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【社員インタビューvol.4】ベンチャー企業の研究員が惹かれた「現場の声を研究の駆動力にできる環境」

社員インタビュー第四弾は、研究開発部にてバイオスティミュラントの研究を行っている渡邊寛子さんです。

今回は、ベンチャー企業だからこそ感じられる“研究のやりがい”やフィールドサイエンティストとして携わるデータ分析事業、海外展開に向けた話など盛りだくさんな内容になっているので、ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです!

─まずは自己紹介と入社の経緯を教えてください。

AGRI SMILEの研究開発部で基礎研究部門リーダーを担当している渡邊寛子といいます。
以前は、京都大学農学研究科博士課程を修了し、特定助教としてアカデミアに2年間在籍していました。

大学での研究の道に進んだのは、「一つのことに集中し自分の世界を深めたい」という思いからでした。研究領域としては特に関心の高かった自然科学の分野で、生命科学や微生物の研究を行っていました。
私が在籍していた研究室は、単に基礎研究だけ行うのではなく、社会実装も踏まえて産学連携を重視した研究が多かったので、自分が行っている研究を“ビジネスにどう繋げていくか”という部分に自然と興味が広がっていきました。

そうしたなか、ちょうど特定助教の任期満了を迎えるころにAGRI SMILEの代表 中道からオファーをいただき、転職に至ったという経緯です。
中道は大学時代の同期なので、入社前から色々な話を聞いていました。彼のビジョンに共感する部分が多かったですし、アカデミアにいるより視野が広がるスピード感が全く違ってくるなと感じ、あまり悩むことなく転職を決めました。

─中道さんとは元々のお知り合いだったんですね!

研究室は違うんですが、専攻内のレクリエーションイベントとして行われていたソフトボール大会をきっかけに親交が深まりました。

意欲がある人は毎日1時間ほどグラウンドで練習するのですが、そこでよく顔を合わせるようになり、そんな縁やゆかりもあって、中道からの信頼があったのかもしれません(笑)。

スポーツを通して、間接的に人柄や考え方などを知ることができたのが、良かったですね。

現場の声をダイレクトに感じられる環境に惹かれて

─AGRI SMILEのどんなところが魅力的に感じましたか?

中道が語っていた研究組織としてのビジョンがとても魅力的でした。
研究活動はコストがかかるので資金獲得が難しく、規模縮小の流れもあるなかで「インパクトある研究を行うラボを作りたい」との言葉に、自由度の高い研究を行えるという期待を強く感じました。

それから“現場の生の声を聞ける環境”というのも、惹かれたポイントです。

研究者って、自分の取り組んだものが現場に活かされるまでを体感することは結構難しいんですよね。

実際、農学研究科に在籍していた学生時代も、農業というものをあまりよく知らずに研究に取り組んでいました。研究テーマの動機(= イントロダクション)は、先行研究を起点に発生することがほとんどで、現場起点で研究テーマができやすい環境ではなかったように思います。生産者さんと会ってディスカッションするような機会はなかなかありませんでした。

入社前に、AGRI SMILEのお仕事を見学させていただいたり、議論を交わす機会が幾度かありました。

その中で中道から「農家さんがこんなことを悩んでいるんだけど、何か良い解決方法ないかな?」と相談を持ちかけられて、自分なりに見解を返したら、それに対する農家さんの喜びの声やフィードバックを聞くことができました。

そんな経験から“現場の為になっている”と感じられる状態って、研究者の在り方として、すごく良いなと思いましたね。

アカデミアとベンチャー企業で行う研究活動の違い

─現在AGRI SMILEでは、どんな業務をされているのでしょうか?

“バイオスティミュラント”という、新しい農業資材の研究を基軸にした業務を行っています。

その内容は大きく分けて2つ、基礎研究と現場実装に向けた圃場試験の実施です。

基礎研究では、より効果的で独自性のあるバイオスティミュラントの新規開発と、現場が納得してバイオスティミュラントを導入できるようにするための基礎的なエビデンス収集を推進しています。

現場における圃場試験では、協力していただける生産者の方に“バイオスティミュラントがどういったものか”を知った上で導入してもらうため、各地域で決めた品目を試験的に導入して、効果の出方の確認・評価を行っています。

実際に現場に出向き生産者さんと議論を交わす中で、現場ならではの着眼点に触れ、基礎研究部門へ活かせる気づきを得ることもとても多いです。

AGRI SMILEの研究開発部は、マルチにプロジェクトが進んでおり、研究チームを拡大しながら役割分担をして業務を進めています。

─アカデミアとAGRI SMILEで行う研究活動に違いはありますか?

研究資金の調達のしかたに違いがあります。
アカデミアでもAGRI SMILEでも、自力で研究資金の調達を行わなければならないのは共通していますが、研究計画の価値を納得させる相手や伝えるべき情報、計画の立て方は大きく違います。好奇心に従った基礎的な研究内容よりも、事業方針に沿った内容を求められる一方で、スピードを上げるための人員配置などリソース配分は、柔軟性高く対応することができたりします。

プロジェクトとして走り始めると、目的を達成するために個人での行動に頼りきらずに、社内のリソースをうまく配分してチームとして動いていく、円滑なプロジェクト進行が求められます。この部分は、アカデミア研究では経験することがなかったので、現在試行錯誤しながら勉強中です。プロジェクトの関係者が社内外で数十名に及ぶこともあるので、マネジメントが重要になってきます。

栽培ビッグデータを研究×テクノロジーで可視化するデータ分析事業

─円滑なコミュニケーション能力が求められるのですね!“データ分析事業”にも携わられているとのことですが、どういったものになりますか?

“データ分析事業”は、担当部門は研究開発部とは別の栽培支援事業部のプロジェクトで、開始当初からフィールドサイエンティストとして関わっています。

内容としては、生産現場から得た活用しきれていない膨大なデータを元に、統計学的なアプローチで解析する。それを現場にフィードバックすることで、より品質の良い農作物を効率的に栽培できる状態に繋げていこうとするものです。

一般的な実験研究は、自分で立てた仮説を検証するために、ある程度コントロールした条件で実験をおこない結果を解釈していきますが、データ分析事業はすでにある結果のデータを、現場にどう活かせるのか解析していく流れなので、まるで切り口が違うんです。

フィールドサイエンティストとして、データと向き合う時間も、また面白みを感じる点ですね。

糖度が高い、外観が良いなど、高品質なものを量産できれば単価も上がるので、土地の良し悪しや管理方法など“どうしたら良いものが作れるか”というデータ分析は、ニーズが高いと感じます。

JAの営農指導員さんが、生産者さんを訪れて、1年の成績を元に次年度の栽培方針を指導する機会があるのですが、その際に裏付けるデータがあれば指導員さんの説得力も増します。データ分析事業により、現場の栽培を支援し、現場の技術力向上に繋げて行きたいです。

AGRI SMILEでは現在、データサイエンティストの募集もしています。

データ分析事業では栽培に関わる多くのパラメータに関する大容量のデータを扱っておりますので、ビッグデータの取り扱いに長けていて、AIをはじめとする機械学習や、データ解析の手法にも強い人が来てくださると活躍いただけると思います。

海外進出に向けた第一歩「タイ出張」

─先日タイ出張に行かれたとのことですが、その目的や現地での様子について教えてください。

今回がAGRI SMILE初の海外出張で、タイでのニーズ調査、人脈形成や交流を目的として、日本のアグリテック系企業さん7社とご一緒しました。

現地では、食品残渣を用いたバイオスティミュラントで、サステナブルな農業モデルを作っていること、またその開発状況について発表させていただきました。
それに対する反応がすごく良くて、現地の生産法人さんから「”ある作物”の残渣が多く発生しており、バイオスティミュラントにできないか?」と熱くお声掛けいただくなど、タイでの需要の高さを実感しました。

AGRI SMILEは海外展開も視野に入れているので、そういった活動のサポート事業をされている方にご挨拶いただいたり、タイで頑張っている日本人の方とお話できたのも刺激になりました。

企画のファシリテーターの方が冗談っぽく「日本では年に一回しかお米が取れないけど、タイでは4回取れるんだ」という話をしていたのが印象的で(笑)。気候や土地の性質も異なる農業大国、タイへの進出も楽しみになりました。

今回現地調査はあまりできなかったので、次の機会を作って、そういった部分も見てみたいですね。

社会の根幹である“農業界”に貢献したい

─研究者という仕事を通して得られる充実感はどんなものがありますか?

研究開発という仕事自体の面白さは、ある事象を観察しながらデータを取って、深掘りしていけるところだと思います。

AGRI SMILEは、現場の声を聞いて研究活動の駆動力にできる環境です。JAさんや生産者さんから「これを何とかしたい」と言われると、「頑張ろう」と思えるんですよね。食を生み出す“農業”って社会の根幹なので、そこに貢献できる研究活動は、すごくやりがいがあると思います。

それから、色々な人との繋がりを大切にして仕事を進めていくのも、AGRI SMILEならではの特徴です。一人ではできないことを持ち寄りながら、できることがどんどん広がっていくスピード感を感じられますよ。

AGRI SMILEはまだまだ小さな研究組織ですが、その分一人の影響力が大きく、チャレンジングな環境です。「研究室の立ち上げに貢献したい」という熱意ある方がいたら、ぜひご一緒して欲しいなと思います。

─渡邊さん、素敵なお話をありがとうございました!また、読者の方も最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。熱意あふれるメンバーが揃うAGRI SMILEにご興味をお持ち頂けた際は、エントリーを心よりお待ちしております。

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