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クオーツのクリエイティブディレクターが"一過性のデザイン"ではなく、"耐久性のあるデザイン"にこだわる理由

"本質を捉えた強い耐久性のあるデザイン"を目指して、クオーツ社でクリエイティブディレクターとして活躍されているのが清野さん。前職では、大手百貨店のグループ会社である広告代理店で働かれていました。これまで彼女が培ってきたキャリアと、クリエイターとして大切にしていることを伺ってみました。

清野明香 / クリエイティブディレクター

1996年岡山県出身。2019年大阪芸術大学卒業後、広告代理店に入社。大手百貨店のラグジュアリーファッション・化粧品・食良品などの広告制作を担当。その後2021年に株式式会社クオーツに入社。さまざまな領域の新規ブランド立上げ・運用・リブランディング等におけるクリエイティブディレクション・コンセプトメイク・商品開発・WEB/グラフィックデザインなどを包括して担当。

大手百貨店の広告クリエイティブ制作を経験し、転職を決意。

――大学時代はどんなことを学んでいましたか?

大阪芸術大学でグラフィックデザインを専攻し、タイポグラフィーなどについて学んでいました。在学中は社会課題を軸としたブランディングに取り組んだり、人間中心設計(HCD)に興味を持ち、福祉プロダクトのデザインを企業と行うなど幅広く活発な学生でした。

就活では大手広告代理店のインターンを4社ほど経験し、誰もが知っているブランドのプロモーションを企画したりしていました。実現可能性がある中でいかに新しく・面白く消費者に響くかと言うことを考え続けていました。

――クオーツ社との出会いも在学中だったそうですね。

そうなんです。当時はクオーツという名ではなく、前身のガシューという会社でした。代表の白石と松江が、大阪芸大の後輩の中で自分たちの仕事を手伝ってくれる学生を集めていて。私は、ガシューと学生をつなぎ、クリエイターの支援やアンバサダーのような役割を担う団体の代表をしていました。そこでデザイナーとしての仕事も行い、学生ながら、「社会に出た時のデザイン」をリアルに学ばせてもらいました。

――とはいえ卒業後は広告代理店業界に、デザイナー職で就職されたとか。

はい。私自身、新卒=大手と当時は要らないプライドがあり大手広告代理店しか受けていませんでした。第一志望の会社はお祈りされ、、、。自分を見直した結果、昔からファッション雑誌をみるのが大好きで、その中でも、ラグジュアリーブランドの広告ビジュアルに興味があり、そういった自分が夢中になりそうな事が一番出来そうな大手百貨店の広告案件を主に受注している会社に就職しました。老舗デパート内のブランドに継続して関われるのが魅力でした。具体的な仕事内容としては、季節ごとのラグジュアリーファッションやコスメなどの期間広告をデザインしていました。媒体としてはポスター、WEB、チラシとなんでもやらせていただきましたね。

――この仕事を通じて、どんなことを学びましたか?

社内にはコピーライター、フォトグラファー、デザイナーが常駐していたので、制作に関する意思疎通がフットワーク軽くできる環境でした。そのためプロが集まった時の相乗効果を味に沁みて感じ、クライアントを含むチームワークの大切さを学びました。

また社会的な評価が確定している老舗デパートですので、今までの歴史を尊重した上で、壊したくないイメージは残しつつ、その中で何を変えられるか、新たな表現をしていくか。という考え方も鍛えられました。それと同時に上流まで入り込めない自分の力不足も感じましたね。

働き方はフレックス制で、アイデアをインプットするための勉強時間もきちんと取れ、環境にも先輩方にも恵まれた2年半だったと思います。

――それでも転職を考えたのはなぜですか?

前社だけでなく、当時の広告業界全体に言える事ですが「一時的で消費されていくデザイン」に疑問を覚えるようになったためです。3ヶ月間、デザインに力を注いだ案件でも基本的に2週間ほどで世の中から跡形もなく消えてしまいます。またコロナが流行り、広告費の大幅削減が告げられた頃から、「そもそも」を変えればこの広告費は必要ないのでは、この広告費はもっと別のお金の使い方があるのではないか、と思うようになり、広告に頼りすぎなくても自立出来るブランド作りにデザインの力が必要と強く感じていました。

貴重な撮影に立ち会う機会も多く、会社員としては不満のない環境でしたが、ひとりのデザイナー、クリエイターとしては、私が携わるものはこのまま消費されていくだけで良いのだろうか、という焦りも芽生え始めました。

――そんな頃に、クオーツ社の代表の白石さんと再会されたとか。

はい。学生時代に仕事をお手伝いしていたご縁で、連絡は取り続けていたんです。再会した際には、「もっと上流の本質的な部分から、デザインに関わりたい」という思いもお話して。「じゃあ、うちだとできるんじゃないか」「今、会社を大きくしたいので、手伝ってくれるとありがたい」と。広告業界を通して、より自分の目指したいクリエイター像が見え、クオーツとマッチしていることを確信できたため、お話をいただいた1か月後には入社していました。(笑)

「主義のデザインを」本質的な価値を反映し、ビジュアルとしての美しさだけではなく、耐久性の高いデザイン作りを目指す

――現在は、どんな仕事をされていますか?

新規事業やリブランディングにおけるブランドの設計、クリエイティブ制作などをやっています。クライアントと共にブランドの軸となる部分の言語化からネーミング、商品開発、ロゴ制作、撮影チーム・モデルのアサイン、フォトディレクション、ECサイトのデザイン、パッケージデザイン、ブランドの運用方法まで多岐に渡り関わります。

クリエイティブディレクターとしての立ち回りをしながら、デザインの実作も行っています。長期のブランディングプロジェクトは3~4案件ぐらいを同時に担当している状態です。

――具体的にはどんな作業を行っていますか?

リブランディング案件ですと、ペットのアパレルブランドをリニューアルすべく、ブランドの再開発からECサイトまでをクライアント様と一緒に作りあげました。ただのアパレルブランドではなく、クライアント様の実体験や今後を展開を見越して「愛犬との体験」を軸にブランド作りをしました。

クライアント様のわんちゃんと撮影を行ったのですが、犬が大好きなのでとても幸せな現場でした。笑


サイトデザイン
ブランド設計資料

新規事業では、サプリメントを展開するヘルスケアブランドの立ち上げにおけるブランド開発・ネーミング・ロゴ・パッケージ・フォトクリエイティブなどを担当しました。「根源ケア」というコンセプトの元、土や岩・素肌など物事の始まりを感じるような「そのまま」の素材を生かしたビジュアルを展開しています。

こちらは現在も継続してご一緒させていただいています。

メインビジュアル
ブランドビジュアル・パッケージ

転職前の「受注だけではなく、クライアント様と直接話し、プロジェクトの上流や根本から主体的に関わりたい」、「一過性のものではなく、耐久性のあるデザイン設計に携わりたい」という思いが満たされる仕事ができていると実感します。

また社内事業として現在スキン・ヘアケアブランドの開発を行っています。デザイン会社がつくるブランドと言うと、ボトルやロゴのデザインのみに拘っているのではないかというイメージを持たれるかもしれませんが、弊社の場合は、プロに任せて終わり。ではなく、デザイナーも含め製薬会社・香料メーカーの方と直接連携を取り、成分・生産地・社会との関わりなど細かいところまで拘りを持って中身の開発を行っています。デザインチームが、「シャンプーを使うことでどういう体験が出来るか」などのイメージを伝え、製薬会社の方が、そのイメージに合った試作品を作り、さらに自分たちでも使ってみてフィードバックする……という作業を繰り返します。

私の尊敬するデザイナーたちは目にみえるものだけでなく体験を作るのが非常に上手だなと日々感じますし、また「どれだけ広告を出しても物が良くなければ売れない」と広告業界にいて感じたことに繋がるため、商品自体から開発することに醍醐味を感じているプロジェクトです。

――さらに個人的には、どんなところにやりがいを感じていますか?

いわゆる“受け身のデザイン”ではなくて、クライアント様にご提案をしたり、一緒にゴールを見つけ駆け抜けていくクリエイティブワークがクオーツ社の魅力ですので、その点は大きなやりがいを感じています。お客様に寄り添いながら、デザインを通して長期的にお付き合いが出来るできるクリエイティブディレクターを目指しています。

私自身が広告業界で、"最大瞬間風速の強さはあるが、時期が過ぎれば世の中から消えてしまう消費のデザイン"に携わってきたこととも関係あるのですが……。出来るだけ一過性で終わるクリエイティブではなく、社会の中で機能し続ける、耐久性を持った仕組みをデザインの力で作っていきたいと思っています。

ひとりのデザイナーとしては、「主義(考え方 / 思想)」を持つことも大切だなと思っています。美学や哲学が数字で導き出せないゴールの道標となります。あとは細かな表現や数ミリの字間にこだわることも実は結構やりがいを感じるタイプです。笑

求めているのは、本質的なデザイン設計と、クライアントと伴走できるデザイナー

――デザイナーとしても、またクリエイティブディレクターとしても志の高い清野さんですが、その分、やはりとてもお忙しいのでは?

そうですね(笑)。案件によって関わる度合いは違いますが、ブランド全体を俯瞰で見て統括する作業と、自ら手を動かして細かい作業をするデザイナーの仕事、両方を行っています。

ディレクターの立ち回りをしているとなかなか細かな作業に時間が割きにくくなるので、Webだけでなくロゴやパッケージなども任せられるデザイナーがいてくれると嬉しいです。

――一緒に働くとしたら、どんな方が理想でしょうか?

実践的なデザインスキルはある程度もちろん欲しいのですが、それ以上に物事を先読みして動ける人が理想です。単純に与えられた実務をこなす、というスタンスではなくディレクターの前を行くようなデザイナー。「デザインとは何か」、「デザインが社会にもたらすものとは」など、世の中で言語化しきれないものを形として落とし込み、より本質的なデザイン設計を考えられる方だといいかなと思います。また弊社の場合はクライアント様と直接依頼を受けて、コミュニケーションをとり、商品の開発などにも関わりますので、デザインだけでなく社会の動きや新しいブランドなど好奇心のある方が向いていると思います!

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