光岡 敦のプロフィール - Wantedly
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今回はCEOの光岡さんとエンジニアの菅原さんに、2021年11月にリリースした、最先端の営業DXを実現する新機能「MIL for Salesforce」の開発の裏側についてお聞きしました。続々と新機能をリリースし、進化し続ける自社プロダクト『MIL』を支えるエンジニアの”リアル”とは?
CEO:光岡 敦
エンジニア:菅原 沙織
光岡:今回、新機能追加に至った背景は主に2つあります。
1つは「ユーザーニーズの追求」です。
実は創業当時から、個人の視聴動態・視聴ログをより正確に、より効率的に取得できる方法を模索していました。というのも、それまでの『MIL』のレポート機能では動画自体の分析はできても、動画の視聴者一人一人の動態を追うことが難しかったからです。今回の新機能ではそういった部分を解消することで、よりユーザーに寄り添えるのではないかと考えました。
もう1つは「BtoB市場への本格展開」です。
これまで『MIL』というサービスは、化粧品や飲料といった一般コンシューマー向けの商品、つまりBtoC領域にご提供する機会が多かったんです。一方コロナ禍のマーケットにおいて、BtoB領域のサービスを展開する企業は、サービスの紹介、リード獲得、ナーチャリングなど幅広い場面で動画を活用する機会が増えています。そこで、今回の新機能を皮切りに、より多くの企業様にインタラクティブ動画編集プラットフォーム『MIL』をご活用いただきたいと考えました。
光岡:はい。大きく分けて3つあるのですが、まずは前述した通り、インタラクティブ動画の視聴者ごとの「視聴ログ」が取得できるようになったことです。視聴回数や再生時間といった一般的な動画視聴データに加えて、「タップ・クリックの回数」や「タップ・クリックした個所」など、より詳細な視聴動態データの取得が可能であり、視聴者の興味・関心度を測ることができるようになりました。
次に、「MILスコア」という機能です。
これは「トータル視聴回数5回=5ポイント」など、視聴状況に合わせて、自由にスコア設定ができます。これにより、視聴者の状態に合致した効果的なアプローチが実現可能になりました。
最後は、メルマガリストが自由に作成できる機能です。
これは、動画の「再生時間」や動画内の「タップ・クリックの回数」といった指標毎にリストを作成することができ、効率的なナーチャリングを行う上ではとても重要な役割を担っています。このようにナーチャリングの粒度をより細かく捉え、それぞれのセグメント毎に適切なアプローチができるようになれば、企業の営業活動に大きく貢献することが可能になります。
BtoBサービスを提供している企業の多くが、このコロナ禍においては、ウェビナーなどのオンラインイベントを通じてリードを獲得しています。そして、そのリードを温める、つまりナーチャリングしていくための一つの手段として、今回の新機能は大きく貢献することができるんです。一般的には、獲得したリードがそのまま受注になるケースの方が稀ですからね。
菅原:壁だらけでしたね(笑)。
『Salesforce』そのものに対する知識がゼロに近い状態からスタートしたので、用語を理解する初期段階から苦戦しました。セールスフォース・ドットコム社が公式で公開しているドキュメントを解読するためには、そういった事前知識が必要不可欠になります。
なので、実際に手を動かす作業だけでなく、そういった知識のインプットや棚卸しの時間もかけながら着実に前に進めていきました。通常のWeb開発に比べて『Salesforce』の開発に関する情報は少なく、さらに新しい(第二世代の)開発方法を選択したため、情報がほとんどありません。加えて開発元が米国のため、サポートへの問い合わせやセキュリティレビュー用のドキュメント等を扱う際は、全て英語で対応する必要があります。
地道にインプットを続け、一つずつ解決していく。今回の新機能開発においては、そんな泥臭い進め方の重要性を再認識しました。
また、環境構築やアプリのパッケージ化、セキュリティレビュー等 、開発以外の部分についても想定外の問題が発生することが多々ありました。実装までに半年程度を想定していたのですが、結果的には1年以上を要する長期の開発になりました。
菅原:そうですね、時間がかかったのはリードや取引先責任者をリスト化する機能でしょうか。『Salesforce』の標準機能に合わせて、検索項目を可変で設定できるようにしました。ANDやOR等の検索条件ロジックも利用者が自由に設定できます。他のSQLで当たり前にできることが、『Salesforce』のSOQLではできない部分が多々あったので、かなり試行錯誤しながら調整していきました。
今回の新機能開発において重要なポイントは、『Salesforce』特有の制限を考慮した設計を行わなければならなかったことです。具体的には、一度のトランザクションで使用できるSOQLクエリやDMLステートメントの数、SOQLクエリの文字数等、細かいルールが数多く存在するため、それに合わせた設計の変更が何度か発生しました。さらに、テストクラスの実装と、テストのカバー率75%以上が必須でしたので、コードを書く量もかなり多くなりました。
菅原:正直に言うと、これまでのキャリアの中で一・二位 を争うぐらいに辛い経験でした。規模的にも期間的にもここまで大きなものを一人で担当するのは初めてだったので、個人的に色々と成長できた気がします。技術力だけでなく、精神力あるいは忍耐力みたいなものは鍛えられましたね。
また、MILではシステム内の「1機能を一人のエンジニアが担当」する開発体制なのですが、実際に1システムを一人で最後まで任せてもらえたのは、本当に貴重な経験だなと改めて感じました。それと同時に、自分が思っている以上に、CEOの光岡やリードエンジニアの大城に信頼していただけているのだなと気付くことができました。
光岡:個人的にも、菅原に担当してもらったおかげで、とても良いものができあがったのではないかと思っています。特に「AppExchange」という最後のセキュリティレビューにおいては、何度も指摘が入りコードを直す必要があるのが一般的だと言われていたのにも関わらず、一発OKをもらうことができたんです。実際に、セールスフォース・ドットコム社の担当者の方からも「こんなに精度の高いAppExchangeはあまり見たことがありません。MILさんのエンジニアのレベルの高さが伺えます。」との声をいただきました。
菅原:最後はビシッと決めることができて本当に良かったです。『MIL』と連携しているため、レビューの対象は『MIL』のシステムも含まれるのですが、そこも問題なく通りました。
(セキュリティレビューが通った時の社内Slack報告)
光岡:今回の新機能の反響は大きかったです。『MIL』を活用しているお客様から「今まで見えてなかったユーザーの行動が見えるようになったことで、様々な課題解決ができようになった」と言っていただける機会もありました。
当たり前なのですが、コンテンツって触れてもらえないと意味がないと思うんです。リード施策としてのメルマガ一つとっても、メルマガ内に画像やURLのテキストリンクを貼るだけでなく、インタラクティブ動画を見せることで「触れてもらえる状態」を作り出せる。そのインタラクティブ動画内で興味関心を深ぼり、動画内のユーザー行動をデータとして全て社内に蓄積できるこの新機能は、これからより価値が増していくと思います。
実はこの機能、それ以外にも「サービス導入後のオンボーディング」として活用することもできるなど、とても幅広い可能性を持っているんです。今まで人力でやっていた部分をただ動画に代替するのではなく、触れるインタラクティブ動画を用いてユーザー行動を分析し、効率的な運用を実現可能にします。
そのため、『MIL』というサービス自体もマーケティングやインサイドセールスなどの上流工程だけでなく、中長期的にはカスタマーサクセスの効率化においても幅広く活用していけたらと思っています。
光岡:『Salesforce』だけに留まらず、他サービスとの連携も強化していきたいと考えています。企業によって活用しているCRMの組み合わせは様々なため、連携先を増やし可能性を広げていきたいです。
また、今回追加した機能に加えて他機能も網羅的にバージョンアップを行く予定です。将来的には、「BtoBのリード、ナーチャリング施策であればMIL動画」と言われるような世界を創り上げたいと考えています。
MILはインタラクティブ動画業界で常に先頭を走り続けています。役職や雇用形態問わず、アイディア次第で新しい開発にも挑戦できますし、一人一人が大きく成長でき、達成感を得られるような開発環境になっています。
エンジニアチームにはまだまだ人手が足りていません。MILと共に大きく成長したいと考えている方、少しでも興味が湧いた方はぜひご応募ください!