い組織をつくる仕事、下支えする人でありたい。
出産をきっかけに働くことについて考えを改めた。
ー これまで様々な業界を渡り歩いてきたとのお話ですが
大学卒業後はIT系企業の営業職からキャリアをスタートし、その後は百貨店や商業施設などのディスプレイ装飾の会社で勤めていました。転機になったのは妊娠と出産。夜中に働くことが多い業種だったこともあり、会社からそのまま続けるのは難しいと言われ、結果的に退職することになりました。
それまでは私自身、社会保険や育児出産にまつわる制度には無頓着だったんですが、制約があると働けないんだ、日本の社会制度ってどうなんだろう?と疑問に感じるようになって。これを機会に今後のためにもそのあたりの知識を身につけたいと考えて、子育てが少し落ち着いた段階で社労士事務所にパートとして入社しました。
ただ、その社労士事務所もなかなかにハードな環境でして…。代表社労士の先生はとても仕事ができる方で、パート勤務の事務職員に対しても求める仕事のレベルが高く、納期や業務責任に厳格な方でした。社会保険労務士として労働者をよく知っているからこそ、厳しい。そんな社風だったので離職率も高かったんです。
私も未経験で入社したので大変でしたが、それ以上に得るものが多いと思って5年ほど勤務していました。ただ、在職中に2人目の子供を出産して復帰した後、叱責されている人を見ているのがつらくなって、引越しをして家が遠くなったことも重なり、将来を考えて退職することにしました。
ー 時代はもちろんありますが、代表者の考え方次第で社風はかなり変わりますもんね
そうですね。いまでこそ社会全体として育児や子育てに協力的な空気になってきたとは思いますが、当時はまだ男性の育児参加が珍しい時代。男性が育休!?という時代だったように思います。次は会社として男性育休を認めるような会社で働きたいなと考えました。
その後、業務内容や仕事のやりがいよりも育児がしやすい環境に身を置こうと思い、メーカーの営業事務として働き始めました。その会社は残業はまったく無くて給与もそれなに良く、休みも取りやすい、まさに私が理想としていた環境!だったんですが、延々と受注内容を入力する毎日。びっくりするほど仕事に面白さを感じられなかったんです。比較的どんな業務でも楽しめる方だと自負していましたが、そんなことありませんでした。ミスも出てしまいますし…苦笑。自分の不得意分野(早く正確にルーティンをこなすこと)を再認識して会社とも話した結果、お互いにとって良くないよね…ということで再度転職することに。
今村不動産入社前は大手住宅メーカーでCADオペレーターとして働いていました。仕事内容は好きでしたし、3人目の子供も無事生まれて特に大きな不満はありませんでした。けれど、良くも悪くも支店長の裁量の大きい会社で、ある支店長の下では派遣社員の女性が出産後復帰した時に時短勤務が許されないけれど、別の支店長の下ではとても柔軟に働けたりと、制度は整っているのに運用する人次第でその制度が活かされない様子を見ていて、なんとなくモヤモヤした気持ちはあったんです。
そんな時、現在今村不動産の管理本部で役員をされているKさんからお誘いいただいたことで、転職することに決めました。Kさんとは社労士事務所時代に出会って、そこからたまに連絡を取り合う仲だったんです。
子育てと仕事、どちらか諦めないと本当に駄目なのか。
ー 「キャリアを積みながらも子育てができる環境」が大きな価値基準ですね
実はもともとそんなに子供好きではなかったんですけどね。ずっと自分の人生に執着がなくて、なるようになると思って適当に生きてきましたが、1人目の子供ができた時にこの子が18歳になるまではまっとうに生きないと…と思うようになりました。たとえ自分やパートナーがいなくなっても子供が生きていける様にしないといけない。そのためには、社会保険や制度って大切だと痛感したんです。
一方、子供がいると働き方はどうしても制約されるし、父母どちらかが面倒をみるとなると、どうしても母親にその役割がまわってくる。当然、会社としては重要な仕事はフルタイムで勤務できる人に任せることになる。そうなると、いくら仕事を頑張りたい、面白いプロジェクトにチャレンジしたいと思っていても、その仕事がまわってくることはないんです。それがなんとなくの空気感でまかり通っている日本の社会って根本的にどうなの?と。
だからこそ、会社の成長にともない人を増やしていて、社内の労務管理体制を再構築していきたい。言われたことをこなすのではなく、自分で考えて提案してくれる人を探している。そんな今村不動産の会社の状況を聞いて、ここなら面白いかもしれない、これまで複数社を経験してきて自分なりに感じていたモヤモヤを、制度の構築運用面から解決できるかもしれないと思って、入社を決意しました。
ー 入社して1年が過ぎましたが、どんな仕事をされているんですか?
メインで取り組んできたのは、社長もnoteで書かれていますが、キャリア&評価制度の刷新です。私が入社した時点でも会社としてのキャリアパスや評価制度は存在しましたが、会社の実態と少しずつ乖離が起こっているように思いました。それを特に感じたのが給与と評価の関係でした。
どこまでの業務レベルができるとどの給与レンジなのか、等級の意味づけが曖昧な様に感じました。。営業職はインセンティブもあって少し複雑だったので、まずは私が所属する管理部門からでも評価制度を見直しませんか?と社長にご相談したところ、会社としても制度刷新の必要性を感じてたので来期に向けて刷新しよう!という話になって、そこから評価制度全体の刷新を行うことになりました。
個々人のキャリアパスと評価制度を連動して、誰もが思い通りに働ける環境を目指す。
ー キャリア&評価制度の刷新プロジェクトでいちばん大切にされたことを教えてください
お話した通り、私はこれまでのキャリアで多様な業種でさまざまな人と一緒に働いてきました。例えば、めちゃくちゃ手が早くて仕事ができるけれど、新しい仕事へのチャレンジ精神や昇進意欲がない人。私は好きだけれど、他の一緒に働く人から見ると、あの人は手を抜きがちだと評価されてしまう。他にも、一生懸命努力を重ねていて仕事に対する意欲やスキルはとても高いのに、中途社員だからと軽んじられてしまったり、明らかに向いていないことをやらされて大変な状況になっていたり…。
人の数だけ仕事に対する考え方や得手不得手があるのに、会社としてひとつの評価軸しかないと、才能を伸ばしてあげられなかったり、モチベーション低下を引き起こしかねないと常々思っていました。これって子育てにも似ています。私という母親から生まれた3人の子供は、生まれ育った環境は同じなのに、性格も得意なこともぜんぜん違うんです。その子供たちに同じ接し方や育児をしてしまうと、彼ら彼女らは生きにくくなってしまう。
だから、新しい制度では旧態依然とした画一的な人事評価ではなく、ひとり一人の働き方を重視した制度を目指しました。マルチなスキルを身につけて管理職を目指す、専門分野に特化する、ワークライフバランスを大切にする。3つの軸を設定したうえで、面談を通して働く人それぞれのキャリアパスをもとに、その人にあった評価制度に落とし込めないかと考えたんです。このあたりの取り組みも社長noteに書いているのでぜひ読んでみてください。
ー 評価制度は導入後、うまく機能していますか?
ひとまず制度化までは漕ぎ着けましたが、運用にあたってはまだまだ課題や改善点はありますね。前提として、今後さらに事業発展を目指す今村不動産としては「成長意欲のある人」を求めている。だから、3つの軸のうちのワークライフバランス型って、実は会社の方針と相反するものでもあるんです。とはいえ、個人や私生活を大切にすることは現代社会の潮流ですし、個人を尊重する会社としては大切にしたい概念でもあります。このあたりをどう整合性をとって定義付けするかは今後の課題だと思っています。
もうひとつは、評価基準の明確化。職種ごとにルーティン作業をこなせる~イレギュラー対応や指導ができるなど、6等級のグレードを設定しています。これを完全に定量化して評価するのは現実的ではありませんが、少なくとも「何ができればOKか」は明確にしないと評価判断ができないので、項目を細かく洗い出して設定していっているところです。
ただここにも課題があって。会社としては設定している事項をただ行えばクリアではなくて、その内容に対して自主的に工夫して欲しいと考えていますし、それが自主性を重んじる今村不動産のカラーだとも思っています。なので、難しいですが「何をもってクリアかを言語化して全社共通認識にする」と同時に「クリアすることが目的ではなく、目的は自主的に考えて動ける人になってもらうことだと共通認識にする」ことは、今後の制度運用の大きなポイントになってくると思います。
強い組織をつくる仕事、下支えする人でありたい。
ー 最後に今後の目標を教えてください
今村不動産は今期オフィス移転を実施し、来期の終わり時点で30名規模の組織を目指しています。人が増えれば当然さまざまな価値観がひとつの場所に集まるので、考えの違いだったり軋轢はどうしても生まれるでしょう。
そこで大切にしたいのは会社としての文化。不動産ディベロッパーというと、どうしても売上至上主義で営業数字を上げてなんぼという風潮がありますが、そこだけを価値基準にしたくないんです。これは、私自身のこれまでのキャリアや経験から身を持って感じているところでもあります。
いろんな人の下で働いてきて実感するのが、売上をあげられる・仕事ができる上司が、必ずしも良い上司ではないということ。一緒に働きたくない人のもとで働いていると、人ってかならず辞めていくんです。事業や組織の拡大スピードに制度設計が追いつかず、企業文化が希薄になって、組織が崩壊する。そんな会社にはしたくない。
もちろん企業としては売上を上げるのが最優先ですし、営業部門と管理・事務部門で評価基準を共通化するのは現実的ではありません。けれど、営業部門であったとしても、売上数字以外の「企業として大切にしておいて欲しいスタンス」も評価基準として取り入れることで、企業文化を守り育んでいきたいんです。
ここは社長や専務をはじめ、他の社員の方とも粘り強く議論を重ねながら、自分なりに試行錯誤していきたい。まだ入社して1年と少しなので学ぶことも多いですが、これまでの経験を今村不動産という環境で活かすことで、私なりに会社の成長を下支えできる人でありたいと思っています。