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二代目=カッコ悪い、と思っていた自分の葛藤

Photo by Tyler Nix on Unsplash

元々【数字】そのものが好きで、少年野球時代も歴代のプロ野球選手の打率を計算したり、空想のチームや選手を作って、暇さえあればスコアや選手成績を記録するという今思えば少し変わった子だったのかもしれない。

高校二年生になると【文系】か【理系】か選択を迫られ、数学が得意な友達が軒並み【理系】を選ぶ中、誰よりも数字が好きだった自分が選んだのは【文系】。理由は両親が税理士という環境で会計士・税理士という資格を知り、会計士・税理士になる人は商学部出身が多いという情報からだった。

大学在学中に資格試験の予備校に通い始め、卒業後、会計士試験に合格。端から見れば、ゆくゆくは当然に親の事務所を継ぐのだろうと思われていたかもしれないが、自分の中では【二代目=カッコ悪い】というイメージが常にあった。親の敷いたレール感、ボンボン感が頭にまとわりつき、自分は絶対そうはならないぞ、と思うようになっていた。

一方で、最初に勤めた監査法人にいるうちに色々悩むようになる。【株式公開】【IPO】【株式上場】という言葉に憧れ、上場支援の業務を専門とする部署を希望して配属されるも、多くの上場企業を見るうちに、「果たして株式公開して上場することが必ずしも正しいのか」と疑問を持つようになったのである。その頃は、上場企業に四半期決算・四半期開示が義務づけられた時期だった。上場したての企業が経理人員もままならない状態で、90日ごとに決算書・四半期報告書の作成に明け暮れる。業績予想が少しでも変わろうものなら業績修正、そして修正理由の開示を要求される。株主総会では短期の利益を追求する株主からの質問に備えて想定問答集を準備する。本当に上場はハッピーなのか。そうではないケースもあるのではないか。

【上場=カッコ良い】という先入観を打ち砕かれた自分は、無意識のうちに【二代目=カッコ悪い】という思い込みもアップデートしようと試みていたのだろうか。監査法人を退職し、都内の会計事務所で国際税務のコンサルティング業務を始めた私が興味を持ったのは、上場企業とは正反対の非上場企業として繁栄する【ファミリーオフィス】【ファミリービジネス】だった。日本の法人企業のうち96%がファミリー企業(同族企業)であり、100年以上続く企業の9割がファミリービジネスという事実。更に、200年以上続く企業となると、日本の企業で1340社が存在し、世界全体の65%を占めるという。「日本のファミリービジネスは、とてつもない可能性を秘めているのかもしれない」と感じた私は、自らも【「八鍬会計」というファミリービジネス】に身を置いてみるという選択肢を考えるようになった。

一般的にファミリービジネスのメリットとしては、以下のような点が挙げられる。

■時代の変化に即した改革を素早く実行できる

■長期的な視点に立って経営を行える

■計画的に後継者を育成できる

反対に今の日本全体の問題として指摘されているような以下のデメリットも挙がる。

□前時代的な経営に陥りやすい

□企業の私物化が発生しやすい

□後継者争いが深刻化しやすい


【ファミリービジネス】はメリットばかりではない。課題も多い。実際に事業承継が進まないケースが顕著で、これから先は、世界に誇る日本の長寿企業がどんどん姿を消していきかねない。それでも私はこの【ファミリービジネス】のメリット、長寿企業たる所以がとても腑に落ちた。【ファミリービジネス】について研究してみようと思った私は【スリーサイクルモデル】という考え方を知り、【F:ファミリー】【B:ビジネス】【O:オーナー】それぞれの立場によって想いが異なるということを学んだ。創業者と二代目はビジネスの考え方は対立するかもしれないが、親と子でもあり、親はオーナー(株主・出資者)のままでありたいかもしれないし、生前に子に譲りたいと考えているのかもしれない。

八鍬会計に当てはめてみた時に、真っ先に浮かんだのは両親以外の従業員メンバーのことだった。【ファミリービジネス】には必ずファミリーを支えてくれている(親族ではない)コアメンバーがいる。私が【ファミリー】として両親に育ててもらったのは、両親の【ビジネス】を支えてくれたメンバーがいてくれたおかげでもある。私が八鍬会計に参画して八鍬会計が成長すれば少しずつでも恩返しができるのではないか。二代目がカッコ良いかカッコ悪いか、それは自分がどう思うかだけで、自分がやりたいようにやってみれば良い。こうして、自分の子供が小学生になるタイミングで、八鍬会計に入ると決心して生まれ育った埼玉県蓮田市に戻ってきた。

【ファミリービジネス】の成長を会計・税務の面からサポートして、日本の未来を明るく豊かにしたい。八鍬会計を含め【ファミリービジネス】に関係する人々の人生を良いものにしていきたい。ビジョン・ミッションを実現するために、八鍬会計自体もまだまだ前時代的で変えるべきところは変えていかなければなりませんが、先人への感謝の気持ちを忘れずに一つ一つ向き合って行きたいと思います。

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