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本よ、我らにインスピレーションを! 〜2017年度 仕事に役立った一冊 編〜

今年一年プロジェクトをやり抜くのに役立った一冊をレビュー

A.C.O.では各自のスキルアップに必要や書物や資料を、会社が負担する支援制度があります。クリエイターにとって、良い本は多くのナレッジやインスピレーションを与えてくれる、いわば栄養剤。購入した本は社員達でシェアすることで知識を共有し、スキルアップに役立てています。

前回の記事(本よ、我らにインスピレーションを! 〜プロジェクトマネージャー編〜)では、A.C.O.のプロジェクトマネージャーチームがインスピレーションを刺激される本を紹介いたしました。今回はチームの垣根を越えて、2017年に買って役に立ったおすすめの一冊をご紹介します。


辻之内 孝信(DESIGNER)の一冊

「料理の四面体」玉村 豊男(著)

日本料理やフランス料理など、料理のジャンルは色々ありますが、材料と調理方法が違うだけでやっていることは実は同じ。この本は書名にもあるように料理の構造を知る本ですが、料理に限った話ではなく、デザインをする際にもこういった概念、モノゴトの頂点となる構成要素を見つけ出し、骨格や構造を把握して取り組むと、普段とは違ったアイデアが生まれてきます。料理に興味はなくても、楽しめて堅い頭をやわからくしてくれるような一冊です。


堀 有吾(WEB ANALYST / INFORMATION ARCHITECT)の一冊

「知的文章術~誰も教えてくれない心をつかむ書き方」外山 滋比古 (著)

少し前に、実家に帰る新幹線で読んだ本。ビジネス本のコーナーにありそうな「パッと使えるテクニック集」的なタイトルですが、少し違いました。90歳をこえる著者による、文章を書く際の心がまえ集、といった印象です。

もちろん文章を書くための技術の紹介が中心ですが、その立脚点の多くは、読み手に対する思いやりや、声に出した際の心地よいリズムといったもので、良い気づきと納得感が得られました。長く活動されている方だからか、例文の引用元が昭和の新聞だったりするので、時代感の変遷も楽しめます。SEO対策やスマホ画面向けの文字数制限に慣れてしまった身には新鮮でした。


岩田 紗季(DESIGNER)の一冊

「たのしい インフォグラフィック入門」櫻田 潤(著)

わかりやすい授業のような本。よくある完成したインフォグラフィックの図説ではなく、インフォグラフィックを作る際の制作者の頭の中を整理・整頓した本です。

特になるほどと思った点は、現代においてデータの視覚化のニーズが高まっている理由は、団体・企業が集積するデータの量が増える傾向にあるから、という話です。オンラインのサービスが増えたことで、オフラインのサービスがメインだった時代よりも膨大な量のデータを企業が所有していることは間違いありません。

データをどのように整理・整頓し、活用するかが問われる現代において、素早く情報を伝えるだけでなく、親しみやすさやインパクトも与えられるインフォグラフィックは、非言語コミュニケーションの中でも素晴らしい手段のひとつだと思いました。


池野 将司(PROJECT MANAGER / WEB ANALYST)の一冊

「冒険図鑑―野外で生活するために」さとうち 藍(著),‎ 松岡 達英(イラスト)

1985年刊行。内容はサバイバルで生き抜く術というよりは日々の生活で役に立つ知識など、子供の頃に野山を駆け周った頃を思い出させてくれます。読んでいる途中で思わず外に飛び出したくなります!内容を伝えにくいので目次の中からいくつか抜粋。どれかひとつでも気になった方には是非オススメ。

大自然の中で生きる / くつしたにも気をくばろう / 動物の毛で作られる暖かい服 / 等高線から山の様子を知る / 天気の変化を雲で知る / 夜空を見上げよう / おやつに木の実を食べよう / 野外でのトイレ / ライフツール、おの、のこぎりの使い方 / 動物のふんと食べ跡を探す / 月の満ち欠け表 / 野外で役立つ薬草

イラストも豊富(3000カット)で読んでいて飽きません。対象年齢は小学生中学年となっていますが、これから野外生活を経験しようとする大人にも役立つ一冊です。最後に冒頭の一部から引用します。


「冒険とは何だろう文字通りの意味で言うと、危険を冒すこと、辞書の言葉を借りると、成功の確かでないことを敢えてすることだ。これから自分のすることが成功するか、失敗するかわからないが、あえて勇気を持ってやってみようというのだ。――野外で体験したすべての出来事は、学校を出てからも、自分の人生の中で、大いに役立ってくれるだろう。」


小山 和之(PROJECT MANAGER / EDITORIAL DIRECTOR)の一冊

「3行しか書けない人のための文章教室」前田 安正(著)

文章を書くとき、わかりやすく情報を整理することができても、読み込ませるような“引き込む“文章を書くことに、僕は苦手意識があり。引きのある文章を書くために読んだのがこの本でした。

タイトルの通り文章があっさりしてしまう人のための本で、どのように情景表現をするかなどを『5W1H』の方法で説明してくれています。「なんか自分の文章さらっとしてるんだよなぁ」と思っている方にはオススメです。


高橋 昌之(PROJECT MANAGER / WEB ANALYST)の一冊

「ぼくらの仮説が世界をつくる」佐渡島 庸平(著)

仮説と検証が重要とはずっと昔から言われてきたこと。いまさら何をと思うかもしれませんが、それを日常的に実行できるようにしている人は少ないのではないでしょうか。著者は「宇宙兄弟」や「働きマン」「インベスターZ」などの漫画編集を行っている、コルクの佐渡島 康平さん。

WEB制作はさまざまな場面で仮説をたてることが求められます。ユーザーはどのような人物なのか。どこから来るのか。コンテンツを閲覧することでどのような感情を持ち、どのような行動をとるのか。仮説が当たっているかどうか、確かめるためにさまざまなツールを用いて検証をします。そして課題が見つかればまた新たしい仮説を用意し、改善施策を行っている。僕たちGrowth Management部はまさに仮説を検証することが仕事であると言えます。

この本はアクセス解析の本ではありませんが、仮説をたてることの重要さをもっと広い範囲で示しています。有名なのは漫画「宇宙兄弟」をマーケティングしたときに立てた仮説。既存のルールを疑い、成果を出すためにはどんな仮説が必要なのか、この本にはそのためのさまざまな思考法が記載されています。


読書で得た知見を、プロジェクトに応用する。

ACOメンバーは、今年もいろいろな本から仕事のインスピレーションを得ていました。仕事に直結するものは自分のスキルの深掘りになりますし、一見仕事とは関係なさそうに見えるものでも、読み方次第では仕事にフィードバックできる知見を得られます。今回ご紹介した中に、気になる一冊がありましたらぜひ手にしてみてください。


WRITER

林 俊一

SHUNICHI HAYASHI
UX DESIGNER

明治学院大学映像芸術学系列卒業。広告制作会社でエディトリアルデザイン、ITベンチャー企業でグラフィック・パッケージ・ウェブなど、広範なデザイン業務を経て、現在に至る。UXデザイン担当。UX/IA部所属。

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