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旅行×介護。どんなサービスが生まれるのか?コラボレーションする面白さ、そして可能性

東京トラベルパートナーズ株式会社 × シマダリビングパートナーズ株式会社

代表取締役 栗原茂行 × 管理本部部長 奥原次郎

シマダグループでは旅行事業にも「想像力」を発揮しています。東京トラベルパートナーズ(TTP)は、主に社員旅行、研修旅行をはじめとする法人向けの団体旅行サービスを企画・手配・実施するともに、介護施設向けの旅行サービスを手がけています。それが「旅行が介護施設にやってくる」をコンセプトにした『旅介(タビスケ)』。介護事業を行なうシマダリビングパートナーズ(SLP)と密接に連携し、コラボレーションしています。TTPの栗原茂行代表取締役とSLPの奥原次郎管理本部部長が、シマダグループについて、そして新しい発想の介護旅行の魅力と可能性を語り合います。

「絶対にうまくいかない」と言われました

栗原 旅行代理店に勤め、いずれは独立はするつもりでしたから、会社を設立したのは自然な流れでした。長年にわたって社員旅行を担当させていただいていたS.H.ホールディングスの島田成年社長には、その思いを伝えていて、そのご縁からシマダグループに誘っていただき、旅行と介護を組み合わせる発想につながりました。ところが旅行業界の協会理事の人と会う機会があり、プランを話してみたら「絶対にうまくいかない」と言われたのです。しかし本当のところ、介護施設に入居されていらっしゃる方はどう考えていらっしゃるのか。気になって調べてみると、7割強の人が「旅行に行けるものなら、行ってみたい」とアンケートに回答されていました。その一方で、実際に行かれたことがある方は6%とごくわずか。行きたい希望があるにもかかわらず実現できていない。だったら勝機はあるのではないかと考えました。

奥原 シマダグループに入社する前にも、介護業界を長年経験していますが、それは難しいと思われるでしょう。サービスをフォーマット化して、数多くの施設で同じように提供していくほうが、介護事業者は安心ですから、なかなか腰が上がらない。とくに全国展開しているような大手ほど、決められたカタチに従わざるを得ず、いくら現場がやりたくても、創意工夫を反映させるのは大変です。リスクを伴うチャレンジは排除される傾向にあります。

栗原 そこが違うんですね、シマダグループは。入居者様一人ひとりに合った、望まれるサービスをしっかりと提供したいという思いを感じます。地に足が着いているというか、本質をとらえているというか。この会社は本気で、きちんとした介護施設をつくろうとしているのだと感じました。

奥原 私が驚いたのは、打ち合わせなど、あらゆるシーンで社員の人が『Metamorphose(メタモルフォーゼ)』というシマダグループのコンセプトブックを手に取って開いていること。大企業を中心に、似たような冊子をつくっている会社はほかにもありますが、ここまで現場に浸透しているのは見たことがなかった。経営側に共有したい思いがあっても、社員の思いと乖離している場合がほとんど。温度差がありますよね。なかには外向けのアピールのためにとりあえずつくっているところも多いですし。会議にはじめて参加したときも驚きでしたね。各事業の売り上げを発表するのだと思って、数字を準備していったのですが、そうではなかった。どうやったら社会に貢献できるか。5年後、10年後を見据えた事業のあり方を、各部門で考えて発表し、3時間にもわかって真剣に議論しているわけですからね。数字の話はほとんど出ない。すごく新鮮でした。

栗原 会議にはじめて参加したときも驚きでしたね。各事業の売り上げを発表するのだと思って、数字を準備していったのですが、そうではなかった。恥ずかしながら、自分が大企業病にかかっていたことに気が付いてしまいましたね。シマダグループでは、それが当たり前のことなのですが、本質的なことをきちんとやっていると思いました。価値観をすり合わせて、思いを共有している。異なる事業をしていながらも、つながって仕事をしている。横展開できているのも、見えている方向が同じだからといえるでしょう。

奥原 介護施設をつくるにあたっての意見を、建築部門から求められることも多いです。壁に取り付ける手すりひとつにしても、どの位置に、どういう素材や色の、どんなかたちのものにするのがベストか、相談してもらえます。できあがった建物を与えられて、いかに赤字を出さないで運営していくか。それを求められることが介護業界では当たり前なのですが、シマダグループは考え方がまったく違います。

栗原 みんなで理念を共有しているだけでなく、お互いの理解が深いですよね。入社後の研修も3週間かけていろんな部署をまわって、さまざまな事業を自分の目で見ることができますし。

奥原 間違いなく成長できます。たとえば介護職員として日常的に仕事をしていれば、業務の専門家にはなれますが、マネージャーとしてステップアップするためには、さらに別の視点、能力が必要になってくる。それがシマダグループでは身に付くのです。職業人として総合的な成長ができる環境だと思います。介護の資格を持っていながら、宅地建物取引士でもある。そういうのは普通はあり得ない。ところがそれが介護施設をつくるときに役立ったりするわけです。多能工が育つ環境が良いですね。

栗原 物事を広い視点で見る力が養われるのは大きなメリットだと思います。いろんな人が一緒に考えることで新しいアイデアも生まれます。私たちの会社は同じフロアにあって、TTPのすぐ横がSLP。「これ、どうなっているの?」と、気になったことがあれば、すぐに聞いて、疑問を解決できます。今はまだ、TTPの社員で介護士の資格を持っている人は1人しかいませんし、こういう環境があるのはありがたい。コラボ―レーションして、プロの人から助言をもらえる。ビジネスを展開していくうえで、すごく大きな財産だと思っています。

ビジネスチャンスを生み出せる環境

奥原 介護施設の側からみると、職員が日取りを決めて利用者様をどこかへ連れて行き、一日付き添うことは大変で、かなりハードルが高かったんです。できるにしても年に1~2回の日帰り旅行が限度。近くの浜辺に海を見に行く。それだけでもう大イベントでした。けれど今はTTPから少人数に対応ができる単発の旅行を細かく企画してもらえている。利用者様に喜んでいただけ、職員やご家族もうれしいですし、『旅介(タビスケ)』のニーズはものすごく高い。欲しいところにスポットを当ててもらえて、助かっています。

栗原 『旅介(タビスケ)』では移動のために、10人乗りの介護タクシーを自社運行したいと考えて、一般旅客自動車運送事業も取得しました。これからはインバウンドの障がい者向け旅行を手がけることも考えています。SLPとはこれからも、より深く交流して、新しいビジネスを一緒につくっていきたいですね。なかには旅行に興味のある介護職の人、英会話スキルを活かして活躍したいという人もいるでしょう。事業の免許、専門的な資格、人それぞれのさまざまなスキルの組み合わせていくことで、たくさんのビジネスチャンスを生み出せると思います。シマダグループの展開で中心になっている不動産事業にしてみても、1ヵ月単位で借りれば賃貸、1泊単位ならホテル。国土交通省管轄のそれぞれ違う事業認可ですが、提供するサービスの内容は、実は一直線上につながっている。そういった間に存在する「すき間」にもチャンスが潜んでいる気がします。

奥原 ご存じのように、介護業界は採用が難しく人手不足といわれています。それで多くの会社が職員を募集するにあたって、休みの多さや給与の高さをアピールする傾向にあります。しかし厚生労働省が発表した調査結果によると、やりがいや成長を求めて離職している人が、実は多いのです。私はSLPで築けるキャリアを介護業務だけに限定する必要はないと考えていて、その点でもTTPとの交流にはメリットを感じています。いろんな経験ができるチャンスに恵まれて、社会に役立つサービスを提供する最前線で活躍できる。やりがい、成長を実感できるはずです。お互いを行き来しながら柔軟にジョブチェンジするのも面白いでしょうね。

栗原 事業として介護旅行のサービスを提供している競合は見当たらず、今すぐにでも私たちが日本一だと旗を立てることはできるはずです。しかし、望んでいるのはそこではない。マーケットが活性化するために、もっとたくさんの企業に参入してきてほしいと思っています。介護が必要な方がもっと気軽に旅行を楽しんでいただける世の中になってほしい。そのうえで業界トップになりたいですね。SLPには介護の資格を持つ人が約500人いますから心強い限りです。私たちの取り組みに関する意見やアイデアも、ご遠慮なく、ぜひ聞かせていただきたいですね。

奥原 施設内旅行イベントの「旅行がやってくる」も好評でした。VRのリアルティがすごくて、参加した入居者様は本当の旅行に行ってきたつもりになられていました。次に期待するとしたら「食」をテーマにした企画ですかね。人間って、食欲はなかなか衰えない。利用者様を見ていると、あらためてそう思います。

栗原 なるほど。ありがとうございます。ぜひ参考にさせていただきます。これからも力を合わせてお互いに成長していけるよう、良いお付き合いをお願いします。

奥原 こちらこそ。今後ともよろしくお願いします。

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