「ルールのない中で自分で考えて作ったものが1事業としてサービスオンした時は、非常にやりがいを感じます。」
食×DXで「仕込み」の常識を変え、「食のサプライチェーン」に変革をもたらすシコメルフードテックにおいて、ITは非常に重要です。その領域を一手に引き受けているのが、CTOの畠山。
シコメルのDX化がどのように進んでおり、今後どのような姿を目指しているのかインタビューを行いました。飲食業界やスタートアップのDX化に興味のある方に、ぜひ読んでいただきたいです!
<プロフィール>
畠山 歩 | CTO 兼 IT戦略室室長
大学卒業後、株式会社プロトソリューションに入社。ベトナム拠点を立ち上げ、オフショア拠点責任者を担当。その後独立起業を経て、2022年からシコメルフードテックにCTOとして参画し、社内全体のIT推進とデータ管理を管掌。
まずは、畠山さんがCTOに就任したきっかけを教えてください。
2021年から、業務委託という形でシコメルのアプリ開発に携わっていました。その後、COOの川本から誘いを受けて、2022年の夏に入社を決意しました。当時、ベトナムで自分の会社も経営していたので、引き継ぎなどをしながら、2022年12月に東京に引っ越しをして正式にCTOとして入社しました。
ベトナムから東京に!それまではベトナムで働いていたんですか?
はい。軽く私の経歴をお話しすると、2012年に大学卒業後、仙台のシステム開発会社に入社しました。2017年に他の会社と合併してベトナムに拠点を立ち上げる話があった際に、マネージャーとして立ち上げ業務に携わり、そこからベトナムに住んでいました。
私のキャリアとしては、ベトナム拠点を0から35人のチームに大きくした後、独立して自分の会社を立ち上げました。日本駐在員向けのメルカリのようなサービスや、日本の商品の配送代行サービスなどを行う会社で、今も運営しています。
自分でも会社を運営していたのに、シコメルへ入社したのですね。
最初は断ろうと思っていました。自分の会社を頑張ろうと思っていたので。
ですが、もともと面白いビジネスモデルだと感じていたので、興味はあり考え直しました。その上で、入社を決めたのはシコメルフードテックに3つの魅力を感じたからです。
一つ目は、シコメルフードテックのメンバーに好印象を持っていたこと。当時、シコメルにはIT分野に詳しいスタッフはいなかったのですが、自分の話をよく聞いてくれてITへの理解を深めようとしてくれました。「自分はITに詳しくないから」と諦める方が多い中で、すごく働きやすいなと感じましたね。
二つ目は、ビジネスが面白そうだったこと。一店舗から外注できる仕組み自体もすごく面白そうでしたし、このビジネスは伸びると直感しました。
三つ目は、CTOとしてIT全体を改革するというミッションに魅力を感じたこと。ベトナムのチーム立ち上げで0→1の面白さも経験していたので、自分で考えてどんどん改革するというミッションに魅力に感じました。
現在はCTOとしてどのようなプロジェクトを進めているのですか?
今の大きなミッションは2つです。
①シコメルストア(アプリ)を伸ばしていくこと
②社内のDX化を実現していくこと
このミッションを達成するために、様々なチームのディレクションを行っています。
①シコメルストアを伸ばすために具体的にどのようなことをしているのですか?
・サービス(アプリ)をより良くして満足度を上げていく
・より多くの人に使ってもらえるようにPRする
この2点を達成するために、開発やマーケティングチーム、外注先のWEBマーケティング会社のディレクションをしています。現在は特にデータ分析に力を入れており、今後のマーケティングやサービス開発に活かしたいと考えています。
例えば、シコメルストアに新商品を出す時にはデータを下記のように使います。
・同じジャンルの過去商品の売上データ
・同ジャンルの商品を購入しているレストランの業態や傾向
→過去のデータから新商品の売上推測を行う
・キャンペーンバナーのクリック数やアプリ流入数などの結果数値の分析
→商品の売上期待を行い、今後もシコメルとして推していくか判断する
今はさらに様々なデータを集めているので、今後はビッグデータとして活用し幅が広がるでしょうし、より精緻な分析やタイムリーな売上予測など、付加価値の高いサービスを提供できるように有効活用していきます。
②社内のDX化は、どのようなことをしているのですか?
特に2つのことを推進しています。
・データのクレンジング、正規化
・業務の自動化
当社は、倉庫管理システムなど様々な外部のシステムやツールを使って運営しております。それぞれのシステムから必要なデータの集計・突合をしなければならないのですが、今までは各部署や担当者が集計をしていました。そうすると、集計する条件によってデータに差異が出ることもありますし、何より欲しいデータを取得する際に都度、労力がかかってしまいます。また、メンバーのデータ理解レベルやITリテラシーによって取得したデータにばらつきが出てしまう場合もあります。
その労力やミスを減らすために、データを一括で管理できるよう整理したり、ルールを決めて同じデータを毎回集計できるようにしたりしています。さらにデータ集計やその他諸々の作業を自動化し業務を効率化できるように進めている最中です。
当初はメンバーやクライアントの数が少なかったので、手作業でもそこまで手間がかからなかったですし、欲しいデータがある時も「あのデータある?」と隣の人に聞けばすぐに出てくる状況でした。しかし、現在はチームメンバーも29人になり、クライアントも増えています。そのため、ルール作りや自動化していく重要性が増してきました。今は各チームと議論しながら設計して実装まで担当しています。
社内のDX化は今後何を推進していくのでしょうか?
データクレンジングや正規化がある程度進めば、次はデータ活用に移っていきます。
これまでに蓄積してきている様々なデータをビッグデータとして活用することで、例えばこの時期にこの商品を仕入れると、この程度の売上が見込めるといった需要予測や、お客様のレストランメニューに合わせて不足分を補うようなメニュー提案をAIが行ったりするなど計画しています。今まで一部のプロのみが経験と感覚で計っていた部分を、ITの力で多くのユーザーに提供できればと考えています。
社内のDX化を進めることはメンバーの業務効率化につながることはもちろん、顧客満足度の向上にもつながっていくので、どんどん進めていきたいです。
シコメルアプリはver3.0をリリースしたそうですが、どのようなものに生まれ変わったのでしょうか?
シコメル1.0で「仕込みの改善」、2.0で「受発注の効率化」、3.0で「経営改善」を提供するサービスを目指しており、4月に3.0としてプレミアム機能を搭載したばかりです。
今はリリースしたばかりで機能も限られていますが、今後、機能を追加して飲食店様の経営改善により活用できるアプリを目指していきます。プレミアム機能はどちらかというと、5~6店舗以上展開しているような企業向けのサービスです。今年はトライアルとして様々な飲食店様に使ってもらいながら、来年にはさらに機能を追加していく予定です。
現在はプレミアム会員限定のメニューを提供していたり、一定条件を満たすと送料無料になる機能などを提供しております。また、今後ハッシュタグで自由に商品を探していただけるようになったり、店舗での販促に使っていただけるポップのダウンロード機能など搭載予定です。
シコメルプレミアムへの搭載を考えている機能
・メニューコンシェルジュ(データ活用から売れるメニューの提案をする)
・メニューの販促に使える商品写真やSNSテキストを提供する
・商品を会員特価で購入できる
・プレミアム限定のオリジナルメニューを購入できるサービス
シコメルの進化について詳しく知りたい方はこちら →
シコメルがメニュー開発を一緒にするというのはワクワクしますね!
飲食店のみなさんは時代の流行を捉えたメニューや、オリジナリティ溢れるメニューを自分で考えて作り出すことには本当に天才的な方が多いと思います。一方で、データをきちんと活用して根拠あるメニュー作りができているかというと、そこまでは出来ていない店舗が多いのではと思います。
シコメルはアプリからの商品売上データなどを集めているので、毎年の季節ごとにヒットしやすいメニューや最近のトレンドをデータ上から提案できます。それを参考にしてもらえれば、より良いメニュー開発ができるのではと考えています。
今は、ChatGPT的な機能にもトライしています。例えば、「春のメニューでおすすめは?」と聞けば、その時々のトレンドやおすすめのジャンルを教えてくれる機能にすれば手軽に参考にしてもらえると思います。
今までは仕込みや受発注の効率化に特化していましたが、メニュー開発も含めてより飲食店様の売上アップに貢献できるアプリを目指しています。「お客さんが増えたよ」とか「単価が上がったよ」という飲食店様の声が増える世界を実現させたいですね。
そのためにはやはりアプリ開発に力を入れるのでしょうか?
アプリの開発も重要ですが、より多くの人にアプリを使ってもらう飲食店を増やすことも重要です。そのため、認知を増やす施策などマーケティングにも力を入れています。
シコメルストアの商品はメインメニューとしても副菜にも使えるものが多く、使い方は幅広くあります。最近では飲食店のみならず、サウナや温泉施設、ホテル等でも購入頂くケースが増えております。より多くの人に知ってもらえれば、使ってくれる人は自ずと増えてくると思うので、商品の無料サンプル送付や冊子のポスティングなど様々な施策を試しています。
今後もITに力を入れていくと思いますが、畠山さんはどんな方と一緒に働きたいですか?
ITに限らず、新しいものがどんどん出てくる中で、新しい発見が面白いと思ってくれる人と働きたいです。実際、私自身も今までは開発のディレクションが中心だったので、マーケティングは専門外でした。専門外の仕事だからこそ、日々新しい発見があって面白いなと思いますし、同じような感覚の人はシコメルフードテックにも合うのではないでしょうか。
他には、「ITにこだわりすぎない」ということも大事だと思います。開発したサービスやアプリは誰かが使うものなので、より良くするためにはコミュニケーションが大事だと思います。いろいろな部署の人と話すことを大事にする人の方が良いですね。
システム開発会社だと大きなシステムの一部分だけ担当するなど、クライアントからの要望に的確に応えることが求められることも多いです。しかし、シコメルフードテックでは決まったルールもないので、一から作ることになります。サービスを作ってまたフィードバックを受けて改良してというサイクルが重要なので、コミュニケーションはとても重要です。
私はここがシコメルフードテックで働く魅力だとも思います。ルールのない中で自分で考えて作ったものが一事業としてサービスオンした時は非常にやりがいを感じます。新しいことを勉強しながら一から作ることに魅力を感じる方はぜひ一緒に働きたいですね!