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コンテンツ制作を率いるリーダーの役割とは? ベテランのコンテンツディレクターが語る業務内容

インフォバーンは「We are the Storytellers.」をスローガンに、企業のマーケティング支援/デザイン支援を行う会社です。社内では、コンテンツディレクター(編集職)、Webディレクター、アカウントプランナー(企画営業職)、デザイナーなど、さまざまな職種・職能のメンバーが在籍し、それぞれの力を結集して仕事に取り組んでいます。

以前、「コンテンツディレクターの仕事とは? 現場社員が語る業務内容と働き方」という記事で、インフォバーンにおける「コンテンツディレクター」の仕事を紹介しました。今回お話をうかがったのは、ベテランのコンテンツディレクターで、オウンドメディア案件におけるコンテンツ制作チームのリーダーも務めている、田中圭子さんと鈴木椋介さん。経験豊富なお二人に、コンテンツ戦略のプランニングやオウンドメディア運用について、解説していただきました。

※田中圭子さん、鈴木椋介さん、それぞれの社員紹介記事もWantedlyで公開しています。

▼田中圭子
雑誌編集者への憧れと挫折とストーリーテラーとしての今
▼鈴木椋介
クライアントの成果にコミットする。スキルよりもマインドが大切なワケ


コンテンツ戦略のプランナー、制作チームのリーダー

――コンテンツディレクターの業務は、案件全体のコンテンツ戦略から始まり、具体的な制作をしていきますが、どのような流れで進めていますか?

田中圭子(以下、田中):オウンドメディアを立ち上げるタイミングでは、案件メンバー全員でメディアのコンセプトを考えたうえで、編集方針や具体的なコンテンツ案、制作フローなどはコンテンツディレクターを中心に提案していきます。

鈴木椋介(以下、鈴木):案件ごとに体制は変わりますが、必ずプロジェクト全体を統括するプロジェクト・マネージャー(PM)がいます。これは職種とは関係なく、コンテンツディレクターが担うこともありますが、多くはその下にコンテンツを専門に戦略プランニングし、制作チームを統括する責任者が立ち、さらにその下に複数のコンテンツディレクターがいて、一つひとつのコンテンツを実制作していくイメージです。

田中:コンテンツの責任者は、記事のクオリティー管理や、案件全体のマーケティング/ブランディング戦略から制作物がズレていないか、などをチェックしながら、制作チームを統括します。

――その役割は、立ち上げの際にはコンテンツ面の戦略を考える中心メンバー、運用が始まってからはコンテンツ制作を率いるリーダーといったイメージですね。戦略から携わる場合と、制作のみ参加する場合とで、立場の違いは意識しますか?

田中:コンテンツを考える点ではどちらも変わらないので、私は全然意識しないですね。

鈴木:僕もあまり気にしないです。どちらかというと僕は、コンテンツディレクターという意識もさほどなく、すべての案件にPMのつもりで向き合っています。結局、インフォバーンとして果たすべき役割は、「クライアントのためになるか」を考えて施策を実行していくことだと考えているので、常にその目的を忘れずに高い視座を持つようにしています。

――鈴木さんは実際に、PMとして関わっている案件もありますよね。

鈴木:そうですね。3チームに分かれた制作体制を取る人数が多い案件で、制作領域ごとにリーダー・ポジションの人が立っています。記事のクオリティー管理などはそれぞれに任せ、僕はその3人のリーダーとコミュニケーションを取りながら、プロジェクト全体におけるKGI・KPIの達成度、個々の数値や進捗の管理をしたうえで、より良い戦略や新しい打ち出しを考えています。

――初期フェーズと運用フェーズでは、コンテンツディレクターの業務やメンバー体制も変わってくると思いますが、いかがでしょうか?

田中:そのメディアで出す記事の数や頻度にもよりますが、だいたい最初の提案時よりも実際に制作がスタートしてからのほうが、参加するコンテンツディレクターは増えます。提案の際にプランニングした人がまず実際に制作してみて、他のメンバーにコンテンツの方向性や制作フローを共有していくことが多いですね。

鈴木:明確なコンセプトは立てているにせよ、具体的な制作の過程で気づくこともありますからね。蓋を開けてみたら、プランニング時点ではなかったクライアントからの要望を受けて、軌道修正する必要が出る場合もあります。

田中:私の場合は、そのまま一緒に制作も続けることが多いですね。同じコンテンツディレクターという肩書でリーダー・ポジションについても、鈴木さんはPM寄り、私は制作現場寄りといったように、案件や担当者の得意な形によって担う役割にもグラデーションがある気がします。

オウンドメディアを運用するうえで重要なことは?

――具体的なコンテンツの企画はどう立てているのでしょうか?

田中:案件によりけりですね。ネタ探しから始めるゼロからの提案もあれば、クライアント側が発信したいネタに対して「こういう切り口でコンテンツにしては?」と提案することもあります。

鈴木:商品のリリースやイベント開催などに合わせてお題が決まっている場合も、ただ情報として出すだけでは広がらないので、第三者視点で「こうやったらリーチしやすいですよ」と企画提案します。一方で、企画内容にあまり縛りがない案件で、検索流入数、資料請求数、会員登録者数などの各KPIを踏まえて、仮説や検証を繰り返しながらロジカルに企画を考えていく場合もあります。

田中:あくまで傾向としてですが、BtoB案件はクライアントから企画の種をもらうことが多く、BtoCの案件はイチから提案することが多いですね。

鈴木:BtoCだと、ある程度の広いユーザー層にリーチしないといけないので、マスに刺さる企画が求めらるし、BtoBだと、訴求したいニーズがピンポイントでユーザー像も明確なので、「この界隈にこうリーチしていきましょう」というロジックを立てた企画が求められる傾向があるかもしれません。

――企画会議のようなものはあるのでしょうか?

田中:案件によりますが、必要に応じてコンテンツディレクターが集まり、企画などを話し合うことはありますね。ただ、案件に関わる全メンバーが集まる定例会議のほうが、頻度は高いと思います。

鈴木:社内の定例で進捗確認などしつつ、クライアントとの定例も行って、新たな課題や要望、これからの方針について打ち合わせます。それを踏まえて新たな提案を考えたり、公開したコンテンツを分析・検証して伸びた記事と伸びなかった記事の原因を探ったり、追加の拡散施策を検討したり……。ただコンテンツ制作をしているのではなく、あくまでメディア運用を支援しているので、自ずと個々の企画もそれだけを考えればよいわけではないんです。

だいたいどの案件も、年間計画として何月に何本、どのような記事を出すのかは期初に決めるので、そこから逆算して制作スケジュールも決めます。それに沿って、具体的な企画を立てながら制作していきます。

――オウンドメディアの運用を支援していくうえで、重要なことは何でしょうか?

田中:クライアントの置かれている状況などを理解し、本当に必要なことは何かを考えて動くことだと考えています。経験が浅いと、「先輩からOKをもらえればそれでよし」と単眼的に判断してしまうこともあるかもしれません。でも、クライアントやクライアントの先にいるエンドユーザー、取引先の方、何より読者を意識して、「この企画で本当に良いのか」とさまざまな視点から何度も“壁打ち”して考えることが大事です。

鈴木:僕は、常に提案し続けることも大事だと思っています。運用するなかで、初期の立ち上げ時点よりも多くの情報が手に入ります。月1回など定期的にコンテンツごとの分析レポートを出しますし、「このコンテンツがウケたけど、このコンテンツはウケなかった」といったデータがどんどん蓄積されていく。

それを踏まえた提案をしていく姿勢を持つことが、最終的に信頼関係の構築にもつながると思っています。クライアントの期待に応えること、安定的にメディア運用していくことは当然の最低ライン。そこからプラスαがないと期待値を超えないので、本当の信頼も得られません。

PV数を稼いでそれで終わり、というのはありがちですが、僕はそれではいけないと思っています。もちろんPV数も大事ですが、クライアントにとってのゴールはPV数が増えることではない。きちんとその先の目的、事業のどの部分に貢献できて、どんなインパクトを与えられているのかについて、常に考えています。

▲鈴木椋介(すずき・りょうすけ)|音楽カルチャーメディアの編集を経て、食とヘルスケア領域を強みとするPR会社でPR戦略立案からメディア掲載獲得までを担当。編集スキルとマーケティング・PR思考を活かして、現在はインフォバーンにてプロジェクトマネージャー、コンテンツディレクターを務める。

――お二人は、インフォバーン入社前にもコンテンツ制作のお仕事をされていましたが、入社後に自身の意識として変わったと感じることはありますか?

田中:コンテンツ制作に対する目的意識ですね。マーケティングの目的を踏まえてコンテンツを考えるようになったのは、インフォバーンに入ってからです。前職のWeb制作会社でも記事制作はしていましたが、ユーザーにとって面白くて読みやすいものにすることにばかり意識が向いていました。それもとても大切なことですが、それだけでは足りないと今は感じます。

鈴木:僕はWebメディア企業とPR会社にいた経験がありますが、メディア企業での記事制作は、基本的に数字を取って媒体規模を広げていくことが目的になります。クライアントワークとしてタイアップ記事などもつくっていましたが、あくまでも「そのメディア媒体を使ってどうするか」という枠内で提案するしかない。要するに、媒体の広告枠を売る以外に提供できるソリューションがなかったんです。それは次に入ったPR会社も同じで、「メディアへのPR施策を考える」という方法自体は決まっていました。

その点でインフォバーンは、クライアントの課題や目的に対して、提案できるソリューションに縛りがない。読み物、漫画、動画、イベントなど幅広い選択肢を取れるので、本質的に何がいいのかを考えながら、最適解を提案できるようになりました。

そのぶん、クライアントの事業へのコミットメントをより強く意識するようになりましたね。特に最近は、オウンドメディアやコンテンツマーケティングに求められることも、シンプルなPV数やUU数だけでなく、「事業貢献しているか?」がシビアに問われるようになってきています。どういう構成にしたらコンバージョンにつながるのか、どのタイミングでどんな記事を読むと会員登録につながるのか。今後はそうした「成果につながるコンテンツ制作」がいっそう求められてくると思うので、そこによりコミットしていきたいと思っています。

どのように制作チームを統括するか?

――コンテンツ制作チームを率いるうえで、苦労していることはありますか?

鈴木:メンバーの成長をサポートして、チーム全体の力を上げていくことですかね。特にPMを務める場合、コンテンツ制作に自ら介入しなくて済む状態が、僕は理想的だと思っているんです。そうすれば、戦略立案や来期に向けたプランを考える余裕が生まれるじゃないですか。メンバーの成長を促す意味も含めて制作は任せていきつつ、丸投げはせずにサポートする。そのバランスを取りながら運用を進めていくのは、重要であり難しくもあります。

田中:コンテンツの統括責任者といっても、現実的にすべてのコンテンツを1人で完璧にコントロールすることは不可能ですよね。企画に対するクライアントとのやり取り、取材で出た話題、ライターが執筆した経緯……そういった流れをすべて理解しないと、このタイトル、この構成、この文章で最適なのかどうかは、判断しきれない。

コンテンツのクオリティーといっても、単に文章力だけで決まるものではないんです。クライアントの伝えたいことを、読者の興味・関心や、社会の文脈に則って伝えられているか、読者の共感を得られるものになっているか、取材時のライブ感を伝えられているか、などの判断を重ねて制作していくことが必要です。

だから、コンテンツディレクターには、人間の経験値みたいなところが求められていると思います。案件に若手のメンバーがジョインした際は、単に原稿をチェックするのではなく、まず一緒に企画から取材・原稿制作まで伴走して、そうした細かな判断を共有するようにしています。

▲田中圭子(たなか・けいこ)|編集プロダクションで雑誌・Webコンテンツ制作、Web制作会社でデザイナー、ディレクター経験を経て、インフォバーンでコンテンツディレクターを務める。BtoB案件を中心に、企業のオウンドメディアの立ち上げ、コミュニケーション設計に携わる。

――コンテンツディレクター以外のメンバーとの関わりはどうでしょう? たとえば、アカウントプランナーやWebディレクターがPMの場合、どのように連携していますか?

田中:初期提案の際には、連携というよりも職種関係なく全員で動いている感覚ですね。運用が始まって以降は、私の場合、PMの人が案件全体の予算やスケジュールをクライアントとやり取りしたり、来期の戦略やKPIを立てたりすることが多いですね。その方針を受けて、具体的に実現するためのコンテンツを考えています。

鈴木:僕の場合は、PMでなくても、けっこう戦略や方針にも積極的に関わっていきますかね。もちろん社員ごとに得意な分野があるのでそこはお任せしますし、担当するPMの特性によって担当範囲も微妙に変わってくる感じです。

田中:基本的には提案の時点で、話し合いながら役割分担を決めていきますよね。コンテンツディレクターにいくら「こうしたい」という考えがあっても、PMも理解して納得しなければ、同じ方向に向かえない。PMにもコンテンツを理解する姿勢が大事だし、コンテンツディレクターもプロジェクト全体を考える視点がないといけないんだと思います。

――コンテンツディレクターが、PMや制作チームのリーダーを務めるまでには、何かステップがあるのでしょうか?

田中:いや、あくまで案件ごとの役割であって、役職や職能的な肩書ではないので、明確なフローがあるわけではないと思います。特に経験者採用で入った場合は、それまでのキャリアにもよりますね。

鈴木:結局、「案件に対して何で貢献できるか」という話で、得意な方がPMを担う感じですね。ステップアップして目指す、というのとはちょっと違う気がします。

――とはいえ、新卒採用の新入社員がすぐに務めることはない?

田中:オウンドメディアとは何か、コンテンツ制作とは何か、といった基本がわからないとさすがに務まらないので、新卒1~2年目で任されることはなかなかないと思いますが、運用案件にしばらく携わっていくなかで、リーダー的な役割を担うようになることはよくありますよ。

逆に経験者であれば、すぐに担当することもあります。ただ、それでもコンテンツディレクターの場合、一度は現場の実制作を経験すると思います。

鈴木:インフォバーンの方法論みたいなものがあるので、実際に自分で手を動かしてコンテンツをつくってみないと、インフォバーンとしての制作フローがわからないですからね。でも実際に、入社1年も経たずにリーダー・ポジションを務める方はいますよ。

コンテンツ制作会社であり、マーケティング支援会社であるインフォバーン

――コンテンツディレクターとして働くなかで、インフォバーンはどういう環境だと感じますか?

田中:やりたいことは何でもできる環境だと思います。コンテンツディレクターとして、コンテンツ軸に、自分の好きなことや得意なことを結びつけて仕事をつくっていくことができるので、やりたいことがある方にはすごく楽しい会社じゃないかと思います。それに立場は関係ないです。新卒でも、周りを説得させられるきちんとしたロジックさえあれば、やりたいことができると思います。

鈴木:やりたいと言ったら、やらせてくれる会社ですよね。自分なりに「こうしたい」という想いがある人にとって、楽しく働けるし、どんどん活躍していける職場だと感じます。

――「マーケティング支援」という視点ではどうでしょうか?

鈴木:僕らが所属する部門は、僕が入ったときは「ソリューション部門」という名称で、そこから「エクスペリエンス部門」になり、今は「コミュニケーション・デザイン事業部」となっています。要するに、扱う対象や領域が、どんどん上位概念になっているんです。

ただクライアントの課題解決を目指すのではなく、ユーザーに体験価値を届けたり、コミュニケーションを通じてユーザーの価値観や行動を変容させるところまでデザインしていく。今はマーケティング活動として、そこまで考えなければいけなくなっています。

インフォバーンは、ただコンテンツ制作をする以上の予算をクライアントさんから割いていただいています。だからこそ、それに値する価値を提供しないといけないし、制作した納品物に対して対価をもらっている感覚でいてはいけないと思っています。

田中:「コンテンツマーケティング」という言葉がありますけど、だんだんその「マーケティング」の目的として、「市場をつくる」というレベルまで見据えた仕事が増えているように感じます。すでに満たされているニーズに対して、なんとか売り伸ばそうとするのではなく、新たなニーズを発掘して、気づいてもらうような仕事です。

それを実現するには、やっぱりストーリーの力が必要だし、それができるのがインフォバーンだと思っています。

鈴木:よく面接の際に、「コンサルティング・ファームとの違いなんですか?」と聞かれますが、戦略立案だけでなく、コンテンツなどの具体的なアウトプットまで一気通貫して提供できることが、インフォバーンの特徴だと思います。

コンテンツ制作に強みがある会社なので、戦略部分からそれに紐づくアウトプットまで、責任を持って取り組めることが、インフォバーンで働くうえでの良さかなと思います。そうした他社との差別化の意味でも、やっぱりコンテンツディレクターはインフォバーンにとって肝になる存在かなと。

――これからこういう仕事をしてみたい、という想いを最後に教えてください。

田中:そうですね……。抽象的な話になりますけど、昔からあるけど、今はその価値が揺らいでいるものってあるじゃないですか。形骸化していたり、存続が難しくなっていたり。そうしたものでも、コンテンツのアイデアと技術とを掛け合わせたら、新たな価値を生み出せると思うので、そうした仕事に関わってみたいですね。

鈴木:僕も、価値としてより大きなものを生み出したいと思っています。一つのコンテンツ云々というより、メディアをつくる、クライアントと一緒に事業をつくる、さらには新たな市場をつくる、というように、より大きなものをつくって世の中に変化を起こしていきたい。これまでにない価値観を当たり前にするとか、価値転換を起こしていきたいです。

それは1人でできることではないので、やっぱりチーム力の向上が必要ですし、自分のそのスキルを上げつつ、メンバーの育成もしていきたいと思っています。結局、何でも1人じゃできないんですよね。1人だと1にしかならないけど、チームなら掛け算で大きなものが生み出せる。PMとして関わっている案件でも、僕だけでは何もできないですし、それぞれのメンバーの力が結果に対して大きなインパクトを与えています。大きな成果を生み出すためにも、やっぱりチーム力が大事だな、と感じているところです。

――ありがとうございました。


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