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オライリーの本が読み放題のサービス「O'Reilly Online Learning」を導入しました

こんにちは、コミューン株式会社技術戦略責任者のanoChickです。

コミューンでは7月より、オライリーの書籍等の学習コンテンツを定額で利用し放題のサービス「O'Reilly Online Learning」をコミューンで働くエンジニア向けの新たな支援制度の一環として導入しました。

コミューン、エンジニアのスキルアップ支援のために「O'Reilly Online Learning」を導入

今回は、私達がなぜ「O'Reilly Online Learning」を導入するに至ったか、また、実際どのように活用しているのかについて紹介します。

O'Reilly Online Learningとは

O'Reilly Online Learningとは、技術書の出版で有名なO'Reilly Media社が提供する学習支援サービスです。

O'Reilly Japan - Learning Platform

オライリーの書籍が読み放題

2023年8月時点で、O'Reilly Online Learningを通じて英語の書籍は約48,000冊、日本語の書籍は約230冊がオンライン上で自由に読むことが出来ます。
O'Reilly Online Learningというサービスは、少し前までは日本語の書籍は殆ど扱いが無い状況だったのですが、最近はO'Reilly Japanから出版される技術書についても、初版から2ヶ月程度でO'Reilly Online Learningで購読可能になるものもあります。

直近ですと、2023年6月発売の「初めてのTypeScript ―型安全なJavaScriptでWeb開発を加速する」や「セキュアで信頼性のあるシステム構築 ―Google SREが考える安全なシステムの設計、実装、保守」などの書籍が2023年8月時点で読めるようになっています。また、書籍以外にも動画での学習コンテンツや、ライブコース等様々なサービスがあります。

法人契約限定で利用できる機能がある

O'Reilly Online Learningは個人で契約・利用する事も出来ますが、[Cloud Labs]など法人契約にしかない機能もあります。Cloud Labsとは、AWSやAzureなどのクラウドサービスを学習目的で利用する事が出来る機能です。
例えばAWSであれば、期間限定のIAMユーザーが発行され、AWSのWebコンソールにアクセスできる等、一般的なIAMユーザーとしてAWSを利用することが出来ます。(機能制限有り)

この機能を使って、EC2を使ったWordPressサーバーの構築やTerraformを使った環境構築等、様々な実践的プラクティスを体験することが出来ます。
特にクラウドコンピューティングサービス初学者の方は、コンソールをよくわからないまま操作してしまい、知らないうちに多額の請求が発生していた。といったトラブルの発生が容易に想像でき、心理的なハードルが高いと考えています。

しかし、この機能を使う事で追加の請求が発生する恐れがない状態で、ストレスなくAWSを触ることができるという利点があります。現在提供しているサービスはAWSとAzureのみですが、今年中にGCPも追加する予定と伺っており、コミューンでは主にGCPを使っているため、GCP版の提供開始をとても楽しみにしています。

以上が簡単にはなりますが、O'Reilly Online Learningに関する説明でした。より詳細な情報については公式サイトのほうが詳しく書かれているはずですので、興味の有る方はさらにそちらに目を通すことをおすすめします。

なぜ導入したか

エンジニアが技術知識を獲得する機会を増やす

現代では、ソフトウェア開発に関する情報はWeb記事等から得る事もできますが、やはり信頼できる書籍からの知識獲得も重要だと考えます。オライリーの書籍に関わらず、自由に書籍購入を補助する制度というものも検討していましたが、実際に運用を考えてみると、本を購入する毎に経費の申請・承認作業の手間が発生するため、それであれば”給与を社員への最大の還元とすること”でカバーするのが最善と考えました。

また、通常技術書を購入する際には 「その本を読むことで金額に見合った価値を得られそうか」という購入判断をする必要があり、些細な事ではありますが、学習機会を得るための障壁になり得ます。読み放題のサブスクリプション形式であれば、購入判断をせずに書籍の内容を読むことが出来るため、成長障壁を一つ排除できると考えました。

共通認識を作り、チームの強度を高める

Commune開発組織では、3冊の書籍をエンジニアのメンバーに向けた必読書として設定しています。これは、Communeを開発する上での最低限の知識を定めると同時に、共通の知識・考え方・価値観を共有することでコミニュケーションの摩擦を軽減し、誤解や食い違いを防ぐ目的があります。同じ価値観を共有すると組織の一体感が高まり、より強い組織になるはずだと考えますが、実際に「組織全員でたくさんの同じ本を読む」というのは、まず全員が本を読める状態にする必要があり、これはあまり簡単なことではありません。

O'Reilly Online Learningを組織全体で契約することで、メンバー全員が同じ書籍に等しくアクセス出来る状態を作ることができます。これによって、共通の価値観が作りやすく、チームの強度を高める為の施策が打ちやすくなると考えました。

組織のグローバル化をより円滑に

現在、コミューンは国内へのサービス提供だけでなく、海外への事業展開も行っています。それに伴い、私達の組織はよりグローバルな観点を持つことが求められるため、非日本語話者の採用を始めました。

現在開発部門には数名の非日本語話者が在籍しています。業務上のコミュニケーションや文書の英語化などが進んでおり、コミューンのエンジニアに求められる英語能力が高まってきているという現状です。現在O'Reilly Online Learningで読むことが出来る日本語の書籍の殆どはその原書も購読可能です。そのため、「この本のn章にとても重要な事が書いてあるのでコミューンのエンジニアは全員読んでほしい」というような場合に、その本の英語版・日本語版の両方がO'Reilly Online Learningにあれば、日本語が読めない人、英語が読めない人のどちらにも本の内容を共有することができます。これにより、言語の垣根を超えて共通の知識を獲得することができ、組織のグローバル化を進める上でも有効だと考えました。

2ヶ月利用してみて

O'Reilly Online Learningを導入してから2ヶ月ほど経過して、実際にどうだったかについてと、使ってみてわかった新たな発見がいくつかあったので紹介します。

サービスが素晴らしい

O'Reilly Online Learningの書籍購読機能を実際に利用してみて、特に通常の電子書籍サービスとは違う素晴らしい性質が2つありました。

1つは、Webブラウザのページ翻訳機能との相性が良いことです。O'Reilly Online Learningで公開されている書籍は、ページというものがなく、各章ごとに1つのWebページで閲覧できます。これがなかなか体験がよく、ページ送りをせずにその章を読むことができるので、Webブラウザの機能などを使ってページ全体の翻訳をしている場合は、次のページに移動する毎に翻訳によるチラつきが発生することがなく、快適に自動翻訳された文章を読むことが出来ます

このように、英語書籍であっても自動翻訳を使うことで(人による翻訳には劣りますが)快適に自分の読みやすい言語で書籍を読めるため、O'Reilly Online Learningを導入した事で、想定していたよりも大量の書籍にアクセス出来るようになりました。

2つめは、O'Reilly Online Learning全体の検索機能が書籍の内容を含めた全文検索になっていることです。例えば、"イベントソーシング"と検索すると、タイトルに「イベントソーシング」と含まれている書籍だけではなく、イベントソーシングについて言及されている書籍についても見つけ出す事ができます。これにより、「イベントソーシングの具体的な実装例について調べていたけれど、リライアビリティエンジニアリングの観点でも新しい知見を得ることが出来た」などのO'Reilly Online Learningならではの体験を得ることが出来ます。

輪読会を開催しやすくなった

これは導入前から想定していた事なのですが、輪読会を行う際の障壁が限りなくゼロに近づきました。

複数人で共通に興味のある本を選び、その本を持ち回りで読み、解釈を説明しあうような輪読会は、開催のために事前に参加者それぞれが同じ本を購入するなどして用意する必要があります。この時、「購入はしたのですが、まだ届いていないので延期か不参加でお願いします…」など、ちょっとした事で足並みが揃わなくなるような事がよくあるかと思います。O'Reilly Online Learningがあると、本を事前に購入する必要はなくなり、輪読会が失敗しにくくなります。

O'Reilly Online Learningは未来型読書法[ABD]との相性が最高

O'Reilly Online Learningの導入後まもなく、社内のエンジニア主導で未来型読書法(ABD)での輪読会が実施されました。

未来型学習法[ABD]を用いた輪読会を提案するメンバー

ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)とは、簡潔に言うと「限られた時間の中で、参加者が手分けをして並列に各章を読み、まとめ、発表する輪読法」です。ABDの詳細についてはアクティブ・ブック・ダイアローグ協会のサイトに詳しい記載があります。

未来型読書法 アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)公式サイト

このABDを使った輪読の最大の長所は、事前準備が全く要らない事にあると私は考えます。輪読というものは、担当の人が事前に本を読み込み、まとめておくような方法が一般的ですが、ABDの場合は事前に読み込む必要がありません。

更にこれをO'Reilly Online Learningを使って行うことで、事前に本を準備する必要もなく、輪読会のための事前準備の一切が必要ないことになります。
そのため、例えばとある開発チームのスプリント内で行うべきタスクが全て完了し、チームメンバー全員に2時間程度の時間的余裕が与えられた時に「今からこの本の輪読会をやろう!」というようなことも可能になります。

このように、O'Reilly Online LearningとABDを組み合わせると、事前準備なしで輪読会を開催できるという事が、導入して一番大きな発見でした。

共有しやすく、チームの習慣に融け込みやすい

O'Reilly Online Learningで利用出来るコンテンツはWebページとして提供されているため、URLを使って手軽に他の人にシェアすることが出来ます。
書籍の場合は、文章の一部分を選択し、そこに直接ジャンプするようなリンクを生成することも出来ます。

O'Reilly Online Learningの利用権を持っているユーザーなら誰でもそのURLから素早く対象のコンテンツにアクセス出来るため、"とある書籍のある部分をシェアする"ということがとても快適に行えます。

この性質がとても便利で、たとえば、コミューンではエンジニア朝会の時にある書籍の内容に基づいたプログラムの可読性に関するクイズ等を出題するという習慣があります。こういったことをやる場合、普通は「詳細は◯◯という書籍のxxxページに記載があるので興味のある方は読んでみてください」となってしまい、実際にその本を手にとりそのページを開いて読むことはすこし面倒に感じられます。ですが、O'Reilly Online LearningのURLを共有する方式であれば、一瞬で書籍内の記述にアクセスすることができるようになりました。

組織内での書籍のシェアの手間が大きく減る事で、こういった組織全体の学習習慣がよりよいものに進化したと感じます。

おわりに

本記事ではコミューンで新たに導入したオライリーのサブスクサービスO'Reilly Online Learningの導入背景と具体的な活用例について紹介しました。

O'Reilly Online Learningはエンジニアに学習機会を与えるだけでなく、組織内での共通認識作りや文化醸成にも一役買う存在であるため、多くの開発組織に導入をおすすめ出来るものだと思いました。

私達は今後も、社内のエンジニアと組織が成長し、より大きな価値創出が出来るような環境作っていくこと、そしてコミューンのお客様やその先のエンドユーザー、更には社会全体をより良くする為のプロダクトの開発を進めてまいりますので、私達の価値観に共感し一緒に組織・プロダクトを作りたいと感じた方は、是非下ご連絡してくださると幸いです。


(この記事は2023年9月25日に、弊社noteにて公開したものです)

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