― 動画制作・CM制作等のエンタメの現場で、変化を前提にプロジェクトを完遂する仕事 ―
前回は、KOLがなぜ「人生を動かすエンタメ」にこだわるのかをお伝えしました。
しかし、その理想を実現する現場は、決して整然としたものではありません。
エンタメ制作の最前線では、「効率的に」「型通りに」というロジックが、そのまま通用しない瞬間が日常的に訪れます。
KOLのディレクターは、こうした不確実性の中でプロジェクトを完遂させる役割を担います。
今回は、その現場のリアルと、そこで求められる最も重要な力——危機察知能力についてお話しします。
1. 合理性だけでは成立しない世界
多くのビジネスの現場では、合理性や効率性が正しい判断につながります。
最短距離で進むこと、無駄を省くこと、再現性高く回すこと。それ自体は間違っていません。
ただ、エンタメ制作の現場は少し違います。
クライアント、IPホルダー、クリエイター——
それぞれが強いこだわりや熱量を持って関わる中で、
・昨日までの正解が覆る
・方向性が急に変わる
・予期しない修正が発生する
といった変化は珍しくありません。
そのため、進行は「予定通りに進むこと」を前提にするのではなく、
想定外が起きることを前提に設計する必要があります。
ここで大事なのは、合理性が常に正しいとは限らないということです。
一見すると無駄に見える確認や、遠回りに見えるやり取りが、
結果として作品の質を守ることがあります。
むしろ、遠回りこそが一番の近道になることも少なくありません。
クリエイティブは、最短距離で良くなるとは限りません。
ときに無駄に見える試行錯誤の中から、はじめて良いものが立ち上がる。
KOLが向き合っているのは、そういう世界です。
2. プロの分かれ目は、「起きてから動くか」「起きる前に動くか」
この不確実な世界でプロジェクトを完遂するために、
KOLが何より重視しているのが危機察知能力です。
つまり、問題が起きてから対応するのか、それとも起きる前に手を打つのか。
その差が、プロジェクトの安定度を大きく左右します。
代表の田中は、よくこう例えます。
「1時間で到着できる場所に向かうとしても、事故や渋滞、予期せぬトラブルを考えれば、2時間前に出発できるかどうかがプロの分かれ目です」
これは特別な才能ではありません。
・起こりうるリスクを想定する
・代替案を用意する
・証跡を残しておく
・相手の動きを先回りして読む
といった判断の積み重ねによって身につく姿勢です。
しかも、危機察知能力とは、単に慎重に動くことではありません。
クライアント、IPホルダー、クリエイターそれぞれの特性を理解し、
「この人は後から条件が変わるかもしれない」
「この相手には先に確認を取っておいた方がいい」
「ここは必ずエビデンスを残しておくべきだ」
と先回りして動けることでもあります。
予定通りに進まなかったことを嘆くのではなく、
最悪の事態を前提に動く。
その思考が、結果的にプロジェクト全体を守る力になります。
3. 「修正地獄」を防ぐ3案出し
この危機察知能力は、日常的な業務の中にも現れます。
例えば、クライアントから修正依頼があった場合。
言われた内容をそのまま1つだけ修正して戻す。
これは一見、効率的に見えるかもしれません。
でもKOLでは、その一手先を読んで動くことを重視します。
「この修正が入ったなら、次は別案も見たくなるかもしれない」
「この方向で返すなら、比較できる案もあった方が意思決定しやすいかもしれない」
そう考えて、最初から3案出しをする。
・追加の修正を予測する
・方向性の幅を持たせる
・判断材料を先に提示する
こうした3案出しは、単に手戻りを減らすためだけのものではありません。
無駄な往復を減らしながら、より良い着地点にたどり着く確率を高めるための工夫です。
最短で返すことより、
最終的に一番良い形で決め切ることを優先する。
それがKOLの仕事の進め方です。
4. 変化を前提に判断し続ける
KOLのディレクター業務は、綺麗な進行管理だけでは成り立ちません。
動画制作やCM制作の現場では、
・状況の変化を受け止める
・その場で判断する
・次の一手を選び続ける
ことが日常になります。
だからこそ必要なのは、
ただタスクをこなす力ではなく、
変化の中で判断をやめない力です。
このカオスを負担と感じるか、
面白いと感じるか。
その感覚によって、この環境の捉え方は大きく変わります。
この変化を前提とした働き方を面白いと感じられる方にとって、
KOLはとても挑戦しがいのある現場になるはずです。
5. 責任を持つための前提
危機を察知し、自ら行動する姿勢。
これがなければ、責任あるポジションを任せることはできません。
KOLでは、こうした思考を持つ人にこそ、重要な役割を託していきます。
合理性だけではたどり着けない場所がある。
遠回りに見える工夫が、結果的に作品を一段良くすることがある。
そして、クリエイティブは無駄に見える試行錯誤の中から育っていく。
そんなものづくりの本質を面白がれる人と、
私たちは一緒に仕事がしたいと考えています。