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【取締役インタビュー】「やるからにはトップ、世界を狙いたい」〜研究成果を社会に結びつけ、実際の課題解決に貢献する 〜

こんにちは!調和技研の長尾です。

調和技研は、「社会の高難度課題の解決にAIで貢献する」ことをミッションに掲げ、AI技術の知識と経験を最大限に活用し、各産業のお客様と共に時代の最先端に挑戦しています。

今回は、調和技研の社外取締役である、北海道大学教授の川村先生へのインタビューです。調和技研を作ったきっかけ、調和技研の今後についてお話を聞きしました!

目次

1. 調和技研を設立するに至ったきっかけ、調和技研ができること

2. 調和技研とAIの「これから」

3. 先生にとって調和技研とは?


-----まず、調和技研での先生のポジションも含めて、自己紹介をお願いします。

調和技研の創業者、社外取締役として、会社の外から経営に関わる部分に関してアドバイスをしています。
加えて、調和技研には、北海道大学の研究室発というアカデミックなバックボーンがあるということで、大学だったり学会だったりと調和技研とを結ぶ、つまり“研究の分野とビジネスの分野を結ぶ橋渡し”役をしています。
また単に双方を結びつけるだけではなく、大学の研究者がやっている研究内容を調和技研に伝える、ということもやっています。あとは、卒業生や研究生を調和技研に紹介することもあります。そうすると思わぬコラボが生まれたり、新たな案件が生まれますから。

1. 調和技研設立のきっかけ、調和技研ができること




-----先生が調和技研をつくったきっかけについてお聞かせください。

「研究室で行っている研究の成果は、もっと世の中の役に立つのではないか?」
大学でただ研究をしているだけではなく、実際にその成果を世の中の人たちに使ってもらって、世の中を動かしてみたいと思ったのがきっかけです。そうなると大学の研究室に留まっているだけではダメで、もっと外へ飛び出していかなければならない。当時いた学生さんたちと研究室発のベンチャー企業を作る、ということも一つの研究のように捉え、試してみたいと思ったんです。
僕はもともと、企業との産学連携や共同研究など、大学の外に出てさまざまな取り組みに携わっていきたいと考えているタイプで。学外の方々と意識的に交流するように心がけ、多くの企業や人と関わっていく中で、会話を交わすのがとりわけ面白いと感じたのが「創業者」の方々でした。自らの意思決定により0から1を生み出し、答えのない中でビジネスを軌道に乗せるための最善の解を導くところが、どこか研究に通ずると感じたんです。
「自分たちの研究を社会に結びつけ、実際に人助けや課題解決に貢献するためには、ベンチャー企業を作ったほうが早く有益ではないか?」という実験的な試みで調和技研を立ち上げました。


-----AIの社会実装において、調和技研はどのような側面から貢献できると考えますか?

昨今、世の中の仕組みや状況が変わってきています。そうすると当然、今まで当たり前のように行われてきていたことや、価値観が、世の中がアップデートされるに伴って、当たり前ではなくなる。もたなくなります。これまでのテクノロジーで可能であったことが、段々と不可能になり、もっと高度な技術が求められるようになる。そういうところで調和技研は、単なるエンジニアリングだけではない、アカデミックレベルのリサーチの要素も含めた最新のテクノロジーを使うことで、日々アップデートされていく世の中に適応するお手伝いをすることができます。それを通して、企業や社会の役に立つ仕組みやシステムを作ることが、調和技研が世の中にできる貢献であると考えています。
逆に、様々な現実の問題から、新しい研究テーマや、研究面で望まれるようなことを発見し、研究者の方々や大学との繋がりを利用することによって、新しい研究成果を社会に提供することもできます。企業を助けることもできるし、世の中が求めている課題やニーズを研究している側、つまり大学に伝えることで、その架け橋になることもできると考えています。

2. 調和技研とAIの未来


-----今、先生が注目している技術はありますか?

これまでディープラーニングが世界中で研究され、様々なことが実現可能になりました。その延長線上で、この先も研究は進んでいくと思っています。
しかし将来のことを考えていくと、“ハードウェアとディープラーニングを融合させる”ということをもう少し考えていく必要性があるのではないか、と考えています。どういうことかというと、ディープラーニングをコンピューターで実行するためには、GPUという専用の計算ユニットを乗せて計算をします。その際にはものすごい電気代がかかるんです。加えて、計算をするためにスーパーコンピューターなどの設備も持っていないと行えない。元々ディープラーニングは、脳細胞、いわゆる“脳の仕組み”を計算で真似しています。もちろん人間の脳内で行われていることには、電気代はかかっていませんよね。ということを考えると、ソフトウェアのAI技術をより少ない電力で、かつ小さな設備で実行することは、この先重要になってくるのではないかと思っています。
今、世界では、通常のパソコンのような形ではなく、ディープラーニングを専用でシミュレーションするようなチップ開発だったりとか、もっと先にいくと、本物の脳細胞を培養させたものを使って、そこに電極を繋ぎ、実際にゲームをやらせる、という研究もされていたりします。そういうものでAIが実行できれば、桁違いの少ないエネルギーで実行することができる。もちろんこの先、AI、ソフトウェアの理論的な部分はどんどん進んでいくけれども、二酸化炭素問題が議論される世の中で、それをどうやって少ないエネルギーで実行していくのか、というのがポイントです。
例えばブッロクチェーン。ビットコインってみなさんご存知だと思うんですけれども、あれは取引が発生する度に大変な電力がかかっています。このままあの仕組みが使われ続けると、膨大な二酸化炭素が発生するため、メリットは多々あるにしても、果たして地球にとって良いのだろうかという議論がある。
AIでもこの先同じことが言えると思っています。“どうやって環境負荷を考慮してAIを作っていくか”そこが重要になっていくのではないでしょうか。




-----調和技研は今、プロダクト事業展開へ足を進めていますが、その上での現在の課題と展望をお聞かせください。

新しい技術を使って世の中に役に立つものを作っていく時には、僕が“手数”が重要だと思っています。
「すごく考えられて作られたものが大成功するのか?」というとそうではなくて、「たまたま作ったものが成功する」ということもあり得る。だから最初に考え込んで、満を持して作ったとしても、成功するとは限らないのが現実です。そう考えると、よく言われているとことでもあるし、中村社長も言っているけれども、“失敗を恐れない”って話がありますよね。ここで必要になるのは、まさにそれです。
では、野球に例えてみます。万全の準備をして、「よーし打つぞ!」と気合十分にバッターボックスに立つけれども、そもそも百打席に一回ぐらいしかホームランが出ないって言う前提だとしたら、その一回に満を持して挑むのではなく、それよりも準備体操している間に、もう一回バッターボックス立ったほうがいいと思いませんか?
前者と後者では、要するに成功するための作戦が変わってきます。「何が当たるかわからない」というのであれば、手数を出して、その中で当たりそうなものはどんどんブラッシュアップしていく、ということを続けていくんです。
つまりプロダクト事業を展開していくためには、長時間考え込むのではなく、面白いものを短い時間でパッと作ると、時々世間にうけるような面白いものができる、これくらいの発想でいいと思っています。
調和技研に限らず、エンジニアの方って逆の発想で、始めからがっちり真面目に作って、それこそが成功する、と考える方が多いです。その点が課題だと考えています。調和技研は、技術に関しては、自分で論文を読んでそれを作る力は十分に持っている。それをサッと作って、世の中の反応を見てブラッシュアップをして、というアプローチでやっていきたいと思っています。


-----先生の中で「調和技研のエンジニアはこうあってほしい!」という想いはありますか?

「面白いと思うものを熱心に探求する人」です。
難しいことだとは思うけれども、先端技術を自分で見つけて、理解して、それを自分でも実際に作ってみる、ということをやってほしいです。そうするとやっぱり“言われたことだけをただやる人”ではなく、AIの様々な論文はもちろん、様々なことに興味関心を持って、先進的な知識や知恵を得て、勉強を“能動的に積極的にできる人”になります。かつそこで面白いと感じたら、試しに自分で作ってみようと思える行動力も大切です。
今調和技研がやってる事の中には、英語で発表されている論文を取ってきて、そこに載っているものを実際に作ってみる、ということがあると思いますが、そうすると、決まったことを決まった形で全部お膳立てされた上でやるのではなく、必要になる情報を取りにいくことも出来ないとならない。仕事として上がってきてから慌てて情報収集をするのではなく、「こういう業界にはどんな先端技術があるのかな」ということに常に興味を持って、自分から勉強できる人が理想だと思います。
また自分で得た知識をチームで互いに教え合い、共有することができるというのも大事ですね。優秀なエンジニアが揃っているのも調和技研の良いところですが、共有することで、お互いをより高めあうこともできますから。

3. 先生にとっての調和技研とは




-----会社設立から10年以上経ちますが、先生が「調和技研をつくって良かった」と思えた瞬間はどんな時でしょう?

会社が成長して、できることが増えた時ですかね。もちろん、会社を大きくすることだけが正義ではないし、それが目標の全てではないけれども、会社が5人や6人の時にはできなかったことが、今の規模になるとできるようになってくる。10人ちょっとだった時にできていたことも、今の規模になると、それがもっとすごいことになっている。成長するにしたがって、会社としての能力や、できることが増えていきます。最初はやっぱり大変でしたし、まあまだ今でも大変ですけれども・・・笑 そういう意味で言うと、最初は本当に物置みたいなところから始まって・・・少しずつ人も増えて、会社の場所も変わり、東京支社を構えたりと少しずつ会社っぽくなって。会社が大きくなってくると、色々なことをする余裕も出てくるので、未開拓地への挑戦だったりとか、みんなで新しいことをやってみるとか、そんなこともできるようになっています。
そんな環境で働くというのは当然、社員のためにもなっていると思うので、みんながどんどんレベルアップしていっている姿を見るのも、「調和技研をつくって良かったなぁ」と思いますね。
あとはこの間のトヨタさんのリリースのように、色々な会社の方達との共同開発ができることですかね。クライアントである企業さんも含めて、一緒に作り上げたものが世の中に出て、誰かに使われている、調和技研がやったことが世の中の役に立っているのを見る瞬間っていうのは、まさに僕がやりたかった“AIと社会を調和させる”ことが実現されている瞬間です。本当によかったなと思います。


-----今後、調和技研をどんな会社にしていきたいですか?

今の時代に適応していけるような会社にしたいと思っています。新しい時代を背負って入ってきてくれる、若い人たちの価値観にも合うような、その人たちがのびのびと面白いことができるような環境づくりをしていきたいですね。僕自身、堅苦しいことやステレオタイプ的な仕組みは苦手なので・・・もちろん伝統は重視するべきですけれども、それに囚われているのはよくない。どんどん新しい風を入れていく必要があります。
新しく入ってきてくれた仲間も、古株の仲間も、フラットに社員全員が自由に意見が言えて、理にかなった、賢い選択ができる環境を目指したいというのが一つ。
会社という組織はもちろん、ビジネスとして、“利益を上げて存続していく”ということが大切ですけれども、当然そこには働く社員がいます。働く側の人たちからすると、“組織が利益を上げて存続していくこと”と、“自分がそこで一社員として働く意味”って、必ずしも一致しないと思っていて。
そう考えた時に、社員の方たちには「この会社に入ってよかった」と思ってほしいんです。なので会社としては、入ってきてくれた方たちに、成長させてあげられる環境を提供する役目があります。今は終身雇用が当たり前な時代ではないので、新しいメンバーを迎えることもあれば、卒業していくメンバーもいる。逆に戻ってきてくれる仲間もいます。ただ、せっかく長い人生のうちの、一つのステージとして、調和技研を選んでくれたのだとしたら、それに精一杯応えたいという気持ちでいます。
AIのことで言えば、調和技研には知識や技術に富んでいる人がたくさんいます。そんな仲間と一緒に仕事をすることによって、自分の力も高めることができるし、技術を極めたい方にはぜひ勧めたいですね。
あとはやっぱり、最初にお話ししたことと重なりますけれども、“ビジネスとアカデミックの間を繋ぐ”ということについては、今後も続けていきたいです。


-----先生にとって調和技研とは?

一言で、となると難しいですね・・・笑
まあでも僕は、自分が面白いと思うことしかやらないタイプなので。こう言うと語弊があるかもしれないですが、僕がやっていることは全部“遊び”で、それは調和技研もそうだし、他でやっている会社も、大学での研究もそうです。最初でお話ししましたが、自分たちがやっていることが世の中に出ていって、社会実装されていく過程を見るということ自体が、僕の中の一つの興味の対象なんです。
よく学生にも話しをする例えですが、ゲームって楽しいですよね。ただ別にゲームをやらなくても生きていける。でも「楽しいからやる!」ってなった時にはやっぱり、やるからにはハイスコアを狙いたいし、最高の結果を残したいと考えるのが普通です。
これは調和技研でも同様で、会社として展開しているビジネスが、僕にとっての興味の延長であったとしても、やるからにはトップ、世界を狙いたい。経験談ですけれども、実際嫌々何かをやっている人たちよりも、好きなことを楽しみながらやっている人たちの方が、良い結果を出すことができます。世界を変えられるような会社を作って、社員の仲間たちと一緒に、ゲームでいうハイスコアを狙っていきたい。そんな夢を語ることができるのが、僕にとっての調和技研です。




-----では最後に、どんな人が調和技研に向いていると思いますか?まだ見ぬ新メンバーへ一言お願いします!

一つ目は、勉強熱心で、新しいもの好き、かつそれを楽しんでできる人。
二つ目は、課題に出会した時に、解決する方法を強く真剣に考えられる人。
こういう人はぜひ調和技研に来てほしいなあと思いますね。
課題解決をするってなった時に、調和技研が向かう課題は、ほとんどが世の中に答えがないようなものだと思うんです。それは僕らの大学の研究でも一緒ですけれども、まだ答えがわからない。そもそも答えが存在するのかどうかもわからない。さらにその先で、AIで実現できるかどうかもわからないし、できないかもしれない。そうなった時に、世の中のあらゆるところからヒントとなる情報を収集してきて、解決することが求められます。これが“偉い”んです。
「真面目にコツコツやりました」ということが“偉い”わけではないと思っていて。課題に出会った時には、直向きに、面白さを見出して、それにチャレンジしてほしいです。
スタートアップならではの環境でいうと、“自分の考えや、意志で進めていく過程を楽しめるような人”が調和技研には合うんじゃないかなと思います。全てお膳立てされている中で、そつなく振る舞うことが楽だっていう人もいますが、調和技研は会社として、まだまだこれからのスタートアップです。そんな環境で、自分の居場所を良くするためにも、「ここをこうした方が良い」「ここを目標に改善していきたいんだけど、何から始めれば良いか?」とアイデアを募ったり・・・会社にとって良いことは、どんどん取り入れてほしいし、変えていってほしいです。
でもそもそも、このまだまだこれからな状況から創り上げていくことを楽しんでいないと、意見も生まれないと思うので、とにかく楽しんでもらいたいです。

-----川村先生、お忙しい中ご協力いただきまして、ありがとうございました!

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