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電子契約を“当たり前”にするラストワンマイルの担い手として - データとファクト、圧倒的熱量で行政を動かすフロンティア(後編)

弁護士ドットコムが提供する電子契約サービス『クラウドサイン』。2015年の提供開始以来、累計契約送信件数500万件以上の実績(※)をもつ電子契約サービスです。
現在、事業として注力しているテーマの一つが行政に対するDX推進です。昨年には専門チームが立ち上がり、地方自治体との実証実験や導入が進んでいます。今回は前編に引き続き、元自治体職員という経歴を持つ平澤さんに、これまでのキャリアや入社の経緯について語ってもらいました。
※数値は2021年4月末時点

【Profile】
クラウドサイン事業本部 公共政策部 デジタル・ガバメント支援チーム
平澤 野安(Hirasawa Noah)

大学卒業後、SIerにて自治体へのシステム導入に関わるインフラ・ミドルウェアを担当。公共サービスへの興味から入庁した市役所にて経営企画、政策全般にかかる調査研究、ソーシャルメディアの活用・オープンデータの推進など官民連携による新規事業立ち上げに関わったのち、ケースワーカーとして福祉の現場で業務改善に取り組む。
配偶者同行休業制度を活用し、シンガポール滞在中にはプロジェクトマネージャとして日系金融機関・企業の業務システムインフラ導入を担当。
2021年5月より弁護士ドットコムに参画。クラウドサインのデジタル・ガバメント支援チームにて行政DXを推進中。

ITで社会が変わった瞬間を目の当たりに

ーそもそも平澤さんはエンジニアだったそうですね

大学時代に『Suica』が普及していったんですが、そのときめちゃくちゃ感動したんです。みんなが『Suica』で改札をスーッと抜けていくのを見て、「すごい、社会って変わるんだ」って。そしてこれは間違いなくITの力だと。テクノロジーで日々の生活が変わっていくことに興味を持ち、卒業後はSIerに就職しました。

ーそこからのキャリアチェンジが興味深いです

SEとして自治体のインフラを担当していました。仕事をしていく中で、実際に区役所と仕事上で関わるようになって気づいたことがあるんです。それは、地方自治体はこの国で暮らしていく上で絶対になくてはならないサービスだということ。生活に直結している分、市役所には様々な行政サービスがあります。これはやりがいを感じられそうだと思い、市役所へ入庁しました。

市役所では経営企画や政策全般に関わる調査研究、SNS活用、官民連携による新規事業立ち上げなどを7年ほど経験しました。バックヤードから全体を俯瞰する部署だったので、非常に学びがありましたね。

ー川上で様々な経験を積んだわけですね

現場も経験しました。生活保護のケースワーカーです。ここでは業務改善に取り組みました。現場にシステムが入っているんですが活用しきれておらず、紙による事務手続きが行われているような環境で、「どうしてシステムがあるのに使っていないの?」「1件ずつ手作業でやるのって面倒くさくない?」という疑問を感じていました。

ー業務改善に対して、現場から抵抗はありませんでしたか

ありましたね。でも「これまでやってきたことを変えたくない」という気持ちもわからなくはありません。だから、同僚たちが「これ、楽になったわ」と言ってくれるような改善提案を心がけていました。新しいやり方に変えたことで、結局「面倒だ」と思われてしまう方法は改善にはなりません。この経験はいまに活かされているように思います。慣れているやり方を変えることへの面倒さを超えるものが、本当に求められる改革だと理解したのはその時でしたね。

ーその後、シンガポールに行かれたそうですね

はい、外資企業に勤めている妻がシンガポールに駐在することが決まり、配偶者同行休業制度を利用することにしました。配偶者が海外に転勤するような際に、同行するために休業できるという制度です。これを利用して、市役所に籍を残したまま2年間、シンガポールで駐妻ならぬ『駐夫』として暮らしていました。

ー現地ではどう過ごしていたのでしょうか

もともとは、せっかくなのでのんびり過ごそうと思っていましたが、偶然にもSIer時代の同期とたまたま再会し、「暇ならウチで働かない?」という話になりまして。結局、新卒で入社したSIerの現地法人でプロジェクトマネージャとして日系金融機関・企業の業務システムインフラの導入を担当することになりました。

ーいつ頃からキャリアチェンジを意識しはじめたのでしょうか

シンガポールで過ごす中で、2020年の日本における行政DX推進の機運や新型コロナへの対応を国外から見て、また各国の対応の違いも比較し、まだまだやれることはたくさんあるなと、行政に対するモチベーションは日本にいるときよりも上がっていました。でも市役所に勤めている限り、どうしても市役所という場所でないと仕事ができない環境です。外から行政に関わる形でキャリアの軸を少し移していこうと思ったのが転職のきっかけです。

シンガポール滞在時

キャリアを集約して飛躍のステップに

ーなぜクラウドサインへの転職を考えたのでしょうか

これまでの自分の経験を集約した先がどこにあるのかを考え、「ITサービス」と「行政」というキーワードで転職先を考えました。また、SaaSベンダーのスピード感にチャレンジしてみたいと考えている中、クラウドサインのデジタル・ガバメント支援チームの求人が目に止まりました。面談で、できたばかりのチームでまだ実績がないけれど法改正を見越して実証実験等を進めているという話を聞き、めちゃくちゃ面白そうだなと。まさに自分が『Suica』の普及時に感じた世の中の変化を巻き起こせそうな事業だと感じ、自分も一緒に挑戦したくなりました。ベンチャー企業への挑戦に不安もありましたが、興味のほうが勝っていきましたね。

ー実際に入社してみて感じるやりがいは何でしょうか

正解がないところですね。法的に地方自治体がクラウドサインを契約締結業務に使えるようになったのは今年の1月末。そして自治体での初めての導入決定が5月。スタートしたばかりの環境下、自治体への導入や運用にコミットできることや、自分の想いやアイデアを手触り感を持ってカタチにできる点にやりがいを感じています。

ー現在感じている課題は何かありますか

自治体職員の頃から感じていたことですが、「行政が新たな取り組みを始めるモチベーションは何か?」という解は一筋縄ではいきません。最終的には「みんなやっているから」となるのがありがちなところなのですが、それでは遅いので違うモチベーションを探さなければいけません。電子契約という1つのポイントだけではなかなか検討しづらい自治体もありますし。

ー課題に対して、どう取り組んでいこうとお考えですか

「どう電子契約を取り入れるか?」ではなく、「電子契約を使ってどういった業務効率化ができるのか?」という視点が必要だと考えています。そのためには、私たちもいろいろな引き出しが必要です。契約締結の前後に関係する事務フロー、つまり決裁や財務・会計処理のことについて問われたり相談されるケースは多く、変革をしたい想いは伝わってきます。こういった投げかけに打ち返せるようにどんどん守備範囲を広げていくことが大事だと感じています。

また、自分自身のスピード感もまだ足りていないところも。自治体の経験が長かったからか、合意形成や事実を積み上げてから進めるやり方が染み付いているので、もっと突っ走っていくべきじゃないかと感じています。前のめりすぎるぐらい、クレイジーにやったほうがいいかなと。自分が思う1.5倍速ぐらいで。

ーやるべきことはまだまだたくさんありますね

やれることはたくさんありますし、むしろやれることばかりだと思っています。自分自身としては、LegalTech(リーガルテック)の会社というより、GovTech(ガブテック)、PubliTech(パブリテック)の会社に入社したつもりでいるので、その世界で自分の経験を統合して、できることをより大きくしたいですし成長していきたいです。

ーこれまでのキャリアが見事に活かされそうですね

いや、自分としてはこれまでのキャリアは一貫性がないと思っています。その時々に面白そうだな、という方向に流れていったので。もちろんそれはそれで面白いとは思いますが、このあたりでもう少し集約して自分のキャリアを考え直すときだと。人生の中でも最も大きなステップだし、飛躍のチャンスだと捉えています。

前編の記事はこちら

電子契約を"当たり前"にするラストワンマイルの担い手として - データとファクト、圧倒的熱量で行政を動かすフロンティア(前編) | 弁護士ドットコム株式会社
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