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ここにあるが向き合い続ける社会への問い

依存したり、責任を押し付けたりするのではなく、互いにいかしあうことのできる関係性が構築された社会をつくりたい。それは人間と人間の関係性だけではなく、さまざまな事物のあいだにある関係性についてです。関係性のねじれから、あるいは無理のある関係性からいろいろな問題が生まれているのではないか。それがわたしたちの仮説です。ですのでわたしたちは今よりもベターな関係性が生まれ続けることを夢見て、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。

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いま、ここにあるということのすばらしさを。

いまという時代。

ここではないどこか別のところに、正解があるかもしれない。
いまの状態は、ありたい姿とはかけ離れているかもしれない。
将来や未来は、現在よりもっと良くなっていないといけない。
だれかや社会に認められ、きちんと価値を発揮しないといけない。

そんなふうに思うことがあるかもしれないし、思わされることがあるかもしれない。

いまという時代は、社会から発せられるメッセージや
自分の中にある思い込みに
押しつぶされそうになることが多いように思う。
だけど、本当に大切なものは、「ここにある」のだと思う。

「ここにある」は、存在じたいを大切にするためのことば。

地域づくりやコミュニティデザインをするときは、その地域にあるものやコトを活かして。
なにかをつくるときは、その場所や組織の歴史的な文脈を踏まえて。
文章を書いたりデザインをしたりするときは、言葉にならないけれども確かにある想いを汲み取って。

「いま、ここにある」ということを大切にして生きていくことができれば、
社会は少しずつやわらかなものになっていくはず。
だから、わたしたちは「ここにある」ということを徹底して認め、
リスペクトするための仕事と活動をしていきたい。

新しいものは、きっと「ここにある」ものから生まれていく。
「ここにある」もののかけ合わせ、見せ直しこそが、
いまの時代に求められているクリエイティブだと思う。
そして「ここにある」ものを使って、完璧ではない、余白を残したデザインをする。
それこそが、関わる人たちの喜びとつながりを生み出す最高の装置になり、生態系が生まれる。

だから、わたしたちは、関わる人たちと一緒に「ここにある」ことを楽しんでいきたい。

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上記は、ここにあるのサイトに掲載している文章です。およそ5年前の創業期に書いたものですが、まだ色褪せていないと考えています。

現代資本主義社会で「稼ぐ」ということは非常に重要ですし、売り上げを上げていくことも、また会社として利益を出していくことも必須のことです。わたしたちも小さいなりに会社経営をしているため、その前提は当然のこととして理解しています。できるだけ効率的に仕事を進めたり、合理的な判断をしたりしながら仕事や事業を進めていくべき時も多々あります。

バックキャスティングで物事を考え、計画的に進めつつも、臨機応変に対応していく。もちろん、手元にあるものを活かしながら事業をつくっていくこともあるのですが、評価されるものしか仕事になりません。それは当然のことです。やりたいことではなく、自分の好きなことではなく、社会から求められることや売れることが最も重要であるので、それは仕方のないことだとも思います。そして、価値というものはお金という測りやすい評価軸で一元化され、その多寡でパワーバランスが生まれていくこともまた事実です。

持つ人はさらに持つようになり、持たない人はますます苦しくなっていく。わたしたちが採用している社会システム上、それは必然の帰結です。ゆえに国や行政の介入や支援があります。けれど基本的な前提としては、価値を生み出していなければ食うべからずなのです。しかし、今後人口が目減りしていく中で、行政や国に頼ることのできる可能性も逓減していくかもしれませんし、自己責任論の号令が強くなればなるほどにその不安や恐怖が増していくかもしれません。その結果、さらに社会は分断されていき、二項対立的に物事が進んでいくようになるのかもしれません。

そうした状況の中では、自己否定的になったり、他者に対して攻撃的になったりすることもあるように思います。あるいは、仕事の中では自己表現や自己実現することができず、しかし暮らしていくためには働かないといけず、気持ちと過ごしている時間のあり方が違う中でどんどんと生きる気力を失っていく状況もまた存在しています。

あるいは、正解を求めてしまうことも多いかもしれません。この不確かな、どうすればいいのか全く見えない社会の中で、わたしたちは迷いを感じているようにも思えます。広告やアルゴリズムが薦めてくる選択肢に辟易しながらも、しかし足りない自分を常にアップデートするためにさまざまな消費をしているのかもしれません。

一方で地域に目を移すと、自分たちで自分たちの地域を考えたり、なんらかのアクションをしたりすることは日常的な営みではなくなってしまった様子が見て取れます。地域のことやまちのことに取り組むのは、まず行政の仕事であるし、議員の仕事であるし、時には駅前開発をするデベロッパーの仕事なのかもしれません。もちろん、プロ市民と呼ばれる行政運営や地域づくりに非常に熱心な層もおられます。しかし、それはほんの一部。それほどに「地域」が他人事になってしまっているような現状があります。そうした地域社会においては同じエリアに暮らす人たちとの関係性が豊かとは言えません。だからこそさらに行政に頼ったり、なにか別の力を頼ったりせざるを得ない状況があるのです。

わたしたちは地域に関わりながら、どうしたらこのような状況を好転させることができるのかということについてずっと考えてきました。それぞれの個人が、生まれてきたスタートラインは違うけれども、それぞれの地域で自分の力を最大限発揮しながら、楽しく豊かに生きていくにはなにができるのか?なにが必要なのか?について考えつつ、アクションしてきたというのが自分たちのこれまでの軌跡だと理解しています。

この文章ですべてのことを語るのは難しいのですが、なにか引っ掛かる部分があれば、一緒に考えたいですし、語りたいですし、取り組んでいきたいと思います。


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