高還元SES（システムエンジニアリングサービス）とは、受注単価に対して高い割合の報酬を還元する企業のことです。本記事では、高還元SESの実態や、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

高還元SESとは

高還元SESの定義

高還元SESとは、受注単価に対するエンジニアへの報酬の還元率（マージン率）が高い企業のことを指します。一般的なSES会社の還元率は案件単価の50～60％が相場と言われていますが、高還元SESでは還元率が70%以上の企業を指します。「派遣（準委任）売上×還元率（◯◯%）＝給与」この◯◯％が70%以上が高還元SES企業と言えるでしょう。高還元SESは、エンジニアにとって魅力的な選択肢となる一方、企業側にとっても人材確保やプロジェクト成功のための重要な戦略となります。

高還元型SES企業の特徴

dodaやエン転職やTypeなどで求人情報を見ると下記の項目が掲載されています。高還元SES会社は一般的なSES会社とは違った内容です。

・高還元［還元率70%以上！］
・案件選択が自由（案件選択の権限がエンジニア側にある）
・取引先BP数をアピっている
・リモート率をアピっている（現状はフルリモート案件は急減）

転職サイトでの高還元SESの表示例

還元率の計算方法

還元率は、受注単価に対するエンジニアの報酬の割合です。具体的な計算方法としては、受注単価から、人件費、社会保険料、福利厚生費、営業費用、管理費などを差し引いた残りの金額をエンジニアの報酬として計算し、その割合を還元率として算出します。例えば、受注単価が100万円で、エンジニアの報酬が70万円の場合、還元率は70%となります。
「還元率70％以上！」でも実際は60~65％程度である

先ほども説明したとおり、ごく一般的なSES企業の還元率の平均は単価の50〜60%と言われております。それと比較して高還元SESの還元率は70%〜85%を謳っています。本来は会社が国に支払わなければならない「会社負担の社会保険料」を還元率に上乗せしてあたかも高還元のように見せかけ、いざ給与支払いの時にはエンジニアの給与から、それを差し引くという手口が高還元SESでは一般的になっています。つまり、ITエンジニアの採用時には還元率を高く見せて多くの応募を募るという手段です。

このような偽りの表示に近いグレーな記載をしている高還元SES会社にはくれぐれもご注意ください。

高還元SESの給与形態

高還元SESの裏と表

還元率が高い企業の中には、他の面でコストカットを行っている場合があります。例えば、福利厚生が充実していない、休日が少ない、残業が多いなど、エンジニアにとって働きにくい環境である可能性もあります。また、高還元を実現するために、企業が受注単価を高く設定している場合もあり、顧客との関係性に影響を与える可能性も考えられます。実際の企業選びでは、還元率だけでなく、企業の経営状況や働きやすさ、顧客との関係性なども総合的に判断することが重要です。

高還元SESで働くメリット

高い給与が期待できる（年収1000万円超えも！）

高還元SESでは、受注単価に応じて高い報酬が得られるため、給与が一般的なSES企業よりも高くなる傾向があります。これは、高還元SES企業が、エンジニアに高い報酬を支払うことで、優秀な人材を獲得し、顧客に高品質なサービスを提供することを目指しているためです。高い給与は、エンジニアの生活水準向上に繋がり、経済的な安定をもたらします。また、高収入を得ることで、自己投資や資産形成にも積極的に取り組むことが可能になります。
高還元SESで働くエンジニアの年収は、一般的に500万円～1000万円前後と言われていますが、中には、年収が1000万円を超えるエンジニアも珍しくありません。

案件は自己選択で自由度が高い

高還元SESでは、案件を自分で選ぶことができ、スキルアップやキャリアプランに応じた仕事が選べます。これは、高還元SES企業が、エンジニアのスキルや経験を活かせる案件を提供することで、エンジニアのモチベーション向上とスキルアップを支援しているためです。自分の興味関心や得意分野に合わせた案件を選択することで、仕事への満足度を高め、より高いパフォーマンスを発揮することができます。また、様々な案件に挑戦することで、幅広いスキルを習得し、キャリアアップに繋げることが可能です。

モチベーション維持

高い報酬はエンジニアのモチベーション維持に繋がります。頑張りが報酬に直結するため、高いモチベーションを保てます。高還元SESでは、エンジニアの努力が直接報酬に反映されるため、高いモチベーションを維持し、仕事に積極的に取り組むことができます。また、高い報酬を得ることで、エンジニアは自分の仕事に対する価値を感じ、より一層努力しようと考えるようになります。これは、エンジニアの成長と企業の業績向上に繋がる好循環を生み出す要因となります。

高還元SESのデメリット

倒産リスクがある

高還元を実現するためにコストカットを行っている企業は、経営状況が不安定な場合もあります。高還元SES企業の中には、利益率を上げるために、人件費や福利厚生費などのコスト削減を行っている企業も存在します。しかし、このようなコストカットは、企業の経営状況を悪化させる可能性も孕んでいます。特に、受注単価が低い案件や、顧客との関係性が不安定な場合は、企業の経営が安定しない可能性が高くなります。そのため、高還元SES企業を選ぶ際には、企業の経営状況や安定性をしっかりと確認することが重要です。

計算方法の違い

企業ごとに還元率の計算方法が異なるため、比較が難しいことがあります。高還元SES企業は、それぞれ独自の計算方法を採用しているため、同じ還元率であっても、実際の報酬額が異なる場合があります。例えば、ある企業では、受注単価から人件費のみを差し引いて還元率を計算しているのに対し、別の企業では、人件費に加えて会社負担の社会保険料や福利厚生費なども差し引いて計算している場合があります。そのため、高還元SES企業を選ぶ際には、企業が採用している還元率の計算方法をしっかりと確認し、他の企業と比較検討することが重要です。

営業フォローの不足

還元率が高い企業では、営業フォローが手薄になることがあるため、自分で案件を見つける必要があります。高還元SES企業は、エンジニアに高い報酬を支払うことで、優秀な人材を獲得し、顧客に高品質なサービスを提供することを目指しています。そのため、営業活動に力を入れるよりも、エンジニアのスキルアップやキャリア支援に注力している場合があります。そのため、高還元SES企業では、自分で案件を探したり、顧客との関係を構築したりする必要があり、営業経験やコミュニケーション能力が求められます。

高還元SESを選ぶポイント

還元率の詳細を確認

企業が提示する還元率の計算方法や根拠をしっかりと確認しましょう。高還元SES企業を選ぶ際には、還元率だけでなく、その計算方法や根拠も確認することが重要です。例えば、還元率が70%と表示されていても、実際にエンジニアに支払われる報酬額が低い場合があります。これは、企業が還元率の計算方法に、人件費以外の費用を含めている場合や、受注単価が低い案件を多く受注している場合などが考えられます。そのため、企業が提示する還元率の計算方法や根拠をしっかりと確認し、実際に受け取れる報酬額を把握することが重要です。

高還元を実現しているか実績を見る

実際に高還元を実現しているか、過去の実績やエンジニアの声をチェックしましょう。高還元SES企業を選ぶ際には、企業の過去の実績や、実際にその企業で働いているエンジニアの声を参考にしましょう。企業のホームページや口コミサイトなどで、過去の案件やエンジニアの評判などを調べることができます。また、実際にその企業で働いているエンジニアに話を聞く機会があれば、より詳細な情報を得ることができます。企業の実績やエンジニアの声を参考に、企業の信頼性や働きやすさを判断しましょう。

企業の安定性を確認

還元率が高いことだけでなく、企業の経営状況や安定性も重要な確認ポイントです。高還元SES企業を選ぶ際には、還元率だけでなく、企業の経営状況や安定性も確認することが重要です。企業の経営状況が不安定な場合は、将来的な報酬の支払いが滞ったり、倒産したりするリスクがあります。そのため、企業の財務状況や経営実績などを確認し、安定した企業を選ぶようにしましょう。また、企業の規模や顧客との関係性なども、企業の安定性を判断する上で重要な要素となります。

高還元SESの未来

今後の市場動向

高還元SES市場の今後の動向について解説します。需要の高まりや市場の変化に注目しましょう。高還元SES市場は、今後も成長が期待されています。これは、IT人材の不足が深刻化する一方で、企業のIT化が加速しているためです。企業は、人材確保のために、高還元SES企業に頼らざるを得ない状況となっています。また、エンジニアのスキルや経験に対する価値観が高まっていることも、高還元SES市場の成長を後押ししています。今後、高還元SES企業は、より一層、エンジニアのスキルアップやキャリア支援に力を入れていくことが予想されます。

キャリアアップ・キャリアパスの可能性

高還元SESで得られるスキルや経験は、将来的なキャリアアップにも繋がります。高還元SES企業では、様々な案件に携わることができるため、幅広いスキルを習得することができます。また、優秀なエンジニアと仕事をする機会も多いので、スキルアップやキャリアアップのための貴重な経験を積むことができます。高還元SESで培ったスキルや経験は、将来、独立して起業したり、転職したりする際に役立ちます。

スペシャリスト：特定のスキルや言語に特化し、それらの案件をいくつも経験し、高単価の案件を獲得を目指すキャリアパスです。

マネジメント：プロジェクトマネージャー（PM）など、マネジメント職を目指すキャリアパスです。その分案件単価も高いです。

独立・企業：様々な経験を積み、人脈形成を行い、現場で培ったスキルを磨き、独立を目指すキャリアパスです。

まとめ

高還元SESの選び方と注意点について理解できたと思います。高還元SESは、エンジニアにとって魅力的な選択肢ですが、リスクも存在します。自身のキャリアプランに合わせて、企業の経営状況や働きやすさ、顧客との関係性などを総合的に判断し、最適な企業を見つけましょう。高還元SESで働くことは、エンジニアにとって大きなチャンスとなりますが、同時に責任も伴います。しっかりと情報収集を行い、自分のキャリアプランと照らし合わせて、慎重に判断することが重要です。

安心安全の高還元SESに転職を考えている方へ

新しい挑戦に踏み出すことは、人生において重要な一歩です。
転職活動は自分自身を知り、成長する貴重な機会でもあり、夢や成長を追求するためには必要な要素の一つになるかと思います。
どんな選択をされるにせよ、その決断があなたに取って素晴らしい未来を切り開くことを願っています！
私と一緒に誇れるエンジニアを目指しましょう！

■『株式会社グラディート』では受託開発・SES・ブランディングデザイン・事業コンサルティングなどを事業として行う都内のIT企業です。現在、不遇な待遇で困っているエンジニアさんは、ぜひ一度グラディートに相談してみてね！（年収査定・SESへの転職相談も承っております！）