社内インタビュー記事
アーキタイプで働くメンバーに仕事内容や個々人が抱える新規事業開発に対する想いについてインタビューしました
https://www.wantedly.com/stories/s/interview_archetype
こんにちは!アーキタイプの採用担当米原です。
インタビュー第4弾はアーキタイプLead Business Architect貝沼さんに
アーキタイプに入社したきっかけや今後の展望についてインタビューしました!
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Profile
貝沼 篤(かいぬま・あつし)
アーキタイプ株式会社Lead Business Architect
2004年 NTTインターネット入社
エンジニアとして決済システムの設計・開発・運用を担当
2006年 フューチャーアーキテクト入社
食品流通企業のBPR案件の要件定義から設計・開発・運用を担当
2008年 電通イーマーケティングワン(現 電通デジタル)入社
大規模Webサイトの戦略策定・開発・運用やMA・CMS導入、市場調査、新事業企画等のプロジェクト等に従事。自動車メーカー、新聞社、化粧品メーカー、通信キャリア、保険会社等を担当
2014年 アクセンチュア入社
大企業のデジタルマーケティング戦略策定・実行支援、Accenture Open Innovation Initiativeでスタートアップと大企業のオープンイノベーション推進活動に従事。自動車メーカー、自転車部品メーカー、スポーツ用品メーカー、ECメガベンチャー等を担当
2017年 BCG Digital Ventures入社
クライアントの新規事業におけるリサーチ・アイディエーション、事業計画策定・グロース戦略策定まで従事。自動車メーカー、総合電機メーカー、製薬会社等を担当
2019年 アーキタイプ入社
企業内新規事業プログラムの企画・実行支援に従事
——今日はよろしくお願いします!早速ですが、貝沼さんは様々な会社でのご経験がありますよね。その中でもなぜ最初のキャリアでエンジニアを選ばれたのでしょうか?
「仕事をするなら自分が納得したものを売りたい」「自分が作り手になりたい」という職人気質のような欲求が僕の中にあったんですよね。学生時代は、実学とは遠いアカデミズムの世界にどっぷり浸かっていたので、恥ずかしながら就活を進めていく中で初めてIT業界を知りまして。そこで「文系でもモノ作りができます!」っていう売り文句に惹かれて、エンジニア職で就活していました。で、NTTグループなら社会的に大きいインパクトのあるシステム作れるだろう、自分も鍛えられるだろうと思って入社しました。
——なるほど、そういう背景があったんですね。そこからフューチャーアーキテクトに移られたのはどうしてですか?
NTTインターネットでは、自社で持っているプロダクトをベースにしたSIをやっていたんですけど、大規模な基幹システムをゼロから作ってみたいと思って転職しました。当時の僕からすると、自社プロダクトの仕事ばかりをしていると、開発者として汎用性が低い、自分の会社のことしか出来ないやつになっちゃうんじゃないか?という発想だったんですよね。どちらかというと、いろんな会社のいろんな業務のシステム開発をやってた方が鍛えられるかな、と思っていました。今思うと、ミッションクリティカルなサービスだったということもあり、品質管理もしっかりしていて、めちゃくちゃ恵まれた環境だったなと思うんですけどね。
フューチャーアーキテクトには1年半ぐらい在籍して、要件定義から設計、実装、運用まで一貫してシステム開発に携わりました。在籍期間は短かったですが、もう、今じゃ考えられないくらいの労働量でしたね(笑)
そこで、企業の大きなバックエンドシステム開発をしていく中で、自分の気持ちに変化がありまして。ルールや正解がある程度存在する業務最適化・効率化の仕組みを作っていくことより、今答えがないもの、世の中に新しい価値観を届けられるようなマーケティングに関わることがしたいと思うようになって、電通イーマーケティングワン(現在の電通デジタル)に移りました。
あと、その時の転職はネガティブな理由もありまして。フューチャーではすごい技術者がたくさんいたんですが、僕も技術は好きではあったものの、彼らを見て、「あんなに楽しみながら高度なリファクタリングとかパフォーマンスチューニングとかできねぇな」って思って挫折したんですよね(笑)
ただ、挫折も悪いことばかりではなくて。「挫折した時」って、自分のスキルレベルとできる人のスキルレベルの差と、自分がなぜできないか、がある程度わかる瞬間でもあるんですよ。で、この後の会社も含めて何度も何度も挫折を繰り返してるんですけど、徐々に「こういうことをしたいときは、このレベル感の人をチームに連れてくればいいんだ」という発想になってきたんですよね。別に自分じゃなくてもいい、なんなら社内の人じゃなくてもいいじゃないかと。これは、結果的にですけど、事業を作るときのチームの考え方やスキルの見極めで活かされてるんですよね。「とりあえず自分でやってみて挫折」をしまくってよかったなと思ってます(笑)
電通イーマーケティングワンですが、当時「デジタルマーケティング」という言葉がなかった時代に「マーケティングとIT」を標榜していて、これは面白い、自分のテクノロジーの知見を活かしつつ、マーケティングの仕事に関われると思ったんです。その時点では僕マーケティングの知識とかほぼゼロだったんですけど、うまい具合にマーケティングとITの絡むプロジェクトに参加できて、徐々にマーケターに軸足を移していったという感じです。
ここではいろいろな経験をさせてもらいましたね。マーケティングリサーチ、大規模Webサイトの開発、CRM戦略の検討、当時は珍しかったエンタープライズCMSやMAの導入、スマホアプリ開発とか。ちなみに、転職するときにもう実装はやらないつもりでいたんですが、プロジェクトによってはなんだかんだプログラムも書いてたりしました。同じエンジニアリングでも、業務系とWeb系では進め方や思想が違うので、それもまた一つの学びになりましたね。ちなみに今でも、Webサイトを見たらざっとコードを見るようにしてますよ。
そういえば、経営戦略室という部署にいた時、実はアーキタイプに相談しに来たことがあるんですよ。当時出たばかりのFacebook APIをどう使うかという話でしたね。
——なんとここでアーキタイプとの繋がりがあったんですね…!!
そうなんですよ(笑)その時は、上司から紹介されて行っただけなので、こういった事業開発支援をしている会社だとは認識していませんでした。
そして電通イーマーケティングワン時代は、いろんなプロジェクトがある中で、あるクライアントの投資部門が、投資先候補のスタートアップを調査・スクリーニングして、定期的にレポーティングし、最終的にどういう事業領域が狙い目かを定めるっていうプロジェクトがあったんですが、それがめちゃくちゃ楽しかったんですよね。元々新しい技術やサービスの情報は個人的な趣味として追いかけ続けていたんですが、そのあたりから新規事業とかスタートアップに強く興味を持つようになりました。
——電通イーマーケティングワンからアクセンチュアへ移ったのは、やはり新規事業やスタートアップに興味を持ち始めたのがきっかけなんでしょうか?
そうですね。もっと事業開発に関わる機会が多そうな環境に行きたいと思って移りました。また、当時の電通イーマーケティングワンでは、プロジェクトの性質として、受託のWebやアプリ開発といった比較的戦術的なことに関わることが多かったので、もう少し戦略的なところから関わりたかったというのもありましたね。
アクセンチュアでは、期待通り、マーケティング活動に関する戦略的な部分に関われる機会も多くなりましたし、アクセンチュアとスタートアップ、クライアントの連携を推進する取り組みにも関わらせてもらいました。ただ、当時の事業開発の取り組みに関しては、自分の思い描いていたものとは少し違いを感じ、その後、BCGデジタルベンチャーズ(以下BCG DV)という、ボストンコンサルティンググループの中で新規事業開発にフォーカスする会社に移りました。BCG DVはコンサルではなくインキュベーターで、クライアントはいるものの、自分が主体となって事業を作っていくというスタンスなのがとてもエキサイティングでしたね。ここでは組織的な事情で、しばらくしてから新規事業以外も扱うグロースの専門部隊に異動になったんですよね。なので、自分のやりたいことを追い求めてアーキタイプに移ってきたという感じです。
——アーキタイプは当時、公式に募集はかけてなかったそうですが、どんな感じで入社したんですか?
yentaでたまたまアーキタイプ代表の中嶋さんとマッチングして、「せっかくマッチングしたし焼肉でもいきましょうか」とランチに誘っていただいたところからですね (笑)その後、入社前から「こんなことがしたいんですよね」というのを菅野さんに話していて、「じゃ、やろう」という流れで入社しました。
実は他の大手企業からもお誘いいただいていたのですが、アーキタイプの方が面白そうだなと思ったんです。アーキタイプって実は、いろんな大手企業の新規事業開発プログラムとかアクセラレータープログラムの原型を作ってたりするじゃないですか。でも、アーキタイプ自身はめちゃくちゃ有名というわけではない。これはもう完全に僕の好みでしかないですけど、こういう黒子の美学みたいなのがすごく好きで。裏方としてやることちゃんとやってるというところに惹かれましたね。まあ営業的にはもっと名前売れてないといけないのかもしれないけど(笑)
——まさに(アーキタイプ代表の)淳さんがおっしゃっていたことと一緒ですね。淳さんが広告代理店である電通出身ということで、率先してあんまり表に出ないところがアーキタイプにも受け継がれてるって言っていました。
初めて聞きましたけどそうなんですね(笑)
はい、支援している人より、矢面に立って事業を回している人が注目されるべきかなと思うんです。
我々のような支援者って矛盾を孕んでいる仕事だと思うんですよね。本質的に考えると、事業会社にとって一番望ましい状態って、我々がいなくても自走できる状態だと思うんですよ。だから、僕らが1年後、2年後にいなくなったとしても問題ない状態に持っていくのが理想的な支援の在り方なんじゃないかなと。つまり、新しい取り組みの初期段階の苦しい部分を裏方として支えるのが我々の立ち位置なんじゃないかなと思ってます。僕は新しい事業を創りたいとは思っているけど、どちらかというとフォロワータイプです。自分以外の情熱や意思のある人の支援を通して事業を創ることが楽しいと思っているので、この立ち位置はあっているなと自覚しています。
あと、アーキタイプに入るにあたって考えていたこととして、新規事業開発の取り組みをもっとカジュアルなものしたいという思いもあったんですよね。新規事業って選ばれし者しかできない、みたいな状態はなんだか健全じゃないしもったいない。やろうとする人の意思や情熱は前提として必要ですけど、スキル的に絶対にこの人じゃなきゃ事業が作れないわけじゃなくて、やろうと思えば誰しもできる可能性があるよねっていうのを感じていて。そういった支援をアーキタイプでならやれるかなと思ったんです。
——アーキタイプが掲げている「事業創出活動を民主化する」って所とすごくマッチしてますね。入社する前からその気持ちがあって、たまたまアーキタイプが同じことを言っていたって感じなんですか?
そうですね、というかその言葉は僕が書いたので(笑)。
アーキタイプとしてそこに賛同してくれたのはありがたいです。それにアーキタイプは、会社の規模が大きくないので社内政治がない上に、何かのソリューションの代理店をやっているわけではないし、エンジニアリング部隊があるわけでもないので、それらを担いで売るような文脈をプロジェクトの中で考えなくていいところが良いんですよ。一緒に事業を成功させるんだっていう、事業のことだけをピュアに考えられる環境がとても良いなと思っています。
——貝沼さんに強い思い入れがある事業開発についてですが、新規事業を作っていく上で大切なことって何だと感じていますか?
新規事業ってキラキラしてるように思われがちなんだと思うんですよ。実際、僕は一番面白い領域だと思ってますが、想像以上に地道さと精神的なタフさが必要だと思います。強い思いや意思があって考えたアイディアでも、ユーザーに受け入れられないことがほとんどですし、協力してくれるパートナー企業探しも、取り組みの新しさゆえになかなか価値観やメリットを理解してもらえず、見つけるのに苦労します。想定と違う反応やネガティブな反応をされても、「そういうもんだよな」と割り切ってひたすらインタビューや交渉をし続けられるような、折れない心が必要だと思います。また、そういった活動を通して自身の仮説を随時修正していく学びの姿勢や、知ったかぶらず、わからないこと・誤りを認める謙虚さや「無知の知」も重要です。
あとは、柔軟性でしょうか。特に企業内新規事業プログラムのような、ステージゲートでアイディアが絞られていくような制度の場合、自分の考えていたアイディアがダメでも、目指すところが近い他の人のアイディアに乗っていくことも必要だと思います。解決したい課題が同じなら、別の解決策でもいいや、という心持ちです。解決策に対するオーナーシップが強いのは悪いことではないですが、それにこだわり過ぎると、そもそも本質的な課題解決から遠ざかってしまうことがあるので。
——貝沼さんはいくつか社外イベントのメンターもされていて、ボランティアでやっているものも多いとおっしゃっていましたよね。そこまで精力的に活動されているのはなぜでしょうか?
たまたま知人から紹介されてメンターをしていることが多いのですが、メンタリングを通して言語化することで、僕自身の中でバラついていた知識が体系化されて、それがアドバイスになったり、メンタリングしている方の課題感や価値観が僕のインプットになったりもするんですよ。
僕、大学の専攻が哲学だった影響もあってか、原動力の大きな部分が「未知の価値観や概念に触れること」なんですよね。なので、自分の知らない概念や価値感に触れられるこの機会は非常にありがたいと思っており、可能な限りサポーティブにやっています。
そういった志向性もあってか、事業を通して多くの人々に新しい価値観を届けることが、個人的には最も精神的に豊かで面白いことだと思っています。例えばUberとかAirbnbって、サービスも素晴らしいのですが、サービスそのものよりも、新しい旅の仕方や働き方、所有の概念を世の中に提起・浸透させたことが最も素晴らしい成果だと思うんですよ。
ただ、価値観や概念の変化を促すことが豊かなことといっても、高尚な志やイケてるコンセプトがあるだけではダメで、それが届けたい人に届かなければ意味がないし、事業としてやっていくなら継続的に稼いでいかなければなりません。お金をもらうということは、表面的な現象としては単にサービスの対価を得るというものですが、それだけではなくて。サービスとその対価の取引を一定量以上生み出すことによって、人々にそのサービスの背景にある価値観や世界観を流通させている、ということなんだと思うんですよ。そういった意味で、届けたい人々の間で多くの取引を生んでいるサービスは素晴らしいと思います。
——人々の価値観を変化させるのは現実難しいとこもあると思うんですけど、新規事業を促進する上で、ここがよくなったらもうちょっとよくなるのに、という課題感は感じていますか?
ありきたりですけど、失敗の許容かなと思っています。これは企業における失敗の許容っていうのもそうだし、エンドユーザーの失敗の許容度を上げていくことも必要だと思っています。よく日本人は品質に厳しいっていうじゃないですか。厳しい観点を持っているのはいいんだけど、それが当たり前だと思いすぎている感はあります。新しいサービスに対して、「とりあえず使ってみよう」という考え方の人が増えるといいなと思いますね。よくFail fastって言いますけど、新しいコンセプトやサービスに対して「反応が悪い」という結果をはっきり出すことも一つの前進だと僕は思うんですよね。そういう意味で、ユーザー側もサービス提供者側も失敗の許容度を高めて、「失敗はよくあることだよね」「とりあえず試しに使ってみるか」くらいのスタンスになることが新しい事業や価値観を作るうえでは必要なんじゃないかなと思います。もちろん、ただ失敗しろというだけでなく、事業開発者にとっては、それで「何がダメだったか」の学びを得ることが最も重要です。
——確かに失敗に対してはネガティブなイメージが強いなっていうのがありますね。そんな中で貝沼さんが今後携わっていきたい案件や、将来の展望などについてお伺いしても良いですか?
難しいなあ…ひとつは、このコロナ禍における、新しい形の消費スタイルを促進するようなサービスに関わりたいですね。消費が動かないと、経済が動かないので。
あと、僕らのクライアントって首都圏の大手企業が多いじゃないですか。なので、もう少し地方の企業ともお仕事をしていきたいなとも思います。できるならば、今の第一次産業、第二次産業で働く、リモートワークしにくいけど我々が生活する上で欠かせないエッセンシャルワーカー的な人に対する新しいサービスや仕組みを作ってみたいですね。それとMaaS。これまでモビリティ系のプロジェクトは実は一番長く携わってきたので、ここにも何らかの結果を残したいなと思ってます。
将来的には、事業開発者同士がもっと深くつながって、世の中に良いサービスが生まれやすい環境づくりができたら良いですね。企業同士のAPIエコノミーみたいな。その中で、最低限の競争は必要ではありますが、国内のどこどこの会社に勝った負けたではなく、日本株式会社として、諸外国に対してユニークな価値を生み出していければと思っています。
ちなみに、事業領域によっては国内向けサービスだと市場の広がりが限定されるので、初めからグローバル狙い、という考え方もあるとは思いますが、僕は、日本独自のガラパゴスな価値観・サービスを仕組み化した上で、グローバルにカスタマイズして展開、の方が長期的に価値が出てくるような気がするんですよね。それに、自分の生活圏内で起きている身近な課題の方が、事業の作り手のモチベーションが長続きすると思うんです。
貝沼さんありがとうございました!
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