みんなで作る共同体アプリ『Gojo』
「こんな暮らしをみんなで実現したい!」「こんな社会を作りたい!」という思想をカジュアルに始められるプラットフォームです。 #gojo #braincat
https://gojo.life/
こんにちは。コミュニティマネージャーの長田(@SsfRn)です。
今回からスタートする「Gojoなひとびと」マガジン。こちらは実際にGojoに関わっていたり、Gojoを利用しているひとからお話を聞いて、リアルな情報をインタビュー形式でお伝えするマガジンです。
このマガジンで、Gojoが実現していこうとしている世界観を感じていただけると嬉しいです。
さて、記念すべき第一回目は、株式会社BrainCat CEOである中村貴一さんになります。中村さんのキャリアや、Gojoへ込められた想いについて伺ってみました。それではどうぞ。
ーーはじめに自己紹介をお願いします。
中村さん 株式会社BraiCatのCEO 兼 CTOをやっている中村ともうします。弊社は、共同お財布サービス「Gojo」を提供しています。Gojoとは、コミュニティが簡単にお金のやりとりができるようになるサービスですね。
ーーBrainCatを立ち上げるまでは、どのようなキャリアを歩んできたのでしょうか?
中村さん 2011年に新卒で中小中堅企業向けのシステム開発を行う会社に、エンジニアとしてジョインしていました。1年半後「エンジニアの仕事をもっとやって、たくさん開発がしたい!」と思い、設立して間もないITベンチャー企業へ転職しました。
転職後、朝から晩まで開発に没頭できる日々を送っていたのですが、会社が潰れてしまい、総合コンサルティング会社に移ります。
僕がたまたま前職でお世話になった方から、「中村くんは将来起業するから、経営も学んだ方がいいよ」と言われたんですね。過去にも、彼に1度面談してもらった際、将来のことを聞かれ「起業すると思います」と僕が伝えていたことを覚えてくれていたんです。ということで、経営もできて開発もできるこの会社を選んだわけです。
中村さん コンサルティング会社へ転職するまでに、1ヶ月ぐらい時間があったので、自分でサービスをつくり始めました。もともと僕は大学生の頃ミュージシャンをやっていたので、楽器に関するサービスを勝手につくり始めたんですね。
転職してからも、そのサービスはつくり続け、自分で楽器メーカーや楽器屋さんへ営業もやっていました。そうしたらみんな反応がよかったんです。
そんなある日、急に友人から「アクセラレータープログラムに応募しようよ!」と連絡がありました。
《アクセラレータープログラム》
大手企業や自治体がベンチャー、スタートアップ企業などの新興企業に出資や支援を行うことにより、事業共創を目指すプログラムです。3ヶ月間など期間が決まっているプログラムを設け、最初にビジネスプランのプレゼン選考などを通過したスタートアップ に対して投資を行い、経営ノウハウを指導します。
それが〆切まで5時間ぐらいしか時間がなくて、なんて無茶な話だと思ったのと同時に「この状況で俺が受かったらおもしろいな」とも思ったんです。その結果アクレラレーターに合格してしまいました。
それを機に自分の会社をつくり、楽器のシステムを提供していきました。しかし、結果として上手くいかずコンサルティング会社に復職したんですが、休職前と復職後ではまるで意識が違いました。
それは起業したことで、お金を稼ぐことの難しさやオーナーシップというものを経験したからなんですね。意識が変わり、さらに仕事をガンガンやっていくようになりました。
中村さん 結果として、超一流のエンジニアになりかけたけど、成果が出ていたことで、当時はとても上から目線になっていたんです。その結果、人間関係をこじらせてしまい、僕が体調を崩してしまいました。
鬱に近い状況になってしまい1ヶ月半ほど精神病院に入院し、そこで保険が適用されて、寝ているだけでお金が入ってくる状況になりました。給料の3分の2+入院費用、さらにいろいろ入ってきて結果としてプラスになっていたんです。
この状況が面白いと思ったことと、自分自身は自分のクリエイティブ性を発揮した方がいいんだなと思い、独立することにしました。退院後は、フリーランスエンジニアとして様々な企業さんのシステム開発のお手伝いをしていきました。
ただ、つまらないんですよ。最終的にそのシステムは自分のものではなく、会社のものじゃないですか。新規事業も任されていてクリエイティブ性も発揮できたんですが、自分のものにならないことに満足できませんでした。
やっぱり「自分でサービスをつくりたいな」と思い、色々考え「Gojo」というアイデアが出てきたんです。当時はFintechが流行っていて、仮想通貨やブロックチェーンという言葉をみんな使っていました。その中で、ブロックチェーンを使えば保険のシステムを作れるのでは?と思ったんです。
誰も保険というところには手を出していなかったことと、僕自身が入院時に保険を使ったという経験があったため、頭の中で”保険”と”ブロックチェーン”がすぐに結びつきどんどんアイデアを膨らませていきました。
そして行き着いたのが、ユーザー起案でニッチな保険がつくれるプラットフォームでした。自分で自分のリスクをカバーできる仕組みができたらいいのでは?と考えたんですね。2016年の後半にその企画書をつくったんですが、このサービスを使うユーザー像が浮かばず一旦放置することに。またフリーランス生活を開始しました。
そうしていると、とある知人が僕のつくった企画書を色んな場所へ展開していたみたいで、たまたまFintech協会にその企画書が流れ、そこにいた東京海上さんが見てくれたんですよ。すると興味をもっていただき、僕に会いたいと連絡をくれまして、直接話したところとても共感してくれました。
そんなタイミングで、家入一真さん(@hbkr)からもご連絡をいただきました。家入さんは過去に僕がつくったサービスを触ってくれていて、おもしろいと言ってもらってたんです。それから少しずつ連絡を取り合う仲だったのですが、「今何してんの?」と久々の連絡でした。その時に「こんな企画書をつくったんですよ」とGojoの企画書を送ったところ、家入さんから「これはとてもいい!」と好評価をいただいたんです。
そんな2つの出来事が重なったこともあったので、もう一度企画を練り直すことにしました。1ヶ月半の間コワーキングスペースに、朝から晩までずっとこもり企画と向き合いました。企画は形になってきたものの、デザインのところで行き詰まってしまい、VCに話を聞きに行こうと思いつきます。VCはいろいろなビジネスを見ているので、そこに関する知見やアイデアがあるかもしれないと。
お問い合わせからコンタクトとったところ反応がよくて、その流れで「出資しますよ」と話になりました。それが11月の資金調達に繋がっているということになります。
ーーあれ、でも今のGojoってニッチな保険ってサービスではないですよね?
中村さん そうなんです。この保険サービスで届けたいユーザーの皆さんから、直接意見を聞いてみたところ、このままだとワークしないということがわかってきました。
保険というのはPush型の商品。リスクがあるよと言われて初めて必要性を感じるものです。普通に生活している中では、保険の必要性はわからないんです。実際、自分の人生を振り返ってみて、「こんな保険欲しいんだよね〜」と言っている人を見たことがないなと。
ーーたしかに、それは僕も聞いたことがありませんね、、
中村さん ネットってどうなんだろ?と考えた時に、Pull型なんですよ。自分が調べたいことを調べて、欲しいもの買う。完全に需要ベースで成り立っているのが、ネットの世界です。
となると、めちゃめちゃ親和性が低い。それが去年の11月ぐらいにわかっちゃったわけです。「資金調達してるけど、このままだとダメだ」となり、今のGojoの形にどんどんシフトしていきました。
当時の保険を抽象的に見ると、コミュニティでお金集めてるだけなのでは?と思ったので、そこにフォーカスを当てて違う方向へ行こうと舵を切りました。
そうなると、クラウドファンディングやファンクラブや町内会や自治会などもターゲットに含まれるだろうと思い、こういった方々に話を聞きに行きました。すると、どうやらクラウドファンディングやファンクラブは違うみたいだとわかり、n 対 n のコミュニティが合致することが見えてきました。
営利を目的にしているわけではなく、ワイワイガヤガヤして楽しむような場所でのニーズがありそうだなと。また、小さなコミュニティでアナログなお金のやりとりをしているところでも、ニーズがあるなとわかってきました。
そういう経緯で、今のGojoの形に。ただ、現状のGojoは保険の時のモデルがベースにあるので、もっと使いやすくなるように来年にVer.2をリリースする予定です。
ーーこれはVer.2が楽しみすぎますね、、!ところで、なんで中村さんはエンジニアになろうと思ったんですか?
中村さん これは2つ理由があります。僕は映画で007が好きなんですが、そこでハッカーが出てくるんですね。シンプルにかっこいいなと思い、憧れました。また、ミュージシャンをやっていた頃、自分でHPを作りたいと思いプログラミングを専攻していて、そこで学んだんです。
ーーなるほど、、!映画や音楽という自分の「好き」なところから、今の中村さんのベースが作られているんですね、、!ちょっと突発な質問になってしまうのですが、中村さんが大事にしている価値観って何がありますか?
中村さん 明確に1つあって「自分は正しくない」ということです。これは相当意識しています。
例えば、僕が思っている普通と、長田くんが思う普通って全てが合致することってありませんよね?また、言い方に関しても強く言われたくない人もいれば、大丈夫な人もいます。
そう考えると自分が正しいかどうかって、その場その場で決まると思うんです。お互いが正しいと思うことって、お互いのコンセンサスが向いたところで決まると思うので、ケースバイケースすぎてわからないわけです。
だから僕は、ディスカッションを大切にしています。
今のGojoも何が正しいかわかってないから、いろんな人とディスカッションをします。ディカッションしている中で、お互いが「良い!」と思ったところがきっと正しいポイント。
それも完全に正しいかわかりませんが、自分だけで考えていることよりも全然正しいと思っています。
ーーなるほど、だとするとBrainCatの採用でもその視点で見ているということですか?
中村さん そうそう。自分の主張を曲げない方もいらっしゃいますけども、僕はそういうのあまり好きではないですね。頭の柔軟性がない人とか、上下関係を見る人とかは基本対応しないですね。
上下関係っていうのは、目上の人が一方的に意見を言うじゃないですか?下からの意見も「お前は下だろ?」みたいにはね除けてしまう。それは違うなと思うんです。
もっとフラットな関係で、ディスカッションの中でお互いの気付きを得て正解を見つけていくというのが、一番望ましいと思います。
ーーそのスタンスはいつから持っているんですか?
中村さん それは入院した時ですね。あの頃は、僕がだいぶ世の中を舐めてましたからね、、数字として完璧だったり美しかったりするものはあるわけです。でも、それが正しいかと言われるとそうでもない。
例えば小学生に哲学書とか読ませてもわけがわからないですよね。小学生には小学生なりの伝え方があります。僕はそういうのを知らずに生きてきたんです。
人間関係の摩擦も「なんで相手はこう思ってくれないの?」の連続ですから相当ストレスでした。自分が生きやすくなるためには、いろんな物事の観点を身につけないといけない。他の人の意見を受け入れられる姿勢が必要だと感じました。
ーー今後、中村さんが実現していきたいことってなんですか?
中村さん これは、「みんなが普通に楽に生きられる世界をつくりたい」ということです。僕は会社員→フリーランス→経営者という流れで一通り経験したんですけども、僕自身経営者が一番向いていると思っています。
経営者って客観的に見てみると、チャレンジングなことをやっている。でも、僕にとってはこれが生きやすいんです。自分には何が生きやすいのか?というものを皆さんにも見つけてもらいたい。
一般的とかリスクとかではなく、その人にとって一番合っている人生というものを考えてそれにのっとって行動していくと、より幸せな人生になると思っています。
この考えは、GojoにもBrainCatにも込められています。BrainCatは「猫のように自由に生きる人が世の中を変えていきますよ」というメッセージがあります。それぞれが持っている夢とかやりたいことって、本質をついていたりするので、共感してくれる人はいるわけです。
Gojoはまさにその思想のもとつくられています。「これが問題じゃないですか?こうなったらいいですよね?一緒に解決していきませんか?」と、共感を集めるプラットフォームだと思っています。究極的には皆さんが楽に生きていくための仕組みをつくっていきたい。というのが僕のやりたいことになります。
ーーそれもやはり、病院での一件が大きかったのでしょうか?
中村さん そうですね。その時にとても考えさせられましたね。今思うと、会社員時代の僕はとても息苦しい生活をしていました。
ーーそれはどういった息苦しさなんでしょうか?
中村さん 締め付けですね。スーツを着ないといけないとか、自分がいいと思ったことを上司に潰されるとか、無視されるとか、そういうことに息苦しさを感じました。
僕の場合は、それを入院することで気付くことができましたけど、普段の生活ではそういう機会ってあまりないような気がします。その辺りは改善していきたいなと思います。
今の世の中って偏りを感じますよね。労働でいうと、多くの方が会社員をやっていますが、それって正しいの?と。ちょっとそっちの方向に向けさせられている気がするんですよね。
ーー僕もそうですけど、最近はフリーランスが増えてきてはいるものの、まだまだ偏りは感じますね。
中村さん それは偏りを出て初めてわかることでもあると思うんですよ。その状況ってある意味不幸だなと思っています。もし、気付かずに苦しんで生きているのであれば、それはあまり喜ばしいことではないのかなと。
あとは、お金のこともあるなと思いますね。目の前の100万・200万円を追い求めている人が多すぎる。そうではなくて、自分にとって何が幸せと思えて、何が報酬と思えるのか?をしっかり考えておかないと、後になって後悔すると思います。
ーー中村さん自身もそういう経験があるんですか?
中村さん 僕は28歳くらいの時に年収900万円ぐらいあったのですが、実際900万円あっても使わないんですよね。
僕の生活は月20~30万円あれば足りるんです。それなのに、年収900万円ももらっても使い道がないんですよ。そうなった時、お金のために働くってあまり意味がないなと。
あと、スキルに関しても言えるかと思います。僕が20代頃はスキル向上を目指して貪欲に頑張ってましたけど、今考えればいらなかったんじゃないか?と思いますね。それよりも、人間としての基本的な姿勢を身につけるべきだった。
ーーいわゆる人間力と呼ばれるようなものですか?
中村さん そう。そっちの方が楽なんですよ。仕事で成果出すことよりも、人とのやりとりは必ずあるわけですよ。そっちがスムーズの方が気持ちよく働ける。今思うと、人間力を先に身につけておくべきだったと思いますね。
ーーでは、今の若手のビジネスマンにメッセージがあるとしたら、今の話になりますか?
中村さん そうだね。しっかり「自分のことを知る」ということが大切だと思います。お金が稼ぎたいなら稼げばいいし、そうでないなら何に価値があるのか?を考えた方がいいと思います。
僕の場合は、僕自身のクリエイティブ性を発揮してものごとをつくっていくのが好きなので、それに準じた生き方をするべきだと思って、経営者を選択しています。
ーー自分にとって何が幸せなのか?を考えようってことですよね。
中村さん さらに、学生へアドバイスするとしたら、言語能力鍛えた方がいいよと思いますね。自己分析を間違う人がいるんですよ。自分はこれが好きに違いない!っていうのが違ったみたいな。
他人からしたら、その人の言っていることを信じるしかないので、こればかりは他者からの指摘で直るものでもないんです。ただ、人間は自分と思っていることと違うことをやっていると、違和感を感じるわけです。その違和感を言語化できる能力が大事になるかなと。
ちょっとでも感じた違和感の正体を突き詰めて、しっかり言語化することは非常に重要なことだと思います。頭より体が先に感じていますから。なんか違うな、、と感じ取ることがまず大事。
ーーなかなか違和感に目を向ける人って少なく思います。
中村さん 僕が思うに、違和感に気付いていないだけなんじゃないか?と思っているんです。自分の体にしっかり注意を向けることが大切。もしかしたら、その機会が少ないのかもしれませんよね。
ーーでは、最後にGojoを使ってくれている皆さんにメッセージをお願いします。
中村さん Ver.1は本当に申し訳ありませんでした。Ver.2を来年2月ごろに出しますので、もう少々お待ちください、、
また、やりたいことをやる時に、Gojoを使ってもらえればと思います。1人じゃ難しいんですよ。仲間がいることでモチベーションが上がるし、行動を継続することができるんです。経済的にも、シェアした方が楽なわけですよね。
1人じゃなくてみんなと何かやることは、とても価値があることだと思うので、そこに気が付いた人にはぜひGojoを使ってもらえればと思います。
ーー本日はありがとうございました!
中村さん ありがとうございました!
以上、中村さんへのインタビューでした。
Gojoの誕生までにあった、いくつもの困難。その困難を乗り越えるたびに、成長していく様がとてもかっこいいなと、インタビューをしながら感じていました。
特に後半出てきたメッセージはとても共感することばかりで、僕自身考えさせられる内容。20代のビジネスマンにとって、今一度向き合って考えてみるポイントが詰まっているなと思います。
こんな素敵な想いが込められたGojoを、どうぞよろしくお願いします!
それでは!
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インタビュー・執筆・編集・写真
長田涼(@SsfRn)
コミュニティマネージャー