前説
こんばんは。インターン生の高山です。
クリエイターズネクストでは四半期に一回会社で行われる会社のビジョン、戦略、方針を共有し、全員がその方向に向かえるようにするvision共有会を行っています。その中で弊社代表取締役社長の窪田がCreator's NEXTの二本軸の一つである「KOBIT(こびっと)」の誕生した経緯、戦略を語ってくれました。
これはぜひクリエイターズネクストに興味を持ってくださる皆さんに共有するしかないと思い、書き起こしさせて頂きました。
以下、全て窪田さんの発言です。
KOBITを作るにあたっての経緯
僕にはもともと尊敬していた天才起業家がいたんです。その人は僕と同じ大学の3つ年上の先輩でした。彼はGoogleから入社をしてくれと頼まれても、それを断って自分の会社を興すことを決意したんです。
まだその当時はAIという言葉も今ほど活発ではなくて、その「先輩起業家」が取り組んでいたことが「自然言語処理」という分野で、彼はその技術者でした。今でいうWord2Vecなどに通じるような研究を当時からしていて、統計の専門家でもあったんです。
自分で起業をし、後輩からとても慕われている素晴らしい天才でした。
その人がある時過労死したんです。
僕と同じシチュエーションであったこともあり、他人事ではないというか。
自分自身も最初会社を作った初めのころは、こんなに人もいなくて、ワンルームの小さな笹塚のマンションでサーバーが轟音のように鳴り響くところで、僕は寝袋を毎日抱えながら、寒さに震えながら寝て、朝早く起きて夜遅くに寝るという仕事をしていたので、自分にとっても彼が亡くなったことに自分と重なるところがあり、他人事ではないように感じたんです。
僕は両親のもとに会計士の中村先生と一緒に線香をあげに行きました。
線香をあげに行くと、親が持っている写真は数枚しかなかったんです。
その時のスライドショー
家に飾ってある写真も家族写真とかじゃなくでFacebookのプロフィールの画像でした。
つまりFacebookのプロフィール画像くらいしか、両親は写真を持っていなかったんですね。
なんでですか?と両親に聞くと、「あまり写真を持っていなくてね、恥ずかしがりやだったから。」と答えてて。
お母さんはあまり写真が残っていないことを、すごく寂しそうに僕に言ってきたんです。
帰ったあと僕は、Facebookで先輩と繋がっていた人、一人一人にメッセージを送ったんです。お母さんがいかにつらい気持ちで彼の死に向き合っているかという話を、一人一人にメッセージを送って、1枚でもいいので彼が生きていた写真を僕に貰えないか、声をかけました。
その写真を集めて、一冊の写真集にした。そこには大学のころの思い出だったり、提出されていた論文だったりを画像にして、それを本にしたものを両親に持って行きました。
両親と妹さんにこの一冊の写真集を渡すことができ、少しは喜んでくれたように思います。
お母さんがその時にカレーを作ってくれてて。
お母さんは必ずその時にカレーを1個多くよそっていました。
自身の息子のためにカレーを作っていたんです。
つまり、両親の中ではまだどこかで、若くして亡くなったことが受け入れられていないのです。
僕はその写真集を渡して、多少は喜んでくれたのかもしれないが、でも結局その一瞬しか解決できていないのであり、ずっと両親に寄り添うことは正直できないし、解決できるところはとても少ない、なんて俺は無力なのだろうかと思ったりもしました。
もうこんな悲しいことは嫌だと思った。
この現象は僕が「先輩起業家」と出会って、その彼が過労死して、そういう小さいコミュニティの話なのかというと、実は違っていて、いろいろな場面において、このような問題が起きていると感じています。
KOBITがこの問題解決にできること
例えば、広告代理店のマーケティング担当者も極めて忙しくて、事実、人が亡くなっている。
なぜこれが起こるのかというと、アクセス解析のレポートを作成するのに3日かかるし、大量の顧客基盤がいるからである。
大量にやらなければならない仕事があって、極めて忙しいんです。
KOBITはデータベースを収集し、読み解いてうえで理解し、行動しやすい仮説を立案し、レポートに取りまとめる。ここまでの業務をたった1分間で実現できるプロダクトです。
今まで例えば、一流のマーケターが一生懸命やって、1個のレポートを作るまでにかかる平均の時間は3日、それをたった1分間ですることができる。
だから僕たちは、生産性をもっと向上させることができるし、もっと有意義な時間を作ることができるプロダクトを提供しているということになります。
何のために生きるのかということを最近考えています。なぜかというともう2011年の話ですけど、3.11があったからです。
基本的に僕たちが生きているという命というのは、もしかしたら誰かが生きたかったはずの命だったかもしれない。誰かがやりたかった、成し遂げたかった夢があるかもしれない。
彼は本当に天才だったので、生きるべき人であった、なのに亡くなってしまった。
彼にはいろいろな夢があった、両親もそれに懸けていた、それでも亡くなってしまう人がいる。
誰かが生きたかったはずの今日を精一杯生きて、誰かが達成したかったはずの夢を追うということは、生きている僕たちに共通している、僕らの義務なのではないかと思っている。
KOBITの戦略
はじめに現実の認識の話をします。今日本はどのような状況にあるかという話です。
今日本はIT産業が小作人化したと言われているんですけどどういうことかわかりますか。
日本のトップの経済産業省は、日本のIT産業はむかしはプラットフォームを持っていた、しかし今はそうではないということに対して忸怩たる思いを持っています。
例えばプラットフォームがアップストアになってしまったり、Googleプレイになってしまったり、むかしmixiだったものがFacebookやTwitterになってしまったり、gooがGoogleに取って代わられたり、IT産業は負けっぱなしです。
元々PCのOSは日本のTRONというのが最初に作られたはずなのに。
これからの主戦場はリアルデータプラットフォームだ、みたいなことを経済産業省は思っていて、海外メインプレーヤーのグローバルの動きは、ネットからリアルへという戦争、もしくはリアルからネットへという戦争、二つに分かれていると言われている。
リアルからネットへとやろうとしているのがGE、シーメンス、ボッシュ、Intel、ウォルマート。
ネットからリアルへとやろうとしているのがGoogle、Amazon、Facebook、Alibaba、Baidu.
ここに日本がいないことに気づきましたか。
僕はこの状況に腹が立ってしょうがない、僕はここに殴り込みに行きたい。
(机を叩く)
ニューヨークでもずっと思っていたのは、日本舐めんなよという反骨精神です。
これまではアプリケーション、ミドルウェア、データセンタ、ネットワーク、通信機器端末、ICなど縦から横への戦いが主であった。
しかしこれからは、レイヤーだったり分野の拡大の流れになってきています。
いわゆるGAFAが台頭してきている。単純な物売りではなくて、オープンな繋がりによるソリューション提供の時代に入っているんです。
では世界はどう変わろうとしているのでしょうか。
各省庁の抜粋によると、国連のSDGsというもののなかに「働き甲斐も経済成長も」という言葉があります。これは国連が定めている、今後世界がこう変わるべきだという強い意志表明のなかの1つです。
僕たちが今やっているクリエイターズネクストの理念は「働き甲斐も経済成長も」、これは国連の意志と完全に一致しています。
さらに内閣府、ソサエティ5.0、AIなどを活用して生産性を向上し、新しい社会を作るのだと。
経済産業省は、商品インテリジェンスが重要だ、消費したもののデータベースがもっと有機的に繋がり、よりよい社会の実現のために何をするべきなのかということを考える、そういう時代が必要なのだと言っている。
国土交通省は、アイコンストラクションで生産性を向上させましょうと言っている。
農林水産省も未来投資戦略2018とスマート農業、AIを活用してもっともっと良くしていきましょうと言っている。
つまり何が言いたいかというと、KOBITが行おうとすること、KOBITの方向性は世界の素晴らしい人たちが目指している未来と完全に一致している。そして、民間にできること、行政にできることというのがあると思っています。
僕は行政をすごく尊敬しています。考える、座組を作る、そこはものすごく知識が必要なことだし、定義することは素晴らしいことです。
ただ民間は、行動することが出来る。
1ミリでも世界を動かさないと本当の意味で何にも世界は変わらない。
また負けるのかと、またプラットフォームを取られるのかと、負け戦をずっとやり続けて本当にいいのかと、そんなわけはないんです!
そこで作ったのが「デファインソサエティ戦略」。
これは「社会自体を再定義してしまおう」とい話で。
さっきコネクテッドインダストリー、ソサエティ5.0があると、これは国が目指している方向性だという話をしましたね。
他にもいろいろな潮流というのがあって、新しい定義が生まれては消え、生まれては消え、生まれては消える。
では本当に産業同士が繋がる未来なのか?というと僕は違うと思っています。
産業がただただ繋がるのではなく、繋がったあとで社会をもっと最適化するような動きがないと何も社会は変わらないです。
ただ繋がって友達が増える、だからなんだって話ですよね。
そのあとどう変えるのか、どういうアクションを結び付けるのか、というところが本質的には重要で、全ての産業を最適化する動きというのを、KOBITが先駆けて行いたい。
この新しい定義を作ると、既存のトレンドを陳腐化させることができて、アカデミック業界だったり産業だったり、政府が本来求めていた半歩先を設計して、コンセプトハックすることができます。
今までのマーケティングの戦い方というのは、A社B社C社誰が先にぶん捕るかというシェア争いでした。
僕はそもそもから、根っこから変えてやると思っています。なんでこんなことをやるかというとシェア争いをやっていると時間がかかりすぎるし、海外と戦わなければならないからです。
僕は市場の色自体を塗り替えてやろうと思っていて、定義戦争をするべきだと思っています。
これまでのマーケティングは市場の資源争いでした。しかし定義戦争をするプレーヤーが今まで世界を変えてきたんです。
エアビー、これは家ではないところを家だと言いました。ホテルでないところをホテルだと言いました。
ウーバーだってそうです、今までタクシーでなかったところをタクシーだと言いました。
日本の技術は基本素晴らしい。でもプレゼン力が弱かったり、コンセプトを作る、プラットフォームを作るということに関しては日本はとても弱いところで、だからこそ日本は世界に負け続けてきました。
コンセプトハックは政府、産業、学問に働きかけることが重要です。
例えば政府は政府発表資料や予算編成、SDGs。ここがこの機能が正しいかどうかを確認している層で、国会、投票、組閣人事などでチェックをしています。
学問は学会、論文、授業、それに対してジャーナルの査読者や大学人事や、いわゆる科研人がチェックをしています。
産業は、IR資料やPRやCSR、それに対して株主総会や監査、ステークホルダーがチェックをしています。
こういう構造になっている、これを丸ごと取りに行くのが目的です。
具体的に何をやるのか。端的に言うと、ここにいる俺たち、私たちがナンバーワンだと言い切る。俺たちが世界を変える中心人物だということを誰もが認める状況を作る。全員を納得させる。そのための戦略です。
僕からはKOBITの生まれた経緯、KOBITの目指す戦略の発表をさせていただきました。ありがとうございました。