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代表インタビュー。中国出身のエンジニアが語る、創業の背景とアシオットの未来像

技術者としてキャリアを積み、アシオット創業に至った代表取締役の三上にインタビューを行いました。アシオット創業までの経緯と、技術的な観点から見たアシオットの強みについて語ってもらっています。アシオットでは現在、AIスペシャリストを募集中。少しでも興味を持ってくださった方は、是非募集ページよりコンタクトいただければ嬉しいです!

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■三上プロフィール
中国出身。大学卒業後、ソフトウェア開発会社に入社。その後来日、大学院での研究期間を経て、テレビ・PC周辺機器メーカーピクセラにてデジタルテレビ・STB用ソフトウェアの開発を担当。2010年、中国最大のITソリューション・サービスプロバイダー企業Neusoftに入社しグループマネージャー、新規事業部長を経験。日本の大手企業の大規模な組み込みソフトウェアプロジェクトをリード。2020年、アシオットを創業。現在は代表取締役兼エンジニア組織および開発のマネジメントを行う。
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ーそもそもの技術との出会いについて、教えてください。

高校までは一般的な勉強をしており、大学で電気工学の分野の専攻に進みました。携帯キャリアに関わるような通信について学んでいました。ただ勉強をしていく中で、その領域よりもコンピューターシステムについて強く興味を持つようになりました。当時は98年くらいで、少し前からインターネットが浸透し始め、色々なネットサービスが発展していた頃です。大学の勉強のかたわら、C言語を使って趣味でプログラミングをしたりしていました。

ー大学卒業後の進路はどのように決めたのですか?

2000年に大学を卒業します。同級生は通信キャリア系の大手企業などに就職していく中、やはりコンピューターシステムをやりたい、ソフトウェア開発に関わりたいと考えていました。新卒では北京にある、パソコンのアプリケーション開発を行う会社に入社を決めました。学生時代は、あくまで趣味で開発の勉強をしていたので、高い技術力を持っていてコンピューターシステムに関して基本的な知識を身に着けられる会社がいいと思っていました。その会社には、業界では著名だったプログラマーの方がいて、良い環境に身を置けたと思います。

ー同期たちとは異なる、チャレンジングな就職をしたんですね。その後、日本に来ることになるのはどういった背景ですか?

一社目には、3年ほど在籍しました。良い経験ができたのですが、もう一度学校に入って専門的に技術の勉強をしたい気持ちが強くありました。仕事をしながらも、もっと高度で最新の知識を学びたいと思っていたんです。そこで中国国内、アメリカや日本など海外も含め、大学院を探していました。そんな時に、当時付き合っていた彼女(現在の奥さん)が先に日本への語学留学を決めており、その繋がりもあって日本に行くことを決めました。
日本語を学ぶのは初めてだったので、まずは語学学校に入り、約半年後に京都の大学院に入ります。コンピューターシステムの最新の勉強ができる、良い先生がいるということを知り、そちらに決めました。

ー異国の地に来るわけですが、日本での生活や大学院時代はどうでしたか?

当時出会った日本人はみんな優しくて、住みにくさを感じることはあまりなかったです。大学院の同期たちがとても親切にしてくれた思い出があります。
大学院では、”分散処理システム”を勉強していて、その中でも”プロセッサ”の領域をメインに学んでいました。コンピューターの中でもハードウェアの領域に強く興味があったのですが、ハードウェア・ソフトウェアを別々のものとして捉えるのではなく、コンピューターシステム全体の中で双方がどう連携するか、がとても重要であり、そのコアな役割を担う”プロセッサ”について、勉強・研究をしていました。
また当時、ソフトウェア開発の会社でアルバイトをさせてもらっていました。ここで新卒の会社でのキャリアを生かすことができ、良い経験ができたと思っています。

ー大学院を卒業し、その後のキャリアはどう動いていくのですか?

ありがたいことにアルバイトをしていた会社で、社員になってほしいと言われていたのですが、製造業に行きたいという思いがありました。小さい頃からの憧れだったコンピュータゲームの任天堂社なども受けていましたが、最終的にはピクセラという家電製品などを扱うメーカーに就職を決めます。組み込みの開発がやりたかったことと、当時上場を果たし成長を続けていたフェーズであったことが、決め手でした。当時は2006年くらいで、テレビがデジタルに移行していく頃でした。私が担当していたのは、テレビのセットトップボックス(受信した情報を、動画やテキストなどのコンテンツに変換し表示させるための機材)の開発です。各テレビの仕様を見ながら、ハードに近いソフトの領域の開発に携わることができ、とてもやりがいがありました。チームリーダーの経験も積むことができ、良い経験をさせてもらったと思っています。

ー特に印象に残っていることや苦労したことはありますか?

色々ありますね。やりがいやプラスの意味で印象に残っているのは3点ほどあります。ひとつめは、これまで学んできたことを仕事として実践できたことです。大学院で勉強したことはあくまで体系的な理論で、それが頭に入っていることと、開発で活かせるというのは別のことだと思います。現場で様々な経験を詰めたことは、本当に良かったです。ふたつめは、コンピュータアーキテクチャに関する考え方を学ぶことができたことです。当時仕事で関わっていた有識者の方から学ぶことが多く、「コンピュータシステムにおけるハードウェアとソフトウェアの機能分担方式(トレードオフ)」であるアーキテクチャの重要性をより深く知ることができました。このときに学んだ考え方は、今のアシオットの開発の中でも活かすことができているんです。みっつめは、当時の日本人のプログラミングの綺麗さに感動したことです。新卒で中国で仕事をしていたときは、もちろん時代も少し前だったので、プラグラマーたちのドキュメント力がまだ低かったんだと思います。ドキュメントを共有して綺麗でわかりやすいプログラムを書く、という考え方が業界全体で進んでいく中、その実践がしっかりとされている環境で働けたことは、とても良かったと思います。
苦労したことは、ものづくりの会社ならではのことで、実は今のアシオットにも通じることです(笑)。当時、自社の製品のリコールを経験しました。製品の回収を実際に行い、岐阜の工場で皆で数週間働きづめになったことがありました。ソフトだけで完結するサービスが単純ということではないですが、やはりソフトウェアとハードウェア、様々なパーツが絡んで成り立っているモノの開発は複雑だと思います。そして自社の製品がうまく機能しない、顧客を満足させられないという苦しい思いも学ぶことができました。
こういった経験の中で、ものづくりをするときに、システム(ハードウェア/ソフトウェア)に対して大局観を持つことの重要性を感じました。短期的な狭い視点ではなくて、グローバルあるいは巨視的な観点で俯瞰をして考察をすることがとても大事だと気づくことができました。この考え方は、今でも常に意識をしていることです。

ー今のアシオットでもハードとソフトが絡み合うからこその難しさは、よくおっしゃっていますよね。そんな中、アシオットの起業まではどんなことがあったんですか?

ピクセラで3年ほど経験を積んだあとは、さらに自分の開発の力を伸ばすことができる場を探していました。家族の事情もあり中国に帰ることも選択肢にあったのですが、最終的には中国の開発会社Neusoftの日本法人への入社を決めました。日本の製造業の年功序列の風潮に少しマイナスな印象を持っていたので、実力主義で様々な企業と関わりながら開発に専念できる、外資の企業を選びました。日本の名だたるメーカーやシステム会社とプロジェクトを組み、業務用カメラの組み込みソフトウェアの開発を行っていました。中国にいるエンジニアのチームリードをしたり、ブリッジエンジニアとして日本と中国の開発チームを繋ぐ役割を担っており、やりがいがありました。開発の領域や扱う製品としては、前職の経験を活かすことができていたのですが、当時はまだ新しかった”アジャイル”という開発手法を取り込んでおり、刺激的でした。
Neusoftでは10年ほど働くことになるのですが、実は当時働きながら友達と一緒に事業を始めていました。決済に関わるサービスの開発にチャレンジして、約3年ほど事業を運営していましたが、ルールが厳しく業界的にもグロースが難しく、最終的には事業を畳むことになりました。
その後、Neusoftの中で私が当時メインでやっていたIoTの事業が撤退することになった、というきっかけがあり、アシオットの創業を決めます。これから確実に伸びるだろうIoTの領域について得たことを、自分の力で世の中に還元していきたいと思っていました。

ー起業をするということは、昔から自分の中で決めていた目標だったんですか?

そういうわけではないですが、学生時代に技術の勉強を始めた時からずっと、自分の価値や強みについて考え続けていました。技術の道で生きていくことを決めから色々な経験をしましたが、ただ自分自身の技術力を磨くだけではなく、どんなことができるんだろうと考えてきた結果が、自分で事業をするということだったんだと思います。開発したサービスが世に役立つように、新しい技術を海外から持ち込んだり、サービスを広げるためのマーケティングを考えたり、関わる人々のマネジメントをしたり。そんな中で自分も常に成長をし続けるということが、自分のやりがいであり生き方だと思っています。

ーIoT+AIという領域に目をつけた背景を教えてください。

前職Neusoft時代にこのマーケットについて勉強をしている中で、いくつかの観点で大きな可能性を感じたからです。1つ目は、市場規模です。日本国内だけでこの市場は、2027年には8兆7000億円余りまで伸びるとされています。2つ目は、ロングテールな市場であるということです。IoT+AIという市場は、いくつもの大きな社会課題(少子高齢化、労働人口の大幅減少、社会インフラの老朽化、ほか)に関わっており、その解決の一助になり得るものだと考えています。3つ目は、IoTにおける成功のために必要な技術を持っている自信があったからです。IoTは様々な技術の組み合わせで成り立つものであり、私含めた当時のチームがハードウェア・ソフトウェアの両方に精通しており、またクラウドAIも組み込みAIも共に理解ができていました。日本国内ではまだまだライバルが少ない、技術力を強みにこの市場で成長できるのではと思い、覚悟を決めました。

もちろん簡単なことではないと思っていましたが、難しくかつ正しいこと(世のために価値を創造できること)をしたいという思いが常にありました。生まれた国ではない日本で外国人が創業をするということ、可能性はあるが難しいIoT+AI業界を選ぶこと、古く大きなインフラ業界に挑戦をすること等、ハードルはたくさんありましたが、だからこそやりがいがあると感じました。新たな価値を生み出すためには、難しいことに向き合い、どれだけ我慢をし努力できるかが重要だと思っています。この挑戦にはその価値があると感じました。

ーアシオットの創業当時を今振り返ると、どんなことを思い出しますか?

アシオットの創業自体は2020年ですが、2018年くらいからASmart(今の主力サービスである、自動検針を可能にするIoTカメラ)の構想は出来ていました。仲間を4-5名集めてアシオットをつくり、最初は受託開発なども行いながら、ASmartの開発を進めました。半年から1年間くらいは、お金・人の問題には常に悩んでいたと思います。またインフラ領域に関わる中では大手企業との連携が必要になるものの、我々のようなスタートアップは当然見向きはされません。そんな中で、過去の人脈に助けられたのと同時に、一度繋がると切りにくい顧客接点についてはとても慎重に判断をすることを大事にしていました。

ー2020年の創業から少しずつ事業・組織ともに拡大を続けてきました。改めて、アシオットの技術面での強みについて、教えてください。

エッジAIをコア技術として、自社内でハードウェア・ソフトウェアどちらも開発できるという点が圧倒的な強みだと思います。単なるアプリケーションではなく、モノに組み込んだサービスを提供し顧客から満足を得られている企業は、スタートアップではまだ少ないと思っています。サービスを使ってくださる顧客からは、エッジAIを用いていることによるデータの精度の高さを誉めていただくことが多いですね。今まで取ることができなかったデータを取る、その活用により事業運営を効率化する、という新たな価値を提供できていると感じたときは、とても嬉しいです。

ー今後、アシオットはどういう価値を提供したいと考えていますか?

先ほどの話とも重複しますが、エッジAIの技術を通じて、これまで取ることのできなかったデータの取得はもちろん、その利活用までを一気通貫で担える業務アプリケーションやサービスを広く提供していきたいと思っています。今はガスや水道、電気などのメーター領域にメインで向き合っていますが、私たちはメーター業界だけを変えたいと思っているわけではありません。今後は、働く人々をこれまでの役割から開放し、より一層”創造性”を発揮できる世界を実現するために、”アシタのAIoTプラットフォーム”の構築をしていきたいと考えています。

ー開発という観点で、今後に向けた課題を教えてください。

開発チームは、もっともっとチームとして成長できると思っています。自分自身もマネジメント能力を磨きながら、皆で成長していける組織にしていきたいと考えています。
また、開発力はもちろんなのですが、私たちが向き合う業界の知識がもっと必要だなと感じています。IoTはあくまでただのツールでしかなく、それを顧客や世の中に対しての”価値”にするには、ドメインの知識や顧客理解がとても大事です。それをいかに身に着けサービス開発に活かしていくかが、ビジネス側と連携しながら、強化していくポイントと思っています。

ー現在採用も強化中ですが、どんな方と一緒に働きたいですか?

今のアシオットのフェーズでは、”実行力”と”スピード”と”自立”がキーワードになるかなと思います。失敗してもいいのでやってみる、それを早く実行に移す、人から言われなくても自分で考えてみる、ということができる人と一緒に働けると嬉しいです。もちろん私やチームと一緒にやるので、ひとりで全てやってほしいということではありません。失敗することを恐れずに、走りながら考えて、次の行動を考えられる人だと、今のアシオットで活躍できると思います。
少しでも興味を持ってくださったら、是非一度話をしましょう!

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