中学の頃、優斗は何をやっても中途半端だった。
部活も勉強も続かず、ノートの1ページ目だけ綺麗で、2ページ目から白紙になるタイプだった。
ある日、担任が言った。
「優斗、続けられないのは悪いことじゃない。
続けたいと思えるものにまだ出会ってないだけだ。」
その言葉は、当時は響かなかった。
高校に入り、進路調査票が配られた。
周りは将来の夢を書いていく。
優斗の紙だけ空欄だった。
家に帰ると、机の上に古いノートがあった。
中学の頃、1ページだけ書いて放置したノート。
ページをめくると、担任の言葉が書いてあった。
「続けたいと思えるものに出会ったら、そこから始めればいい。」
優斗はペンを取った。
ノートの2ページ目に、たった一行を書いた。
「今日から、続ける練習をする。」
それは大きな目標ではなかった。
毎日10分だけ、机に向かう。
それだけの習慣だった。
10分が15分になり、
15分が30分になり、
気づけば毎日机に向かうのが当たり前になった。
ある日、担任が学校に来た。
優斗のノートを見て、笑った。
「ほら、続けられるじゃないか。
続けたいと思えるものに出会ったんだな。」
優斗は首を振った。
「違う。
続けたいと思えるものは、続けてみたら見えてきた。」
担任は少し驚いた顔をして、うなずいた。
春、優斗は進路調査票に書いた。
空欄だった紙に、初めて文字が並んだ。
「自分で選んだ道を、自分で続ける。」
ノートはもう白紙ではない。
ページは埋まり続けている。
優斗は知っている。
やる気は、待っていても来ない。
動いた瞬間に、勝手に湧いてくる。
あの日の10分が、すべての始まりだった。