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27歳の僕が丸紅からVCに飛び込んだ理由-5兆円規模のアグリテック市場切り開く

技術系スタートアップに特化したVC「Beyond Next Ventures」最年少キャピタリストとして活躍するのが有馬暁澄(27)。新卒で総合商社・丸紅に入社した彼が、アグリテック・フードテックの専門家としてスタートアップ投資に関わることになった経緯とは?

「研究はお金にならない」でいいの?

研究(テクノロジー)とビジネスを結びつけたい —— 僕の原点はここにあります。

大学教授だった父の影響で、幼い頃から研究者の存在は近くにありました。

小学校時代の強烈に残っている思い出が、父が論文で大きな成果を上げたことで研究予算がグッと上がり、実験室が拡大されるなど、研究の質も大きく上がったこと。

もらえる予算によって、研究の質も変わるんだ

そんな生々しい実感の一方で、研究者たちは「何がおカネになるのか」つまり、かけた予算(コスト)に対する、収益(リターン)という視点が生まれづらい。

だからこそ「将来はまず“おカネを稼ぐ”仕事をしたい」と決め、慶応大学理工学部に進学しました。大学ではイベントサークルに入り、学生向けのファッションショーをヒカリエで開催するために協賛金1500万円を募ったりと、文字通り「おカネに貪欲になる」経験を積みました。

新卒では総合商社・丸紅へ入社します。

リアルな“商売”と投資をどちらも学べる環境があること、そして、社会的インパクトの大きい「食」の分野で仕事をしたいという思いからでした。

運よく、穀物のトレーディング(貿易)部門に配属になり、アメリカや中国、インドなどから、大豆、菜種……といった穀物の売り買いを担当します。単位としては何百万トン、売上高では何百億円をひとりで担う、充実した毎日でした。

テクノロジーが複数の課題を解決する

ある日、アグリテック系の企業が集うイベントにたまたま出席した時に出合ったスタートアップが、僕の人生を大きく変えます。

そのスタートアップは、「牛や豚のフンは肥料にするために高いコストがかかる」問題と「魚の飼料が足りない」という二つの問題を、テクノロジーが同時に解決する —— 。「こんな企業があるんだ!」と、衝撃を受けました。

貿易という「目の前のお金を稼ぐ」ことだけじゃない、未来に投資すれば、テクノロジーで新しい世界を作ることができる。そう気づいた瞬間でした。

直感的にこれだ!と、部内の有志でスタートアップ投資チームを立ち上げました。

今まで担当していた貿易業では、数百億円という単位でモノが動く一方、スタートアップは、数億円規模の事業、しかも「赤字が当たり前」なんて企業にはほとんど関わることがない。

ハードルは高かったのですが、テクノロジーが未来をつくる手助けがしたいと、やる気に満ち溢れていました。

総合商社ではできない“投資”

そうして、丸紅でスタートアップ投資にのめり込んでいったのですが、少しずつ違和感を覚えるようになってきました。その理由はいくつかあります。

1つは、技術の話をわかってもらえないこと。商社には理系出身の人はほとんどいないため、稟議書を持っていってもその企業の本当の価値がわからないのです。

もう1つは、4〜5年の赤字を覚悟した、長期的なスパンでの投資ができないこと。

商社では「今の事業でどれだけの売り上げがあるか」という観点で投資します。けれど、スタートアップの事業計画なんていくらでも変わる。テクノロジーの評価が難しいからこそ、そういった発想になってしまうのです。

さらに投資をしても、事業計画を組み立てたり資本政策を作ったりといった「その企業にとって本当に役に立つこと」までは関われない。

その論理もわかります。商社は四半期に一回、株主に事業について説明する義務がありますから……。

でも、もっと研究者に寄り添った投資がしたい —— そうもどかしく思っていたときに知人の紹介で出合ったのが、Beyond Next Venturesでした。

若いうちにリスク取る決断を

Beyond Next Venturesでは、まさに自分がやりたかった「研究や技術をビジネスに変える」投資ができる。しかも最先端のテクノロジーに対して、ハンズオンでビジネス化への支援ができる。すぐに事業内容に共感し、2019年8月に飛び込みました。

丸紅という五大商社からベンチャーに飛び込むことに不安はなかったか?

それは、自分の実力さえついていれば、いざとなればいつでも戻れるだろうと(笑)。それよりは、20代という若いうちにリスクを取る決断をしておきたかった。未練はありませんでした。

今はアグリテック・フードテック関連の6社の投資を担当している他、インド現地のアクセラレーターと組んで、10月には3社への投資を決めました。

ちなみに、丸紅にいた時は数百億円規模の事業を担当していたため、数億円の規模の事業なんて……と思っていた高い鼻は、入社して早々に折られました(笑)。

大企業による投資とVCの投資は、全く違います。

事業計画や資本政策のサポートはもとより、スタートアップはとにかく「ないものだらけ」。販売経路、量産化、事業会社との連携、マーケティングなど、彼らに徹底的に伴走して、企業価値を上げるためのサポートを全力でします。

ゼロからヒャクまで「ビジネスを成長させる」スキルが身についていると感じます。

5兆円規模のアグリテック市場に挑む

アグリテック領域は規制も多く、産学官民の連携が不可欠。

だからこそ、今は農林水産省や大手企業にも働きかけて「スタートアップが成長するエコシステム」を築くことにも注力しています。

さらには大学や研究機関発ベンチャーの事業化を支援する2カ月間のアクセラレーションプログラム「BRAVE」にも入社直後から携わっています。

VC投資だけでなく、課題に対するサービスの立ち上げも、裁量権を持ってやらせてくれる。これはBeyond Next Venturesだからこそできたことだと思います。

アグリテックの世界市場は、2019年の505億ドル(約5兆2800億円)から2024年までには722億ドル(約7兆5500億円)に成長するというデータもあります。大きく広がっていく市場の中で、アグリフード・キャピタリストとして第一人者になることが当面の目標です。

そしてアグリテック領域に必要とされる資金・リソースを提供できる大きなエコシステム作りたい。

そしてこの領域は、世界で広がっているサステナビリティ投資やESGs投資にもつながっています。これから、「インパクト投資(※従来の経済的なリターンに加えて、社会的課題の解決を目指す投資のこと)」にも活動の幅を広げて行きたいと思っています。


◆採用活動のお知らせ◆

Beyond Next Venturesでは、現在中途・新卒(2021/2022)共に、起業家マインドを持った投資担当およびアクセラレーション担当を採用中です。ご興味をお持ちの方はWantedlyまたはこちらのHPからエントリー下さい。
https://beyondnextventures.com/jp/recruit/
お問合せ: hr@beyondnextventures.com 採用担当

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