英語記事を翻訳して紹介をしています。
筆者は弊社のリードデザイナーである、Michael Robsonです。元記事を読みたい方はリンクページをご確認ください。The Art of the MVP Soft Launch
クライアントが私たちの元にアイディアを持ってやってくる時、彼らは単にWebサイトやアプリを探しているのではなく、スピードを求めています。
プラットフォームを早期に立ち上げることは、ターゲット市場への入り口であり、市場の状況を評価し、次の段階への資金調達に繋がるため、非常に重要です。市場は常に急激に変化しています。世の中に対して自身の仮定を試すためにも、可能な限り早くプラットフォームを公開する必要があります。だからこそ、アイディアから早期段階の立ち上げまでのスピードが重要になります。
誰も未来を予想することはできませんが、次に重要なことは最小限の投資でまずはテストを行い、最適な市場を特定するためにもより良いモノにブラッシュアップを行うことです。
MVP(Minimum Viable Product)とは
それほど前ではないですが、MVP(Minimum Viable Product)という用語が技術者の間で眉をひそめていましたが、今ではそんなことはないでしょう。私がこの言葉を初めて聞いたのは、Eric Ries著書のThe Lean Startupが発売された2011年のことです。それ以来、アイディアを検証するために比較的短時間で何かを構築することを簡潔した表現として使われています。より技術的に定義したものがこちらです。
Minimum Viable Productは、アーリーアダプター(いち早く取り入れ利用する人)にまずは満足してもらえる十分な機能を備えた新製品、またはWebサイトを開発する手法です。 最終段階の完全な機能は、製品の初期ユーザーからのフィードバックを元に設計および開発が行われます。
MVPについて考えるもう1つの方法は、実際のユーザーに公開する(そして販売する)ことができるプロトタイプとしての使用です。以前は、制作チームは顧客に対して、次にどんな機能が欲しいか尋ね、求めらている機能の制作を本格的に始めますが、ユーザーは自分が何を望んでいるのか見当もつかないので、そういった製品は数多く公開されます。MVPプロセスは、開発プロセスの前にユーザーに具体的な何かを与えることによって、この難題を解消することを目的としています。
下記の図は、2011年頃のオリジナルのMVPプロセスを表したものです。1.0のステータスに達する前に複数回にわたりプロセスが実行されることを意味しています。 まずは最小限ものを制作し、ユーザーの反応を分析し、繰り返し作業を行います。制作会社を転々と巡り、最終的に市場に適した完璧なものが完成します。
2011年以降、MVPはどう変化したのか?
上記のプロセスの問題は、大まかな段階の仮定から始める必要があることです。もし、元々の前提が予想と遥かに外れていた場合は、収集されたデータからは適切な洞察が得られないため、微調整(ピボットとも呼ばれる)を行っても問題ありません。ただ、それではターゲットユーザーが直面する問題を知ることはありません。そして残念ながら、多くの起業家がこのMVPループを高く評価したため、手遅れになるまで実際のユーザーに話をすることはありませんでした。また、彼らが製品を売り込むために真剣に取り組むまでの間に、多額のお金と時間が費やされてました。
このプロセスをより良く機能させるため、実際のユーザーから得た現実的な問題から始まる、新しいMVPプロセスが提案されました。また、ユーザーから資金協力を得ようとする、現実的な検証です。
実際に人と話し、ワークフローやツールを深く掘り下げて知ることで、 彼らが抱えている問題を特定し ながら、原因を理解するでしょう。それは、将来への見通しを動かすものです。そして重要なことは、それが彼らの最大の問題点に繋がっているということです。この深い洞察は、あなたが重要な問題を解決しているという自信に繋がり、単に煩わしさに対処するためのものではないことです。これは単に失敗に終わる製品と、ユーザーがお金を払ってでも使用したいヒット製品との違いかもしれません。
ユーザーの抱える主要な問題(多くの場合、使用しているツールに関する問題)を認識することで、あなたの提案するソリューションの基本的なデモを作成できます。図やスケッチ、イラストまたはKeynoteなどのスライドと同じくらい簡易的で必要最低限のものです。このデモを見込み客に提案するとき(例えば、LinkedInのプロフィール情報に基づいて見つけた人など)次の段階のMVPを早期入手を売り込むことも可能です。
デモに対する制作費は?
きっとあなたの見込み客は、あなたがただ単に自分だけの改善に頼り、真似したような製品を制作したのではなく、問題点を見極め取り組んでいるのであればサポートしてくれるでしょう。拒否を恐れている起業家の中には、まずは無料で始めることが唯一の方法と考えてる人もいます。見込み客にとって障害になっている問題点だけを学び、制作に取り組み、金額だけを請求して本来それを目的としている投資家に印象付けることができるのは、本当に悲惨な現実です。
もし、あなたがこのプロセスを慎重に取り組むのであれば、顧客から断られることはないでしょう。
デモによって新しい顧客を生み出せるかどうかです。もし、見つからない場合はその原因に注意深く耳を傾けてください。覚えておいてください。もし、あなたが問題解決に頭がいっぱいになっていないのであれば、あなたは彼らの顧客に相応しくないのではなく、投資家の注目に値しないのです。
デモの素晴らしいところは、あなたが主要な問題を解決できることを顧客に対して納得させるための可能性を見せることができることです。
スティーブ・ジョブズの世界への売り込み
これはスティーブ・ジョブズが、既存のツールの問題点への取り組みという点では強気であった、iPhoneを発表した時の有名な例です。
彼は、最初に当時の市場に出回っていた製品の限度(BlackberryやMoto Qなど)を詳しく説明し、次にタッチスクリーンがそれらの問題を軽減することをシンプルに説明することで世界に大きく売り込みました。競合他社のCEOに、まだリリースされていない製品への対応方法を尋ねていたことが非常に説得力がありました。そして数日後には、全てのスマートフォンメーカーは今後業界に残るためには、マルチタッチ画面を提供する必要があることが明らかになったのです。
では、アップルは完成品を出荷する準備ができていたのでしょうか?絶対にそんなことはないでしょう。マスマーケットに確実に売り込むために、さらに6ヶ月を必要だった思います。
もう一つの素晴らしいデモとMVPに関する例は、Dropboxです。
彼らは、後にDiggで取り上げられた、低予算で製作したYouTube動画と一緒にを公開を行なった結果、24時間以内に数千もの技術者が利用を始めました。大規模な公開と独創的なアプローチ方法を組み合わせると、スティーブ・ジョブズ以外から買収提案を偶然にも断られた、数億ドルの会社になることもあります。
学ぶことを止めない
以前まで、私たちは写真共有を目的としたアプリのMVP開発を行なっていました。他の写真アプリには、中毒性があることを知っていましたが、単に「いいね」をしたりコメントをすることより、もっと説得力のあるインタラクティブなものを開発できるのか知りたかった、そして私たちの最終目的としては、写真共有をもっとゲーム化することでした。
アプリを公開した時、学生メインのイベントに参加し、私たちのターゲットユーザーである大学生にアプローチをして、初期段階を利用してもらうよう提案しました。その後、アナリティクスとKPIを調べて明らかになったことは、彼らは私たちのアプリを他のSNSアプリを同様に扱うことを求め、そこには確かな期待がありました。彼らに耳を傾けることで、他のアプリに対して不満に思っていること含め、彼らが本当に気にかけていることを教わりました。そしてこの洞察は、貴重なフィードバックをMVPに組み込み、速やかに改善することを可能にしました。
MVPモデルは、止まることのないサイクルです。
まずは、見込みあるデモを最初の製品として人々に届けるべきですが、最初から完璧でなくても問題ありません。それは、あなたの見込み客を満足させ、おそらく投資家に興味を持たせることを目的とした最低限の実行可能な製品です。新しい問題点を洗い出す、またはカッコいい技術を構築するために何かを構築する代わりに、次の段階への準備も可能なのです。
ユーザーの声に耳を傾け、彼らが抱えている真の課題を理解することに重点を置きましょう。