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「鑑賞」していた物語を「体験」する。マーダーミステリーに見出した面白さを広める使命

クリエイティブカンパニーであるBAKERUには、「クリエイター合衆国」を目指すべく様々な分野のプロフェッショナルが所属しています。

今回はそんなクリエイターの中から、BAKERUグループ「ミスティブ」代表で、BAKERU執行役員Expの酒井りゅうのすけさんにお話を伺いました。

酒井さんは2022年5月、ニッポン放送の番組「ガクのネ」にて、「体験型エンターテーメントのハナシ聞くのすけ」のマンスリーパーソナリティを担当していました。

目次

  1. “物語の中に自分がいる感覚”
  2. 芝居とマーダーミステリーに見出した共通点
  3. 芝居を「見るもの」を「やってみるもの」へ
  4. 酒井りゅうのすけプロフィール

“物語の中に自分がいる感覚”

マーダーミステリーは2019年4月にはじめてプレイしました。体験したストーリーは「王府百年」という中国製のシナリオでした。中国で大流行しているこのコンテンツが、日本で大きく普及する直前に体験しました。

体験する前の私のイメージでは、マーダーミステリーはあくまでボードゲームの一つ。新しいゲームが登場した程度だと思っていました。

しかし、実際体験してみると“物語の中に自分がいる感覚”に強い衝撃を受けました。そこですぐに、当時、展開していたボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」の店舗に導入できないかと検討をはじめたんです。勢いのまま、現在もパートナーとしてともに仕事しているJELLY JELLY CAFEの代表の白坂に連絡しました。「マーダーミステリーを広めたい」と。

ただ、マーダーミステリーの魅力の1つは「没入感」です。その魅力をストレートにお客様に伝えるためには、既存のボードゲームカフェでは他のボードゲームのパッケージ等が置かれていたりと「没入感」を高めきれないというのが最終的な判断でした。ではどうするか。それが、マーダーミステリーの世界をそのまま楽しめる専門店「Rabbithole(ラビットホール)」誕生の背景です。

マーダーミステリーは「見る」や「聞く」ではない、没入感のあるナラティブな体験が楽しめます。私はそんな面白さとそこから生まれるコミュニケーションに強く惹かれました。そしてこの体験を広めることに尽力したいと思ったんです。これはこれまでの僕の集大成になり得るとさえ確信しました。

芝居とマーダーミステリーに見出した共通点

--日本でかなり早いタイミングでマーダーミステリーを体験されたんですね。やはり大事にされているのは「没入感」でしょうか。

そうですね。私の経歴と、この体験から見出した共通点が「没入感」だったことにも由来すると思います。

私は中学時代に吹奏楽部に所属し、16歳からはアクションショーや着ぐるみショーをはじめました。この経験から、ショーやエンターテインメントの面白さに気付き、お芝居の世界に飛び込みます。そして、ステージや映像の中で物語の登場人物の1人になる没入感に惹かれ、さらに活躍の場を広げられたら、と、想いのまま東京に上京しました。

ただ、演技の技術を高めるためにはセリフを覚えたり動きをつけたりと様々なことが必要です。毎日無我夢中で取り組みましたが、どうやら私の稽古時間は人の3倍近く時間がかかっていることに気付いてからは、その適性のなさにとても苦しみました。そこから、自分は演じることが好きではあるが、さほど上手くないのではと思うようになったんです。ほどなくして、芝居の世界からは遠のいた生活をするようになりました。

そんな時に出会ったのが、バーチャルリアリティの世界です。まだTwitterすら登場する前の2010年頃、一時的にメタバース空間が流行していたのはご存知でしょうか。仮想世界でアバターを操作し、バーチャルな空間の中で物を売り買いしたり、移動したり…。こうした体験は当時とてつもなく新鮮で、私はその没入感の高さに飲み込まれていきました。

そしてそのバーチャルな体験を通して手に入れた感覚、芝居を通して学んだことから、マーダーミステリーの体験に「没入感」という共通点を見出しました。だからこそ、その面白さを広げ体験してもらうには、より物語に没頭できる環境づくりが必要だと思ったのも大きいと思います。

芝居を「見るもの」を「やってみるもの」へ

–BAKERUに参画した理由と、これから挑戦したいことを教えてください。

BAKERUグループに入ったいくつか理由はありますが、1つは、BAKERUがクリエイター集団について構想していたことです。

さらに、マーダーミステリー専門店「Rabbithole(ラビットホール)」はtoCビジネスですが、マーダーミステリーの作品をつくり、お客様に提供していく中で得たノウハウはtoB向けでも展開できると考えていました。そこで、「物語」を企業に提供するための新しい仲間や、そのバックアップ体制、販路拡大に、BAKERUと協働するメリットがあると判断した形です。

物語の持つパワーは偉大です。ミスティブでは“マーダーミステリー”という文脈のシナリオシステムを使い、今まで「鑑賞」していた物語を「体験」へと進化させたいと考えています。それは、物語を自身の人生として体験することが、人生経験を豊かにすることにも繋がり、生活を更に華やかな物に変えると信じているからです。

芝居を「見るもの」から「やってみるもの」へ。大きなことを言うと、お芝居をする環境を、もっと一般の方向けにつくりたいと考えています。これは「演技のカラオケボックス」という目標であり、マーダーミステリーはその1つの手段として捉えています。

読書も、映画鑑賞も、コンテンツに内在する「物語」をもっと楽しめるように。登場するキャラクターを、他人ごととしてではなく、日常生活とシンクロするナラティブな物語体験として楽しめる、新しいカルチャーとして育みたいと考えています。そのために、これからも常に新しい手法を考え、表現することにチャレンジしていきたいです。

酒井りゅうのすけプロフィール

1976年兵庫県生まれ。2014年に株式会社九月の聖地を設立。テーマパークアトラクションや2.5次元舞台等のクリエイティブ部としての業務を行いながら、ボードゲームカフェ“JELLY JELLY CAFE”の運営や演劇ユニット“聖地ポーカーズ“のプロデュースも行う。ポーカー・テキサスホールデムのトーナメントディレクターとして全日本大会等にも従事し、個人としてもポーカーの競技性を高める国際試合“IFMPアジア大会“に日本代表選手として出場。2019年10月に株式会社ミスティブの代表取締役に就任。2020年に株式会社BAKERUに株式売却。

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