弊社代表取締役の関根がnoteに記載した記事をご紹介します。
注意:【ゆる説】は、日頃「実は、こうなんじゃないか」と感じた説を、備忘録的にゆる〜く書き留めたものです。真偽は皆さんで確かめてください。
最近、何事も基本が大事、凡事徹底だと思うようになった。
マーケティングも一緒だ。
毎年いろんなバズワードが登場するが、「いかに人の心を動かし、行動を変え、ビジネスを成功に導くか」の原理原則は変わらない。
Penguin Tokyoには、苦境に陥ったブランドからよく相談が寄せられる。
相談を受ける中で気づくのが、
戦略の基本中の基本がすっぽり抜け落ちている
ということだ。
例えば、市場シェアによって、ある程度、利用可能な経営資源が決まってしまうから、ポジションに応じて戦い方を変えなければいけない、というのは基本中の基本の一つだ(参考:クープマンの理論)
日本では多くの市場が成熟化し、業界3位以下のブランドは苦境に陥っているが、彼らが犯してしまっている最大の間違いが、
上位ブランドと同じ戦い方をしようとする
ということだ。
先述のクープマンの理論によれば、市場シェア6.8%は「存在目標値」と呼ばれ、かろうじて競合から認知されているが、市場への影響力がないため、市場からの撤退を検討する水準だと言われている。
事実、苦境に陥っているブランドは得てして、シェアは6.8%を切っていることが多い。
しかし、日本企業の辞書の中には「撤退」の二文字はなかったりするので、市場シェアが6.8%を切っていても、そのまま事業運営を続けてしまいがちだ。
そういったブランドの担当者は、ただでさえ、デフォルトで難しい戦いが迫られているのだが、経営陣からは市場の生き残りをかけて、シェア10%を目指せ、と号令がかかる。
本来であれば、シェア6.8%未満のブランドの戦い方としては、
・新しい市場/カテゴリーを作り出す
・特定のニーズ・ウォンツを満たすニッチになる
・自分たちよりも弱いブランドを徹底的に叩き潰してシェアを積み上げる
・フォロワーに徹して、シェア伸長は狙わず、上位ブランドの成功パターンをひたすら真似する
のいずれかを選ぶのが、定石だ。
しかし、それらの戦略が取られることは極めて稀だ。
多くの場合、競合が何か新しい動きをすれば、特に戦略的意図もなく、「なぜうちはできないんだ、今すぐ対応しろ!」となり、皆同じ土俵で戦い始める。当然、同じ戦い方なら、勝つのは経営資源が豊富な上位ブランドだ。
では、なぜ定石の戦略が採用されないのか。
それは、自分たちが弱小ブランドだ、という認識がなかったり、仮にその認識があったとしても、戦略の基本中の基本が知られていなかったりするからだ。
前者に関しては、過去市場シェアが高かったり、他の市場でマーケットリーダーで社内で求められる基準が高かったりすることが悪さをして、弱小ブランドとしての戦い方が許されないことが多い。多分に社内的な事情で、かなり根深いものだ。
後者に関しても、マーケターとしてのキャリアを形成できるような環境が社内に用意されていなかったり(例:他部門からのジョブローテが頻繁、Off/On-JTの場がない)、業界内外の成功・失敗事例に関して社内のナレッジ蓄積が不足・言語化されていなかったたりすることが、原因であることが多い。
いずれも一朝一夕では変えられないし、究極、経営陣のリテラシーに依存する。
しかし、不平不満を言っても何も始まらないので、一人一人のマーケターが流行り廃りに流されず、何が原理原則、基本なのかを意識して、日頃から情報収集し、実践しようとすることがその第一歩になるのかもしれない。