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“次” を超える人と共に挑戦するーー大学発ベンチャー支援プログラム「BRAVE」とは

「"次"を超える人と共に挑戦する」をミッションに掲げたBeyond Next Venturesは、大学発ベンチャーを"専門"に支援するベンチャーキャピタル(VC)です。大手VCで実績を積んできた創業者の伊藤毅の想いと、その想いを込めたアクセラレーションプログラム「BRAVE」についてお伝えします。

大学の研究成果が社会で活かされ、大学に資金が循環する流れを作りたい

Beyond Next Ventures(以下、BNV)は、高い将来性を秘めた事業構想を持つ新興企業に対し成長資金を提供するベンチャーキャピタル(VC)のひとつです。掲げているミッションは「“次” を超える“人”と共に挑戦する」「大学等の技術から新たな産業を創出し、チャレンジする人材の輩出により社会に貢献する」。大学における研究成果に裏付けられている物理、化学、工学、医療、生命科学、情報通信などの技術を基礎に、“次”を越えていく起業家たちを支援しています。


伊藤毅 「僕は昔から人と違うことが好きでした。独立してVCをやっている人、さらには産学連携を対象とする独立系VCは日本にはそれほど多くありません。ほかの人がやっていないこと、しかも社会に役立つことができると考えたんです」


日本では、大学の研究費は毎年3.5兆円ほどが投資されています。大学の研究成果が産業として実用化されれば、大学にはライセンスフィー、ロイヤリティー(権利金)が支払われることになりますが、その額は年間わずか20億円程度です。


もちろん大学への投資で重要なのは経済的な見返りだけではありません。実用化研究の基礎となる基礎研究やビジネスに直結しないアカデミックな研究成果を生み出すことは大学の社会的な重要な役割ですし、その研究開発を経て、人材が育っていくことで金銭に換算できない価値が生み出される面もあります。とはいえ、兆単位の税金が投入されていながら、リターンが20億円しかなければいずれ破綻しかねません。


その社会的な大きな課題に歯止めを掛けるため、BNVでは大学の研究成果の事業化を支援し、事業化を担うプロジェクトや企業に資金を集め、社会に還元していく「産学連携」の流れを作りたいと考えています。その一環として、始動したのがアクセラレーションプログラム「BRAVE」。


起業家や事業化を希望する人を募り、それぞれにメンター(アドバイザー)を付けた起業家向け研修を実施。基礎研究と優秀な頭脳を持った起業家たちをビジネスの舞台に立てるよう支援します。


伊藤 「これまでは将来性の見込める産学連携ビジネスをひとつずつ見つけ出して、個別にサポートを行っていました。『BRAVE』ではパートナー企業様のご支援も頂きながら育成カリキュラムを組み、一度に10〜20の起業家や起業志望者に対しノウハウと知識、人脈などビジネスに必要な要素を提供し、自ら修得してもらい業界の底上げを図ることを目指しています」


しかし、「人と違うことが好き」だけでここまでできるのでしょうか……。実は伊藤自身も、大学時代は理系で研究をしていた背景があり、この領域には並々ならぬ想いがあったのです。


参考:経済産業省「日本と海外主要国の研究開発活動」

http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/tech_research/pdf/chapter_1.pdf


参考:文部科学省「平成26年度 大学等における産学連携等実施状況について」

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/12/25/1365509_2.pdf

人生で初めて味わった「挫折」と「決意」

各国放浪中の一コマ。カナダから南下しメキシコにもステイ


約20年前、伊藤は東京工業大学に入学しました。専門分野だけではなく、幅広い視点を持ちたいと考え、理系ならば文系にも踏み込んだハイブリッドな「経営工学」を志望。しかし、伊藤は惜しくもその道を逃し、あまり深く考える事なく代わりに「化学工学」を専攻します。


実験室で行っている化学反応実験を大規模に工業化するため、プラント設備などの設計を考えていく学問分野です。ただ、大学院まで進んだとはいえ、化学工学は特に思い入れもない分野であり、伊藤はどうしても強い興味を持てませんでした。


伊藤 「僕は子どものころから、スポーツも勉強も意識して努力をしなくてもそれなりの結果を出せると思っていました。変な話『なんでもできる』くらいの自信がありましたが、興味の持てない分野では納得のいく成果が出せない。化学工学で初めて挫折を味わったんです」


「自由に研究テーマを決めていい」と言われたとき、なかなか研究テーマを決められませんでした。研究に打ち込みたいと思いながらも、どうしても心底夢中になれない……伊藤は一旦、研究の世界から離れて自分を見つめ直すために休学して海外を放浪します。


降り立った地はカナダのバンクーバー。人口が200万人を超える大都市でありながらも、豊かな自然に囲まれた、人と自然が調和している街です。そこで伊藤が目にしたのは、平日の昼間からビーチで遊んでいる住人たち。


地元の人と触れ合ううちに、彼らは自分たちの裁量で仕事をコントロールしながら、自分のための時間を創り出していることに気づきました。伊藤は彼らの自由に生きる姿に強い憧れを抱いたのです。


伊藤 「日本に帰れば、これからひとりの社会人として就職することになる。自由に生きるには、自分で課題を作りクリアしていかなければならない……自分の心に問いかけて、心底夢中になれることを探すようになりました」


そして、「将来、仕事を楽しむためにはどうすれば良いか?」と考え行きついた答えは「リーダーになること」。チームで仕事に取り組むときリーダーになれば忙しくも自分の裁量のもと仕事をコントロールし充実感を得ることができるだろうーー。「起業したい」。ゆったりとした時が流れるカナダの地で、伊藤は明確な目標を手にしたのでした。

「起業のために」と選んだVCが「やりたいこと」に変わった

ジャフコ在籍時代の投資先である、CYBERDYNE社の記念すべき上場


将来は独立起業するつもりで、日本のベンチャーキャピタル業界を牽引する大手のジャフコに入社。自らの意思で自分の歩むべき道を選び、しっかりと切り開こうとした伊藤にとって初めての重要な決断でした。


とはいえ、ベンチャーキャピタルを選んだ理由は、さまざまな企業文化に触れることが、自身が起業するときに役立つと考えたからというもの。当時はまだ、自らベンチャーキャピタルを起業しようとは考えていませんでした。


ここで再び大きな壁にぶつかりました。会社の仕事に適応できず、強いストレスを抱えるようになったのです。大学時代は自宅や研究室にこもっている日々が続き、なかば“引きこもり”のような状態。それに慣れてしまっていた伊藤は、社内外との円滑なコミュニケーションに難しさを感じていました。


「人を見ろ」と、上司がアドバイスしてくれるものの、自分の直感に自信が持てず一歩踏み込めません。会社が投資すべき新規事業の将来性は、必ずしも数値やデータで定量的に評価できるものではないと頭でわかっていても、なかなか切り替えるがことができませんでした。同期や後輩たちが生き生きと仕事をして成果を上げている……。


伊藤 「ただ、学生時代に感じた挫折のほうが遙かに大きかったんです。いまは自分自身で選んだ会社、道に立っている。もし辞めることになっても、会社を恨みたくない。会社から『辞めないでほしい』と言われるまでやろうと、頭を切り替えたんです」


成果が出せない“現在(いま)”を嘆いても仕方がない、“未来(つぎ)”は成果を出すーー。徐々に成果が出はじめて、入社5年目には産学連携グループのリーダーとして、さまざまな取り組みを自由裁量でやれるように。学生向けのビジネスプランコンテストを企画開催したり、国から助成金を得たりと、社内初の試みに積極的に挑戦しました。


そして2014年、伊藤の投資先であった医療用ロボットスーツを開発する筑波大発ベンチャーのCYBERDYNE社が上場。会社に十分なほどの利益をもたらした伊藤は退社。BNVの創業へと踏み出しました。

成功している人はみな「成功するまでやり抜いている」

BRAVEアクセラレーションプログラム、第1期の入賞チームとともに


伊藤 「実は会社を辞めたとき、独立後の準備は全くしていませんでした(笑)。起業をしようと考える人たちと同じように一旦ゼロからスタートしたい。給料がゼロになっても不安の中でもやりきる。実績は十分だったので、自分を追い込んで熱量を持ちたいとも考えていました」


とにかくさまざまな有力者に声をかけ、起業相談や情報交換を持ちかけた伊藤。ある尊敬する上場企業の経営者から「なんでも言ってよ。応援するから」と言ってもらい、勢いがつきます。最終的には合計で約55億円を集め、大学発ベンチャー専門のVCを始動させるのです。


伊藤が当初ひとりで奔走し生み出したBNVは、創業から約2年が経過し、現在は7人で運営しています。大学発ベンチャーの起業を促進するにあたって決定的に足りないのは、起業を志望する人々への「知識とネットワーク」です。


そもそも起業とは何か。起業には何が必要か。それに伴うリスクは何か、そのリスクはどのようにしてコントロールし、縮小できるのか。リスクを覚悟して前へ進むために求められるものは何か……。起業したくてもできない人だって、起業、経営に関する知識と事業化を後押しするネットワークさえあれば、殻を破って起業家へ転身することができるはずです。


アクセラレーションプログラム「BRAVE」は、そんな大学発ベンチャーを支援するプログラム。勉強会やセミナーを定期的に開催しながら、オンラインでも情報を発信します。大学発の技術系ベンチャーの挑戦に関わる人々や支援者が集まる「場」や「コミュニティ」を生み出すことも、BRAVEの果たすべき役割なのです。


伊藤自身には、学生時代、自分で自分の歩むべき道に真剣に向き合うことから遠ざかってきた反省があります。だからこそ、大学の中で自らの道を切り開こうと奮闘する人たちを、物心両面で支援したいと考えているのです。


BNVを立ち上げた当時の伊藤自身が、協力者に恵まれて、勇気づけられました。その有り難さを、次の起業家へ還元し、励ましや後押しをリレーしていく。その原点が、勇士を意味する「BRAVE」の名称に託されています。


伊藤 「成功する人はみな『成功するまでやりぬく』人ばかりです。新しい産業、雇用を生み出し、人類を一歩前に進めていける。僕はこの成功のためにとにかく“やりぬく”ことを考えています。BRAVEにもそんな志を持っている方々に集まってほしいですね」


“次” を超える人と共に挑戦するーー。伊藤にとってもBRAVEは自分自身への挑戦です。そのうち、「アクセラレーションプログラム」という既存の枠組みすら、参加してくれた起業家たちとともに “次”を超えていくかもしれません。


BRAVEアクセラレーションプログラム WEBサイト http://brave.team/


Text by PR Table

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