笠 峻志 - Kasa Takashi
高校卒業後、一度は一般企業に就職するものの以前から憧れを抱いていたアパレル業界へ進むことを決意し、服飾の専門学校へ進学。そこでグラフィックデザインに熱中したことをきっかけに、デザイン事務所へ就職。企業のロゴや広告のデザインに携わり、グラフィックデザイナーとしてキャリアを積む。その後はデジタルプロダクトを手掛けるデザイナーを目指し、2018年4月にグリー株式会社の子会社アウモ株式会社(以下「アウモ」)へ入社。現在は開発グループにおいてUI/UXデザイナーとして「aumo」のWebサイトのデザインや、オリジナルグッズの商品デザインを担当。趣味はデザイン、Netflix、カメラ。
これまでの経歴
実はファーストキャリアはデザイナーではなく、新卒当時は一般企業で働いていました。一度は就職したのですが、もともと服が好きだったこともあり、アパレル業界で働きたいという思いが強くなって、社会人4年目で服飾の専門学校に進学することを決めました。
専門学校時代は、服のデザイン画を描いて自分で服を作っていたんですが、興味本位でillustratorなどのデザインソフトを触り始めてからグラフィックデザインを勉強するうちに、服飾系のデザイナーではなくグラフィックデザイナーを目指すようになりました。
知識も経験もほとんどない状態で、苦戦しながら就職活動をしていたとき、たまたま専門学校のOB会で卒業生の先輩と再会しました。その先輩にキャリアプランについて相談したところ、先輩の会社からデザインの依頼をいただけることになったんです。その案件が順調に進んで、いくつかの依頼を受けていくうちに、「よかったらうちで働いてみない?」と誘ってもらったのが、デザイナーとしてのキャリアのスタートです。
UI/UXデザイナーへの転身を決意
デザイナーとしての一歩を踏み出し、プレゼン資料や中小企業のロゴなどのグラフィックデザインを担当して経験を積む中で、より多くの人に届けられるものを作りたいという気持ちが大きくなり、実力を試すために転職活動にチャレンジしました。そこで何社か面接に進んだ中から広告会社に入社することが決まりました。
その当時から、紙媒体だけでなくデジタルにも興味があったので、当時は知り合いが運営するWebサービスのデザインも手伝っていました。単発でのデザイン依頼をいくつも受ける中で、デジタルデザインの面白さにのめり込んでいき、今後は成長していくプロダクトのデザインに挑戦したいと思い、アウモに出会いました。
サービスの成長を支え続けたいと思えた、大規模プロジェクト
プロダクトの成長を支えるようなデザイナーを目指してUI/UXデザインの経験を積むために、まずは派遣社員として働いて、そこからキャリアを固めていこうと考えていました。数多くの企業の中からアウモに決めた理由は、「aumo」という成長していくプロダクトに携われること、WebとAppどちらも運営していること、チームで働くという経験が積めることの3つでした。
アウモに入って一番心に残っている仕事は、それぞれのおでかけジャンルに特化した比較サイトの全体のデザインを手がけたことです。すでに「aumo」のWebサイトやAppが出来上がっていて、ユーザー規模も拡大しているところに、3つの比較サイトを同時に立ち上げるというのはとても大がかりな業務でした。「aumo」のデザインの一貫性を大事にしながら、新しくホテル、グルメ、レジャーの比較サイトをリリースしたときは、達成感に加えてほっとした気持ちもあり、今後のサービスの進化がより楽しみになりました。
それらの比較サイトのリリースが完了して、アウモで働き始めて1年半ほど経った頃、嬉しいことに社員登用のオファーをいただきました。ここまでいろいろな経験をさせていただいて、今後「aumo」がどうなってくのかをできる限り見届けたいという気持ちと、サービスと一緒に自分も成長していく経験をしたいと思い、オファーを快諾しました。
サービス改善の速さは、デザインの力で生み出せる
デジタルプロダクトは、作るだけではなく世の中に出してからがスタートなので、”進化を続ける”ってところが醍醐味だと思っています。デジタル領域は物理的な障壁がない分、アイデアを素早く試すことができるので、新しいことを検証して改善するスピードが早いところも自分に合っていると思います。何度もチャレンジを繰り返す中で、試したことが上手くいくという成功体験もモチベーションに繋がっています。
デザイナーという仕事をする上では、「新しいものを生みだそう」という気持ちよりも、まずは「あたり前の状態とはなにか」を考えることを大切にしています。
誰も見たことのないユニークなサービスをつくるのではなく、既視感があっても多くの人が迷わずに使える状態にして、そこから自分たちの実現したいことを整理していきます。そうすることで、プロダクトに携わるメンバーでの議論もしやすくなり、「aumo」らしく進化させていくことができるのではないかと思います。
『最高のデザイン』はチームで作り上げる
誰かが考えたデザインをそのまま形にするというより、「ここではどんなデザインが正解なのか」というのをチームで見つけていくのが、アウモでの仕事の進め方だと感じています。PMやディレクターからデザインを依頼されるとき、アウトラインはありつつも、そこから先は考える余地が残った状態でボールを投げてくれるので、デザイナー自身で考えたものをまずは形にしてみて、そこから議論してUIができあがっていきます。
依頼されたものをただ作るのではなく、一緒に作り上げているという感覚が大きいのは、プロダクトをデザインする上で自己成長を実感できる要素の一つだと思います。
そういった意味でも一緒に働くエンジニアの皆さんを尊敬することも多くて、「aumo」で実装したいことについて相談すると、「できませんよ」って言われることがほぼないんですよね。実現したいことに対して、どこまでができてどこが難しいのか、難しいところはどうしたらできるのかっていう代替案を必ずくれます。「できる」「できない」ではなく、「実現していくためにはどうするのか」っていう視点は、チームとして仕事をする上でも本当に素晴らしいと思っています。
日々進化し続けるサービスに欠かせないこと
アウモでUI/UXデザインを始めてこの3年間で、デザインでプロダクトを成長させていくためにはどうするのかというところに常に意識が向くようになったと思います。良い意味で自分の中の頑固な部分が減りました。それまでは、細かいことにこだわり過ぎて前に進まないという本末転倒なこともありましたが、達成したいことをなるべく早くより良い形で実現するために、目的に対して優先順位をつけれるようになったと思います。
なにか新しいことを検証するにも、まずは世の中に出さないと始まらないので、まずは仮説を立てスピード感をもってリリースして、その後は地道に検証を繰り返していくというのが意外と近道だったりすることに気づきました。
それぞれの頭の中にあるイメージを、まずはデザイナーが可視化してコミュニケーション可能な形にすることで、議論できる状況を早めに作るようにしています。
「aumo」らしさを追求して、この先にやり遂げたいこと
いまはプロダクトとして成長させていくフェーズですが、今後は「aumo」の全体的なUIのリニューアルをやってみたいと思ってます。例えば、サービス名が書いていなくてもデザインを見て「aumo」を連想できるように、「aumo」らしさとサービスの一貫性を突き詰めていけたらいいなって思います。
いまは、Web検索でたまたま見つけた「aumo」の1ページを見るだけという方も多いと思いますが、「aumo」のサイトに飛んでそこから情報を探すような、ユーザーが使いやすくて統一感のあるプロダクトにしていきたいですね。SEOの効果や数字には直接影響しないところにも、ユーザー体験として向上させていける部分はまだまだあるので、そこにも注力して今よりさらにユーザーが頻繁に利用したくなるようなサービスにしていきたいです。
デザイナーとして掲げる大きな目標
自分が目指しているのは、事業とプロダクトの間にいられるようなデザイナーです。『会社が実現したいこと』を今の技術でどうやって形にしていくのかを考えて、それを実行するのがデザイナーの役割だとしたら、いかに理想に近い形でアウトプットできるかを妥協せずにやり抜くこと。
デザイナー視点でビジュアル化することだけにとらわれず、事業全体を引っ張っていくデザイナーを目指したいと思います。