こんにちは!株式会社チカクです。
本日ご紹介するのは、チカクの共同創業者、佐藤未知さん!社長カジケンさんと共にチカクを立ち上げ、主にまごチャンネルのカタチをつくられています。
(まごマガジンより転載 https://www.mago-ch.com/magazine/?p=559)
銀色の眼鏡とお洒落なTシャツが誰よりも良く似合う
誰よりもカジュアルな装いで、飄々とした雰囲気の未知さんですが、その見た目と反して、博士号を持っていたり、日本学術振興会特別研究員という博士過程においてもトップの成績の人がなれる研究員を経ているという、めちゃくちゃヤバい方なのです。
学生の頃、主に触覚によるコミュニケーションを研究、開発されていたそう。
人間には五感というものがありますが、今コミュニケーションとして使われているのは視覚と聴覚のみ。残りの3つのうち、嗅覚、味覚はそれ自体の研究が進んでいないこともあり、次に注目されているのは触覚だそうです。
でも、触覚、嗅覚、味覚というものがなくても、コミュニケーションは成り立ってしまう状況で、触覚でのコミュニケーションの研究はあるものの、使いたいと思えるものになってないと感じていた未知さん。
そこで、そもそも触覚でのコミュニケーションは、一般の人々同士ではなく親密な相手で行うものと定義し(ここの視点の変換が本当にすごい)、遠隔でキスが出来る装置などをつくりあげました。なんというパワーワード…。
また、博士課程では、ハンガーを頭にはめるとツボが押され、頭が左右に回るという現象を応用した、自由に人の頭を動かして「あっち向いてホイで負け続ける装置」というものを開発。
この装置のすごいところは、頭を抑えるという小さな力で人の頭を回転させる大きな力を生み出しているという、エネルギーの観点でのスゴさ。
また、「確実に自分の首の筋肉を自分で動かしている」状況にも関わらず、誰かに動かされていると感じてしまうことも発見。
これを応用すれば、VR装置をつけながら歩いても、体が勝手人をよけてる装置が作れます。本人はまっすぐ歩いてるつもりなのに、実は同じところをグルグルまわっているとかね。
さらにスゴいのは、その後、この装置に目を付けたお医者さんと共に、首の筋肉が勝手に動いてしまう病気を改善する装置を共同開発。
そしてそれを実用化するために、工場を探したり、メーカーを探したり、その他様々な手段を使って、製品化をされました。
未知さんの研究室のページはこちらです!
これらの研究と同時に、何社ものインターンに努めていたというのですから、本当に技術と経験の塊なんですね。
長きに渡る学生時代に、人類の知識の最先端まで見て、たくさんの経験を経て、開発したものを製品化するまでに至った未知さんは、どのようにしてチカクと出会ったのか、また、チカクではどんなことをしているのか、気になります!
自分の作ったもので人々の生活が変わるところを見たい
未知さんは、研究者の中でもてっぺんを歩み、素晴らしいキャリアに繋がる大学からのお誘いもあったそうです。
そんなきらびやかなお誘いを断り、チカクに入った想いは何だったのでしょう?
「俺は、自分の作った物で人々の生活が変わるところが見たい。冷蔵庫を知った人間は、もうそれ無しには戻れないでしょ?そんなイメージ。」
エゴだけどね、と笑いながら話す未知さん。
研究者とは、技術の最先端を突っ走りながら、いつか誰かの役に立つ種を落とせればいいという立場なんだそう。
未知さんは自分で製品化するというところまでされていたちょっと変わった博士課程を歩まれましたが、やっぱり、研究者のままでは出来ることが限られると感じたそうです。
そんな感じで就職先を探し続けた未知さん。そこで、カジケンさんと運命の出会いを果たされたわけですね。
「会社として何かを売る時、大きく3つの行程に分かれていると思っていて、
それは、創る・作る・売るの3つ。」と、未知さんは語ります。
「1つ目の創るというのは、ターゲットの人を決めて、そのターゲットにどんなものをどんなふうに創るか、どんな経験をさせたいかなど、ビジョンを元にプロダクトを定義すること。
2つ目の作るは、考えたものの製品化。まごチャンネルはプロダクトとアプリとサーバと、色々なものがあるので、つくる仕組みを作っていく段階。1番目も大変だけど、こっちも同じくらい大変。
3つ目の売るというのは、学生時代にインターンをしていたベンチャーは、出来ていなかった。
良いものを作ったところで、ほしいと思う人には届かないんだよね。でも、作ったものをしっかり届けるまでが会社の存在意義だと考えていたから、そこはしっかりやりたかった。
自分は作ることは出来るから、組むとなったら販売することが出来る、ビジネスが出来る人と組む必要があると考えてたんだ。」
自分ができることとできないことがしっかり見えていて、自分ができないところの穴を埋めるような人と組む。
シンプルだけど最強な考えです。
「卒業も迫っている中で就職先を探す日々。そんな中で、知人から怪しいおじさんを紹介され、それがカジケンさんだったんだよね。卒業2週間前だったよ、マジでギリギリ。
カジケンさんはアップルの、日本で言うところの営業部長。100万台とか売らなくてはいけない本社からの圧力を受け続けながら販売をやり遂げた凄腕だよ?そんな人が、1の行程である、誰にどんなものを作れば良いのかというまごチャンネルの構想を殆ど終わらせた状態で俺に話してきたんだ。」
では、未知さんと出会った状態で、まごチャンネルのビジョン自体は出来ていたんですね!
「なんでビジネス上がりの人が、こんな正しいプロセスで正しいものを創ることができているのか理解できなかったし、そもそも人に体験を届けるために、ここまでしなければいけなかったんだという衝撃が大きかった。ものを作るということに対して、次元が違うと感じたね。しかも売るということに関しては、これ以上無い実力の持ち主。自分の求めていることが都合良く全部ここにあって、即決で入ることを決めたよ。一ミリも迷わなかった(笑)」
タイミングも能力もビジョンも、まさにピッタリすぎる出会いだったんですね。
何でもかんでも全部やる!ベンチャー創業者の精神
本当に運命というか、なんかスゴいです。偶然とは思えないというか、小説の物語みたいです。
そこからどうやって、今のまごチャンネルまでつくりあげられたのでしょうか?
「出会って一番最初はオフィスも無いし、俺の家でミーティングの日々。とりあえず法人はあったけど、ほぼほぼ無職のおじさんが2人、昼間から一軒家で顔つき合わせてミーティングをしてる姿なんて、相当怪しい状況だよね(笑)旗から見たら完全にニートだったよ、あれ。」
最初は地道に、体裁を整えていってたのですね。
「ベンチャーのイメージって、例えばどこかの魔女が毎日大変で面白いことに遭遇しながら成長していくとか、どこかの海賊が船にのって海賊王目指すとか、そんなワクワクしたイメージだろうけど、実際超地味だからね。
普通の会社なら事務の人がやってくれそうな事務の仕事がめちゃくちゃ多い。アホみたいに書類書いてたよ。
あと、トイレ掃除もするのとかも、自分たちだしね。それがベンチャーなんだよねえ。」
「で、その後エンジニアの桑田さんが入ってきて、それまでは外注していたアプリも自分たちで作れるようになった。
ようやく実現できる準備が整ったところで、クラウドファンディングをやったよ。」
クラウドファンディング!すごく成功していたやつですよね。
「公開と同時にいろんなメディアに紹介してもらえるように、前日にメディアを招待したお披露目会もやったりしてね。
結局100万円程でサクセスなところを50分で達成、1日目で既に200%行ったよ。最終的に500万円以上集まったのかな。」
綿密な準備を少しも怠らないところは、今のチカクと全く変わっていないですね。
その期間まで、未知さんは具体的に何をされていたのでしょう?
「そこまでの間で俺は、まごチャンネルのプロトタイプがとにかく動くという体裁を整えるために、何でもやってたね。
工場なんて持ってないから、外部の工場にお願いするんだけど、どうやって作るのかを言わないといけないでしょ?まずはその資料を作った。つくる行程をつくったってこと。
例えばまごチャン本体でいうなら、回路・基板はちゃんと用件を満たしてる?とかスペック足りてる?とか、筐体(回路を覆うもの)とその金型・はちゃんと作れてる?とか、ACアダプタは認証や規格はクリアしてる?とか、めちゃくちゃ細かい基準を作って、依頼した工場がちゃんとそれを守ってるのかコミュニケーションしたりした。
あとは、箱のデザインとか、工場はきちんと清潔に保ててる?とか、ね。
広く浅くやってたけど、かなりのレベルの高さの広く浅くなんだよね。
知識が浅いとはいえ、要点を押さえなきゃいけなくて、どこかに穴があったら自分が埋めなくちゃいけない。その気になったら全部できなきゃいけないから、本当に。」
それと同時に、未来のために研究開発もしてる。現在のことだけ見てたら、生き残れないからね。将来の販売に向けて、いちばん最初の、1のつくるをやってるよ。
チカクでは、普通とか常識と違うことを考えて、やらなければいけない。ベンチャーは普通では生き残れないからね。めちゃくちゃ忙しいけど、新しいことをガーーーっとやって、日常の業務にまた追われて、の繰り返しかな。」
何でもやるは、今後も続く
チカクではハカセと呼ばれている未知さんですが、ハカセの意味ってなんなのでしょう?
「ハカセって物知りなイメージとかあるけど、知識は誰でも知れる。本質はそこじゃない。
知識の広さよりも、深さなんだよね。
そもそもMaster(修士)って言うのは、これ以上人類は知識をもってないですという人類の知の端までいくことなんだよね。
そしてDoctor(博士)っていうのは、その先端からちょこっと前に進める、発見をしたり、つくることなんだ。
ハカセっていう呼び名は、そいつがいたせいで人類の可能性が広がることそのものを指すんだ。その能力や経験、実績を指して、博士って呼ばれる。
分野は何でもいいんだけど、一度先端にいった後って、他のことも何となく想像がつくようになったりするよ。」と話す未知さん。
極められた技術と、様々な経験から得られた技術に関しての幅広い考察、そして何でもこなすガッツを持ち合わせた方でした!
チカクはまさに、新しいことを追求し、形にし、それを届けようとしている会社です。
本当に、話を聞けば聞くほどヤバくて面白いこの会社。
そのなかでも一段とヤバい、未知さんについての紹介でした!
ではまた次週!