年間7万件を超える問い合わせに対応するアンドパッドのカスタマーサポート(以下CS)は、多種多様なプロダクトの知識を持ち合わせたプロフェッショナル集団です。今回インタビューしたのは、カスタマーサポートチームを牽引するリーダーの中込。従来業務の常識を凌駕する、アンドパッドのCS部門の裏側に迫りました。
中込 智聡 カスタマーサポートチーム(リーダー)
前職は大手BPO企業にて、法人営業、コールセンター事業に従事。より顧客の課題解決に貢献したいという想いから、2021年12月にアンドパッドへ入社。現在はリーダーとしてメンバーの育成やサポート品質の平準化などを手掛ける。
アンドパッドのCSは一筋縄ではいかない
――CSの具体的な業務について教えてください。
私たちが担う業務は、お客様からの電話、チャット、メールのインバウンド対応が中心ですが、ただ単に問い合わせを待っているだけではありません。COPG(Customer Operation Group)依頼のアウトバウンド対応や、フィールドセールスなどの社内から連携される顧客対応、さらには、運用提案など「カスタマーサクセス」としての対応まで、多岐にわたる業務を行っています。私たちが徹底しているのは、お客様の状況・お困りごとに寄り添う姿勢です。受話ができなかった電話(不在着信)に対しても、折り返しのご連絡を徹底しています。
――非常に業務範囲が広いですが、CS全体の難易度という観点ではいかがでしょうか?
ANDPADは建設業界の多様なプロセスを支えるプロダクトであるため、身につけるべき知識の幅が広く、サポートの難易度も非常に高いのが特徴です。現段階のカスタマーサポートは、担当プロダクトや機能ごとに窓口を細分化していません。メンバー全員がすべてのプロダクトと機能を網羅して把握し、ワンストップでお客様の課題を解決する体制を大切にしているからです。 些細な操作手順から、非常に複雑な設定・権限周りの課題まで、あらゆる相談が一つの窓口に集まってきます。
――建築現場の業務フロー全般に関わる機能を理解して答えるというのは、想像を絶する難しさですね。
はい。さらにANDPADは、社内外の関係者をプロジェクトに招待して協働する仕組みや、詳細な権限管理機能を持っているため、管理画面における設定の組み合わせが非常に複雑になります。 契約企業様向けの管理者設定、EDI・ERPとの連携や協力会社様向けの設定や権限、各機能の運用ルールなど、顧客に合わせた無数の設定パターンが存在します。さらにお客様のご利用状況にあわせて各社ごとに権限やカスタマイズが加わります。 画面をパッと見ただけで「これはアカウント設定の問題だ」「お客様は図面と言っているがこれは施工管理の質問だ」など瞬時にお客様がお困りの状況を見抜かなければなりません。また、電話をかけてくださる方が、契約企業の推進者様なのか、工務の担当者様なのか、それとも協力会社の職方様なのか。あるいは、お電話口でお話をくださっているのが協力会社さんの携帯を借りている別人、というケースもあるので、「元請と協力会社」「発注会社と受注会社」という業界構造を把握した上で対話しないと、状況の整理ができません。
――顧客の属性や現場での立ち位置、さらには複雑なシステム上の権限設定まで見極めて対話する必要があると。これは一般的なカスタマーサポートの枠組みを完全に超えていますね。
それに加えて、問い合わせ数も年々増えています。2025年は月5,000件以上の対応を行いましたが、それだけ多くのクライアント様にANDPADを導入いただいている証拠でもあります。また新機能や新プロダクトも続々と増えている環境です。プロダクトの進化やお客様の増加に伴い、より高度なサポートが期待されています。これこそが、アンドパッドのCSが直面している「高い壁」です。だからこそ、アンドパッドのCSには高い専門性が身につき、成長し続けられる魅力的な環境があると言えます。
――そういった難易度の高い業務に携わる上で、新入社員はどのように知識をキャッチアップしているのでしょうか?
新しく入社したメンバーが最初に取り組むのは、ログイン案内やユーザー登録関連の業務です。入社直後はこちらから電話をかけるアウトバウンド業務が中心になります。お問い合わせのインバウンド対応は蓋を開けてみるまでわかりません。そのため、まずは話す目的が明確なアウトバウンドからスタートし、サポート対応の基礎を掴んでいきます。
――何を伝えるべきかが明確な状態からスタートし、顧客対応の経験値を積み上げていくのですね。具体的にはどのようなアウトバウンドが発生するのですか?
例えば、ユーザー登録確認の架電です。同じCX部のカスタマーオペレーションのチームから「追加情報を聞いてきてほしい」という依頼が届きます。「田中さん(仮称)のアカウントが2つありますが、今回はどちらのアカウントで登録しますか?そもそも2つ存在することに意味はありますか?」といったことを、一件ずつ確かめていきます。お問い合わせフォームから「ログインできません」という連絡が入った際も、基本的にはメール返信だけで済ませず、直接お電話を差し上げてサポートしています。
――テキストのやり取りだけでは不十分なのでしょうか?
ログインできないといっても、その背景にある状況はさまざまだからです。単にパスワードを忘れたのか、そもそもPCやスマホといった操作環境の問題なのか、あるいはインターネット接続や画面自体が開かないのか。それはフォームのテキストだけでは判別できないので、直接お聞きするのが一番確実な方法です。
私が以前働いていたコールセンター時代の感覚からすると、アンドパッドのCSの動き方は本当に衝撃的でした。決定的な違いは、「不在着信に対して折り返しをする」という文化です。一般的なコールセンターでは、受電効率を重視してインバウンドに特化した運用を行うことが多く、不在着信に対して折り返しの電話をかける仕組みを持つケースはそれほど多くありません。しかしアンドパッドでは、営業時間外や土日・祝日にかかってきた不在着信も含め、履歴が残っている架電が必要な着信には必ず折り返しの電話をかけます。
――土日や夜間の不在着信にも折り返すというのは、丁寧ですね。
内製のサポート組織でなければ絶対に不可能な運用です。以前、夜9時過ぎにある事情から、人生で初めて夜10時にお客様へ直接お電話をお掛けしたことがありました。問い合わせフォームからの連絡に30分以内にお電話を差し上げ、お客様からは「こんな夜遅くにすぐ連絡をくれて本当にありがとう」と心から感謝していただけました。外部パートナーへ運用を委託する場合、予め設定されたマニュアルや契約範囲に沿って対応することが基本となります。そのため独自の判断で緊急の架電を行うなどの臨機応変な対応は、運用の構造上難しい面があります。自分たちの手で直接お客様の課題を解決しに行く、内製サポートならではの醍醐味を実感した出来事でした。
難易度が高いからこそ強固なチーム体制がある
――業務範囲の広さと対応件数の多さ、そして多様なお客様との対話など、非常に高いハードルが存在する中で、どのようにして壁を乗り越え、自身のスキルとして昇華させていくのでしょうか?
地道にお客様のお問い合わせに真摯に向き合い、経験を積み重ねていくことが、この壁を乗り越える確実な道だと考えています。私自身、今でも未知の質問をいただくことがあります。それでもお客様のお声にひたすら耳を傾け、自分自身で実際に画面を操作して検証し、どうしても分からない場合は開発チームや関係部署にエスカレーションして確認する。そのプロセスを繰り返し継続していくことでしか、壁を乗り越える術はないと思っています。
とはいえ、チーム全体でナレッジや知見を補い合う文化が根付いているので、孤独ではありません。サポートメンバーは業務時間中、常時オンライン上の執務室(Web会議ツール)に入室した状態になっています。自分で調べたり検証したりしても判断がつかない場合は、一度お電話を切り、周囲のメンバーに相談します。「今こういったご質問が寄せられているのですが、この機能について詳しい方はいらっしゃいますか?」と声を掛けることで、チーム内で知見を出し合って解決へと導いていきます。 またマネージャーに対応方針を相談するラインも整備されています。
過去のナレッジに関しても、これまでの膨大な対応ログやカスタマーエクスペリエンス部の定例ログ、ANDPADのリリースノート、さらには共有ドライブ内の資料を徹底的に検索して情報を探しに行きます。サポートチーム内では、迅速かつ正確に対応できるよう、まずは過去のナレッジを自ら徹底して検索・確認する自律的な動きが定着しています。
――自力での徹底的な情報検索と、チーム全体のサポート体制が掛け合わさっているのですね。こういった環境で、具体的にどのようなスキルや専門性が身につくのでしょうか?
お客様が本当に困っている真の意図や背後にあるシーンを正確にヒアリングし、言語化する力が身に付きます。お客様はお問い合わせの際、ご自身が本当に解決したい目的や、真の課題を把握されていないケースが多々あります。例えばログインができないお客様に対して、単にパスワードの再設定方法を案内するだけでは不十分な場合が多い。実は「来週の現場で案件情報を確認したいからログインしたい」のか、「案内された説明会に参加したい」なのか、背後にある目的によって案内すべき着地点が全く変わってきます。相手がITに不慣れな方や、お困りで少し焦っておられる方であっても、丁寧に対話を重ねることで状況を優しく紐解いていくことができます。このヒアリングを通じ、操作環境や登録情報を正確に把握する高度なコミュニケーションスキルが自然と身につきます。
さらに、解決策の提示だけにとどまらず、『なぜそのようなシステム構成や仕様になっているのか』という技術的・背景的な理由を分かりやすく整理し、お客様にご納得いただく高度なコミュニケーションスキルが磨かれます。 以前、あるお客様から「発注請け書の形式で出力したい」とご要望をいただいたことがありました。機能設定を変更すれば解決するものだったのですが、お客様の最終的なご要望は「自分たちで設定を変えるのではなく、ANDPAD側の開発で仕様変更してほしい」というものでした。開発での即時対応が難しいご要望については、その旨を誠実にお伝えしなければならない場面もあります。 しかし単に断るのではなく、お客様の背後にあるシーンや、「なぜこだわっているのか」を正しく読み取った上で対話を進めなければ、話は永久に平行線のままです。お客様の気持ちをくみ取って、現実的な解決策へと落とし込んでクローズへ持っていく必要があります。
――この高度なハンドリング能力は、日々の対応の中で徹底的に磨かれると。
はい。それに加え、「マルチタスク処理能力」と「スピードとクオリティの追求」も必然的に伸びていきます。というのもANDPADのCS対応は、電話が終わって完結するものばかりではありません。「元請さんから依頼されたので協力会社さんに明日電話する」「明日進捗を確認して折り返す」といったタスクが常時発生します。これらの後追いタスクをスケジュール管理しつつ、同時に一日何十件もの新規インバウンド・アウトバウンドを対応しています。
一件の対応時間を短くして件数をこなすためには、お客様の仰っていることを瞬時に理解し、的確かつ最少の言葉で案内する必要があります。一言一句の発語にまでこだわり、スピードとクオリティを極限まで高めていく動きが求められます。このマルチタスク能力と、顧客の状況を瞬時に見抜いてクローズまで導くハンドリングスキルは、アンドパッドだからこそ身につく一生モノのポータブルスキルだと確信しています。
顧客のサクセスまで踏み込んだ意識で
――アンドパッドのCSは、従来のコールセンターの枠組みにとどまらないのですね。
迅速な一次対応を主な役割とするサポート窓口も非常に重要ですが、そこでは自身の対応が顧客や自社のビジネス成長にどう直結しているのか、手応えを直接実感することが難しい面もあるかもしれません。 しかし、アンドパッドのCSの動きは、単なるインバウンドの処理ではなく、お客様の解約を未然に防ぎ、さらにはANDPADをより便利に活用いただくためのサクセス活動そのものに直結していると自負しています。
――具体的にはどのようなアプローチがサクセスにつながっているのでしょうか?
象徴的な例で言うと、ログイン案内の対応が挙げられます。例えば協力会社さんから「ログインができない」とお電話をいただいた際、ANDPADはアプリでログインしていただくのが基本ですが、標準機能として全社に提供されている「チャット機能」の活用まで見据えてお話を展開します。時間や状況に余裕があるお客様であれば、「ちなみに、ANDPADのチャットアプリもスマートフォンにインストールされていますか?こちらのアプリから入っていただければ自動でログインできますし、元請さんからの連絡もリアルタイムで確認できますので、ぜひ併せてご利用ください」とお伝えします。その理由は単純で、せっかくご利用いただいているのに、使われていない機能があること自体が非常にもったいないからです。もしお客様がチャットアプリをインストールしていないと、元請さんからの重要な連絡を見落としてしまう可能性もあります。そうなると、元請さん側のANDPAD利用率や満足度まで下がってしまい、巡り巡ってANDPADが使われなくなってしまう悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
――CSの一言が、解約リスクを未然に防いでいるのですね。
一般的に、営業はお金を獲得しに行く活動ですが、CSはお金を直接生み出す部署ではなく、下手をすればコストセンターと見なされがちです。しかし、お客様の困りごとを解決した上で、もっと便利に使える方法を提示し、ANDPADを長く使い続けていただく状態を作るという意味で、CSの全対応が解約阻止と顧客エンゲージメント向上に貢献しています。
――非常に重要なインパクトですね。日々の顧客対応の中で、自身の存在価値ややりがいを実感するエピソードはありますか?
以前、操作方法についてお電話をいただいたお客様との対応が、今でも強く印象に残っています。最初は「なんでこんなこともできないんだ!もっと使いやすくしてくれ!」と厳しいお言葉をいただきました。最終的にお客様のご要望に対して100%お応えすることはできなかったのですが、代替策を丁寧にご案内し、粘り強く対話を重ねました。すると最後にお客様から「熱くなって喋りすぎて申し訳ない。でも、困っていたから本当に助かったよ。ANDPADを導入してから、うちの会社の売上がすごく上がったからこそ、もっと使いこなしたくて電話してしまった。また何かあったら中込さんに聞きますね」と言っていただけたんです。
――不満が感謝と絶大な信頼へと変わった瞬間ですね。
本当に嬉しかったですね。私たちの対応一つでお客様がANDPADを使い続けてくださるか、解約されてしまうかが決まるプレッシャーもある中で、お客様から直接「またあなたに聞くよ」と言っていただけることこそが、CSという仕事の最大のやりがいだと思います。
お客様はサポート窓口の対応品質を、建設業界内だけでなく、あらゆるSaaSや他業種のサポートと比較されています。「ANDPADのサポートは本当に丁寧で親切だ」「ANDPADのサポートは本当に丁寧で、ここならいつでも安心して相談できる」と信頼していただけることが、ANDPADブランド全体の市場価値を高めることにもつながっていると自負しています。
CSとして自分の価値をどこまで発揮できるか追求したい
――中込さんが今後注力したいことについて教えてください。
まず取り組んでいきたいのは、メンバーがより働きやすく、着実に成長していける環境整備です。現状、ANDPADは扱うプロダクトや機能が多岐にわたり、多くのお客様から日々頼りにされているため、お問い合わせの対応件数も非常に豊富です。 より効率的に知識を共有し、メンバーが安心してインプットできる仕組みづくりが、現在の私たちの重要な挑戦です。これまでは各自が主体的にナレッジを検索し、対応を重ねながら理解を深めていくスタイルが中心でしたが、より安心して成長できるよう、現在は事前インプットの仕組み化などを進めています。
――組織的なインプットの仕組みを整えることで、サポート品質の平準化とメンバーの働きやすさを両立させていくと。
インプットの仕組みが整えば、一件あたりの対応スピードも短縮され、最終的にはお客様への提供価値の最大化にもつながります。また、CSチーム全体の品質の底上げも急務だと感じています。チームの中にはサポート出身ではないメンバーや、対面接客から転職してきたメンバーも多いため、言葉遣いやトーン&マナーの指導、音声チェック、AIを活用した対応レビューなどの教育体制も、リーダーとして積極的に担っていきたいと考えています。
――中込さん個人のキャリアとしては、今後どのような挑戦をしていきたいですか?
自分の手と頭を動かして「どこまでお客様や事業に価値提供できるか」という限界値を高め続けていきたいです。私は元々人見知りなところがあります。そのため、対面でお会いするよりも、お電話やテキストを通じて顔が見えない状態から関係性を築くサポート業務にやりがいを感じています。この職種でどこまで自分の価値を発揮できるか、限界に挑戦したいという強い興味があります。
――なるほど。中込さんにとって、ANDPADでCSを続けられている一番の「源泉」は何ですか?
一言で言えば、「必要とされる存在でありたい」という強い気持ちと、ANDPADのサポートだからこそ得られる圧倒的な自己成長実感です。ANDPADのCSは、複雑なシステム設定や業界構造を丁寧に紐解きます。その上でお客様の状況を深く理解し、ときには一歩踏み込んだサクセス提案をしながら、課題解決まで最後まで伴走します。
アンドパッドの最終面接で、現在の上長が「アンドパッドのサポートチームにいること自体が、その人の市場価値になるようにしていきたい」と伝えてくれました。入社して5年経った今、その言葉の意味を強く実感しています。マルチタスク処理能力、顧客ハンドリング力、本質的なヒアリング力、ここで身につく能力は、どこへ行っても通用する一生モノのスキルだと思います。
アンドパッドのCSは、一歩ずつ着実な積み重ねが実を結ぶ世界ですが、 一人が抱え込むのではなく、チーム全員で支え合って課題を解決していく素晴らしいカルチャーがあります。お客様から「また何かあったら中込さんに聞くよ」と言っていただける瞬間や、自分の対応で困りごとが解決した瞬間の喜びは、何物にも代えられません。これからもチームの仲間と共にサポート品質を磨き上げ、お客様にとってなくてはならない存在であり続けたいと思っています。