昨年6月にコンサルタントとなった柳瀬大紀さん。
Media Theaterに入るまでは、リクルートマーケティングパートナーズで約4年間メディアセールスをやっていました。
そこからデジタルマーケティングのコンサルタントへジョブチェンジした理由とは?そして小さなコンサルベンチャーを選んだ理由とは?
今回は、柳瀬さんを深掘りしていきます。
文字通り、「足」で稼いだ2年間
―早速なんですが、リクルートマーケティングパートナーズに入る前、新卒のときのことを教えてください。
新卒で入った不動産会社で2年間セールスをしていました。就職活動をしていた時は、特にやりたいこととかなかったんですよ。でも、ぼんやりと「将来は自分で事業を興したい」みたいな想いはあって。まあビジネスの世界に飛び込むなら、まずは「売る力」をつけた方がいいだろうと思って。それでセールスを選びました。
不動産会社ではTo Cで主に「新築分譲マンションの販売」や「中古マンションの仲介」をやっていました。その時はとにかく足で稼ぐ感じで、夜にテレアポ、夜中にポスティング、日中に商談、空き時間は大手企業の社宅などに飛び込みに行って…みたいな日々でしたね。自走しないと仕事もない環境で、体力勝負でもありました。
その会社に入って1年経ったくらいから、だんだんと契約が取れて、社内の成績もトップを争うくらいになりました。でもそれは自分に営業力があるからというよりも、とにかく行動量重視でやること全部やり続けていたら、いつのまにか周りと差がついていた、という感じでした。逆に言えば、ここで「量が質を凌駕する」側面があることは、学べたかなと。
ーお話を聞く限りだと、その会社でトップを独走しつづけるという道もあったような気がしてしまうのですが…
確かに、入社2年後とかには収入もある程度になっていたし、その道もあったかもしれません。でも、そんな体力勝負のセールスをやる中で、ふと「ありたい理想像に対して、今やるべきことはなんだろう?」と思ったんです。
その会社ではセールスのノウハウが仕組み化されていたわけでもなかったですし、ただ自分自身ががむしゃらに走り回っていた感じで。ある程度経験値はたまったかもしれないけど、「売る力をつけるために、さてじゃあここからどうしよう」と。
考えた末に、いっそのこと今より収入が落ちてもいいから、自分のために「経営者に対して提案する力」「To Bの新規営業で仕事を取ってくる力」「売る力から、プロダクトが売れていく仕組みを構想する力」を身につけられるところで働きたいと思って。それで、リクルートマーケティングパートナーズに転職しました。
リクルートで学んだソリューションセールス
―リクルートマーケティングパートナーズにはどのくらい在籍して、どんなことをやっていたんですか?
約4年間いて、主にゼクシィのメディアセールスを担当していました。クライアントはウェディングフォト・映像制作の業者や大手ギフトショップなど、中小企業から大企業まで様々でしたね。僕のミッションは、クライアントの集客支援を通して売り上げをUPさせることで、経営者に対して直接企画を提案することも多く、刺激的でした。
―前職に引き続き、セールスをやっていたわけですね。
そうですね。ただ前職ではひたすらマンション契約の売り上げや数字を追っていたのに対して、リクルートでは広告の媒体営業に陥らないソリューションセールスを目指していました。そこには、入社時から常に「介在価値」を考えるように言われていたことが大きく関わっていますね。
もちろん、クライアントにはゼクシィの誌面やゼクシィNetに広告を出してもらわないと僕の売り上げが立たないわけなんですけど。それでも「クライアントを口説き落として、大きい広告出稿契約を取れたら終わり」ではないんです。
クライアント・カスタマー・ゼクシィ、それぞれの描く「ありたい姿」の実現をサポートする伴走者のような、そんなソリューションセールスを行うことを意識していましたし、そこにやりがいを感じていました。
―セールスとしての取り組み方が前職とは大きく変わったわけですが、そこから自身の強みに変化を感じましたか?
「できて当たり前のことはとにかく全部やる」という姿勢は不動産セールスの時代から変わっていなかったと思いますし、そこは変わらず僕の強みでした。虫の目で、クライアントの商材の強みと、カスタマーのニーズを徹底的に掘り下げてマッチングさせることに相当力を入れたので、最終的にはそこが最大の強みになっていましたね。
これは僕がウェディングフォト業者の集客支援を担当していた時の話なんですが。カスタマーである花嫁さんが「いいな」と思ってコンバージョン(撮影を依頼)する商材写真と、そうでない写真の間に感覚的な違いがあったんです。その感覚的な違いを言語化することができれば、クライアントの集客に活かせる提案ができるんじゃないかと思って、そこに徹底的に向き合いました。
簡単に言うと、コンバージョンしない写真は明らかに「ダサい」んです。花嫁さんが写真に違和感を感じるんですよ。そこで、そのダサさの要素を分析していって、同時にコンバージョンする写真は何がダサくないのか、なぜ「こんな風に撮りたい」と思わせるのかを考えて、チャート化しました。
―そのあたり、詳しくおうかがいしてもいいですか?
大丈夫ですよ。チャート化した結果、写真の背景・ドレス・花嫁さんのヘアスタイル・表情ポージングの組み合わせが写真の印象を大きく左右していることが分かりました。コンバージョンの多い商材写真は全体的なまとまりがあって、「このフォトスタジオで、この人に撮ってもらいたい!」と思わせるような要素の組み合わせになっているんですよね。なので、カメラマンの強みと花嫁さんの間でのトレンドが噛み合うような要素の組み合わせを考えて、それをクライアントに提案していました。
この分析って、考えてみたら「やって当たり前」のことだと思うんです。でも当たり前のことって意外とみんなやってないんですよ。当時はそれを意識的に全部やろうと思っていましたね。
そして、自分の中での「勝ちパターン」みたいなものを見つけてからは、売上で社内表彰してもらったり、社内の広報に取り上げてもらったりしました。全国のセールスパーソンから「ウエディングフォト領域での集客ノウハウをシェアして欲しい」と問い合わせが頻繁に来るようになりましたね。
―「ウェディングフォトのメディアセールスに柳瀬あり」みたいな状態になっていたと…
大袈裟ですが(笑)その気概で取り組んでいました。クライアントである経営者陣に「ビジネスパートナー」として認めてもらえるレベルまで成長したいと思っていました。だから、ペーペーのメディアセールス担当だった僕が、あるウエディングフォトのクライアントの事業企画・設計まで入り込み、大幅な売上アップを実現するといった経験もできたのだと思っています。
「10年後のありたい姿」を見直してみる
―ジョブチェンジを考えたのは、何か理由があったんですか?
うーん、そうですね…まあ、セールスに関しては一通りやってきたなと。もちろんセールスはとても奥が深く、まだまだ経験できることも多いですよ。ただ、「ユーザはなぜこの商材・サービスを買いたいと思うのか」という部分のインサイト分析とデータ分析を構造的に捉え、ビジネスにおいて具現化していくことがしたいという気持ちが大きくなっていました。
あとは改めて「10年後のありたい姿」みたいなものを考えたんです。自分で事業を立ち上げたいという思いは消えたわけではなくて。そこに向けて、「現時点でどんなスキルが足りていないか?」という部分を考えていったら、Webのスキルに辿り着きました。
―転職先はMedia Theaterに絞って検討していたんですか?
いや、絞っていませんでした。他にもコンサルティングの会社を受けていましたし、その上でMedia Theaterよりも先に別のコンサル会社への転職を考えていたんです。でも、そこでは自分の興味があるWebマーケティングのコンサルティング業務には携われないと言われていて。そのうえで、全く違う広告代理店部門へ入ることをオファーされていたんですね。自分にはWeb関連のスキルセットがないからそう言われても仕方がないなと思う反面、正直、やりたいことはこれなのかとかなり考えました。
そんな時にMedia Theaterの代表である今木に出会いまして、「そんならこっち来ないかい?」と(笑)
―柳瀬さんを誘い込む今木の姿が目に浮かびますね(笑)
そうなんです。今木から話を聞いていくうちに、徹底的にコンバージョンレート改善にこだわってWebコンサルティングを進めていく姿勢や、クライアントの様々な商材に合わせつつも、ユーザ調査から見えてくるユーザの心理を元に画面設計をしていくというMediaTheaterの「ユーザ中心のアプローチ」にとても共感しました。
こちらからは今木にユーザの購買心理に興味があることや、将来自分の事業を持つことを見据えてWebのスキルセットを身に付けたいことを伝えて。改めて「それならMedia Theaterどうですか」という話をしてもらったので、入社を決めました。
やっぱり、何もWebの知識がない状態で、それでもWeb領域のコンサルタントとして働ける環境って転職活動をしていても中々見つからなかったんです。あの時の今木との出会いは本当にタイミングが良かったんだと思います。
Media Theaterで、やりたかったことをやれている感覚
―2018年からコンサルタントとしてのキャリアがスタートしたわけですが、実際はどうでしたか?
やりたかったことをできている感覚があって、最初からとても楽しかったですね。もちろん分からないことだらけでしたけど、入社1ヵ月で早速大きなプロジェクトにジョインして、そこから常に今木に壁打ちしつつ、実地で経験を積んでこられたことが大きな糧になっています。
そして何より、スピード感が段違いです。入社して以来、既に相当な数のプロジェクトを経験しました。成長スピードも凄まじいですよ、そこは自信があります。
Media Theaterでも前職リクルートでの経験が活かせる部分はかなりあるんですよ。例えば、クライアントの課題が「Webサイトのコンバージョンレートアップ」で「リスティング広告の最適化とランディングページ設計」のプロジェクトだとして。でもどんどんユーザ調査からインサイトと現状とのGAPを深掘りしていくと、芋づる式に様々な課題が浮き彫りになっていくわけです。
短期的に取り組むべき課題だけでなく、WebのリニューアルやCRM、Web範囲を超えたサービス設計など、中長期的なPDCA課題が必ずあります。クライアントにヒアリングをかけつつ課題を整理し、解決プランを一緒に練っていくことに関しては、かなり前職の経験が効いていると思いました。
―入社して1年が経ちましたが、入社直後からの変化は感じますか?
今は今の課題がありますね。自分が前職でやってきたのは主に定性分析なんですよね。クライアントからのヒアリングも、顧客の購買心理の深堀りも。もちろんさっきも言ったようにそのスキルがすごく役立っているとは思っています。
その一方で、定量データから課題を抽出したり、それを元にPDCAを回していく、みたいなところはまだまだ弱いなという実感があります。そのあたりが強い社員もいますし、今木はもちろんデータドリブンなので、積極的にノウハウを吸収していければと思っています。
―最後に、転職やジョブチェンジを考えている方へのメッセージはありますか。
そうですね…僕はかなり大きくジョブチェンジしたように見えるかもしれないですが、実際のところ自分の中では全部繋がっているんですよね。常に自分のキャリアを「As is / To be」のフレーム(「ありたい姿」と「現状」の「GAP」の要素を分解し、HOWを考える)で思考していて、ことあるごとに目標設定や身に付けるべきスキルの見直しを行なってきました。その中で、今のようなキャリアパスを辿ってきています。
あと、やはりジョブチェンジをするにはそれを受け入れてくれる場所がないとできません。その意味でMedia Theaterは成長に対して意欲的な人には寛大で、様々な価値観の人を良い意味でおもしろがって受け入れてくれる場所だと思います。