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目指している個人と会社の関係のことを改めて書いてみました

パートナーのみなさんへ

代表の倉島です。現場が好きな私が「これからは会社をデザインしよう」と決め、現場からすこし距離を置き、自分なりに経営というものと向き合って3年が過ぎました。

先日、新入社員に「A.C.O.がこの先どうなりたいのか社長コラムに書いて下さい!」と言われたので、A.C.O.という会社がパートナー(正社員/業務委託/バイト人員の総称)という個人と、どのような関わり方を目指しているかを書こうと思います。ですが、面白い話にはならなそうです。ごめんよ新人くん。パートナーのみなさんは一応読んでね。


ぶら下がれない会社

自らの進むべき道が決まらなくたって、とりあえず安定した会社に就職する道が安全だ。そう本気で思ってる人は今ではもうほとんどいないでしょう。でももし今いる会社にぶら下がって仕事していこうなんて心のどこかで思っているなら、それは相当危険です。数万人規模の企業ですら今や潰れんと社会を賑わせている世の中ですから。

どんなに優秀な人(=パフォーマンスが高い人)でも大きい会社に居続けると、この辺の感覚が麻痺してくることがあるようです。長くこの仕事を続けていると、大企業の社員の方々や役員の方々から本当の社内文化や体質のお話をお聞きすることも多いのですが、まれに『ぶら下がり体質』の方々とお会いすることがあります。

そういう方は、会社の問題とご自分の問題を線引せず、会社の問題としていることが多いんです。「それ、ぶら下がり体質になってますよー」と囁きたいですがそうもいきません。人のふりみて考えたのは、ぶら下がれない会社をつくる、ということです。

会社を利用してくれる人だけを集めています

9年前のリーマンショックで会社が次々と消え、6年前の震災では脆く崩れ去る様を目の当たりにしました。そんな経験を経て、経営者としては「会社は、自分のために利用するものであってほしい。それ以上は自分でなんとかしてほしい」という思いが強くなっていきました。一寸先は闇です。経営者が従業員の生活を生涯に渡って支えたいと思っていても、それを約束することなんて絶対にできないんです。

だから会社にぶら下がらず、会社を利用してくれる人だけを集めよう、そう思っています。社員のことを『パートナー』と呼んでいるのもこんな理由からです。パートナーである社員が、この会社を自分のために利用してくれれば経営者としては本望です。

ところで、個人が利用したくなる会社のコンセプトとはなんだろう?A.C.O.のミッションである『自分の足で立つ人を、増やす』、これはこんな考えからつくりました。


個人の機会を広げるための会社です

例えば、個人事業主のAさんは仕事が欲しいと思っています。しかし個人では信用を得ることは難しく、質の良い仕事を見つけることができません。でも、もし会社に所属しているAさんならどうでしょう。その会社の信用を利用して、Aさんは機会を得る可能性が格段に高くなりますよね。つまり会社には、個人の機会をつくるため、実績による信用を集める器としての機能があります。それこそが会社の役割です。

たどり着いたのは、個人がより多くの機会を得ることができる会社、個人の能力が最大化できる会社。会社としての実績が積み上がると、個人の能力を発揮する機会を増やせる可能性が高くなります。

会社を利用して自分のための機会を得られると同時に、会社にも実績が蓄積される。これが個人と会社の循環構造です。


確実な成長を最優先しています

実は売上目標はちゃんとありますし、社員はそれを達成するために日々努力を続けています。売上目標がなんのためにあるかというと、評価すべき人には必ず給料を上げるという会社としての最低限の機能を満たすためです。そのために年10〜20%増の利益成長が必要です。

もちろんお金は嫌いじゃないです。だから、もっと稼ぎたい衝動に駆られることはあります。でもその年に無理したり調子に乗ったりすると、次の年は前年のしわ寄せで色んなことが苦しくなる。そうなるとパートナーや顧客は離れていく。この悪循環は何度も経験した失敗です。

だから私たちは、案件依頼が多すぎたとき、少し抑えめにして依頼を請けるようにしています。急激に仕事が増え、責任が大きくなるのは悪いことでないですが、事業の成長はそれほど早回しすべきではないと考えています。特に人間の精神的な面は、飛び級で成長することがとても難しい。人は時間とともに少しづつ精神的な成長を遂げ、気がつけば責任の重さに耐えられるようになっています。スピードは亀でも、確実に成長を保つことを最優先しています。


得意な分野に、時間を投資してください

会社と個人の間でいい仕組みができるとお互いに自浄作用が生まれます。人は自分の足りないものに自ら気付いて進化していくようになります。逆に、指摘をすることで多少気付きを前倒しできたとしても、本人が不得意なこと、やりたくないことはいくら前倒して教え込んでも大して身にならないものです。

だから自分がどうにも不得意だと思うことはさっさと得意な人に任せてしまって下さい。会社には自分では苦手なことを得意とする人がいるはずです。いなかったときは、会社にクレームを言ってください。その穴を埋めることが会社の役割です。

浮いた時間は業務時間の全てを自らの得意分野、やりたい分野に費やしてください。まんべんなく身に付けよう、苦手なことを克服しようなんて効率の悪いことは考えないでほしいのです。

自分が得意な分野を早く見つけ、そこに自分の時間を集中投資してください。


マイナーチェンジを続けていきます

おかげさまで、A.C.O.は売上も事業領域も年々成長しています。今年に入って『UX/IA部』という新しい部署もできました。顧客との関係も少しづつ確実に深まっており、その分期待や責任も大きくなっています。私自身は仕組みのマイナーチェンジを止めることなく、会社デザインを続ける覚悟です。皆さんは苦手なものにフタをして、自分を最大化できる最短距離を見つけ、一定のペースで走り続けて下さい。

WRITER

倉島 陽一

YOICHI KURASHIMA
代表取締役兼CEO/PRODUCER

東京芸術大学美術学部建築学科卒業。設計事務所を設立。代表取締役退任後、A.C.O.創業と同時に入社し、2002年同社代表取締役に就任。クリエイティブディレクション、マーケティング、コンサルティング担当。

※ A.C.O. Journal からの転載です

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