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【創業ストーリー】“機”を読み、とらえ、強みを活かす。時代の先を行くための流儀とは(代表取締役:粟飯原理咲)

こんにちは。広報の伊藤です。

今回は、弊社代表取締役・粟飯原の創業ストーリーを公開しました。

「こんなサービスがあったらいいな」というアイデアを新卒時代から次々に形にし、プライベートでも複数のサイトを運営。いくつかの機がそろった2003年、「おとりよせネット」を創業メンバーとともに立ち上げます。

それまでの苦労やぶつかった壁、それらをブレイクスルーしたきっかけなど、得たものや、生み出したアイデアを実現してきた方法を語っています。ぜひご覧ください!

「ケーキを注文すればつぶれて届く」のが普通だったオンラインショッピング黎明期。EC専門・女性オンラインマーケティングコミュニティが世の中に初めて誕生しました。発起人は社会人1年目の粟飯原理咲。現アイランド株式会社の代表です。常に時代の先を見、次々と事業化に成功した粟飯原“独自の”流儀に迫ります。

大いなる勘違いからそれは生まれた。自分の弱みが強みに変化する瞬間



粟飯原のキャリアのスタートには、大きな“勘違い”がありました。

「大学時代にやっていたケーブルテレビの仕事が楽しくて、そんな仕事に就きたかった」粟飯原は、日本電信電話株式会社(現、NTTコミュニケーションズ株式会社)を受験。“マルチメディア”と名前のついた部署を希望し、見事配属に。

ところが“メディア”の意味が違っていました。配属されたマルチメディア情報流通推進部は、1996年当時、普及しはじめのオンラインショッピングや電子マネーの実証実験をする部署。大学院卒でプログラムを組める同期たちに囲まれ、粟飯原はブラインドタッチもままならない状況。

しかし「インターネットのこともわからない落ちこぼれ」と自負する粟飯原が、どうしても気になることがありました。それは当時、自社を含め、業界のあちこちで実験がはじまっていた女性向けオンラインショッピングサイト。

粟飯原「消費者視点でみると、このシステムはどうかな、画面はこうした方がいいんじゃないかと思ってしまう。でも当時、業界には技術系の方が多く、周りは技術のプロ、素人の私の感覚がおかしいのかな……とモヤモヤしていました」

悩みを聞いた知人は「それなら生活者の声を集めるコミュニティをつくってみたら」とアドバイス。これを素直に受け止めた粟飯原は、さっそく上司にも承諾をとり、メーリングリストを企画し、立ち上げました。これが最盛期には1000名の女性が集まりオンラインショッピングの未来を語ることとなった、日本初のEC専門・女性オンラインマーケティングコミュニティだったのです。

コミュニティで話し合った結果を、非営利活動として社内外で発表するようになると、粟飯原は裏付けのある提案ができる“消費者の専門家”とみられるように。

粟飯原「いわば勘違いで業界に入ってしまい落ちこぼれになりかけたんですが、弱みは強みにひっくり返るんだなとすごく思いました。女性で初心者だから、同じ立場の声に共感できるし、伝えられるんですね」

その後、「マーケティングなら粟飯原」と新人ながら確固たる地位も獲得します。しかし、粟飯原は転職という大きな決断を行いました。

まずマーケットに問う。実践と修正の繰り返しこそがサービスを成長させる


▲自前で仲間とつくった「よせがきコム」(2000年5月)


新卒入社3年目。粟飯原は新サービスを思いつきます。「電報は1対1のサービスだが、これを1対N(不特定多数)、つまりオンライン上で寄せ書きができるサービスにしたらいいのではないか」。

新規事業の担当ではなかった粟飯原は、部長へ直接プレゼンを企てます。一旦は断られますが自費でデモまでつくり再度直訴。そこで部長から帰ってきたのは、思いがけない言葉。

「あなたはずるい。新人が直接アタックしてきたうえに、自腹でシステムをつくったのを断る気持ちがわかる?断るのも苦しいんだ」。部長なりのユーモアを交えた言葉とともに、当時の最少額で、部署特別予算をつけてみるか、と受託されたのです。

粟飯原「新人のやる気を認めてくださってのトライアル的な受諾でした。でも、その後、落ち着いて考えてみたら、これって幸せではないなと思ったんです。社内での無理なプレゼンで実現しても、会社に必要性がないなら成功しても拡大はない。人に適材適所があるように、アイデアにも“適創適所”がある。実現されるべき場でないとアイデアも輝かない。だったら趣味で個人的にやってみようと」

この考えに部長も快諾。「よせがきコム」を個人的に仲間と立ち上げた後、「自分はインフラ構築よりコンテンツをつくりたい」と強く思った粟飯原はリクルートに転職します。実は、このよせがきのシステムを一緒に創った、リクルートで働く知人から声がかかったのです。

リクルートでの1年目は毎日「狂ったように」企画書づくり。上司は天才肌でものごとを突き詰める人。怒鳴られ、椅子を蹴られ、駅のホームで周りが振りむくほど怒られたことも。そのうえ事業化もできない……。失意のどん底だった時、出向の話が訪れます。2001年にスタートした専門家が情報をナビゲートするポータルサイトAll Aboutでした。

粟飯原「0から立ち上げてユニークユーザー1000万人目指す、そのためにはなんでもやるという意気込みで。潤沢な予算はないベンチャーだから、色んな企業とのコラボレーション企画を考えました。実践的な仕事ができて、すごく面白かった」

実践につぐ実践の日々。粟飯原は「リクルートで企画書に明け暮れていた頃も、もっと早く、プロトタイプを立ち上げフィジビリすればよかったんだ」と強く感じます。

粟飯原「まずやってみて失敗したら修正する。これをひたすら繰り返してAll Aboutも上場しました。サービスを伸ばすという本当の意味のやり方を学びました」

あっという間に3年が経過。そして、起業の時がやってきました。


緊急性のない暮らしのメディアだから緊急事態に社会の役に立てることがある

▲創業期のオフィスは机が数台しかおけないスペースでした(2004年頃)


「おとりよせネットをやりたい」、これが起業のきっかけでした。

一方、リクルートではそろそろ出向が解かれる頃。ネットバブルも弾け、本社に戻ってもネットサービスは縮小傾向。そのうえ、事業規模の大きなリクルートでは、お取り寄せはスモールビジネス。

だったら、自分でやろう。ちょうど成長した「よせがきコム」を楽天が買い取ってくれたので少額ながら資金もある。いくつかの機がそろった2003年、粟飯原は「おとりよせネット」を創業メンバーとともに立ち上げ、アイランド株式会社代表に就任します。

読みどおり、「おとりよせネット」は順調に成長。その後、「レシピブログ」や「朝時間.jp」といった姉妹サイトもスタートし、暮らし領域での情報発信者として誇りも持つようになりました。ところが、その誇りを揺るがす事態が起こります。東日本大震災でした。取引先である東北のショップが一斉に厳しい状況になります。放射能汚染の問題です。

粟飯原「汚染を心配するお客様に危険な商品は紹介できない。一方、被災したショップにセシウム検査をお願いする電話をしたら、”こっちだって被害者。こんな大変な時にどうやって証明すればいいんだ。お前が教えてくれ”と言われたことも……」

アイランド運営の料理ブログのポータルサイトでも、「関西や九州の私たちが楽しそうに食卓をアップするのはどうか」とブロガーの方々から発信を自粛すべきかどうかという問いも多く寄せられました……。粟飯原は悩みます。そんな中「火も電力も使わずできるレシピを今だからこそ、みんなで集めよう」というアイデアが社内メンバーからあがりました。レシピは一気に集まり、話題になり書籍化。その印税はすべて寄付。

粟飯原「暮らしのメディアには緊急性がありません。だから緊急事態に私たちが発信する価値は何かと悩みました。でも、どんなときでも視点を変えれば社会に役立てることはあるんだと大きな経験になりました」

良いことも悪いことも流れの中の一点。俯瞰しながら次の流れを創っていく


▲2012年にスタートしたスタジオでは料理イベントをはじめとするリアルなコミュニケーションの場づくりを進めています


東日本大震災は、経営者としての粟飯原を大きく成長させました。

粟飯原「おいしいものが好き、楽しさやワクワクという気持ちから生まれたおとりよせネットですが、震災をきっかけに、地域や生産者を応援するという大事な役割も考えるようになりました」

経営者として心がけているのは、窮地に陥ったときこそ自分の状況を「笑う」こと。

さらに「万事塞翁が馬だな」と思うことが多くなったとも。

粟飯原「良いときも悪いときも、それは流れの中の“いっとき”でしかないし、これをきっかけに次に何が起こるのかはわかりません。単に流れの一点と捉え、その後”どんな流れをつくるか”を考えたい。経営者はどんな時も安定していることが重要。いつも適度にご機嫌(笑)というのが私の目指す姿です」

事業で大事なのは、まず機を読んで捉える。そして、強みを活かす。震災で、その想いはより強くなりました。そして得意分野だけでなく「自分たちがなんとしてもやりたいと思う気持ち」も強みになると断言します。

インターネット事業からはじまったアイランドは、2012年にキッチンスタジオを設立し、スペース事業もスタート。リアルとネットをつなげる展開を計画しています。

粟飯原「暮らしは、私の中で“ロマン”のあるジャンル。いろんなライフスタイルの中に、ほかの人へのヒントがたくさんある。これってすごく楽しいことだなと思うんです」

アイデアは尽きません。アイランドはさらなる成長の流れの、今、その一点にあるのです。

Text by PR Table

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